2021/01/27 のログ
ご案内:「落第街大通り」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ > ふー………。
深く深く一つ吐息をついて。額から汗を拭う。
しっとりと湿った修道服からちらちらと舞い落ちる雪を払い。

「………いやぁー………。」

小さく声が漏れる。
ほんの少しのやり切った感と、ほんの少しの罪悪感。それが入り混じったもの。

「………やりすぎちゃいましたかね?」

てへ、と舌を出して。
酔っ払い同士の喧嘩に巻き込まれたことが切欠の大立ち回り。
髪の毛を掴んで引っ張ってきた方が悪い。
思いっきり投げ飛ばしてすっきりした、なんてことはありません、念のため。

マルレーネ > 「……まあ、こういうところだからこそ修道院はあるべきだ、とは思いますけど。」

今日のお仕事は古い修道院のお掃除。
以前から幾度となく出入りはしているのだが、来るたびに問題が起こる。

1度目はカップルの情事の真っ最中だった。 説教をした。
2度目はなんらかの怪しげな取引をしていた。 説教をした。
そして今回は酔っ払いの大宴会場になっていた。

「確かにここに管理人を常駐させるわけにはいかないんですけど………。」

とほほ、と肩を落とす。
誰か一人ここに常駐して管理をすれば、という話をしようものなら、肩に手を置かれて、ありがとう! とされるのが目に見えている。

ご案内:「落第街大通り」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
「――おや」

 『仕事』の帰り道、ふと古巣を通ってみれば、いつも通りの喧騒の音。
 けれど、そこに居たのはちょっとだけ、この街があまり似合わない修道女。
 古い修道院というシチュエーションとだけは、噛み合って見えなくもないけれど。

「こんなところでご近所さんに会うなんて、意外なものね」

 倒れていたり、逃げ出していく酔っ払いどもをしり目に、修道院の中へするりと入る。
 そこに立つ姿をみれば、やはり見覚えのある人間に間違いなかった。

「こうしてご挨拶するのは初めてかしら。
 はじめまして、シスター・マルレーネ。
 貴女の噂はよく聞いてるわ。
 お悩み相談、話をよーく聞いてくれるって評判よ」

 修道女に対して、挨拶をしながら笑いかける。

「私は迦具楽。
 貴方とはご近所さんになるわね。
 何度かすれ違った事くらいはあると思うけど、覚えてくれてるかしら」

 と、気安い調子で、とんとん、と歩み近づいていく。
 

マルレーネ > 「……おや。 ……あー。」

ご近所さん。宗教施設の中で通りの大掃除をしていた時に見かけた記憶がある。
挨拶をした記憶がある。
にっこりと微笑みかけて。

「………ちょ、ちょっと待ってくださいね。 いやあもう、こんなところで寝ちゃあだめですよー。」

とっても棒読みな言葉を漏らしながら、投げ飛ばして失神している男を長椅子に寝かしつけて。ふう、と汗を拭う仕草。
いやあ、流石に修道院に入ったら修道女が男性を失神させていました、はしゃれにならない。

「…………噂ですか。
 あ、そういう。 ああよかった。 乱暴だとかそういう噂でも経っているかと思って。
 ええ、お久しぶりです。」

お茶も出せませんけど、なんて苦笑をしつつも、入ってくることも近づいてくることも気にせずに。
見下ろすくらいの少女に微笑み抱えて、膝を折って視線を合わせてくる。

迦具楽 >  
 役者にはなれなさそうな棒読みっぷりに少し笑いそうになりつつ。
 とりあえず、失神してる男には触れない事にして。

「乱暴、ねえ。
 そういう噂は覚えがないけれど。
 聞き覚えがあるとすれば――少し前に長期入院してたとか、時々妙なカソック姿の男が出入りしてるとか、異邦人街恋人にしたい女性ランキングの上位常連だとかくらい?」

 特に彼女に関して悪い噂を聞いた事はない。
 ただまあ、その長期入院の頃は、彼女を知る人の間では随分心配されていたのは覚えているが。

「うん、基本的に貴女がいいヒトだって話ばかり聞くわよ。
 だからじゃないけど、こんなところで見かけるとは思わなかったわ」

 そう、ここは落第街である。
 一般的な『いいヒト』が出歩くような街ではないのだ。
 

マルレーネ > 「本当ですか?
 あー、あー、あー。」

一つ目。その通りだ、長いこと入院していた気がする。
二つ目。多分その通りだ。なんか怪しい人が出入りしていた気がする。下着返して。
三つ目。

「いやいやいや!?  いや最後のは知らないですけど!?
 そんなランキングあったんですか!?」

それはそれでなんか、こう、褒められているのだろうけれど恥ずかしい。
頬を赤くして、いやいやいや、と首を横に振る。

「……いいひと、いいひと。
 そう、ですかねぇ。 そういう意味なら、この場所がきっといいものなんだと思います。
 だって私は、教えをそのまま守っているだけですしね。」

と、ウィンクをぱちりと一つ。

「ですから、ここの掃除をしろ、って言われたらそれはそれ。
 こう、外様ですから、少しでも他の人がしづらいことをしないとですし。」

まあ、荒事は慣れてるっちゃ慣れてますしね、と肩を竦めて、人差し指を自分の唇に当てて、秘密ですけどね、と笑いかけ。

迦具楽 >  
「えっ、知らないの?
 結構人気みたいよ、シスター。
 異邦人街の学生の間じゃ、隠し撮りのブロマイドが高値で取引されてるとか、いないとか」

 なお、事実は迦具楽もよくしらない。
 あくまで噂ですから、噂。

「ふーん、そういうモノかしら。
 まああの街は良いところよね、私も暮らしやすいもの。
 ――だからって、女性一人をこんなところに派遣するのはどうかと思うけど」

 他のヒトがしずらいというか、この修道女が頼まれると断れないだけではなかろうか。
 他にも面倒ごとを押し付けられていそうな気がする。

「まあ、この街にその身なりでいて平気なんだから、それなりなんでしょうね」

 なにとは言わず、ちら、と長椅子に横たわる男性に視線を送り。

「でも、この街、たまにバケモノよりもバケモノみたいな人間もいるから、気を付けた方がいいわよ。
 これはこの街の先輩としての忠告よ。
 自分を大事に! 人間生きててなんぼなんだから!」

 と、迦具楽も負けじと人差し指を立てて、真面目そうに言う。

「まあ路地裏にでも行かなければ、めったな事もないだろうけどね。
 だからって、あんまり安請け合いしちゃだめよ?
 貴女みたいな人が傷ついたら、きっと悲しむ人が大勢いるわ」

 なんだかんだ、頼まれたからといえ、ほいほいやってきていい場所でもないのである。
 そして、少しでも危険があるという事は、可能性はゼロではないのだ。
 それこそ、ほぼ初対面の相手でも心配になるくらいには、迦具楽の知る落第街はヤバイ連中の棲み処だったのだ。
 とはいえそれも、もう四年も前の印象になってしまうのだが。
 

マルレーネ > 「えぇー………
 いやいや、そんなまさか。 写真くらいは別にご自由に、って感じではありますけど………
 あんまり見られる格好は意識してないんですよね……」

土塗れになって畑仕事をしたり、服のまま川に飛び込んで沈んだものを拾い上げたり、酔っ払いを投げ飛ばしたり。
どう考えても写真映えしないことばかりしている気がする。
あと風評が悪くなりそうな気がする。

「………ああ、いいんですよ。
 化け物みたいな人はいることは承知はしていますけれど。
 だからこそ、本当に普通の人をここに行かせるわけにもいかないじゃないですか。

 いやなに、こう見えても荒事関係は経験豊富ですからね。」

頬をぽりぽり。
そうですよねー、ここ危険なんですよねー、なんて苦笑をしながら。
それでも、どん、と自分の胸を叩いて。 自信満々の素振りはして見せる。

「それに。 そういう意味でなら、私が言う側じゃないですか?
 こんなところで出会うなんて思ってませんでしたよ?」

見た目的にも当然そうだろう。 お説教する立場に自然に立つ修道女。

迦具楽 >  
「――もう、そんな調子だから、こんな場所の仕事頼まれちゃうのよ。
 まあ、わかってやってる人間を止める理由もないけど」

 何も知らないでやらされているのでないなら、諸々の覚悟があっての事なのだろう。
 なんでまた、そんな命懸けまがいの事をしているかまではわからないが。
 それを置いてまで止めるほど、まだ彼女とは親しい関係ではないのだ。

「む、それを言われると困るわね」

 そして、立場が入れ替わってしまえば、もちろん自分にも言える事なわけであり。
 ぽりぽり、と頬を掻くのは今度は迦具楽の方だった。

「私はなんていうか、慣れてるのよ。
 元々ここの出身なのもあるしね。
 時々、古巣見たさに見回ったりしてるの。
 見回りって言っても、気に入らない取引を気まぐれに潰したりとか、そんな程度の事だけど」

 今日も表通りでシスターを見かけなければ、裏路地に顔を出して、胡散臭そうなやつを二三人とっちめるつもりだったのだ。
 だがしかし、出会ってしまったのだから、予定は変更されるべきである。

「でも、今日は大人しく帰るわ。
 近所のお姉さんに心配かけるのも、不本意だもの。
 だから、貴女も無茶はしない事。
 うっかり深入りしすぎて死んじゃいました、じゃ笑えないんだからね?」

 と、両手を腰に当てて。
 少しだけ頬を膨らませて、子供が拗ねるような仕草で言ってみる。
 それでもきっと、このシスターは『うっかり』無茶をしてしまうんだろうな、と思いつつも。
 

マルレーネ > 「慣れていても、慣れたころが危険だとも言いますからね。
 でもまあ、出身であるならば仕方ないですか。 危ないことは………と言うのは、流石に出過ぎですかね。」

相手を見て、その言葉には全く恐れも強がりも感じない。
となれば、きっと彼女もまた、何かを持っているのだろう。
そう判断して、言葉を紡ぐのを取りやめて。

「ふふ、それじゃあ今日はこのくらいにしておきましょうか。
 女の子を見つけたから家まで送りました、と言えば、そちらの方が優先されるでしょうしね。」

相手のそんな所作を見れば、少しだけ微笑んでその頭に手を置こうとして。
相手の言葉を、ある意味、聞き入れようとする。

「それに、近所のお姉さん、ではちょっとばかり寂しいですし?
 マリーでいいですよ。 そうやって呼んでもらった方が気楽です。」

それじゃあ、一緒に帰りましょうか、なんて、掌を差し出して。

迦具楽 >  
「ううん、そうして心配してもらえるのは、素直に嬉しいわ。
 ありがとう、おねーさん」

 ひっこめられた言葉の先を察して、素直な笑みを浮かべる。
 それは子供らしくもあり、どこか浮世離れした感もある笑みだが。
 この場所であればそれも、不自然でなく見えるだろう。

「あら、送ってくれるの?
 ならお礼くらいしなくちゃね。
 畑でカブが採れたから、おすそ分けしちゃおうかしら」

 頭に手が置かれると、少しだけくすぐったそうに目を細める。
 きっと彼女のこういった距離感が、親しみやすさを生み出すのだろう。
 彼女を慕う人間が多い訳だ。

「あら、それじゃあ遠慮なく。
 よろしくね、マリー」

 ええ帰りましょう、と差し出された手を握り。
 もう一度ちらっと、長椅子に寝る男に目をやったが。
 まあ、そのうち目を覚まして帰るだろう、と見なかった事にした。
 

ご案内:「落第街大通り」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からマルレーネさんが去りました。