2020/07/03 のログ
ご案内:「落第街大通り」にスピネルさんが現れました。
スピネル > 先日、荒野で拾った刀はどこぞの店で現金化させた。
意外にもそこそこの金額を受け取った我はその足で財布を買い、島の中でも民家の多いエリアを周っていた。

最初は学園とやらの周辺に住むことを考えていたのだが、どうやら身分証とやらが要るらしい。
まったく、我のように高貴な存在はどこでも顔パスでしかるべきだと思うのだが。

次にやってきたのが落第街なるエリアだ。
ここは先ほどの学園とは距離を置いて暮らしている者たちが多く、我のように身分証とやらを持っていない者でも暮らせる。
…はずだったのだが。

<テメエ、ドコから来やがった。 ああん!?>

柄の悪そうなゴロツキ数人に取り囲まれてしまったのだ。
この辺りはこの者達のナワバリだそうだ。可笑しなことを言う。

「この島は元々学園とやらのナワバリであろうが。
我もお主たちも所詮部外者よ。ほれ、部外者同志仲良くしようではないか。」

我は一番手前にやってきた男の一人に気さくな表情を見せたのだが。
なんと、襟首を掴まれてしまった。

<ナメてんじゃねえぞ、コラァァ!!!>

高貴な我がその気になればこの程度の連中、いつでも潰してしまえるのだが。
実力の違いを見分けられないのが小物らしい。

スピネル > 我の襟首を掴んだゴロツキが拳を振り上げた瞬間、我は男の手首を掴んだ。

<イデェ!?>

激痛で表情を曇らせたゴロツキがその場に崩れる。周囲の者達は現状が理解できないようだ。

「高貴なヴァンパイアである我を敵に回すとこうなるぞ。お主たちも短い命を無駄にしたくなければ我から離れるがいい。」

紅い瞳を輝かせ、我は口角を上げた。口の中には人間にしては鋭い犬歯が二本生えている。
無論、得物の肉を咲くための牙である。

<コイツやべえぞ。 に、逃げろ!>

ゴロツキ達は散り散りになって我から逃げていく。

「フハハハハハハ! 我は高貴なヴァンパイアのスピネルである!
人間達よ、今日から我がお主たちを導いてやろう!」

両手を広げ、群衆に対し宣言するスピネル。
かつては彼の一声で馳せ参じる者も多数居たのだが。
いまや、彼の元に現れる者は誰もいない。

スピネル > 「ええい、誰も我の偉大さを理解できんとは。」

スピネルは暫く続けていた高笑いを止め、足元の小石を蹴り飛ばした。

「全く、こっちに来てから誰も我を崇めんではないか。」

スピネル > 「仕方あるまい、明日からは我の偉大さを皆が理解できるようなことをしてやろう。
心して待っているが良い。」

誰もいない場所で呟くと、その場を後にする。

ご案内:「落第街大通り」からスピネルさんが去りました。