2020/07/23 のログ
■園刃 華霧 >
「アー……置いテかレたクチ?
しかモ、跡形もなし、カ。
そりゃお気の毒サま。」
失うものがあったんだから。
いや……失った実感すら無いのか?
ふぅん……
「ナ―んだ。
ひひ。最初っカらそウくれバいいノに。
お難しイお理屈を捨ててサ。
理解する前に消えちゃった、アイツのお気持ちを理解シたかッタんデスぅー、みたいな?」
ひひ、と笑う
「……
勿論、アタシらだって怖いと思う気持ちはあるさ。
でも、それでも諦めきれなかったことがあった。
どうしても、掴みたいものがあった。
……そういうこと」
ふむ、と思案する
「そうだな。
例えば……ずっと苦しむだけ苦しむ病気のやつがいたとするじゃん?
で、ソイツの前に医者が現れて言うわけだ。
『ある手術を受ければ治るかもしれない。けれど、成功率は低いし、失敗すれば死ぬ。
もちろん、受けなければ一生苦しみ続ける。さあ、どうする?』」
大仰に身振り手振りを交える
「さて、それにすがるやつの気持ちってどんなもんだろうね?
で、失敗したとして。
人生の可能性を諦めない……そいつの気持ちはそりゃ、虚無いかね?」
■羽月 柊 >
嗤われてしまった。
掴んでいた服から手を離し、息を吐く。
確かにそうだ、簡単に言えばそうだろうとも。
だが、無駄に散らばる自分の言葉が、素直に口からそう言わせなかった。
「そう言えたら苦労はしていない…。」
ちっぽけなプライドのせい。
「……では君達全員がそう、もしくは同義だと言いたいのか。」
自分ならば受けない。
死がそれまでの自分を否定するのだから。
「それで失敗した結果がこの男だと。」
後ろを振り返る。やはり平行線だ。
どちらが正しい、正しくないという問題じゃない。
これは信念や信条、そこに類する。
「………分かった、とは言い難いが、回答の一つとして覚える。…ところで。」
だらりと下げた片手が、指を鳴らす準備をしていた。
「君は素直に俺を見逃してくれるタイプか?」
■園刃 華霧 >
「マー……そーネ。
これッテ永久に平行線よナ。
ぶっちゃケ、どっちガ正しいカって言わレたら。
多分、そっちが正しい、ンだよナ。
正しいカどーかってダけなラ」
そんなことは知っている
知っていて、その道を選んでいるのだから
だから、止めるのであれば理外の理か
さもなければ――
「後悔、とかあるの? アンタ。
もしそうなら、そりゃ……いや、アタシが言うことでもないか」
多分、それは自分に言う資格はないだろう。
それであれば、言うだけ野暮というものだ
「マっさか、アタシはこう見えて平和主義ナんだゼ?
ああ、勿論。
アンタが、平行線で物別れなアタシたちを止めヨうって言うコトなら話は別だけド。
そこまで、義侠心、燃やシてくれル?」
両手を上げて、戦意を否定する。
言葉に嘘はない。まあ、必要があれば喧嘩はするけど。
というか、そもそも騒ぎを起こして目立つ駄目でも面倒くさいのだ。
ま、お節介の塊、なんてことであれば別なんだけど。
この疲れた男は、そこまでの情熱は燃やさないんじゃないかなあ……
ま、人は見かけによらない、とかも有るしわかんないけど
■羽月 柊 >
「……流石に自分の命を賭してまで止める意義が見当たらないな。
俺は君の名前すら知らないのだから。」
鳴らそうとした指はそのままに話す。
「ただ、君たちを止めようという輩は必ず現れるだろう。
定命のモノにとって、死は最も近く、最も遠い。"友人"であり――。」
後悔は多量にある。
けれど、その後悔に掻き立てられるまま、
彼女を止められるか? 無理だろう。
そしてその役目はきっと、今の自分が担うモノじゃない。
「"敵"だからだ。」
パチン、と静かなこの場に音が鳴り響く。
次の瞬きの瞬間には、仮面の男とその背後にあったモノは全て無いだろう。
死体も、役目を終えたデバイスも。2匹の小竜も。
まるで最初から無かったかのように。
ご案内:「落第街大通り」から羽月 柊さんが去りました。
■園刃 華霧 >
「はァん?」
消えていった男の跡を面白そうに眺める。
「研究でもスるつもリかネ。
無駄ダってのニ……いや、もしそうナらむしろ好都合かもシれないケドね」
ひひひ、と笑う。
もしかすれば、次の種が撒かれるかもしれない。
それはそれで面白いことだ。
が――
「……あぁ……」
思い出す。
奇妙な声を上げ、震えながら崩れ落ちた男の姿。
最期に、不明瞭な断末魔の言葉を残した男。
出村 秀敏
あの、やたらうるさく絡んできた男の死体がどうなってしまうのか。
それだけはほんの少しだけ、気になった。
「マ……くたバっちまッタら、しょうがネぇよナ。
野ざラし、研究材料、犬の餌……
どレも大して、変わンなイか。」
"いつものこと"だ
そう思い直して……
その場から去った。
ご案内:「落第街大通り」から園刃 華霧さんが去りました。