2020/11/30 のログ
ご案内:「落第街大通り」に夢莉さんが現れました。
夢莉 >  
落第街の大通り。
そこを一人の人物が歩いてゆく。
サングラスで顔を隠し、帽子で髪を仕舞いこんだ姿で歩いているのは、それでも女性にしか見えず。
一見して男性だと気づく者はいないだろう。

「――――」

件の騒ぎから少しの時が経ち、なんとまぁしぶとい事にこの街は既に大分立て直しが始まっている。
騒ぎの元がこなくなったというのも、多くの耳に入ってるみたいで表通りを歩く人間もそれなりに増えてきてる。

とはいえ……前に比べたら人の量は減ったが。
まだ傷跡の残る街を見つつ、煙草を咥えながら煙を吐き出す。

「随分と、まぁ……くたびれちまって」

あの一件はこっちも色々とくたびれた。
煙草を補充がてら落第街の様子を調査しておこうと思ったが……まぁ、まだ回復は3,4割って所か。
馴染みの店でも立ち寄ってみっかな……あの風紀委員のバカにブッ壊されてなけりゃいいけど。

夢莉 >  
馴染みの店ってのは、通りの外れにあるオカマバーだ。
一時期…というか二級学生だった頃にバイト兼下宿先として厄介になってた。
こっちも訳アリだしママもオカマだしで、何だかんだウマが合って居心地がよかった。
オレが正規の学生になった時もお祝いしてくれたっけ。

「無事かな、ママ」

暫く報告にも行っていない。
落第街にあんま近づくなって娘に言ってる手前、自分が入るのも結構気が引けたってのもある。
仕事の方も…落第街に来る事はあったけど、あんまし寄る時間はなかったし。

でもこんなになっちまって、馴染みの店がどうなってるくらいは確認しとかねぇとな。
ママがそう簡単にくたばる気はしねぇけど。

「…酒でも持っていくか」

バーだし、酒はあって困らないし。
オレも偶には飲みてぇ。
家じゃ飲めねぇし、こういう時くらいはまぁ…いいだろ。

夢莉 >  
「娘出来たっつったら目玉飛び出すかもな」

くすっと笑った。
ママはオレが男だってことも知ってるし、何より子供望めねぇ体だって知ってるから。
オレやママみたいな性別がどっかいっちまってる奴にとっては子供なんて夢のまた夢だ。
ニーナ会わせたら、多分孫みてぇに可愛がるんだろうな。
いつか会わせてーけど、まだ先になりそうだ。

それもこれも、ママが生きてればの話だけど。

「さて、と……そうと決まりゃ、酒と煙草だな」

オレの吸う煙草は落第街か異邦人街でしか売ってねぇ。
最近は異邦人街で買ってたけど、今日はこっちで買っとこう。
酒は…何か珍しいの入ってねぇかな。
ママは果実系のリキュールが好みだったっけか。