2020/07/04 のログ
ご案内:「落第街大通り」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
■日ノ岡 あかね > 落第街大通り。その片隅に、風紀委員会が臨時に設けた受付があった。
風紀委員会元違反部活生威力運用試験部隊への簡易参加受付。
だが、それも本日をもって締め切りとなり……撤去作業が行われる事となった。
その撤去作業を任されたのが……日ノ岡あかね。
そして、その日ノ岡あかねが任せられる……隊内の一部隊であった。
全て、あかねが面接し、選りすぐった人員のみ。
その人員の数は三十人に満たない。
だが……あかねは満足そうだった。
「さて、撤去作業も終わったから……改めて、ここで結成式しましょうか」
あかねは当然と言ったようで微笑んで、集まった人員に声を掛けた。
「では、整列」
■隊員一同 > あかねの言葉に応じて、隊員達は思い思いに整列を始める。
規律が整っているように見えない。
面子の特徴もバラバラ。
性別は勿論、年齢も揃っていない。
なんだったら、異邦人も混じっている。
傍目からみたら寄せ集めとしか思えない。
だが、誰一人……あかねの言葉を無視しなかった。
『見て見ぬ振り』をしなかった。
■日ノ岡 あかね > 「全員揃ってるわね」
満足そうにその様子を見て……あかねは笑う。
瓦礫で作った足場。その壇上に上がる。
一同全員見渡せる高さの其処に立って……日ノ岡あかねは目を細めた。
「本日付けで、簡易受付は終了。私の仕事も一先ずは終わり。風紀への最低限の義理立ては終わったわ……だから、これからは私の時間。私達の時間。『私達』が『私達』だから『私達』を行う話をする時間」
あかねは……前だけを見る。
前だけを見ていた。
今までも、これからも。
■日ノ岡 あかね > 「さぁ、ここから始めましょう。ここからやりましょう。勝負の準備は整った。博打の準備は整った。みんな、私の『元居た場所の末路』はしっているわね?」
元居た場所。
違反部活……『トゥルーサイト』と呼ばれた場所。
今は亡き違反部活。
あかね一人を残して、一人残らず死んで消えた違反部活。
「私についてくる以上、また『ああ』なるかもしれない。私と一緒に『私のやりたいこと』をする以上、また『負ける』かもしれない。この先に保障はないわ。安全もない。リターンなんて分からない。でもリスクだけは……存分にある」
あかねは……目を細める。
「でも、私は『見えもしない上に居もしない敵』と闘ったりはしない。『矜持と言いながら実際の行動をしないなんて軟弱』も行わない。『無理に敵を作ったり文句の理由をでっちあげたり』もしない。私は……『ちゃんと目に見える敵』と『実際の目標』を掲げて行動するわ。その先にあるのは無意味な死かもしれない。徒な破滅かもしれない。無為と嘲笑われる無様かもしれない。栄誉の約束は一つも出来ない。安全の保障も一個もしない。私が吹くのはハーメルンの笛。違うところは行く先だけ」
あかねは、声を張り上げる。
「『真理』に挑む。その懐に行く。例えこの身が焼かれてもね……それでも、アナタ達……ついてくる?」
■隊員一同 > 誰一人、返事はしない。
だが、誰一人……居なくなったりもしない。
そこに居る。
そこに居てあかねの話を聞いている。
真面目な表情の者もいる。
軽薄な笑みを浮かべている者もいる。
溜息混じりに肩を竦めている者もいる。
だが、それでも。
誰一人……あかねから『目を逸らしたり』はしない。
あかねの言葉を『見て見ぬ振り』などしない。
それは……最大限の肯定。
覚悟の証。
彼等は暗にこういっているのだ。
「今更そんな事言われなくてもわかっている」と。
■日ノ岡 あかね > 「結構。では……始めましょう。『私』が『私』だから『私』を行う話を。『私達』が『私達』だから『私達』を行う話を。私達の物語を」
風紀の腕章を外す。
新たにつける腕章は……蛇のエンブレム。
林檎に絡みついた蛇が、大口あけてそれに噛み付いているエンブレム。
あかねの率いる部隊。
風紀委員会元違反部活生威力運用試験部隊傘下独立遊撃小隊。
その名は。
「『トゥルーバイツ』……状況を開始するわよ」
あかねは……薄く笑い。
「さぁ……真理に、噛み付きに行きましょ」
そう、呟いた。
■日ノ岡 あかね > かくして、『トゥルーバイツ』は結成された。
日ノ岡あかねはそれに参加した。
挑む為に。
到達する為に。
駆け抜ける為に。
全て、手段に過ぎない。
全て、過程に過ぎない。
結末は……まだ、分からない。
ご案内:「落第街大通り」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に鞘師華奈さんが現れました。
■鞘師華奈 > 『トゥルーバイツ』…真理に噛み付く者達。その結成を静かに見届ける。
その顔に表情は無い、物陰に背中を預けて煙草を蒸かしながら、ただじっと彼ら・彼女らを見つめている。
(…『私』が『私』だから『私』を行う話、か。……やっぱり、何時までも燻ったままではいられない…分かってはいるんだけどね)
傍観者を止めると決めても、直ぐに能動的に動けるほどに自分は強くないし、怠惰が染み付いている。
何よりも――鞘師華奈には目指すべきものが現状存在しない。架空の目標もでっち上げすらも無い。
「――いいや、そうじゃない」
これは友人の物語であり、『私の物語』ではない。彼女がどういう目的を持ち、どう動こうがそれは彼女の話で自分ではないのだから。
「そう、あかねを気遣うのは友人としての部分でいい。私は…私の為に、私だけの目的の為に」
今はどれもこれも中途半端だ。けれどそろそろ…もう、あれから3年だ。前に進むべきだろう。
「傍観者だけでは何度も取り零す――あぁ、まったくその通り。」
■鞘師華奈 > 「…さて、と」
友人の『門出』を見届けた。自分もいい加減に物語を始めよう。
3年前から燻り続けている残り火も、もう一度くらい何かの為に燃え盛ってもいいだろうから。
ゆっくりと、彼らに気付かれないように物影へと姿を消して歩き出す。
――また、学園か寮か――もしくは、この街で。そう彼女に一言だけ心の言葉を告げながら、、燻る残り火はこの場を静かに立ち去ろう。
ご案内:「落第街大通り」から鞘師華奈さんが去りました。
ご案内:「落第街 廃ビル」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
「──………」
他の風紀委員2名と現場に現れた凛霞は表情を曇らせる
…情報の発信元はSNS、所謂窃盗グループの垂れ込みがあり、その信憑性の高さから
放課後、歓楽街近くに警邏に来ていたスリーマンセルで現場に訪れたのだった
……が、廃ビルからは人の気配はせず、ガセネタの可能性を感じて、今は手分けでビルの中を調査していた
人の気配こそないものの、生活感が残されている
つまり、此処を生活の場としている誰かは、いる…ということだ
■伊都波 凛霞 >
「………」
薄汚れたテーブルと、ボロボロの食器
屈み込んで、そっと指先を触れる───
目を閉じ、精神集中すると……それらに残った記憶の断片が再生されてゆく
確かに、此処は窃盗を繰り返す二級学生が根城にしているようだった
そうであれば当然風紀委員の名の元に封鎖し、本格的な調査をする必要が出てくる
──が
「…参ったな」
脳裏に再生された映像に映り込んだのは、どれもこれも年端もいかぬ少年少女…子供ばかり
みんな痩せ細り、日々盗品に頼って食いつなぐのが精一杯と言った様子で…今もきっと、落第街のどこかで今日の食い扶持を…
今、この場にはこういったデータを探れる異能の持ち主は自分しかいない
………何も見なかったことにするのは、簡単だ
■伊都波 凛霞 >
自分がサイコメトリーを使用できることは、同行している風紀委員も含め、当然知られている
──何も断片を拾えなかった、と主張したところでそれを暴く方法はない
でもそれだけでは、別の風紀委員が訪れて……その時に窃盗グループを発見すれば、同じことだろう
"見なかったフリ"は、ただの"自分の手を汚さない無責任"に過ぎない
SNSでの情報を汲み取るなら、彼らは過激派であるという
つまり子供達といえど、強力な異能の持ち主である可能性が高い
風紀による保護という選択肢を大人しく受け入れるかどうかは──わからない
提案──拒否、されれば、鎮圧、および…制圧──
保護、でなく……逮捕、となる。もしくは………
「……見ちゃったモンなぁ」
はあ、と溜息が漏れる。すっかり最近は溜息が多くなってしまった
■伊都波 凛霞 >
そっと、腰に据えたスイッチへと手をのばす
「…311番ビル、3階。居住痕アリ。少なくとも数日前。
サイコメトリーを試行、結果…数名の二級学生の姿を断片映像から確認。
此処を根城に…今は外出している模様。……件の窃盗グループと推測。
──…見た目は、全員10歳前後の……子供です」
眼を細め、視線を…汚れたテーブルへと向けながら
言葉は淡々と、的確に、はっきりと……報告を、続ける
「建物の封鎖、及び調査を要請します」
………報告を、終える
■伊都波 凛霞 >
……これで、少なくとも彼らの住む場所を…奪ったことになる
彼らはきっと自分達が悪いことをしていると知っている
それでいて、尚…生きるためにそれを行っている
更に言うならば、風紀委員に頼るならば、とっくにそうしている筈
故に、このビルが封鎖され、
風紀委員が出入りしているとなれば彼らは此処へ近づかないだろう
「(……だとしたら、『ただ必死に生きてる子供の住処を奪った』
それ以上でも、それ以下でもないんじゃないのかな……)」
気持ちが重い
心が沈む
以前は、こんな状況でも此処まで沈み込むことなんてなかったのに──
■伊都波 凛霞 >
…もし、この場に子供達がいて
家を奪わないでと泣きながら懇願されたら、同じことが出来ただろうか
嫌がるであろう子供達を保護という形で無理矢理に連れて行くことを善しとしただろうか
望まぬ矯正が、結果的に子供達の為になると信じられるだろうか
風紀委員としての仕事の見地から見るならば、是非を問うまでもない
権限を持たされている者が、人格や心の持ちようによって裁定を変えてはいけないから
「…やっぱり、向いてない気がするなー…私…」
■伊都波 凛霞 >
報告を終えて、更にあちこちの、記憶の断片を探ってゆく
寝床なのであろう、ボロボロの毛布の塊
暖をとった痕跡のあるアルミ缶に突っ込まれた、焦げた角材
此処での…お世辞にも裕福とは言えない、ギリギリの二級学生の生活を示すものの数々
彼らはなぜ、救いの手を求めないのか──
それくらい、わからないわけがない
どんなに悲惨で、どんなに泥まみれで、どんなに貧しい
そんな生活でも、それまで自分が育ち生活した場を捨てるということに抵抗がないワケがない──
一つ、一つ…また一つ
子供達の生活の映像が、断続的に脳裏に浮かんでは、消えてゆく
ご案内:「落第街 廃ビル」に四方 阿頼耶さんが現れました。
■四方 阿頼耶 > 「ハロー」
男の声がする。
振り向けば、紙袋片手に、もう片方の手で大福を頬張りながらやってくる男が一人。
時折風紀委員に顔を出す男。
風紀の一部は公安委員の人間だと知っている男だ。
丸いサングラスを付けたその男はにこーと笑いながら、スラムの子供に憂う少女の心情も気にせず軽快な声で近づいてくるだろう。
「どうも、お仕事ごくろーさん。…あら何、随分しょぼくれてるけど何かやな事でもあったかい?」
■伊都波 凛霞 >
「…? 貴方は──」
毛布に触れて、サイコメトリーを使っていたせいで接近に気づくのが遅れていた
見覚えのある顔、即座に記憶の中でその姿と名前の照合が終わる
「お疲れ様です。四方さん。……ええと、どうして此処に…?
あ、私は……ちょっと、色々『視』てしまったもので…」
ふう、と呼吸を落ち着けて、表情を改める
凛とした雰囲気の、いつもどおりの風紀委員としての、自分へと戻す
「…子供達が生活に使っていたみたいです。このビル」
■四方 阿頼耶 > 「なっほどねぇ」
あ、食べる?と言いながら紙袋を差し出す。
中身は大福。今目の前で食べているものの残りのようだった。
そうしながら、ちらっと周りを見通し、ふーんと言いながら。
生活の跡
子供が使っていた
風紀委員
眼に見えるものと話の内容、会話前の表情。
それらを照らし合わせて簡単な推理をする。
「大方……犯罪…窃盗かな?
それの調査でここに来て、で、子供がここで生活してるのを知った。
盗みはその子供が生活の為に仕方なくやってて、それでナイーブになってたってトコかい。
んー、難儀なモンだ」
■伊都波 凛霞 >
「いえ…職務中なので結構です」
差し出された紙袋を遠慮しつつ、鋭い公安委員の考察にやや視線を下げる
「…そんなところです。
風紀委員にとっての保護対象ではありますけど、それを嫌がる子もいますから」
住んでいた街、そして環境を捨てさせることになる
すぐに馴染めるほど要領の良い人間ばかりではない
未知とは、同時に恐怖でもある…そのために今在るものを捨てられない人は…多いだろう
「……報告は、済ませましたので。あとはビルを封鎖して調査班を待つだけ、ですけど」
■四方 阿頼耶 > 「あら、老舗の名品だったのに残念」
肩をすくめつつ二個目に手を出した。
「なーるほどねぇ……
でも年はともあれ盗みは犯罪じゃない。風紀委員として窃盗犯とか、捕まえた事ないのかい?」
そんなに気を揉む必要ある?とばかりに軽い口調で。
■伊都波 凛霞 >
「……ありますよ。補導も、逮捕も。
もっと言えば、そこを考慮する必要ないのも、わかってるんですけど…ね」
裁くのは自分達ではない
自分達は容疑を固めて、身型を拘束する──もしくは、風紀委員としての権限を執行するのみ
そこに個人的な考えや、情状酌量の余地はないし、あってはならない
理解はしている
「…四方さんはわかりませんか?いたたまれない、っていう、気持ち…」
■四方 阿頼耶 > 「可哀そうだなーってのはまぁあるけどね。」
気持ちは分からないでもない、と言いつつ。
しかしそこから続く言葉はドライなもの。
「でもま、オレが風紀だったら、仕方ないなって思っちゃうよね。
風紀はルールを守る者の味方。ヒーローじゃない訳でさ。
ルールがある以上ルールを守りたくても守れない弱者は必然的に現れちゃうし。
それを消す事は無理じゃないの。それを気にして凹んじゃうのは、オレは凹み損だと思っちゃうんだよねぇ」
「だからかーんがえない」と、軽く返す。
実際そうなんだろう。それを気にした所で、罪を犯した人間を気にしたところで、罪が消える訳ではない。
気にするだけ損は…ある意味事実。
「伊都波ちゃんさ、疲れない? そういうの気にして。
自分でも言ってるけど考慮なんかしなくてもいいんだぜ?
そうしてる人なんて風紀の同僚にもたーっくさんいるでしょ。同じようにすりゃいいじゃないの」
なんでそうしないんだい?とでも聞くように
■伊都波 凛霞 >
「あはは、凹み損かぁ…」
その通りかもなぁ、なんてやや苦笑気味に、表情を崩す
「しない、というか…それがなかなかできなくって。
向いてないのか…まぁ、性分なんでしょうけど……」
おそらくは、多分に向いていない
優しい性格…と一口に言ってしまうよりはどこかそれよりももっと…
「お人好し」と言ったほうが、きっとしっくり来るような
「もっと場数を踏めば、気にしなくなるのかなあ……」
■四方 阿頼耶 > 「まぁでも」
凹んでるのを見て、言葉を付け足す。
「オレは損でも相手の事を考える奴は嫌いじゃないよ。
オレには無理だけど。
でもそうやって気に出来るから、出来る事はあるし
そうやって相手の気持ちになれる事は才能でしょ。大事にするべきなんじゃない?
まぁ、凹むだけなら意味ないけどさ」
そう言いながら周りを再度見て。
「…伊都波ちゃん、提案があるんだけどさ。
この犯人の子らさぁ、徹底的に探し出して捕まえちゃえばいいんじゃない?
そんなに気になるなら、君の手で捕まえちゃいなよ」
■伊都波 凛霞 >
才能、と言われれば首を横に振る
自分からすれば、職務に忠実になり心を殺せるほうが、余程才能だ
大事にすべきだ、という言葉には、同意するけれど──
けれど、次の言葉には思わず目を丸くして…
「私が、捕まえる……?」
可能、だろうか
サイコメトリーの異能はたしかに追跡に向いている力だ
けれど…
「でも…ううん。そうですね……やって、みようかな…。
そうやって風紀を良い方向へ導くのも、風紀委員の務めの一つだもん……」
中途半端に悩むよりは、信じた方向へ、前に進む
悩みを振り切るには、そういった思い切りも必要だったかもしれない
「──ありがとうございます四方さん。なんだか、アドバイスみたいなこと」
■四方 阿頼耶 > 「君が捕まえて、君が面倒みなさいよ。
ここで貧しい生活してる彼らに同情してるんだろ?
なら、ちゃんと彼らが何を欲しいのか、まで考えればいいじゃない。
彼らが大事なのはこの場所なのかい?
違うだろう?
彼らが欲しいのは、明日。
明日生きる為の今日の糧。その日暮らしの人間の典型的な考え。
ぶっちゃけちゃんと明日を保証してくれんなら、そっちの方が向こうは嬉しいんじゃない。
子供なら更生施設に入っても社会復帰の目途はあるでしょ。
生活委員に事前に根回しして、その子らを捕まえた後真っ当に生きれるように手回しすりゃいい
伊都波ちゃんは”視た”
で、もう見て見ぬふりが出来ない。
見て見ぬふりが出来ない数人の子供が居るならさ、捕まえて、ちゃんとさせりゃいいじゃない。
そこまでやっちゃえばいい。
ウチのメンバーの一人がさ、子供拾って『保護してやってくれ』って頼み込んできた事があんだよね。
『偶然出くわして知っちまったから、見過ごせなかった』ってさ。
馬鹿だよなーって思うけど……ま、実際そういうモンじゃない。
誰かに何か出来るのは、その誰かの事を知ってる人間だけだよ」
困ったら俺も手を貸してあげる。手空いてたらね、と簡単に言い。
「俺はね、善人ではないけど善人は好きなのさ。
君は善人。それもとびきり苦労するタイプのね。
そういうの見ると色々手まわしたくなっちゃうのよね。ほら、それにまぁ……
美人には優しくしないとね?」
はは、と笑いながら、そちらを向いてにこっと笑い
■伊都波 凛霞 >
──そう、彼らが欲しいのは、明日
わかっていたつもりで、それに気づくことはなかなか難しくて…
言葉締めにちゃらけた言葉を使う様子に思わずクスりと笑みを零して──
「やってみます。根限り!」
凛としつつも悩みに捕らわれていた表情には活気が戻った
前向きに進むための、パワーを感じる、そんな表情へと
「それじゃあさっそく動かなきゃ!
もうじきこのビルは封鎖されると思いますので、それまでに出てくださいね。四方さん」
思い立ったが吉日、と言わんばかり
よーし、と意気込んで、早足にその場を去る
途中、思い出したように振り返ってぺこりとアタマ下げ、再び踵を返して、廃ビルを後にするだろう──
■四方 阿頼耶 > 「はぁい、んじゃ部外者は退散っと…
…あ、そーだ言い忘れてた。
来週末風紀と公安の懇親会やるからさ、よければ来てよ。
常世の平穏の為にって色々企画してる事とか話すから」
じゃ、またね~と言いながら、男は去るだろう…
ご案内:「落第街 廃ビル」から四方 阿頼耶さんが去りました。
ご案内:「落第街 廃ビル」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に空蝉 藍那さんが現れました。
■空蝉 藍那 > 落第街と呼ばれる場所にはあまり立ち寄るなと、保護者になってくれた喫茶店の老紳士は言った。
勿論その話は聞いていたけど、今はこうして落第街の表通りを歩いている。
理由は簡単で、その街と住んでいる人を見たかったからだ。
表通りを歩きながら辺りを見渡す様は明らかに街に慣れていない様子ではあったが、別に油断している訳じゃない。
いっそこの混沌として薄暗い喧騒は、奇妙な懐かしさすら感じる雰囲気だ。
「庶民にまで娯楽が存在していても、娯楽だけじゃ人は救えない、か……」
マスクの下でぽつりと呟いて、苦々し気に顔を歪めながら歩く。
ご案内:「落第街大通り」に山本 英治さんが現れました。
■山本 英治 >
落第街を警邏で回っている。
当然、風紀委員の腕章をつけた俺は良い顔はされないが。
こうして歩くことに意味だってある。
ふと、目についたマスク姿の少女に近づく。
「ハァイ、美しきマドモワゼル。君の瞳を逮捕、風紀委員の者ですが」
大げさに両手を広げて近づく。
「いっけないんだー、この街は危ないんだよ」
「君みたいな身綺麗な子が歩いていたら余計危ない…ね?」
チッチッと人差し指を振って。