2019/02/10 のログ
■神代理央 > 不意に、背後の異形が砲塔を軋ませた。
それと同時に、大通りに面したビルの上層から放たれる一発の弾丸。その弾丸は、正確に少年へと吸い込まれていき――
「…下らん。巡回中に、無防備にうろついているとでも思っていたのか」
前もって発動していた肉体強化の魔術によって、肩に命中した弾丸は硬質な音と共に弾き返される。
ほぼ同時に召喚されるのは、両腕が大楯の形に変質した二足歩行の異形。主を守る様に盾を構える異形の背後で、多脚の異形が砲塔を傾ける。
「威嚇射撃で構わんぞ。当てても構わんが、当たらずとも追撃はいらぬ。一発、脅かしてやれ」
異形に命令を発すると同時に、大通りに轟音が響き渡る。
無数の砲塔から放たれた砲弾は、銃撃した者が潜むビルの上半分を鋼鉄の砲弾で引き裂いた。
爆音と共に炎を上げるビルを眺めながら、ちゃんと避けてくれただろうかと呑気な事を考えていて。
■神代理央 > 砲撃を受け、燃え上がるビルを目の当たりにした住民達の動きは素早かった。
あっという間にそこかしこへと消えたていき、気付けば大通りには視界に映る限り自分しかいない。
「…ほんと、こいつ等の生存欲だけは尊敬に値するな」
呆れた様に溜息を吐き出し、大通りに背を向けて落第街から立ち去る。
今夜は、己の巡回地区で問題が起こる事も無いだろう。少なくとも、あのビルが燃え続けている時間くらいは。
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。