2020/12/07 のログ
■神代理央 >
「……そんなに暗い顔をしていたかな。尊大さと傲慢さが売りだったんだが」
彼女の言葉に、困った様な笑み。
それに、今回の件は特段彼女に非がある訳でも無し。
此方が言い難い事であるのは確かだが、それでも言わなければならない事でもある。
寧ろ、隠し立てしようとしている此方の方が、言うなれば後ろ暗い側なのだから。
「………何を考えているか、というのは、随分抽象的な質問だな。
だから、次の質問に繋げるかたちで、答えさせてくれ。
一線を守っていた――それを、超えてしまった理由、か」
落第街で、己に石を投げた少年に銃を撃った。
無辜の住民を捕え、時には殺害し、災厄を振りまいた。
それは、嘗ての己でも取らなかったであろう過激な手段。
巻き込む事を躊躇わずとも、明確に住民をターゲットにしたことは無かった。
それを、行った理由。それは。
「……神宮司の襲撃について、園刃が何処迄知っているか、分からない。
公には、犯人不詳のまま、終わっているからな。
だけど、神宮司を襲ったのは…アイツに、拳を振るったのは――」
其処で、言葉に詰まる。
聞かれたら話す、といっておきながら。
「………私は、その犯人を知っている。けれど、それを明らかにすることが出来なかった。神宮司にすら、それを言う事は出来なかった。
特務広報部が、あそこ迄過激な行動に出たのは、その代償だ。
私は、神宮司襲撃の犯人を"知らない"という事にする代わりに。
特務広報部は、風紀委員会の過激派の狗に成り果てた」
「それは、私の本意では無かった。有用な手段だとは思っていたが、それを実行に移すには時期も戦力も足りなかった。
……でも、やらなければならなかった。そして、有用だと認識していたからこそ、実行に移す際には徹底的にやった。
日ノ岡の残した部隊を書類上利用し、元違反部活生を兵隊として集めた。神宮司の権限で、潤沢な装備を揃えた。
無辜の住民をターゲットにする事で、徹底的に風紀委員会への恐怖を植え付けようとした。
また、其処に付随する怒りは、全て特務広報部へ。……私へ、向かう様に心掛けた」
堰を切る様に、言葉を紡ぐ。
此れ迄の経緯。特務広報部を動かした際の考えと目的。
"犯人"の名前を彼女にすら語れない、という事実そのものが犯人の正体を現している、ということに。彼女に気付いて貰えるだろうか。
「……結局は、望まぬ仕事でも有用だと思ったから本気で手を尽くした。それだけだ。
そして今は。私が抱える部下達の此れからの処遇と、落第街へ恐怖を振りまく為のやり方を、新たに考えている。
元違反部活生の兵達は、私の庇護が無ければ表で生きていく事も危うい。奴等が真っ当に生活出来るまでは、仕事を与えてやらないと、いけない。守ってやらなくちゃ、いけない。
そして、違反部活が跳梁跋扈する事を避ける為に、今迄の様に住民を狙わず、あくまで犯罪者だけに過激な方法を取る部隊への、変貌を目論んでいる。……取り敢えずは、そんなところかな」
と、一気に言葉を出し尽くした後。
他に何か聞きたい事はあるか、と言わんばかりに首を傾げてみせた。
■園刃華霧 >
「……なあ、理央。
別に、いつでも"鉄火の支配者"でいる必要はないぞ?
尊大さと傲慢さなんて、今は捨てちまえ。
ま、此処じゃ不都合ってんならいいけどさ」
前にも似たようなことを言った記憶がある
神代理央は鉄火の支配者ではない
鉄火の支配者もまた神代理央ではない
どちらも彼ではある、が
そして、語られる胸の内
「……なるほど、な」
彼が隠したかったこと
彼が守りたかったもの
彼が防げなかったこと
それは容易に浮かんだ
正直にいって予感がないわけではなかった
けれどあえて視線をそらしていたこと嫌でも向かい合うことになる
そして彼は向かい合ったからこそ――
「んで、アイツラも理央の世話になった、と。
で、今度はアイツラの面倒をみる、と。
まったく、お世話さまなことだな」
彼がぼかして、あえていわないこと
それは察したので、こちらもあえて流すことにする
彼は結局のところ、甘い人間で
結局のところ、誰かのため、と、何処までも自分を殺して尽くして
……
「本意、ではなかったんだな。
まあ、いずれやるつもりじゃあったみたいだけど……
けど、ソイツは。其の計画は少なくとも、もうちょっとおとなしい感じだった、んだよな?」
確認するように、相手をみる
そうであるはずだ、と半ば期待する自分もいる
「……やれやれ。
あと、聞きたいこと、か……そしたら。」
ふむ、と考えて
「前もいったけどさ。
おまえは……神代理央は。
満足してるか? 充実してるか?
楽しんでいるか?」
はるか前に、語った話
「好きな物
甘い物。車。大きな乗り物。大きな建物……だっけ。
其の辺は、楽しんでるのか?」
昔聞き出したこと。あえて今は、一部を除外しているが……
それ以外は確かに、彼自身が言ったことだ
「そりゃ、その……"ソレ"が理由、だとしたら。
今回はそうなるしかなかった、のかもしんないけどさ……
今はそうじゃないんなら……せめて、もう少し。
気を抜く瞬間も作れよ。
一つのことばっかみてたら、視野が狭くなるぞ」
怒りはない
ただただ、心配だけがあった
■神代理央 >
何時までも鉄火の支配者である必要は無い。
その言葉に、小さく苦笑いを浮かべる。
それは分かっている。分かってはいるのだが、中々それを実行に移すのは難しい。
結局のところ、どちらも己ではあるのだから。
とはいえ"今は"と彼女が条件をつけてくれるのなら――それに甘えてしまおうか。
そして、己の言葉を聞き届け、確認する様に問い掛ける彼女の言葉には、存外素直にこくり、と頷いてみせようか。
「……ああ。本当は、それこそ違反部活だけに搾った組織にする筈だった。犯罪を犯した者に苛烈な態度を取る事で、落第街の住民には"そちら側"へ行かない様に、分かりやすい警告を与える組織にする筈だった。『特務広報部』という名前だけで、犯罪者が怯える様な組織に、しようと思っていた。
同時に、住民達の生活環境を整える事で、時間をかけて落第街という街そのものを健全化する。本来常世学園には此処迄の"貧富の差"というものは生じないはずなんだ。
それを、解消させる為に、先ずは犯罪行為へ手を染めない様な、謂わば懲罰のための組織として、機能させようと、思っていた」
彼女の言葉に頷きながら、元々過激な住民への対処は本意ではなかったと告げようか。しかし。
「……とはいえ、それは時間がかかるやり方だ。そして、今迄の特務広報部のやり方は、過激で苛烈ではあるが、落第街という街を消し飛ばしてしまうには、短期的に有効だった。
だから、手を抜かなかった。それが劇薬だと分かっていて、本意では無くても。取るべき手段として間違っているとは思わなかったから――"俺"は、此の街の住民を殺した」
本意では無かった、といえば許される訳でも無い。
それに、そのやり方が有効だとも思っていた。
それらを正直に告げれば、決して許しを請うことも無く。
ただ、事実だけを淡々と彼女に告げるだろう。
――そして。彼女から語られた『神代理央』への、疑問。
それに対する答えは――本当に。本当に困った様な、笑顔だった。
「……わからないよ。仕事をしている間は、まあ、充実しているといえなくもない。
でも、入院して、特務広報部の活動が休止になって。やることがなくなってしまって。
どうすればいいのか、わからなくなってしまった」
だからこうして、落第街を訪れてしまったのかもしれないな、と締め括って。
浮かべる笑みは、困った様な――それ以外の感情を押し殺した様な、笑み。
「気を抜いて、なにをすればいいんだろうな。
俺は、すくなくとも『風紀委員』である間は、求められている。
それを求めてしまうのは、しかたないじゃないか」
それは、幼い承認欲求の様なもの。
己のアイデンティティを求める、16歳の少年の苦悩。
「………むずかしいことだよ。今迄してきたことから、力を抜くっていうのは」
そう言って溜息を吐き出すと、懐から取り出した煙草を咥えて火を付ける。
甘ったるい紫煙が、二人の間に流れるだろうか。
■園刃華霧 >
苦笑いを浮かべられてしまった
まあ、そうだろう
結局のところ、どちらも彼であるのは確かで
それを一時捨てろ、というのもなあ……
けれど、少しは応えてくれているのが見て取れる
義理堅いことだ
「なるほど、そりゃ確かに気の長い話かもな。
けど、うまくいきゃ万々歳な感じじゃん。
賢いやり方だと思うけどなー。」
元々想定された運用
それは今までの苛烈さとはまた別種の計画
そういうことまで考えていたのだ、と感心すらさせられる
其の上で、飾らず隠さず語られる真実
目をそらすことなく、臆することも、
謝罪することもなく、
己の正しさを疑わない語り
「まあ、派手にやればな。効果はでかいだろうな。
んじゃ、一個だけ。
間違ってなかったとして、さ。理央に後悔はない?」
間違っていなくとも正しくないことなどたくさんある
ソレに対する感情も、無数にある
ただ、そこだけが知りたかった
神代理央は、自分の行ったことをどう感じているのか
「……で。
もう一つ。間違ってないとしても、だ。それを理央一人が背負うこともないんじゃないの?
一緒に抱えるやつ、作れよ」
もう一つ、上乗せる
少なくとも、規模としては個人の背負う範疇を超えている
一人で抱え込む必要はないはずだ
「……なんか、さー。前、入院したときにも似たようなこと、話したよなー。
そんな前じゃないはずなのに、妙にもう懐かしいけどさ。」
なにをしていいのかわからない
そんな迷子のように語る相手に、へらっと笑って返す
「さっきも、言ったろ?
甘い物。車。大きな乗り物。大きな建物。
その辺でさ、探ってみて面白そうなこともやってみろよ。
甘いもの、なら店回ってみるとかさ。
なんなら、アタシが引きずり回してやってもいいけど」
けけ、と笑う
どうしていいかわからないなら、無理矢理にでもやらせてやるしかないだろうか
「なんにしても、だ。
あーだこーだ考えたって、どうしようもないんだよ。
まずは、なんかやってみるしかない。
例えば、料理だってさ。頭で食べるの?
実際食ってみるしかないじゃん。そういうもんだよ」
頭で答えを出そうとしても、どうにもならないことなどよくある
考えるよりも行動
それがいいときも多々ある
■神代理央 >
「……結果論、というにはまた別だが。
こうして、住民を刈り取る様なやり方が公安の目に余る行為であった以上。特務広報部は本来想定していた活動に軌道修正する予定だ。
恐らく、俺が卒業するまでの間には、落第街の健全化なんて叶わないかもしれない。それでも『元違反部活生を受け入れる特務広報部』という器は残るだろう。
時間をかけて、ゆっくり、けれど確実に。俺は此の街を消し去る。
学園都市にスラム街なんて、笑い話にもならないからな」
それは、途方もないことかも知れない。
この学園の闇は、きっと二人が考えているより、深く、重い。
けれど、それでも。挑むべき価値があるのなら。
やってみるしかない、と。小さく笑うのだろう。
そして投げかけられる「後悔」の二文字。
その言葉には、直ぐに返事は返ってこないだろう。
暫く悩む様に。答えを考えるかの様に。己が、どう思っているのか纏める様に。
瞳を閉じて、静かに考える素振りを見せた後――
「……後悔は、して、いない。だって後悔したら、俺が殺した連中は無駄死にだ。やらなければよかった、なんて、連中にとって悪魔の様な存在の俺が嘆くなんて、あってはいけないことだ。
俺が行ってきたことは、正しくは無いが間違ってはいなかった。
もしかしたら、本当に必要な事だったのかもしれない。
だから、此の街の住民達は死んだ。俺の部下は死んだ。
少なくとも俺にとっては、それは意義のある死だった。
その死を、無意味なものにしないためにも。俺は決して、後悔はしないし、していない」
それが例え非道な事であったとしても。本意ではなくても。
後悔なんてすれば、怒りの矛先を失うものが出て来るかもしれない。
後悔すれば、許して貰える――とは、決して思っていない。
けれど、悔いるにはまだ早過ぎる。彼等の死を、無駄にする訳にはいかない。
だから後悔していない、と。意志の籠った言葉を、彼女に返すのだろう。
「……一緒に抱える、か。それもまた、難しい注文だな。
俺は一度、その手を離してしまった。俺と共に歩むことは、きっと幸せにはなれないと、沙羅の手を離してしまった。
友人、同僚、上司、部下。色んな形はあると思うけど、俺は恋人を手酷く振った男だ。
そんな俺を、今更支えてくれる奴がいるものかな」
それは、不思議と悲壮感の無い言葉。
或る意味で、諦観の籠った言葉かもしれない。
期待していない、と言う方が正しいだろうか。だから、彼女の言葉を柔らかく否定するも、其処に負の感情は無い。
小さな苦笑いを、浮かべるばかりだ。
「……そうだな。もう、随分昔の様な気がする。
そして俺は、結局変われていない…というか、見つけられていないのかもしれないな。
情けない話だ。同じ事を何度言われても、自分自身の在り方に、未だ悩んでばっかりなんだから」
「……面白いこと、か。流石に今更、それを楽しむ資格云々なんて、悲観的なことは言わないよ。
やり方が分からないだけ、なんだ。だから、まあ、うん。見つけてみよう、とは思っている。
………園刃と一緒に?別に構わないけど、お前御淑やかにスイーツとか食べられるのか?
俺の方が女子力高く見える様な事に、ならなきゃいいけど」
なんて、最後の言葉はちょっとだけ揶揄う様に。
まあ、先程の彼女の演技を見れば、割と簡単に御淑やかな女子を演じてもみせるのだろうが。
「だから…まあ、そこについては、園刃のアドバイスに従うよ。
幸い、今はそこそこ時間もあることだし、な」
と、ちょっとだけ元気を取り戻したかのように。
穏やかに笑みを浮かべて、頷くのだろう。
■園刃華霧 >
「アタシは、そう偉そうに言えた義理じゃないけどさ。
でも、多分……理央は急ぎすぎたんだとは、思う。
まあつっても、事情が事情だったからな。
……仕方ない、なんて言葉で片付けていいもんじゃないんだろうけれど。
けど、やっぱ仕方なかったんだろうさ。」
そういうには、失われたものが多すぎたにしても
それでも、そうでなければ悲しすぎる
そう考えた上で……次なる応え
「うん、そうか。後悔はしてない……か。
そっか、うん。わかった。」
答えは、どちらでもよかった
いや……どちらかといえば……
けれど、それは答えが出て彼なりの応えを聞けた今
余分でしかない
答えが聞けただけで十分だ
「別に、抱えるのはどんな関係のやつだっていいんだよ。
お前の部下だって、風紀の他の部署のやつだって、
それこそ……いや、アジコンはアレか……
まあ、そんな感じ。少なくとも。
お前に関わる連中がいるかぎりは、支える連中なんているもんだろ」
相変わらず、他人が見えていないというか……自罰的というか……
とにかく自分が中心なんだよな
自分を含めた周りをみてくれればいいけれど
「ばーか。
自分のあり方、なんてどうせいつだって悩むもんだよ。
だから悩め悩め、動け、色々やれ」
悩んで動かなきゃ死ぬだけだ
そういう生き方をしてきたから、ついそういう言い方になる
「………」
ほう、そんなことをいうか
いいだろう、ならば
「お淑やか?
あら? そんな高級スイーツでも食べにいくんですか?
まあまあ、それもいいかもしれませんね」
すっと……お淑やか、という雰囲気をまとった声音と口調で尋ねる
「ま、なんだっていいけどな。
んじゃ、どっかで行こう。食い物ってだけなら、さっちーとかも結構知ってるっぽいし。
今度その辺も誘うといいのかもな。」
一転、いつもの調子でけらけらと笑う
■神代理央 >
「……それは、まあ、その通りだと思う。
理由がどうあれ。事情がどうあれ。俺は、急ぎ過ぎた。
失わずに済んだ筈の多くのものを奪って、踏み躙って。
急ぎ過ぎて、息切れしてしまったかな」
今更、どうしてこうなってしまったのか、等とは言わない。
それでも、急ぎ過ぎたと。仕方なかったと告げる彼女の言葉に。
力無く、笑ってみせた。
そして、後悔していないと告げた己の言葉に、それ以上深く問い掛ける事の無い彼女を、静かに見つめていた。
予想通りとも、予想外とも言える様な、彼女の反応。
それが例え彼女の望まぬ答えだったとしても――それを覆す事は、決して出来なかった。
「……むう。いやまあ、支えられていない、とは決して言わないけど。
それとも、俺が"支える"という言葉を重く捉え過ぎているのかな。
余り、自分の苦労を他人に押し付けたくはないんだけど…」
支えてくれる人がいない、とは断じて思わない。
けれど、それらの人々に何処まで己の抱えるものを渡して良いのか。
どれだけ、苦悩や悩みを打ち明けていいものか。
こうしてみると、分からないことだらけ。
異形の動かし方や、戦場での駒の進め方なら幾らでも分かるのに。
「……何というか、園刃らしいというか、何というか。
悩むのだって、結構疲れるんだぞ?……いや、悩む事に疲れて仕事にかまけているのは否定出来ないから、あんまりそう言う事も言いたくはないんだけど……むむ…。
……まあ、うん。考え過ぎず、動いてみることにする。
学園祭もあることだし、少しくらい、何かしら切っ掛けもあるだろうし」
と、彼女の言葉にクスリと笑みを浮かべて。
そしてやっぱり、息抜きと仕事の在り方に悩み始めて。
それでも最後は、彼女の言葉を受け入れるのだろう。
学生らしく過ごしてみたいと、思わない訳じゃないのだから。
「うわ」
思わず声が出た。
いや、別に似合っていない訳じゃ無いのだが。
今は何だか妙に薄汚れた格好だからあれだが、身形を整えれば元々整った顔立ちではある。ファンクラブが云々とか、小耳に挟んだ事もある。本人には言った事は無いが。
しかし、普段の彼女を知っていれば。まあ、その。違和感が凄かった。
「……ん、そうだな。何か美味しい物でも食べて、気分転換するのは良い事だろうし。
誘うと言えば。特務広報部にも面白い連中が居てな。今度紹介するよ。何かちょっとへっぽこな妖刀使いの女子と、武術極めてます、みたいな感じの槍使いの女子なんだが――」
知り合いや友人を誘って、美味しいものを食べに行く。
落第街でするには、ちょっと相応しくない会話かも知れないが。
それは間違いなく"日常"を楽しむ為の第一歩。
普通の学生らしい、在り方。
それを考えるきっかけと手段を与えてくれた彼女に感謝しながら、会話は弾むのだろう。
そうして。
敵意から不審と困惑へ向けられる視線が変わる頃。時間が随分と経ってしまった事に気付けば。
「……こほん。取り敢えず、学生街まで送るよ。
流石に、女子一人落第街に放って帰る訳にはいかないからな」
と、つい話し込んでしまった事に気恥しさを見せ、それを隠す様に咳払いを一つして。
彼女が同意してくれれば、ちょっと重たい悩みや、美味しいスイーツの店の話を続けながら。
二人でのんびりと、帰路につくのだろうか。
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。
■園刃華霧 >
それは非日常から日常への歩み。
二人は落第街から学生街へと歩いていった
ご案内:「落第街大通り」から園刃華霧さんが去りました。