2021/10/26 のログ
照月奏詩 > 「この島で見た目や年齢なんて何の証拠にもなりゃしないだろ。能力がヤバけりゃ子供だろうと大人から金を奪える島だぜ? まぁそれやったら風紀が飛んでくるけど」


 実際能力が強ければそれも十分に可能だろう。
 まぁ彼女がそれをしない事は自身はよく知っているわけだが。
 それから彼女の表情が死んでた理由を聞かされればあぁと声を出して。

「あれか、優しくされるのがつらいって奴? そういう奴もよくいるよな。良いからほっといてくれってタイプ。俺の仕事先にも二級学生とかが多いらしいって話でさ。結構その手の性格の奴多いんだよ」

 実際そんな曰くの多い仕事会社なのでその手の事はそれなりに知っている。虚無としてはそれ以上に知っているわけだが。
 でもそれから難しい顔をして。

「でも難しい話だよな。特に相手が善意100%だったりすると。ホントに断れないし……でも、大体その手の奴ってのはこういっちゃなんだが……成功者の目線でしか語ってくれない。学校いけ、とか仲間がいれば……とかさ。所謂敗北者の視線ってのを持ってない場合が多い。なんて少しこれはひねくれすぎだな」

 なんてケラケラと笑ってから。飲み終わったカップをそのままゴミ袋へ。
 そして懐から紙を1枚

「ホントはもう少しゆっくり話したい所なんだが。生憎さっき話した通り仕事中でさ。あんまり話してると時間内に終わらなくなっちまう。だから悪い。途中だけどそろそろ行かなきゃならないんだ。だからこれ渡しとく。まぁ働く先があって金があればその手の連中はあんまり寄ってこなくなるだろうからそこで働いても良いし……もしまた俺に話したくなった時もそこにかけりゃいい。慰めはしないけど聞くくらいならしてやるよ」

 と出すのは名刺。掃除会社クリーンダスターズと書かれたその紙と下には照月奏詩の名前と携帯の番号が書いてある。

「じゃ、そういうことだ。こっちから聞き出す感じになってたのにホントに悪いな」

 と掃除に戻っていくだろう。

黛 薫 >  
「そりゃそうだ、油断させといて背後からバッサリ、
 なんて話も珍しかねーだろーよ。ココが歓楽街で
 良かったかもしんねーな?あーしは疑われても
 実行はしねーって点だけは信じてもらえるし?
 あーたの側の安全もある程度保証されるワケだ」

落第街を除く歓楽街は、公的に認められた街では
最も治安が悪い。裏を返せば風紀、公安委員会が
幅を利かせているとも取れる。

「……風紀より、医者より、たまたま街で会った
 バイト学生の方が言いたいコト伝わるなんざ、
 笑ぃ話にもなんねーのな、はぁ。

 優しくされんのがキツぃのって、人の心が
 残ってるからで。そういう人ほど支援とか
 必要みたいな風潮で。かといってそーゆーの
 素直に受け取れる二級学生を支援したトコで
 持ち逃げされんのがオチだわな。助かりたい
 ヤツほど差し伸べられる手が怖ぃとか、さ。
 考えるだけでキツぃわ、んなモンよぉ。

 タイムリーだけぉ、あーしは丁度あーたが例えに
 出したみたぃな?落伍者じゃねーヤツの理想論で
 ボコボコに殴られてきたトコすよ。差し出された
 手ぇ何の憂いもなく握り返せるなら、最初っから
 踏み外してねーっつー……な……」

愚痴の声は徐々に小さくなり、フェードアウト。
罵倒がそのまま跳ね返って良心を痛め付ける。
兎角生きづらそうな性格だ。

「気にすんな……ってあーしが言ぅのヘンだな?
 はぁ、あーしは名刺も何も持ってねんだよな。
 連絡先交換?とかあーたに利はねーですが。
 貰いっぱも悪ぃんで、番号だけ教えときます。
 雑用すらまともに出来るか怪しぃけぉ」

メモ帳のページを破り、連絡先を書き渡す。
『マユズミ カオル』と名前が添えられていた。

掃除に戻る貴方を見送ると、オレンジジュースの
カップを手に持ったままその場を去っていった。

ご案内:「歓楽街」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から照月奏詩さんが去りました。