2020/07/05 のログ
■空蝉 藍那 > 「なんか、ヘコむなぁ……」
マスクの下で唇を噛みしめる。
勿論地球と、自分の世界は根本的に違うと理解はしてるけど……
「……へ?まど、へ?は?」
と、しんみりしていたら目の前が薄暗くなり、顔を上げれば巨躯の男が居た。
筋肉質でかなりガタイが良いのはまぁ良いとして―――
「…………け、毛玉?」
アフロというものが元の世界に無かった為、思わずそう呟いて呆気にとられてしまった。
夜の風になびく、ふわっふわの、見事な、毛玉。
「……はっ!あ、あっ、えっと。ボクこう見えてこういう場所慣れてるんでっ!」
我に返ると先ほどの逮捕という言葉が頭に入ってきた。
慌てて首と、胸の前で両手を、左右にブンブン振ってマスクの下から愛想笑い。
嫌な汗がダラダラ出てくる。
やっべー、そういう関係の人間、立場的に苦手なんだよなぁ……!!
悲しい事に、少女は寧ろ取り締まられる側の人間である。
地球ではまだ何もしてないけど。
■山本 英治 >
「ヘコむ? 何かミステイクかい、マドモワゼル」
「失敗のコツは反省はしても後悔はしないことさ」
器用にウインクをして。
「あっはい、毛玉です。フワフワのモコモコです」
いやー照れるなー。とアフロコーム(アフロ専用の櫛)で髪を整えて。
「ボクっ子ちゃん。かーわーいーいー……」
「残念だけど測定の可愛い係数が900を超えたので引き下がれません」
「マスク…風邪でもしてるのかい? 俺は心配だねぇ」
一緒に歩くかい? と言って彼女が進んでいた方向に歩き出す。
歩幅は小さく。彼女に合わせて。
■空蝉 藍那 > 「え!?あ、いや、なんでもないっす!」
言えるわけない。
元の世界で実は怪盗してまして、なんて言える訳が無い。
ブンブンブンブンッと首を勢いよく左右に振る。
正直元の世界で怪盗してたと言ってもたった1年、警察だとか風紀だとか公安だとかそういうのはまだ経験不足。
「ふ、ふわふわのもこもこ……」
ちょっと触ってみたくなって、うずうずした様子で両手の指が震えた。
「……え、えー。」
可愛いと言われて一気に顔が真っ赤になって視線が泳ぐ。
だが何を怖気づく事があろうか!そもそも地球ではまじで何もしてない!勝手にビビったら墓穴掘るだけだ!
なんて頭の中で自分を激励すると、とりあえず一緒に歩く。
「あ、マスクは口を……っていうか、舌を隠してるだけで。えっと、ボク、スプリットタンしてるから。」
「……まあ、その、毛玉よりはインパクトないかなぁ?」
こうして並ぶと自分が耳にピアスばっちばちに開けてる事とか、全然霞んでる。
横を歩きながら見上げる先は顔より上のアフロ。
「あ、遅れたけど、ボクはウツセミ・アイナ。といっても異邦人で、こっち来てお爺さんに貰った名前ですけど。」
貴方は?と首を傾げてみる先も、アフロ。
■山本 英治 >
「なんでもないなら良かった」
「失敗を引きずらないのもライトスタッフ(正しい資質)さ」
彼女の言葉にアフロコームをポケットに仕舞い。
「触ってみるかいマドモアゼル……?」
「俺のアフロはふわっふわだぜ………?」
といって謝罪するかのように折り目正しく頭を下げた。
これもアフロのノブリス・オブリージュ。
「スプリットタン! そいつぁ素敵だ……君の彼氏にだけ見せるとかそういうのかい」
「ははは、毛玉じゃなくてアフロっていう髪型だよ」
「ピアスにもこだわりが? チャーミングだね…」
サムズアップして見せる。
「俺は英治だ、山本英治……風紀委員駆け出しの一年生だよ」
「そのお爺さんと一緒に暮らしているのかい?」
■空蝉 藍那 > 先ほどコームで整えたばかりなのに触らせてくれるなんて良い人だ!と心の中で勝手に確信した。
そして下げられる頭に恐る恐る両手を伸ばして、ふわふわと触る。
「うええええ!?なにこれー!?すっごい手触り良い!!欲しい!!なんかこういうの欲しいっ……!!」
これ抱き枕にしたら凄い安眠出来そう、ってくらい気に入って思わずふわっふわっふわっと両手を動かして堪能アフロ。
「あ、いや。別に見たかったら誰にでも見せるけど?見たくないひと用に隠してるだけ。ボクの自己満だし。見たいなら見せようか?ピアスも耳だけじゃなくて臍にもしてるよ。へへん、可愛いっしょ。」
褒められたのが嬉しくてつい笑みが零れる。
うん、良いひとだ!
「エイジ。へぇ、なんか響きがカッコイイね。」
「ボクも1年生で、こっちには来たばっか。お爺さんは、ボクの保護者してくれてるひと。異邦人街で暮らしてるよ。」
アフロから手を離して、右手でピースしながら笑顔。
■山本 英治 >
「一ヶ月に一度、美容室で四時間かけて維持しているのさ…」
「そしてシャンプーは惜しまないこと、これもまた肝要也」
女の子にアフロを触ってもらってご満悦。
いやー、役得。役得。役得アフロ。
「いいのかい? それじゃ見せてもらおっかな~」
「お臍にまで? そりゃ良い……ピアスをしている女性は情熱的だというけど」
うんうんと首肯して再び共に歩き出す。
「ああ、エイジだ。この名前は気に入っているんだ」
「へえ……異邦人ということは、苦労も多かっただろう?」
「俺も風紀委員として力になれることがあれば言ってくれよな」
ピースサインに満面の笑顔で返す。
やはり女の子は笑顔でないと。
■空蝉 藍那 > アフロもご機嫌、触ってる方もご機嫌、まさにウィンウィンである。
「ん、いいよ。珍しいしねー。情熱的か、は分かんないけど。」
マスクを下ろすと彼に向って舌を突き出す。
ひとよりちょっと長めな舌はぱっくりと割れて、二枚の細長い舌が並んでるようでもある。
チロチロと舌先を動かしたり、交差させたり、別々に動かしたりして、一応舌としてきちんと機能してる事をアピール。
あとこの動きもスプリットタンならでわ。
「んー、来たばっかで驚く事も多いけど、知らない土地ってワクワクするかな!」
べえっと舌を出して満面の笑み。
苦労よりも、驚きと、楽しさで、今のところは満ち溢れてる。
この落第街以外は……
「……エイジはこの街に詳しいの?ここって、どういう場所なの?この、落第街?って、ところ……」
首を傾げて。
■山本 英治 >
「ワオ、これは驚いた……君はキスが上手そうだ」
素直に驚いた様子を見せて、それから自分も舌を見せる。
普通だろ? と言ってから破顔一笑。
「そうかい? それなら良かった……」
大きく伸びをしながら歩く。
「二級学生、異能犯罪者、不法入島者、まぁ…色んな人が住んでる街さ」
「その中にはこの世界に馴染めなかった異邦人も含まれる」
「おっかない人はおっかないし、そうでもない人も大勢いる」
「だから、君みたいな可愛い子は保護したいのが俺の本音なのさ…」
割れた窓から視線を感じてそちらを向くと。
何者かが顔を引っ込めるのが見えた。
「人生に落第した者が住まう場所…なんて言葉は嫌いだけどね」
■空蝉 藍那 > 「キス……が上手いかは分かんないけど、まぁそういう話は聞く、かなぁ?」
顔を真赤にしてスススス……とマスクを戻して両手で直す。
キス発言の後だと見せられる舌にドキッとしてしまい、あんまり見なかった。
並んで歩きながらも辺りを改めてまた見渡す。
目的自体が此処だから、何処へ向かうという事もなくただ歩くだけだが、確かにやたら視線は感じる。
場違いと言えばそうなのだろうが、そもそも自分も……
「……そっか。……たはは。エイジは優しいんだね。」
保護したいと言いながらも、この街に対して悪い感情だけを持ってる訳じゃない。
その事を言葉から感じて、目を細めて微笑む。
「でも、保護されるほどボクだって柔じゃないよ!これでもね!」
そう言って自分の胸を右手で叩いて不敵な笑みを目元に浮かべる。
「と言ってもエイジはそれが仕事だもんね。うーん、でももっとエイジと遊びたいしなー。」
彼の為にも長居は良くないとは思ったが、かといってこのままハイサヨウナラも寂しい。
顔を顰めて考えて。
「あ、じゃあエイジが楽しいと思うとこに連れてってよ!」
両手を合わせて名案とばかりに目を見開き、声を弾ませた。
■山本 英治 >
「あはは、これは失礼……年頃の女の子に無礼千万お許しを」
首の裏を触って照れてますというポーズを大げさに取って。
視線を向けられるたびに友好的に手を振り返す。
風紀委員は、こういうのも仕事であっていい。
「そう! 俺は優しいんだ……可愛い女の子には特にね」
ヤワじゃない、という発言には目を丸くして。
それから穏やかに笑った。
「そうか……それじゃ俺は君をナンパしただけってワケだ」
風紀委員の立場はない。けど、風紀委員なんて消火器でいいんだ。
有事の時にだけ役に立って。普段は邪魔な扱い。
そんなんでいい。
「いいね、それじゃ異邦人街のゲームセンターに行こう」
「その後にまだ時間があったらご飯を一緒に?」
「あの街には知り合いが経営してるハワイアン料理の名店がだな…」
そんなことを話しながら。二人で落第街を離れていった。
ご案内:「落第街大通り」から山本 英治さんが去りました。
■空蝉 藍那 > 「まぁ舌に何かあったらそれ系になるのはしょうがないって。」
不愉快には思っていないがただ恥ずかしい。
可愛いと思ってやっただけに猶更。
「じゃあボクよりもっと女の子らしい子だと凄い激アマ対応なのかな。」
などとちょっと意地悪な事を言ってみたり。
からかい半分、本音半分。
「たははー。じゃあボク、ナンパに乗っちゃった?」
首を傾げて苦笑いした後、相手の誘いに乗って改めて歩き出した。
ご案内:「落第街大通り」から空蝉 藍那さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に霜降寺 響元さんが現れました。
■霜降寺 響元 > 特になにかするわけでもなく。ベンチの一つでのんびりと本を読んでいる。
片手には本、片手には缶コーヒー(微糖)を持ってゆったりとしている。
今回は本の表紙を見る限り、呪いの本ではなくただの文学小説。
身体中にタトゥーも入っており、風貌から目立つ方ではあるのだがあまりにも空気になっている男は誰からも視線を向けられることなくいないものとしているように見える。
しかし、ここを歩いている人間程度では気付きはしないだろうが、男からは先程まで浴びてきたような濃い血の匂いと、鼻が曲がるようなとある草を焼いたような独特な煙の臭い、狂いそうなほどの瘴気も身体から溢れている。
だというのに男は平然としている。
何事もないかのように。
■霜降寺 響元 > 男を認識していない人はなにも気にしていないし気付いてもいない。
ふと、たまたま通り掛かった生徒の一人がそう言った事に少しばかり気が付く学生だった。
目があったわけでもなく。ただ風景となっている男を少し気に掛けてしまった。
男と臭い匂いに気が付いてしまうと少し体調が悪そうに足を縺れさせてしまう。
そんな生徒を気にするわけでもなく、また一頁、頁が進む。
体調が悪い生徒がなんでそうなったのが自分で気が付く事はなく、いつの間にか男の存在も忘れてしまったようでこちらに振り向く事は一度もない。
ただあぁ、運の悪い事に瘴気の一部に魅入られてしまったようだ。
男に纏わりつく影の一部が生徒の影と混ざる。
その内彼には大なり小なりの事故にあってしまうだろうが、それは男の知るところではない。