2020/07/20 のログ
ご案内:「落第街大通り」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 >  
さて、最後になるかもしれないし"ドブさらい"の後始末くらいはつけないと……
ゆったりと歩みをすすめる

「さっテと……アイツ、結局ドうしタんカな……」

きょろきょろと目的の人物を探す
おや、いないかな……?

ゆっくりとゆっくりと歩みをすすめる

住人 > 「あ、お、おい華霧! 居たか!
 なあ、これ……これで、いいのか?」

一人の男が場に似つかわしくない、綺麗な紙面を持って出てくる

園刃 華霧 > おっと、探し人発見。
コイツが居なかった空振りだからな……
 
「おー、居た居タ。
 どラどら、ちょっと見せテみ?」

迷うことなく紙面を受け取ってじっと眺める。
んー……
まあ、上等かなあ

「オー、よク書けテんじゃン。
 ヒヒ、時間かけスぎだっテの!」

けらけら笑いながら男に答えてやる。
ひょっとしたらコイツが最後かもな―、とか思ったりしつつ

住人 > 「う、うるせーな。こっちは、まともな書類なんて今までろくに書いてこなかったんだぞ!
 そ、それより! それで、俺は正規学生になれるのか……?」

懇願するような眼で男が見てくる

園刃 華霧 >  
「ンー……基本的にハ、な。
 ま、オマエ今ンとこ割と白ダし、なんトかナるっしょ。
 ってモさ。コイツもって、庁舎行くマでが仕事ダかんナ?
 ソレが出来まセ―ん、じゃ流石にナー」

ついていってやってもいいけれど、今の情勢じゃちょっと居心地が悪いと言うか……
うっかりすると妙なやつに会いかねない
だから、放流することしか出来ない

ま、それくらいしろ
ある程度大人なんだからさ

住人 > 「ていうか、よぉ……華霧。
 おまえの、それ……えーっと、なんだっけ。
 元違反……なんちゃら、じゃダメなのかよ?
 それなら、こんな面倒な書類よりもっと簡単なので良かったんだろ?」

園刃 華霧 >  
「ァー……いヤ、うん……そっチも勧誘は、マー……
 してルっちゃア……しテるんだけドさぁ……」

まーそーだよなー
ソッチのほうが魅力的に見えるわなあ
けど、簡単にこっちに入れるわけにいかない
なにより、もうこっちには時間がない

「そっちは、時間切れ、みタいなモンだ。
 店じまいサ。」

悪いね、と肩をすくめてみせる

ご案内:「落第街大通り」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
園刃 華霧 >  
「ァー、そウそう。
 前、アタシが声かけテた連中。
 アタシはチョッと面倒見きレんかもダから……
 そン時は、アレだ。
 風紀委員の、幌川、だとか、山本、だとか、レイチェル、だとか……
 その辺の名前の奴にかけアってクれ。
 アタシの名前だせバ、まあ話しくラい聞いてクれるサ」

さて、と……アタシの仕事もこれでオシマイ、かね

紫陽花 剱菊 >  
大通りを吹き抜ける、生温い夏風。
浮かない顔をしたままの男が通る。
黒糸のような髪が揺れ、水底の様に暗い瞳が、見知った少女の姿を捉えた。
何やら、其の場の住人と会話しているように見える。

「……どうも。仕事中で在られたか……?」

静かな声音で、少女に声をかけた。

園刃 華霧 > ひひひ、といつもの笑いを浮かべ。
落第街のいつもの、そして最後かもしれない"ドブさらい"

これで一息かな、と思えばなにかの声
聞き覚えがあるようなないような……
 
「……ァー?」

振り返り……

「アッ、テメッ、ヘッポコザムライッ!!!!」

思わず指を突きつけて叫んだ

紫陽花 剱菊 >  
「……へっぽこ……。」

彼女の言葉に僅かに小首を傾げた。
不愛想な仏頂面だが、思わず苦い笑みを浮かべた。

「……然り。未だ我が心、空言の海。雑念に囚われたまま……無能と誹られようと、返す言葉は無い。」

今の己には、其れが似合う。
誓いを立てた相手に最も近しいと自負をしておきながら
未だ、刃に迷いが在る。
多くの人間に触れ、言葉を聞き
『選択』を畏れ、疑い、迷う心が未だ消えない。
ともすれば、彼女の言葉は的を得ていた。



……まぁ多分、その事とちょっとずれた意味でヘッポコなんだろうけど……。

園刃 華霧 >  
「ハん? なんカしおれてンな?
 ザマーミロってナもんだガ……」
 
思ったより妙な反応。
まあこいつのことだからキレるってこともないだろうとは思ったが。
なんか、しおれてる。
なんなんだこれ

ぶっ飛ばすのはまあ、あとでも出来る
まずは……


「デ? 声かけテきたッテことは、何か話しタいことデもアんのカ?」

ちょっと沸点を抑えた
元々、そんなに怒る性質ではないのだから割と簡単だった

紫陽花 剱菊 >  
袖についた腕章を一瞥する。
見覚えのある、忘れるはずも無い紋様。
だが今は……、と、思わず目を逸らした。

「…………。」

静かに、口を動かす。
水底の黒が、華霧の瞳を見据える。

「……あかねの同志と見受け、聞きたい事は幾つか……恐らく、如何なる内容かは知っているはず……。」

「其方は、何故傘下へと?其れほどまでにして、叶わぬものがあるのか?……否、違うな。」

「其れも聞きたいが……最も聞くべきは……。」

「─────……喪失が恐ろしくないのか?」

其の静かな声音は、僅かに震えていた。
迷いか、恐れか。男に芽生えたものを、端的に表していた。

園刃 華霧 >  
「ァー……?」

あかねちんは"一回喧嘩した"といっていた。
コイツのしおれ具合ってそのへんかなあ、とはなんとなく思っていた

思っていたが……こいつ、ひょっとして地雷踏み抜いたんじゃないか?
馬鹿か?
馬鹿なんだな?
いや。馬鹿だったわ

「くっだラなイ質問ダなー、それ。
 『トゥルーバイツ』の誰に聞いテも、答えは同ジだと思うゾ?」

答えるまでもない
答えは一つ
例えそうだとしても、譲れないものが有る
喪失より怖いものがあるから――いや、喪失を恐れるから

「デ。
 まッサかと思うケど、そンな下らナいこと言ってあかねちん怒らセたわケ?」

その辺、チョット話の流れは違ったような記憶があるけれど。
ただ、それもあった可能性はある。

ぎろり、と睨めつけるように目の前の男を見る

紫陽花 剱菊 >  
「……下らぬ、か……否、愚問と知って尚言わせて頂く。」

「……其方達が如何様にして熱望した上で聞くのは愚問だと、知った上で、だ。」

「────怖くは無いのか?己ではなく、自らの縁が一つ、此処で絶えるやも知れない事が。」

己の死を恐れる程ではあるまい。
ならば、他は如何だ。
まさに其れこそ、己の最もな迷い。
其れこそ愚問と知りながら、尚静かに尋ねた。
……必死なのだ。欠かれた人間性を今必死に集め
人となりて、此の恐れを振り切りたいからこそ
己の『選択』を疑い、己の『答え』を恐れる。

「……如何程迄に聞いたかは分からない。私の想像通りで在れば、此の件は関係無く、私自身の問題。」

「……あれは私の、男の至らなさが彼女を失望させた迄に過ぎない……其の、済まなかった……。」

静かに頭を下げる。
其の件はちゃんと反省しているようだ。

園刃 華霧 >  
「はー……そコでアタシに謝っテどースんダ阿呆。
 とっくニ謝ったカもだケど、意味ネ―ことスんな馬鹿」

無意味無駄無価値
ナイナイ尽くしの行為である
あかねちんにさっさとオトシマエつけて腹でも切ってしまえ

「で、なに?
 切り捨テらレるのガ怖いッテこと?
 そりゃマたサムライなこッタ」

縁が絶える?
絶える前に切り捨てた

他の連中だって似たりよったりだろう
"切ってしまえる"縁程度なら、"切ってでも"叶えたい願いが有る

求めてしまいたい、先がある
埋めてしまいたい、穴がある

「答えハ、今更なンだよソれ、ダな。
 オマエ自身は怖いッテこと?
 そンで、聞いてどうスんのサ」

冷たく容赦なく言葉を浴びせる
ガラではない
喧嘩程度ならともかく、こういうのは
だが、口が動く

紫陽花 剱菊 >  
静かに、頭を上げる。

「……其方が憤りを感じた以上、謝るのも筋かと……。」

友か、同志か。
少なくとも彼女の中での何か、憤る事になった以上は謝罪するのが筋。
生真面目さは、変わらない。
男は静かに、頭を振った。

「……元より負け戦の様なものだと、知っている。其れで己のみ成らず、同志や友垣が死ぬのが怖くないのか?」

「……情けない話だが、私は今更になって恐れているよ。其方も、名も知らぬ真実の徒も、そしてあかねも……。」

「────無謀と知り、何も考えずに戦場を駆けていた己ではなく、"人"として、在ろうとしたら、この様だな……。」

其れこそ彼女たちにとっては、"今更"かもしれない。
戦人で在りながら、喪失を恐れる心。
既に其れは戦人に非ず、人に在れば
"未だ大切なものを見失っている"。

「……きっと、私の我儘なのだな。大団円成らぬ道が在る『可能性』を、赤子の様に泣いて、駄々をこねている……。」

其の自覚があるからこそ、愚問を口にしてしまっている。

園刃 華霧 >  
「ふぅン……?」

獣から人に戻った、そんなところか。
アタシは逆に人から獣に戻った気分だけど。
なるほど、そういうことね。

……少し、思案
自身も、此処最近で見えてきたことが有る
ではこの男に、どの程度のことを言ってやるか
正直言えば、何も言ってやりたくもない

――けれど

「なルほど。それで、めでタくヘッポコザムライは超ヘッポコザムライに進化したワけだ。
 まあイいや、ヘッポコ。逆に聞クけドさ?
 まサか、アタシらのコト感情のナいモンスターとか思ってンの?」

こいつ、あかねちんの話聞いてんのか?
マジでむかっ腹が立ってくる
そもそもにして前提が間違ってないか?

紫陽花 剱菊 >  
また静かに、頭を振る。
黒糸がはらはらと、合わせて揺れた。

「……物の怪と無くば、人……と、思っている心算だ……。」

あかねも最初は物の怪の様な悍ましさを感じていた。
然れど、そうでは無く、あれもまた"ただの少女"成れば、彼女らもまた人である。
其れは、変わらない。
胸の靄で、未だ先が視えず、目先の答えだけぽつり、と答えた。

園刃 華霧 >  
「なーにが、"人と思ってる心算だ"だ、スットコドッコイ!
 なーンにもワかっテねーよ、オマエ。
 ンじゃアさ。いってヤるよヘッポコ、よく聞け!」

人と思っている?
思っていてそれか?
わかってない、まったくわかっちゃいない

あのアフロだってそうだ
アタシらに注文をつける領域に入っちゃいない

「怖いカ、なンて今更ナんダよ。
 怖かロうが、なンだロうが……やルって決めタんだヨ。
 決めルしか、ナかったンだヨ。
 全部、捨てテんダよ。だかラ、今更なんダよ!」

いらいらしてくる
まただ
クソ、なんだこれ

「うだうだうだうだと、ウザったい。
 結局、おまえ、わかっテねーンだよ、あかねちんのことを。
 アタシらのことも。」

いらいらを全てぶつけて言葉にする
こんなことは、初めてだ

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

「……決めるしか、無い……。」

嗚呼、そうだろう。あかねと相違無ければ、そうでなければ、頼るしかないだろう。
不確定と知っても、死地と知っていても、行かねば手に入らないものがある。
そう、聞いた。聞いたはずだ。

"だからこそ畏れた。彼女の喪失を"。


……もう一度刃を持てと、友に励まされた。

……其の程度ならば、諦めろと、宿業に誹られた。

……ちゃんと伝えれるかと、抗う少女に諭された。

……好きな女性の道位照らせ、と対岸の赤に睨まれた。


そして今、何もわかっていない、と少女の同胞に宣告された。


「──────……。」

そして、自覚した。
如何なる己の周りより、『言葉に踊らせて"決断"を決めかねている己が一番弱い。』
紫陽花 剱菊。お前が最愛に言った約束も、周りに言った言葉を嘘か。
また、お前は状況に流されて、そんなこと……。


そんな事……。




<─────、そんな事>


「─────!」

嗚呼、そうか。"簡単"な事だったな。
何ともまぁ、本当に情けない、情けない、醜態を晒した。
黒の双眸を見開きて、果て無く続く夜空を見上げる。
何処まで続く暗闇に今は……"星々"の光明が見える。

「……そうだな。何も、分からない。分かってなどいない。」

これは、"ケジメ"だ。

「"華霧"。」

「"一撃、私に見舞ってはくれまいか?"」

園刃 華霧 >  
「はァ?」

一撃みまえ、と来たもんだ。
なんだ、マゾにでも目覚めたか?
まあ、元々そのつもりでいたんだから
自分からやってくれ、と言われれば願ったり叶ったりだ

にたり、と哂う

「ま、なンもわカってナい馬鹿の気付けッテんなラ
 しゃーナいな?
 ま、反省ダケなラ猿でモ出来るって言うシ」

腕を振りかぶる
もちろん、手は握る
力一杯の拳

おまけで異能も乗せて
絶対硬度の固定空間をナックルに

「オラァッ!!」

顔面に振り抜いた

紫陽花 剱菊 >  
思いきり顔面に衝撃が走る。
街灯へと思いきり背をぶつけ、背中を大きくった。
顔中に痛みが、背に衝撃が走る。
 
「ッ……!?」

確かに殴れ、とは言った。
全力でも構わないと思ったが、此処迄するものか。
鼻先が僅かにひしゃげたか。指先で位置を整え、鼻が詰まらぬように思いきり鼻血を吹き出した。
苦痛に顔を歪めながら、奥歯を噛み締めた。

……が。

「─────はは……。」

笑った。静かな声を上げて、笑った。
大笑いとまではいかない。折角の顔も、先の一撃で赤く腫れている。
……だが、清々しい気分だ。
漸く、漸く至ったのかもしれない。

「……済まん、手間を掛けさせた。もう"大丈夫だ"。」

ゆっくりと街灯を押し、立ち上がる。

「……そうだな。私は何も、理解を得ていなかった。其方達の事も、友の事も、あかねの事も、理解を得たつもりでいた。」

「……実に、実に"下らぬ"事を問い申した。其れに対しては、謝罪を示す。」

静かに、華霧に目を合わす。

「今、嚥下した意味も尚、理解しえぬかもしれない。未だ、私はきっと『選択』に後悔する。そして、未だ『喪失』を恐れている。」

恐れが在るから、人は問う。
勇気が在るから、人は決断する。

「……大事を、此の前あかねに宣った。『無理』と切り捨てられ、私も『無理』と同意してしまった。が……。」

静かに頭を振った。
其の右手にはいつの間にか握られていた、銀色の小太刀。

「然れど……─────。」

「知るか、そんな事」
<知るか、そんな事>

脳裏に響く、あの青年の声が己の声と重なった。

「『真理』が何するものぞ。其方達が死地へと向かうので在れば、私は其れを守護するのみ。」

「私が、『誰一人死なせない』。荒唐無稽と言われようと……。」

静かに小太刀が、空を切る。

「────私の『選択』だ。"絶対"にあかねも、其方等の命も、『真理』"如き"には渡さない。」

大事、虚言。相違ない。そう、此れはきっと"無責任"だ。
だが、言ってのけるこの意志の強さこそ、彼等が持ち得る"強さ"か。
人だけが持ち得る、決断。"絶対"とは、本当に大きく出た。
いや、そう言わなければ、あの青年も、十架も納得しまい。
何より、実現するからこその宣言、即ち背水が如き覚悟。

……嗚呼、そうだな。我儘を伝えるのが下手なのは違いない。
漸く今、"口に出来た"。

「……手間を掛けさせたな、華霧。おかげで、目が覚めた。」

彼女だけではない。
多くに、多くに手間を掛けさせた。
此の胸の温もり、鉄の打ったような熱の意味。
第弐之刃の意味、漸く其の、意味に至った気もする。
本当に、なんて遠い回り道をしてきたのやら……。