2020/07/31 のログ
ご案内:「落第街大通り」に殺し屋さんが現れました。
殺し屋 >  
 
「ずっと、見ている」
 
 

殺し屋 >  
「安息は訪れない」

「安寧は訪れない」
 
「恨みは募り、憎しみは消えず、悪意は渦巻く」
 

殺し屋 >  

「一度でも引き金を引いたなら、一度でも誰かの命に触れたのなら」
 
 

殺し屋 >  
 
「報いは、訪れる」 
 
 

殺し屋 >  
 
「お前は、俺に殺されるんじゃない」
 
 

殺し屋 >  
 
「お前は……過去に殺されるんだ」
 
 

殺し屋 >  
 
「俺は、その過去を……ただ此処まで運んできただけだ」 
 
 

ご案内:「落第街大通り」にレザーズさんが現れました。
殺し屋 >  
 
「過去からは、誰もが逃れられない」
 
 

ご案内:「落第街大通り」に水無月 沙羅さんが現れました。
殺し屋 >  
廃墟の一角。
道化の面を被った男は両手を広げる。

「千客万来だな」

現れた、二つの人影。
それを歓迎するように、大袈裟に会釈する。

「ようこそ、殺しの依頼か?
 まぁ、違うよな」

水無月 沙羅 > 「たまたま……えぇ、本当に偶々ですけど。
 見つけることになるとは思っていませんでした。
 貴方が……殺し屋さん、ですか。」

鍵を受け取り、寝床につこうと思った矢先。
目についたのは見覚えのあるマスク、件の事件の原因になったそれに、引き寄せられずにはいられなかった。

「こんばんわ殺し屋さん、水無月沙羅、って名乗ればわかりますよね。
 質問しても、良いですか?」

憎い怨敵、彼を殺した張本人、システムに落とし込んだものを目の前にして、冷静ではいられない。
しかし、聴かなくては行かないことは山ほどある。

隣の人物に、少しだけ目をやる。

レザーズ >  
面白い事を、言っていたから。
やって来た。
黒髪長髪の背の低い少女のような見た目。

「過去は捨てれない、切れない、そしてやり方次第で人の心を突き刺せる。
 いい殺し方だと感心してな、私はただ『殺し屋』を見に来ただけだよ」

しかして発する声は、男の声。
低い成人男性の声。

自分ともうひとりの来客をみやり、自分よりも

「『道化師』に用があるのは彼女だろうよ。
 私のことは聞き耳を立ててる子供とでも思ってくれたまえ」

と喉を鳴らして笑う。

殺し屋 >  
「構わない。俺もそのうちアンタのところには顔を出そうと思っていた」

顔を出さず、道化師の面をかぶったままの男は、淡々と呟く。

「水無月沙羅、アンタも『殺す』ことになってるからな」

淡々と。

殺し屋 >  
 
「なら、傍耳立てて聞いててくれよ。
 一人でも多く聞けば呪詛はそれだけ大きくなる。
 一人でも多く聞けば悪意はそれだけ増えていく。
 『嘘』でも構わない。
 俺はアンタの良くできた『嘘』を期待する。
 『嘘吐き』の『嘘(フィクション)』を、期待する」
 
 

水無月 沙羅 > 「……私も、ですか? いったい何のために。 何がしたいんです、貴方は。」

震える手は、怒りによるものだ。
どうしてこうも、この人は『殺す』等と平然と言えるのか。
あの人も、神代理央もそうしてきたのだと言われたら、返す言葉もないが、変わろうとしていたのだ、彼も私も。

笑う、見知らぬ男性の声に、少女の姿をした人物に目を細めるが、今はそれどころではない。
観客が一人いるだけだ。

「……なぜ、彼や私を殺したいんですか。」

聴きたかったのは、それだ。
何が目的なのか、それがわからないのが一番恐ろしい。
私怨ならばわかる、それはきっと報いなのだろう。
然し別に目的があるのだとしたら、それは探らなければいけない。

レザーズ >  
「いいだろう。
 私の『名』において、広めよう。
 君のやろうとしている事は『嘘』がなくとも面白いからな」

「さてと」

どうぞ、と近くの壁に寄りかかり二人の会話を耳を傾ける。

殺し屋 >  
「依頼されたからだ。俺は殺し屋だぜ?」

短く答える。

「まさか、『誰からも恨みを買ってない』とでも思ってるのか?」

道化師は尋ね返す。
またも、短く。

「『殺意を向けられて当然の事をしている自覚がないのか』?」

殺し屋 >  
「そこの『嘘吐き』をみろ、そいつも殺される理由がきっと山ほどある」

指をさす。

「だから『嘘を吐く』んだ。
 だから『本当を隠す』んだ。
 アンタ達はそれを怠った。
 アンタ達はそれを徹底しなかった。
 だから『殺される』」

短く告げる。

「簡単な話だ」

レザーズ >  指を刺されて言われて笑う。

「おいおい……人を悪いやつみたいに言うなよ。
 衝撃映像を昔からよく生み出してるだけだ」

茶化すようにいう。

殺し屋 >  
 
「『嘘』は悪い事さ」
 
短く、道化師は答えた。
 
 

水無月 沙羅 > 「覚えならばあります。 山のように。」

風紀委員として、数多くの命を奪ってきたという自責はある。
きっと彼も、私も、他のメンバーの幾人かも。

「だから、納得して殺されろ、とでもいうんですか?」

「それこそ、おかしな話です。 本人に糾弾されるならわかりましょう、命を狙われるのならばわかります。
 その理由が彼らには、私たちが奪ってきた物にはあるのでしょう。」

「でも、貴方は無関係だ。 そこまでするような儀理が、貴方にあるんですか?
 そこまでして果たす依頼の価値がそこに在ったと?」

「罪を清算しようとする彼の未来を奪う権利までもがあるとでも。」

冷たい目線を、道化師に送る。

「……嘘つきは得をする、随分嫌な世の中ですね。」

殺し屋 >  
「それが『お前たちに殺されてきた連中』や、
 『お前たちの死を俺に依頼するほど憎む連中』や、
 『仕事としてそれを請け負った俺』と、
 何の関係がある?」

道化師は呟く。

「納得なんてしなくていい。
 お前たちが殺した連中も納得して死んでいるわけがない。
 納得なんて必要ない。
 むしろ、納得なんて出来ずに理不尽に死んだ方がいい」

道化師は続ける。

「それが『死』の本質だ。
 いつだって『死』は理不尽で、唐突だ」

レザーズ >  
やれやれ悪いやつ認定とは嫌な話だ、とため息一つ。

こんな深夜――
落第街の大通り近くの廃墟の一角、奇抜な組み合わせ、動画が流れたのも昨日の今日のような話だって言うのに。


 こんなの『噂』になってしまいそうだ。


『殺し屋』と『対象』にそれを『見る者』が入れば、
それは『舞台』として完璧じゃないかとニヤニヤと笑って二人のやり取りを見る。

水無月 沙羅 > 「猶更理解ができません。
 理不尽が死の本質だというのなら、貴方のそれは矛盾している。
 過去が自分を殺すというのならばそれは正当な理由だ。
 誰かのうらみがあって、誰かの意思があって成り立つ。
 唐突で理不尽がお望みなら、銃弾一発で事足りえる筈でしょう。」

「そうしないのは、何故です。」

それは、もう『生と死』という括りではない。

「あなたのそれは、死というよりも、苦しみを与えているだけだ。」

殺し屋 >  
「死者すら蘇る常世島の不死者の癖に随分とズレた事をいうんだなアンタ」

鼻で笑う。
嘲笑が道化の面から漏れた。

「俺が此処で銃弾を雨あられとうちこんで、アンタも神代理央も死ぬか?」

人差し指を向けて、軽く銃を撃つジェスチャーをしてみせる。

「死なないだろう。どうせ生き残るだろう。
 せいぜい病院のベッドでいつかのようにイチャついて終わりだろう」

軽く、肩を竦める。

「暴力で与えられる『死』なんて、極論この島にはない。
 この島は常世島。
 常世にいるのは……死者だけだ。
 死者に死を与える方法は一つしかない」

殺し屋 >  
 
「『とっくにお前は死んでいる』、と教える事だけだ」
 
 
 

レザーズ >  
「フフフ……」

面白いことを言う『殺し屋』だ。
生きながらの死、つまり、

「死んだように生きる」

生きながらにして、死んでいる。
身に覚えのある話だと笑い思わず呟いてしまった。
やはり面白い『殺し方』をするな、と瞳を細めて男と少女を交互に眺める。

水無月 沙羅 > 「そうですね、私は不死者です。 仮初の不死かもしれないですが。」

「……暴力で受ける死がないというのなら、ではあなたはいったい何が理由で依頼を受けたと?
 矛盾だ、詭弁で、矛盾に満ちている。」

「私たちは死んでいない、生きているからこそこうして憎しみをぶつけ合う。
 それは死者にはできない事でしょう?
 死人に口なし、昔からよく言うではありませんか。
 常世、幽世、良く言葉遊びを思いつきますね。」

「わたしは、そう簡単に殺されてはあげませんよ。
 殺し屋さん、私は未だ生きて居たいものですから。
 彼だって。殺させたりしない。」

水無月 沙羅 > 「わたしは、貴方の言う『死』には屈しない」

死があるからこそ、生が輝くというのなら。
その逆もまたしかり、生が無ければ死も存在しえない筈だ。

殺し屋 >  
「いいや、アンタはもう死んでる」

殺し屋は呟く。
淡々と、道化の面を被ったまま呟き続ける。

「死を恐れている。神代理央の喪失を畏れている。
 神代理央もそうだ。アイツも既に死んだ。死んでいる。
 お前たちは以前と同じじゃない。
 無自覚だっただけだ。
 だがもう、自覚した。
 お前たちは以前と同じではいられない」

殺し屋 >  
 
「死ぬほど誰かに死を望まれていると知ってしまった。
 アンタ達は既に呪詛に侵されている。
 もう手遅れだ。
 もう取り返しはつかない。
 もう誰も助からない」
 
 

殺し屋 >  
 
「現に『名も知らぬ殺し屋なんて以前からいくらでもいたはずの何か』を畏れている。
 もう、俺が消えてもアンタ達は二度と安心できない。
 毎日毎日毎日、殺し屋に怯え続ける。
 自分の一挙手一投足に怯え続ける。
 手は竦み、足は震え、言葉一つも喪失と断絶の恐怖に怯えながら吐き出し続ける。
 上手くやらなければいけない、その自縄自縛に貶められ続ける」
 
 

殺し屋 >  
 
「もう、『アンタ達は死んでいる』。俺を相手にしたその時点で」
 
 

水無月 沙羅 > 「いいえ、以前と違うことは死と直結するものではありません。」
 生きて居る限り人は成長する、進化する、変化し続ける。
 肉体も、心も、関係性も、全ては変動する。
 変化は生きて居る証です、死の証明ではない。
 不死鳥が灰から生まれ変わる様に、人は変化し続けるモノでしょう。」

「……いいえ、いいいえ、そんなことは決してない。
 死に怯え続けるのは誰だって変わらない、それは生きている限り永久不変のものです。
 えぇ、私みたいな不死者は少し違いますけれど。
 少なくとも、彼はそうではない。
 人は恐怖も狂気も乗り越えて、背負って生きていける筈です。
 手が竦んでも、脚が竦んでも、立って歩いていくことは出来る。」

「何度でも言います。 私達は『生きて』いる。」

何時までも続く堂々巡り、そんな感覚を覚える。
私達は致命的にずれている。
価値観なのか、生死観なのか、それは分からないけれど。
此処で認めてはいけない、認めてしまったらあの人を救えない。

殺し屋 >  
 
「いいや、『神代理央』と『水無月沙羅』の変化は死だ」
 
 

水無月 沙羅 >  
 
「どうして、そう言い切れるんでるんですか。」
 
 

殺し屋 >  
 
「お前たちは……装置としての機能を果たせなくなった道具だ。
 それを死と言わずしてなんという?
 他者からの殺意と悪意と糾弾に目を向けて襟を正し続けると言えば聞こえはいい。
 だが、お前たちは『言い訳』を続けているだけだ。
 『申し訳なかった』の一言すらない。 
 お前の言い分は、『これからマシになっていくんだから背負い続ける』という話だろ?
 それはお前たちの都合でしかない。
 お前達はお前達の罪を自覚していなかった。
 自覚していないから開き直れていた」
 
 

殺し屋 >  
 
「でも、既に自覚した。現に、神代理央はもう壊れ始めている。
 アンタもすぐにそうなる」
 
 

殺し屋 >  
 
「いやもう……なっているよな?
 どうして俺のところにきた?
 どうして神代理央を甘やかさなかった?
 『他の男に色目を使っている場合じゃないだろう』に。
 結局、アンタも言い訳したいのさ。
 『謝罪はしないが、頑張ってるから自分の罪は見過ごしてくれ』とな」
 
 

殺し屋 >  
 
「でもそんなの、『アンタ達のハッピーエンドを望まない全ての者』にとってはどうでもいいんだ。
 だから、アンタ達はそれを知るだけでいい。
 知るだけでアンタ達のハッピーエンドは訪れない。
 アンタ達の後ろめたい気持ちはアンタ達の心を殺し、手放しの幸福を殺す。
 そうして、アンタ達は死ぬのさ。
 何も楽しめなくなって、何も誇れなくなって、何もかもに怯え続けるんだ。
 これから、そうなるんだ」
 
 

レザーズ >  
「……なるほど」

知ってしまった事が『死』と言いはじめた男の理論を聞いて、
思わず感嘆の声が出てしまったが、口を手で抑えてもう片手でどうぞと手振りする。

水無月 沙羅 > 「だから、そうやって理央さんをシステムに、装置に戻すことで殺すんですね。
 私もその一部に組み込んで。
 だから私も殺さないといけない。
 あの人の一部になってしまった私も。

 ……お生憎様ですが、私は十二分に罪を自覚しています。
 私は殺した、死んで殺して、殺されては死んで、そればかりを繰り返してきた。
 えぇ、貴方は全てを見た来たような口ぶりをおっしゃるなら、それも分かっているでしょうに。
 あの、『地獄の領域』で、私は十分に自分たちの罪を自覚した。」

「見損なってくれないでください、殺し屋さん。
 私はもう何度も壊れて、それでもそれを背負ってきたんです。
 手放しの幸福何て訪れないかもしれない、罪悪感に呑まれてうつむく日だってあるでしょう。
 でも、それで何も楽しめなくなるなんて、そんな悲しい終わり方にはさせない。
 させたくないから、私はあの人を甘やかさなかった。
 いいえ、甘やかすことは出来なかった。
 今あの人のお人形になってしまったら、それこそあなたの目論見道理になってしまう。」

水無月 沙羅 > 「ハッピーエンドじゃなくていい、ありふれた幸福を望んでいるわけじゃない。
 私は彼と共に『生きていく』それだけを望んでる。
 だから、貴方が邪魔なんだ。」

どうせまた録音録画がされているのだろうと、あたりを見渡す。
どうしたら、この人の口を閉じらせられる?

殺し屋 >   
 
「もう終わってるよ。神代理央もアンタも壊れた。
 以前のような向こう見ずな事は出来ない。
 アンタ達は俺の言葉に合わせて自分のキャラクターを歪めた。
 ハッピーエンドを歪めた、『失敗して崩れ落ちる』なんて当たり前の事すらできなかった。
 『自分たちが奪ってきた他者の幸福』に対して『申し訳ない』とすら思えないからそうなっている。
 ハッキリ言えば」
 
 

殺し屋 >  
 
「アンタは俺に『参りました』と言わせたいだけに見える。
 『言い訳』だらけだ。
 『負けを認められない』んだ。
 『失敗を認められない』んだ。
 『それをしたら水無月沙羅というキャラクター』ではなくなるとでも思っているのか?」
 
両手を広げる。

「で、俺が邪魔なら、どうするんだ?」

水無月 沙羅 > 「申し訳ないと思っていない人が、あんな涙を流すわけないだろう……。」

知ったようなことを、彼のことを全て知っているかのように宣うそれが、腹立たしくて仕方がない。

「えぇ、そうです。 参ったと言わせたいんです。 参ったからもう許してくれと言わせたくてここに来ました。
 あの人に手を出してほしくないから。
 言い訳もします、負けだって認めたくない、それはいけない事ですか?
 人の死に申し訳ないと思っていないという事が失敗だというなら、それは違う。
 少なくともあの人は、そんな冷酷な人じゃない。」

両手を広げる道化師を見据えて、それでも。

「こうして言葉を交わす程度のことしか出来ませんよ。
 貴方を捕まえてしょっ引くような権限は今はありませんから。
 あってもできないようになっているんでしょうけれど。」

殺し屋 >  
 
「やればできるだろうさ。俺を捕まえる理由をアンタが作ればいい。
 丁寧に自分でやればいい。
 一つ一つ全部詰めて行けばいい。
 ショートカットしなけりゃいいだけだ」

道化師は、以前と同じ非武装。
道化の仮面にあとは平服。
武器は何一つ携帯していない。

「じゃあ負けを認めて、その涙を流しながら謝罪会見でもしたらいいんじゃないか?
 それもしないから、殺し屋なんて差し向けられる。
 『じゃあ仕方ない』と思って貰えないから、こうやって殺意を向けられる。
 アンタ達のやってきたことは間違っているから、こんなことをされる。
 少なくともアンタ達に不本意に殺されてきた者達にとって……アンタ達の行いは全て間違いに見えるだろうさ」 
 
 
 

殺し屋 >  
 
「『命を奪う』というのはそれほどまでに重い事だ。
 それをアンタ達はまだ理解していない。
 だから……平然と『開き直れる』のさ」
 
 

水無月 沙羅 > 「その機会を奪ったのも、貴方でしょうに。」

彼のいう事は間違っていないという事は、沙羅にでもわかることだ。
ただ、それを理由に殺されるというのを、認められない。
正しさに屈してしまったら、間違ったものは死ぬしかないなんて、おかしいじゃないか。
正しさを武器にする、殺し屋を睨むことしか出来ない。

「……だから、私はあの人を止めなくちゃいけない。
 実に皮肉なことですけれど、泣いて謝らせることが、私のするべきことだから。
 貴方に合いに来たのは、その邪魔をしてほしくないから。」

最後の最後で、妙な一致点が見つかってしまう。
それが、どうにも悔しい。

「命が重いことぐらい、分かっているつもりです。
 開き直ったつもりもない。
 開き直っているのなら、こんなに苦悩したりしない。」

言葉に力は無く、それでも瞳だけは背けない。
背けてはいけない、それは逃げと同じだから。

殺し屋 >  
 
「機会はいくらでもあるさ。
 先日の動画だって別に興味がない連中にとってはどうでもいい。
 政治家の不祥事みたいなもんだ。
 誰でも見れるが、誰も見なくていいものだ。
 今からでも何でもできる。
 最終的に『当事者だけが納得すればそれでいい』だろう。
 俺の依頼人が納得すれば、それで終わりだ。
 他の全ての他人にとっては、アンタ達の全てがどうでもいいことだ」
 
淡々と、殺し屋は続ける。

「『間違った方法』を続けるから、俺のような『間違った手段』を差し向けられる。
 自業自得だ。
 俺も、アンタ達も」
 

水無月 沙羅 > 「妙に、優し気な言葉をかけるじゃないですか。
 まるで、最初から『間違っているから修正するなら今の内だ』
 って、言いたかったみたいに。」

殺す、死んだ、そう言っていた殺し屋のセリフとは思えない。
まるでこちらにヒントを与えているかのように、最善ではなくとも、最悪の結果は免れる方法を教えているように。

「間違った手段と分かっているなら、なぜ。
 いえ、愚問ですね。
 質問を変えます。
 俺もってどういう意味ですか。」

殺し屋 >  
 
「俺が依頼されたのはアンタ達を『殺す』ことだ。
 手段は問われていない。 
 『神代理央』が『神代理央』を続けられなければそれでいい。
 『水無月沙羅』が『水無月沙羅』を続けられなければそれでいい」

殺し屋は、鼻で笑った。

「殺し屋なんて自業自得な稼業と、アンタ達にどう違いがある?」
 

殺し屋 >  
 
「俺とアンタ達は同じさ。殺し続けてきたんだ。
 だから、殺されるんだ。
 同じことさ」
 
 

水無月 沙羅 > 「……あなたの目的と、やりたいことは大体わかりました。
 それを完全に理解できているとまでは言いませんが。」

溜息をつく、『殺し屋』とはよく言ったモノだ。
これでは言葉遊びだ。
彼が殺したかったのは、『命』ではなく、『現状』だったというのなら。

「余計なお節介屋に名前でも代えたらどうですか、殺し屋さん。
 少なくとも、私は貴方の望むとおりに、『神代理央』を殺すんでしょう。
 今までの自分と一緒に。」

「疲れました、認めますよ。 私の負けです。 この事件が起きた時点で、私たちは死ぬのが決まっていた。
 えぇ、そういう事なんですね。
 いや、最初に言ってましたっけね。」

肩を落として、来た道を振り返る。

「でも、それでも、理央さんに言った言葉を、私は生涯許しません。」

殺し屋 >  
 
「アンタ達に殺された連中だって生涯アンタ達を許さずに死んだろうさ。
 だから、俺みたいなのが現れるんだ。
 同じことだ」
 
 

水無月 沙羅 > 「……そうなんでしょうね。
 精々、また同じことが起きないように、祈っててほしいものです。」

もう語ることもない、聴くこともない。
後は自分がするべきことをするだけだ。

ご案内:「落第街大通り」から水無月 沙羅さんが去りました。
殺し屋 >  

「殺し屋に無茶苦茶をいう女だ」

道化の面は嘆息する。

「なぁ、『嘘吐き』……アンタもそう思わないか?」

レザーズ >  
「ははは!君も君なら彼女も彼女、好き放題言い合ったもんだねぇ」

笑いながら『殺し屋』言葉に同意する。

殺し屋 >  
 
「俺は仕事をしただけだ。
 それも今日のところは終わった。
 今日は店仕舞いだ。
 この場に俺が殺す相手はもういない」

道化師も、一歩下がる。

「アンタを殺す依頼はまだ受けていないしな。
 ――まぁ、すぐに受ける事になるかもしれないけどな」
 

殺し屋 >  
 
「『嘘』は――『悪い事』だからな」
 
 

ご案内:「落第街大通り」から殺し屋さんが去りました。
レザーズ >  
「君の殺し方はそうだね、人にはよく効く」
 
「私は好きだよ」
 
 

レザーズ > 「とはいえ、彼も酷いやつだな。

 自分は許されなくても仕方ないと知ってやってる人間と

 後から、許されないという怨嗟を受ける人間は決定的に違うだろうに

 同じだなんていうなんて、さ」


あー酷いやつだ、と笑いながら少女の見た目をした何かは影に消える。

「それに、ね。

 君の理屈じゃ、一番死に続けてるのは『誰』なんだろうね」
 
 
 
声だけが廃墟の一角に残った。

ご案内:「落第街大通り」からレザーズさんが去りました。