2021/10/13 のログ
ご案内:「歓楽街」に『シエル』さんが現れました。
■『シエル』 >
歓楽街を歩く少女が一人。
制服に身を包んだ白髪の少女は、
視線だけをあちらこちらへやりながら静かに歩を進めている。
そんな彼女がふと立ち止まったのは、路地の先。
少し開いた扉の隙間から漏れる僅かな明かりに目を細め、
こつこつと靴音を立てて近づいていくようであった。
少女は白く細い手を扉にかけて、そのままゆっくりと開く。
「お邪魔します」
落ち着き払った音がぽつりと零され、
店内に鈴の音の如く清らかに響く。
少女は店内を右左、と軽く見渡した後に
フラスコを持った女に向けて口にする。
「あの、こちらはどのようなお店なのでしょうか?」
雪の如く白い肌が映し出す感情の色は、やはり純粋な白である。
■『調香師』 > 歓楽街であっても、路地は日の光が入りにくい。扉の向こうからわずかに漏れる光でも、きちんと誘蛾灯として機能する程度には
開かれた扉の鈴が鳴る。店内には今まで彼女が同じように調合してきた品々が飾られ、一見すれば魔女の工房にも見えたのかもしれません。そして、その中心にいる少女は顔を上げました
「いらっしゃいませ、には!」
笑っているのだろうか。表情に声が付け足されます
笑顔であっても、それはどこか無機質に感じさせるのでした
「ここはね、歓楽街のリフレ、ところによりマッサージサロンの『Wing's Tickle』
今日初めてのお客様は、学園の人なのかな」
椅子から降りて、靴音鳴らして近づいていきます
自分が見下ろして丁度いい位の背丈の人は初めてかも
「でも一番の売り物は、私が調合した『香料』なんだよ?」
店内には、一嗅ぎすれば歓楽街の喧噪を忘れさせるようなハーブ、果実、その他の入り乱れる複雑な香り。それは、目の前にやってきた彼女からも漂ってくる事だろう
■『シエル』 >
「なるほど、てっきり魔法使いの隠れ家なのかと思いましたが……
『Wing's Tickle』。とても優しい響きですね」
無機質なその表情は、店主のそれと同種のものに見えなくもない。
「ええ、学園の者ですよ。たまにこうして散歩をしているのですが、
このお店には初めて立ち寄りました」
そう返せば、両の口端を僅かに上げる。
どうやら、それが彼女の笑顔らしい。
あまり先程の無表情と変わっているように見えないのであるが。
『香料』という言葉を聞いて、少女はこくりと頷く。
「なるほど、道理で。『特別な香りがすると思いました』」
彼女の言葉を聞いて、そう返す少女の視線は、目の前の彼女へと注がれる。
「この香りは全て、貴女がお作りに?」
店内に入れば少し歩を進めて、彼女の目の前まで少女はやって来る。
そうして小首を傾げて見せた。
■『調香師』 > 「そう、ぜーーーーんぶ、私のもの!
あーぁ、でも。それ勿論だよ。『企業秘密』だよ」
そうして、彼女は笑みを浮かべたまま口の前、人差し指を交差で『✕』を作ります
どうにも表情の作り方に乏しい者同士なのでしょうか
「ここでの雑談はあんまりダメなのよね
私はお店であなたはお客様だもの、にゃは
お話は接客中のサービスが丁度良い。今日はどんなご用事?
そのかたーーーーいお顔、ほぐしたり?」
『香り』『マッサージ』、その二つの物がこのお店では商品として売りに出されている様子です
入口の近くにこじんまりとしたレジカウンター、そこにサービス表。『全身マッサージ』『お望みマッサージ』『香料・お望みの調合します!』...最後の項目がやけにデカデカと飾られてありました
■『シエル』 >
「そうですか、雑談はダメなのですね。それは残念です」
人差し指で軽く自分の頬を撫でつつ、目をパチパチとさせて見せる少女。
「メニュー表があるのですね……マッサージも気になりますが、
それはまたの機会にお願いいたしましょう。
それではこの、香料の調合……をお願いできますでしょうか?」
メニュー表を指さしつつ、ふむ、と思案顔の様子。
「お願いしたい香りは――そうですね、お任せでお願いできますか?
物は試しというところで調合をお願いしたいのですが、
何分香りには疎いものでして」
そう口にして、再び小首を傾げてみせる。
■『調香師』 > 「オマカセ」
かくり、と。首を大きく傾げました
反動を付けて、元の形に戻りました
「オマカセられるって難しいよね
つまり、お客様の特徴を掴まなきゃなので
つまり、ここからただの雑談ではないので
つまり、お話は一番大事になるなるなので」
即座にその箝口令は解かれましたとも
「気になるのはやっぱり、
『好きなもの』と『最近のお悩み』かな
そのどっちでも、なんか楽しそうな事教えて?」
てん、とん。後ろに下がった彼女は早速、先程とは反対の方向に首を傾けました。バランス取りです
■『シエル』 >
「おや、これは失礼しました」
静かに、そして軽やかにそう返しつつ。
「好きなもの……好きなものは、変に偏りすぎていないものでしょうか。
香りで言えば、変に刺激が強すぎたり、弱すぎたり。
そういったものはあまり好みませんね。
……これでは、余計に貴女を悩ませてしまうかもしれませんね」
バランスを取る彼女の首を見つつ、少女はそう口にする。
「最近の悩みですか、そうですね……楽しいことではありませんが。
私には、とある友人がおりまして。
その友人は、とても正義感が強い方なのですが……少々、
どうにも暴走しがちなところがありましてね。
……そうだ。リラックスできるような甘い香りにでも浸れば、
少しは優しくなるのでしょうかね」
一歩、店員の方へと近づいて。
そんな言葉を投げかけた。
■『調香師』 > 「必要なのは沈静、リラックス
気の張り過ぎは毒ですね、デトックスですね」
そのお話を聞いて、目をぱちくりと何度か瞬きをします
そうして思い立った様に、戸棚の方へと小さな歩幅は駆けていきます
「甘くて、それでいてスッキリとして
それならバニラをベースにするといいんじゃないかな
マッサージには使えないけど、ここには完備されてるよ」
がさごそと、取り出した小瓶。次々に迷いなく、掌の中に握られていきます
「だったら、あなたは甘いものはお好き?」
机に並べて、さてこれから作業!
そんな場面で突然、その矛先は向け直されました
■『シエル』 >
戸棚の方へ駆けていく店の少女。
その様子を静かに眺めていた白髪であったが、
その言葉を聞けば感心したように少し深く頷く。
「流石は香りの専門家、という訳ですね」
迷いなく掌の中に握られていく小瓶を目で追っていく。
彼女の頭の中では着々と目的の香料――その『設計図』が
組み立てられているのだろう。
「ええ、嫌いではありません。先程言った通り、甘すぎるのは苦手ですが」
目を閉じて、少女は静かにそう伝える。
■『調香師』 > 「嫌いではない=好きではないのでは?」
気にしても詮無き事であるのかもしれないけれど
彼女なりの好きの表現なのかもしれませんし
「とはいえ、最近は随分と配合が変わったりするんだよね
香りの分野も研究研究、本当にそう
そういえば、今日も新しく香りを作ってみたんだよね。あ、でも今お話したら香りの『味』が変わっちゃうかも...」
スポイトで吸って、ビーカーに出して。他の瓶からも同様の動きを繰り返します
相手の表情から来る微妙な機微よりも、お目当ての香りを作る事に夢中とも見えてしまいますね
ご案内:「歓楽街」から『調香師』さんが去りました。
■『シエル』 >
香料を調合する少女。
それを見守る少女。
2人のやり取りは、続く――。
ご案内:「歓楽街」から『シエル』さんが去りました。