2021/06/07 のログ
ご案内:「歓楽街」に柏木凛さんが現れました。
■柏木凛 > 人の行き交う歓楽街の通りを小さな紙袋を手にして歩く。
普段から歩きなれている場所ではあるがやはり時間帯によっては歩きにくいと思う事も多々とあり。
特に日が暮れてくればその面倒ごとも多くなって。
「ったく……変な奴が増えてるよな。絶対に」
そう口にしながら思い出すのは先ほどに絡んできた、おそらくはナンパ目的と思われる数人の相手。
少なくともこの辺りに住んでいるならば自分にそういう声をかけてくるもの好きは居ない、なので余所者と決めつけて。
そういう事はもっと奥、落第街の方でやれとぼやきながら自宅である事務所の方角へと足を進めて。
ご案内:「歓楽街」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
そうして彼女が事務所の前まで辿り着けば、其処で彼女を待つかの様に佇む人影に気付くだろうか。
歓楽街では忌み嫌われる風紀委員会の制服。
彼女の事務所兼自宅の前だけが、まるで避けられているかの様にぽっかりと空白になっている。
「……落第街なら兎も角、歓楽街でも此処まで毛嫌いされているのは、中々に笑うしかないな」
ぼんやりと、事務所の前で佇む少年は缶コーヒー片手に独り言。
まだ、彼女には気付いていない様子。
■柏木凛 > 普段ならばそれなりに人が行き交っている自宅兼事務所前。
しかし何故か今日だけは人の姿が不気味なほどにない。
もしや稀に起きる喧嘩で被害者でも転がっているのかと嫌そうな顔で近づけば、そこには人が転がっていなく風紀委員の制服の人影。
一瞬誰だと思いはするが、身長と髪の色でつい最近知り合った相手だと判り。
「神代だったよな?どうしたんだ、こんな場所で」
通りがかりか用事なのかは分からないが、知り合いがいるのならば無視をするつもりはなく。
少年を警戒してされる周囲の視線を気にせずに近寄っては声をかけていく。
■神代理央 >
「…ああ、いや。近くを通りかかったからちょっと寄ってみようかと思ったのと…後はまあ、用事もあってな」
声を投げかけられれば、ゆっくりと其方に視線を向けて穏やかに微笑む。
飲み終わった缶コーヒーを、近くのゴミ箱に投げ入れて。
「ちょっとした仕事の話だ。…もし良ければ、中に入れて貰っても?
風紀委員と立ち話、というのは長々と人に見られて良いものでもないだろう」
小さく肩を竦めながら、自分を避ける様に隅を歩いていく人々に一度視線を向けて。
どうかな、というように首を傾げてみせた。
■柏木凛 > 「見回りの途中って訳か。誰であれ客は客だし歓迎するよ」
こちらに視線を向けて微笑む少年に笑みを向け。
理由はどうであれ用があるのなら歓迎すると返して。
「仕事の話ならここじゃ拙いだろーが。
うちの客はそういうのは気にしねーけど…周りが煩いか」」
風紀委員と話していても自分は気にはしないが周囲は違うかと避けて歩くのを見れば納得し。
こっちだと先導するように少年が待っていた建物にある階段を先に上がって二階のテナントへ。
そこの扉を開ければ中は小さめだが事務所というようななっていて。
「今日はいつも手伝ってくれてるのが居ないんだよ。
そこにでも座っててくれな」
そう言えば応接スペースのような場所のソファを勧めて。
■神代理央 >
「無理を言って済まないな。じゃあ、お邪魔するよ」
と、彼女に続いて事務所の中へ。
勧められる儘にソファに腰掛ければ、一息つくように小さく息を吐き出して、深く身を預ける。
「…いつもは手伝いがいるのか。小さいながら、中々しっかり『何でも屋』の仕事をしているみたいだな」
と、感心した様に事務所の中を見渡した後。
「…其処まで長居するつもりもないし、仕事の話も手早く済ませるつもりだ。
其処まで重い仕事でもない。楽に構えてくれると助かる」
と、ソファに座った儘彼女に視線を向けるだろうか。
■柏木凛 > 「別に無理じゃねーよ。客と立ち話も変だろ?」
少年がソファに腰を掛けるのを確認すれば来客用のお茶の用意。
ただ普段はあまり出すことはないので味の保証はできないのだが。
「私よりもしっかりしていつも助けられてるんだよな。
当たり前だろ、それで稼がねーと生活できないって」
普段は居る手伝ってくれている少年が今日は居なくて内心ほっとし。
もし遭遇すれば確実に労働の法に引っ掛かるのを今更に気が付けば、助かったと思う感情を隠してお茶を出し。
「そうか。そんじゃ早速聞こうか。
一体どんな仕事を頼みたいんだ?」
視線を向けられると少年の正面のソファに腰を下ろして視線を向け。
何時でもいいぞと聞く姿勢を見せて。
■神代理央 >
「ほう?家族…とは違う様だが、良い知人を持てた様だな。
助け合い、共助の関係を築く事は良い事だ。
しかし、柏木が事務所の主であるなら、手伝ってくれている者にしっかりしているところも見せねばな?」
なんて、ちょっとした冗談を交えながら、小さく頭を下げて置かれた茶を啜る。
…飲み込んだ少年の顔に、特に変化は無い。ありがとう、と小さく礼を言うあたり、それなりに美味しかったのだろう。
「さて、では仕事の話だな。
以前少しだけ話をしたと思うが、私は主に落第街やスラムでの違反部活の摘発を主に行っている。
唯、私自身がそうなる様に仕向けたのも原因ではあるのだが、少しばかり顔が割れ過ぎていてな」
其処まで言い終えると、再び茶を啜る。
「つまるところ、落第街での情報収集が非常に捗らない。
部下に任せるにも、少々不安が残る。と、いう訳でだ」
「表に現れにくい…それでいて、それなりの規模を持つ違反組織の情報が欲しい。
出来れば、潜入調査を依頼したいくらいだが、無理にとは言わない。
連中の拠点である落第街は兎も角、歓楽街なら多少口の軽い者も大勢いるだろう?」
ことり、とお茶をテーブルに置いて。
緩やかに首を傾げてみせた。
■柏木凛 > 「私は門超えだぞ?流石にこっちに家族はいねーって。
しっかりしてる所は見せてんだぞ?けどなー…あいつの方がしっかりしてるんだよな」
少年の冗談だと思える言葉は中々に胸に突き刺さるもの。
事実、一人で行ってる時とは違い手伝って貰ってから仕事が軌道に乗っているのでぐうの音もでなかったりして。
その言葉を発した少年がお茶を飲む姿、特に変化がない事に味もまともだったかと安堵して。
「そんな事も言ってたな。
……面が割れたって言うよりは派手にやりすぎたんじゃねーのか?
あっちからの流民が一時期増えてたしな」
面が割れるほどの摘発とはどれだけ過激なのだろうか。
流石に想像できず、お茶を啜る姿を見ては先を促し。
「そりゃそうだろ。あっちはあっちで仲間意識もあるだろうしな。
余所者が来るだけで警戒もするだろうし、情報も集まんねーだろ」
それこそある程度信頼を得て出入りをする奴でもないとと呟き、先を聞き。
「……おい、それなりな規模の違反組織に潜入とかな…。
ばれたら私がどうなるかぐらいわかるだろ……。
まあ、この辺りならこっちに出てくる奴はそれなりにいるだろうし、そういうのもいるだろうな。
知り合いに声かけてできるだけ集めてはみるけど…期待すんなよ?」
危険な仕事を聞けば流石に眉間にしわが寄り。
それでもこちらを信頼して任せてくれるのだから断り難く。
ほんの少しだけ考え、あくまで危険がない範囲ならできるだけやってみると首をかしげる少年へと返して。
■神代理央 >
「直接の肉親はいなくても、家族の様に絆を深める事は出来る。
その逆も、また然りだ。
血のつながりなぞ、案外当てにならぬものだよ」
なんて言葉を返しながら笑みを浮かべるものの、流石に冗談として振る話題でもないか、と其処で言葉を締め括る。
家族が居ても情の薄い者。天涯孤独であっても多くの絆に恵まれた者。
何方が幸せか、なぞ、幸福の基準は人によるのだし。
「ぐうの音も出ないな。やり過ぎていたのは正直認めよう。
私自身も、自分の正体を隠さず、寧ろ落第街の脅威となり得る様に振る舞ってきた。
そのツケ、と言ってしまうのは簡単だが……」
と、小さく苦笑い。
しかし、「期待するなよ」という彼女の言葉に少し考え込む様な素振りを見せる。
少しだけ悩んでいる、とも呼べる様な表情を数秒浮かべた後――
「……仕事を振っておいてなんだが、先に言っておこう。
確かに、私は柏木にある程度期待している。
また、危険な仕事を依頼した事も承知している。
何かあれば、風紀委員会を頼って貰っても構わない」
そこで、再びお茶に口を付けて、唇を潤して。
「しかし結局のところ、私が此の仕事を依頼したのは利己的なものだ。
先ず、異邦人で学生ではない柏木は、極端な話何かあっても風紀委員会の損失にならない。
私は、部下と柏木の二者択一なら部下を助ける事を選ぶ。
また、柏木を選んだ理由は単純にその容姿を見込んでの事もある。
君の容姿なら、馬鹿な男共から多く情報を毟れるのではないか、とな」
淡々と、朗々と。
彼女に仕事を依頼した理由を、告げていく。
「守ってはやるが、いざとなったら切り捨てる。
それに、情報収集の方法に浅ましい事を考えて、期待しているのも事実。
それを踏まえた上で、依頼を受諾するか。受諾したとして、何処まで努力するのか。全て、君に任せるよ」
と、手の内どころか内心まで全て、事務的な口調で曝け出して。
残っていたお茶を、一気に飲み干した。
■柏木凛 > 「そんなもんか?
まあ……神代のいう通りかもな」
その言葉に確かにそうかもしれないと納得できる事は多々ある。
元の世界の家族に未練がないと言えば嘘にはなるが、こちらで出来た縁の方が大事。
それを思えば今は幸せなのだと少年の言葉で実感できて。
「詳しい事は知んねーけど耳のいい奴は知ってると思うぞ?
それなら面が割れるのも仕方ねーだろ……」
脅威となるようにしていたのなら仕方ないだろうと呆れ。
流石に持ち込まれた話の大きさには自分程度の何でも屋で扱える限度を超えていると判るもの。
「期待してくれるのは嬉しいけどな、うちの規模じゃ扱える仕事じゃねーぞ?
危険だってわかってるなら一般人に持ち込むなよな」
頼りにしてもいいと言われるが、それも何処まで当てになるのかと視線で問い。
「本当に利己的だよな、私に何かあったら依頼したって事実を隠せば済むことだしな。
それに関しちゃ私もわかるよ、頼まれた仕事とあいつなら…迷わずにあいつを取るしな」
少年のいう事はよくわかる事。
他人と身内では身内を取るのは当たり前、そして危険な相手を調べるなら無関係を使うのが一番という事。
ただ続いた言葉にははっきりと不快と顔に浮かび。
「私がそういう商売やってるみたいに言うなよな。
そう言うのは一切やってねーし、そういう馬鹿は殴り倒してるんだよ。
………断ったら他んとこに持ってくんだろ?
集めるのはあくまでこっちに被害や問題が出ない範囲でだ。それと私になんかあったらうちの手伝い…あいつだけは確実に保護してくれよ」
それで良いなら、それを守れるなら引き受けてやると告げる。
今の生活を守れるギリギリの線と、手伝いの少年の身の安全、それだけが保証できるならと。