2022/10/01 のログ
ご案内:「歓楽街」にモールディングベアさんが現れました。
ご案内:「歓楽街」に紅龍さんが現れました。
モールディングベア > 人が行き交う歓楽街の一角で、モールディングベアは何をするでもなく立ち尽くしていた。
もちろん、ただぼーっとしているわけではに。
行き交う人々の服装をつぶさに観察し、次の”衣装”のアイデアを蓄えているのだ。

「ふむふむ……」
手に持った飲み物をちびちびと飲みながら、気に入ったデザインを頭の中に叩き込む。
次に、服を頭の中で解体する。 どう構成されてあの形になるのかを逆算する。
もちろん、こんな手間をかけなくても普通の人間ならば資料を読むなり、本を読むなりで済む。

しかし、ベアは本や資料を読むのが苦手だった。
だからこうして、ただただ眺め、頭に叩き込む。
一回見ただけで覚えないなら、2日、3日と覚えるまで路肩に立つ。

場所が場所なだけに気にする人間もおらず、交通量も多い。
正しく”勉強”にうってつけの場所なのだ。

紅龍 >  
 歓楽街の一角、取引先に挨拶をした帰りだ。
 通りの片隅に見覚えのある姿を見かけた。
 大きな体にローブを羽織り、特徴的な耳を持った女。

「あいつ、テルミナスセブンの――」

 モールディングベア、という通り名を持つ、落第街のやんちゃ娘だ。
 持っている能力は非常に強力だが、行う悪事は可愛いもんで、面白いやつだという印象がある。
 うちとしても、連中はやんちゃをし過ぎない限り、あの街の日常として見守る対象だ。

「――よう、嬢ちゃん。
 随分熱心だな、景気はどうだい?」

 立ち尽くす異邦人に、自販機で適当に買った冷たいジュースを一本差し出す。
 なかなかに集中している様子だから邪魔するのもどうかと思ったが。
 折角の機会だ、一度、声を掛けておきたいと思ってたところだ。
 

モールディングベア > 眼をきらきらと輝かせながら往来を眺めていると、色々なものが見えてくる。
”可愛く”したら似合いそうな相手、すてきな衣装、おいしそうな食べ物…。
執念深さと注意深さは、獲物の選別、そしてディテールへの理解を短時間で行う。
たっぷりと”勉強”に浸っていた最中に、声をかけられてはっと我に返った。

「あ、ジュースだ。 ありがとう!」
そっとジュースを受け取る。 でかい手を急に差し出すとみんなびっくりするからだ。
えいやと蓋を開けて喉を潤しながら、差し出してくれた相手の言葉にちょっと考え込んだ。

「…けーきは……。 けーきは…。 うーん…。
 今日もいいものがいっぱい見れてよかった。」
たぶんケーキのことではないのだろう。 頑張って考えた結果、
とりあえず普通の回答をすることになった。間違ってはいない。

「ところで、おじさんは…?」
風紀の人でもないし、歓楽街の人かもしれない。
自分に声をかけてくるということは、因縁があるか、興味があるかだ。
警戒することもなくのんびりとした調子で問いかける。

紅龍 >  
 声を掛けたら時の反応、本当に集中していたようだ。
 たしかこの娘は、衣装づくりが趣味だったか。
 その一環、ってところかね。

「そいつはよかった。
 この街なら、いろんな意匠の服が見れるもんなあ」

 一般的な服装から、個性的な服装、サブカルチャー的な衣装まで散見できる。
 参考にもなるし、意欲の刺激にもなるだろう。

「おう、おじさんは紅龍《ホンロン》っていう用心棒さんだよ。
 事情があってお前さんの事は知ってたが、会うのは初めましてになるな。
 よろしくな、アルサス嬢ちゃん」

 敢えて落第街での通り名でなく、彼女の本名で呼びかける。
 自分の分のコーヒーを飲みながら、アルサスに右手を差し出した。
 

モールディングベア > 「うん。 ここは色んな人が通るから好き!」
歓楽街には色々な人が集まる。 普通人から、接客業、
客寄せのコスプレ、ギリギリ逮捕されない程度の卑猥な格好、
あるいは異邦人、その他諸々…。
問いかけににっこりと笑って、何度もうなずいて返す。

「ホンロンのおじさん…。 ジュースありがとう!」
名前を口にして、頭に刻みつける。 名前がとってもかわいい。
きっとチャイナドレスとかが似合う。 そんなことを考えながら、
差し出された手にそっと手をのばす。 優しく握手して挨拶。

「あっ、わたしの名前知ってくれてるー! でもどうしてー?」
自分の本名を隠しているつもりはないが、歓楽街では”通称”で通じる。
よっぽど自分に興味でもあったのだろうか。 不思議そうに首を傾げて問いかけた。

紅龍 >  
 
「おう、どういたしまして。
 ――なんか妙な事考えてんなぁ?」

 視線の動きからある程度予想は着く。
 さすがに性転換はそう何度も経験したくないんだが。
 いやまあ、未経験じゃねえんだけど。

「どうして、どうしてか。
 なんつうかな――お前さんにならいいか」

 懐から名刺を出して、渡す。
 長方形の薄い強化プラの名刺には『用心棒 病原狩人《アンチボディ》部長 紅龍』と書かれている。
 所在と連絡先は、間違いなく落第街のモノ。
 病原狩人の名前を知ってるかは知らんが、これを見れば落第街の、違反部活の人間だって事は伝わるだろう。

「ま、こういうもんでね。
 仕事柄あの街でやんちゃしてるやつらの事は一通り把握してんだ。
 例えば――テルミナスセブンとかな」

 流石に名前を出すときは少し声を潜める。
 一応こっちは表街。
 風紀の巡回が全くない訳じゃないのだ。
 

モールディングベア > 「かわいいこと考えてるよ。」
赤に金の縁取りとか、深緑に金の縁取りとか、
そう言うチャイナ服なんかがいいかもしれない。
あえてミニにしてタイツやソックスと合わせて…。
返事をする一方、計算は着々と進んでいた。
もちろん、会話の最中に暴れ始めるような無茶はしないけれど。

「うん。 どうしてー? あっ、ありがとう!」
とりあえず、なにかもらったらきちんとお礼をする。それくらいの賢さはあった。
小さな名刺を指でつまむようにして持ち上げる。
まじまじと見つめてからうん、とうなずいた。
擁するに違反部活の人であって、自分と直接喧嘩するような間柄ではないということだ。

「テルミナスセブン、知ってるの? 嬉しい!みんなすごいもんね!」
”知ってもらっているのは嬉しい”。 極めてシンプルな理由で喜ぶ。
相手のちょっと隠したい感じの態度を見ると、ちょっぴり首をかしげた。

「わたしは…わたしは名刺みたいなのは、ないかも…。
 あ、お店の名刺ならあるよ!はい!」
ポケットに入っていた、自分が用心棒を務める店の名刺を渡す。
もらったのだから自分もマネして名刺を渡してみたいし、ないよりはいいはずだ、たぶん。

紅龍 >  
 
「はは、ありがとうな」

 貰った名刺を確認して、しっかり懐にしまう。
 なるほど、調べた通りみたいだな。

「そりゃあ、落第街にいりゃあ一度くらいは目にすんだろ。
 お前さんもそうだが、牛さんの方がほんとよく目立つしな。
 まあ安心しな、お前さんたちが一線を超えるような事がなけりゃあ、オレ達はお前さんたちの味方だよ」

 もちろん、落第街に置いて一線を超える――最低限の人間性すら捨てるような事があれば、敵対しなくちゃならねえが。
 まあ、この嬢ちゃんたちなら大丈夫だろう。
 テルミナスセブンは、燻っちゃいるが、腐っちゃいねえ。

「でもまあ、あんまりやんちゃしすぎると、ちょーっと注意するかもしれないから、ほどほどにな。
 最近は特に物騒だし、目立たない方がいいだろうしよ」

 色んな意味で、今、あの街で目立つことは避けた方がいい。
 もちろん、あの街に限った話じゃあないんだが。

「――それと、あんまりオレで可愛い事考えるのもやめてくれない?
 性転換の経験なんて、あまり増やしたくねえんだけど」

 正直、男に抱かれた経験は、今もあまり思い出したくない記憶だ。
 まったく、我ながら無茶な仕事ばかりしてたなぁ。
 

モールディングベア > 「うしくんはいっぱい暴れるから、よく目立つもんね!
 テルミナスセブンは……一線をこえたりするのかな?」
相手の忠告を聞いて、うんうんと唸って首を捻る。
たしかに『やりたいことをやる』チームであるけれど、
そこまでの事態を…つまり、目の前の彼が危機を覚えるぐらいの事態を発生させられるのだろうか?

「はーい、きをつけまーす! ……生地屋さんに生地をもらいにいくのはだめ?」
もちろん、これは歯切れをもらいに行くことを指していない。
お金がないけど布が欲しいから奪いに行くの意味である。
他のメンバーみたいに大暴れするわけでもない…と自分は思っているが、
果たして彼から見てOKかどうかは別問題だった。

「え…? だいじょうぶだよ、おとこのこでも可愛くできるよ。
 わたしにまかせて! すてきな服も用意してあげる!
 髪型だってセットしてあげる! いっぱいいっぱいかわいいかわいいしてあげる!」
ふすふすと鼻を鳴らしながら、やる気満々といった調子で答える。
男であろうが、女であろうが…小さく、可愛く仕立て上げて、愛で倒す。
それがモールディングベアの”たのしみ”であり、世間的に怒られる理由なのだ。