2021/02/13 のログ
ご案内:「落第街大通り」に比良坂 冥さんが現れました。
比良坂 冥 >  
落第街の大通り
ビルとビルの隙間…小さな小さな、路地
いかにもに薄暗く、いかにもに、違反生徒の隠れ蓑になりそうな
そんな路地に

「───」

歓楽街方面から歩いてきた制服姿の少女が、平然とした顔で立ち入ってゆく

比良坂 冥 >  
少女はこの辺りに来ることに慣れていた
むしろもっと危険な、スラムと呼ばれるようなエリアにさえ、何度も足を運んだことがある
目的は主にお金のため、売春を斡旋する違反部活とコンタクトを取るため
…だった、が
今日、落第街を訪れた理由は違っていた

故に、比較的落第街でも、浅い…大通り近くの路地中にて、足を止めた

路地に屯する、数人の二級学生達
暗い視線で彼らを一瞥すると、ゆっくりとその口を開く

「……ねえ」

「風紀委員会特務広報部」

「……って知ってる?」

比良坂 冥 >  
屯する少年達から向けられるのは、奇異の視線
"何を言ってんだこの女は"
言葉を向けられるまでもなく、感情が伝わる

「……知ってる?知らない?」

「……知らないならいい。他、あたるから」

応えてくれなさそうな雰囲気を感じ取った少女はくるりと踵を返し、大通りへと戻ろうとする
──と、一人の少年が立ち上がり、早足に近づいてその肩を掴んだ

比良坂 冥 >  
「……?」

緩慢な動作で、振り返る
少年が言うには…知りたければついてこい…ということ
少年の指し示す先は更に薄暗い、恐らくは袋小路になっているだろう、路地の奥

「──……いいけど、ちゃんと知ってることは、教えてね」

再び、暗がりに向け歩いてゆく
他の少年達も立ち上がり、共に奥へと向かった
最初に肩を掴んだ少年は思い切り肩を抱くようにして…逃げられないようにしていたようだった

別に逃げないのに

そう思いつつ、冥は数人の二級学生と共に路地の奥へと姿を消していった

比良坂 冥 >  
………

……



数刻後、少女…冥は路地の奥から大通りへと出る
着衣が僅かに乱れている以外は何も変わりはなく
相変わらず昏い、どこかぼんやりとした陰気な視線を、巡らせて溜息を付いた

"収穫なし"といった様子
制服を適当に整え、首元のチョーカーを撫でる

「……さて、と…──次」

再び、ゆっくりと歩きはじめる

比良坂 冥 >  
──後に日雇いの清掃員がビルの隙間の掃除に入った際に、不可思議なものを見つける

男性のものと見られる衣服が数人分
そして、その一角を埋め尽くす程の大量の──蜚蠊の死骸
その異常な光景は、衣服を含めた生ゴミ等を誰かが投棄した結果…と片付けられた

───……

「…あ」

ちらほらと、白い綿毛のような雪が散り落ちる
落第街にだって、雪は降る
隣の歓楽街に比べてすべてが色あせて見える町に降る雪は、どこかモノクロームな美しさにみえなくもない…かもしれない

「……そうだ、バレンタイン…」

なぜか、雪を見て思い出した

「……何をプレゼントしよう…、よろこんでくれるかな……──」

雪も降ってきたので今日は帰ることにする
その足で歓楽街に足を運び…店などを物色して帰ろう──
何がいいかな──彼に手渡すものを、浮かべながら

ご案内:「落第街大通り」から比良坂 冥さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > ――今日は非番だ。仕事でも無いのにわざわざ落第街まで出向くよう向きも無い。
…筈なのだが、私服姿に武器も持たず何時もの仏頂面で白髪赤目の男は落第街を堂々と歩いていた。

目的はシンプルに煙草だ。この辺りでしか――つまり表側では扱ってない銘柄の煙草を買いに来た、のだが。

「…まさか店が潰れてるとはな…他にあの銘柄扱ってる所は……。」

かつては二級学生だった事もあり、記憶を辿るが矢張りもう潰れてしまった先程の店くらいしか心当たりが無い。
やれやれ、無駄足になったか…と、何時ものように面倒臭い、とばかりに吐息を零しつつ大通りを一人歩く。

雪景勇成 > ――3年前の冬のあの日、とある出来事が切欠で自分は裏から表の住人になった。

――風紀と”取引”を交わし、正規学生になり風紀に所属して3年――環境は変わりはしたが…

「――いや、結局何も変わっちゃいねぇか。」

風紀も敵対する違反組織や部活も、自分からすればどっちも”同じ”でしかない。

大通りを堂々と歩いていれば、服装は違えどこちらの顔に覚えのある者も少なからず居る。
様々な感情が乗った視線を向けられるが特に何も思わない。日常茶飯事、何時もの事だ。

ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
煙草を求め、落第街を歩く彼の耳に、身体に。
地響きの様な音と、大地が揺れる感触が伝わるだろうか。
その音源を探す迄も無い。落第街の住民達が、通り雨を避ける様に疎らに散っていく大通りの先。

落第街の数少ない光源に照らされた、鈍く輝く鋼鉄の獣の群れ。
天を貫く様に掲げられた針鼠の様な砲身を生やした、巨大な鋼鉄の異形の群れが、落第街という街そのものを威圧する様に彼の前方から行進してくる。
文字通り、パレードの如く。武威を喧伝する為の異形の群れは、ズシン、ズシン、と足音を響かせながら前進し続け――彼の少し手前で停止する。

その群れの中から現れるのは、彼も良く知る少年の姿。
折り目正しく風紀委員の制服を纏い、尊大さが衣服を纏ったかの様な態度で、悠々と群れを率いる少年。

「……おや?雪景、か。今日は確か非番だと聞いていたが……」

落第街に居るだけで仕事かと認識してしまうのは悪い癖の様なものだろう。
不思議そうな表情で首を傾げながら、同僚である彼に声をかけるのだろうか。

ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > 「……?」

さて、目的の煙草を扱っていた店舗は何時の間にか潰れていたようだし、当初の目的が潰えてしまった。
暇潰しにうろつく――と、面倒な事にしかならないだろうし、大人しく帰るべきかと思い掛けた所で。

よくよく覚えのある地響きにも似た振動音。――あぁ、それだけで誰がやって来たのかは分かる。
ついでに、周囲の落第街の住人達が蜘蛛の子を散らすように道を空ける、とならば尚更だ。

――鋼鉄の軍勢。異形の者共。鉄火の支配者の手足して矛となり楯となる物言わぬ兵団。
相変わらずの威容だが、男は慣れたものか特に動じる事も無くそれを眺めていた。
と、こちらに気付いたかその異形の兵団の動きが止まる。

「――おぅ、ボス。勿論非番だが…ちょいとこっちでしか売ってねぇ煙草を調達しにな。
まぁ、目当ての銘柄扱ってる店が潰れてたから無駄足だったんだが…。」

何時もの無表情のまま、特務広報部の我らが部長に右手を緩く挙げて挨拶を交わす。
基本的に仕事は面倒臭い、と言いつつきっちりこなす男だが、わざわざ自分から仕事に取り組むほど熱心ではない。
あくまで与えられた指令(オーダー)をこなす事だけに注力し、それ以外は割と怠け者と言えなくも無い。

「そういや、ハバキリが捕虜にした女の聴取はどんな塩梅よ?俺にはまだ最低限しか情報伝わってこねーんだが。」

そもそも、その情報が何処まで本当かが分からない。それに男は聴取に参加してもいない。
肝心のその本人と接していないので、情報の真偽を見極めようがないのだ。

(――やっぱ俺も一度面を拝みに行っておくべきかね…)

ボスに尋ねながらぼんやりとそう思う。

神代理央 > 列を成す異形の群れが立ち止まっただけで、既に周囲へ与える威圧感たるや絶大なもの。
そんな中で、暢気に言葉を交わし始める二人。落第街の住民からすれば『頼むから早くどっか行ってくれ』と言わんばかりであろうが。

「ふむ、煙草か。此方にしかない、と言うのはよもや違法な代物ではあるまいな?」

と、咎める様な言葉ではあるが、声色は穏やかなもの。
実際、まさかそんな訳もあるまいなと半分冗談の様な口調だ。

「島外の品であれば、直接仕入れた方が早いぞ。私もそうしているし…欲しい銘柄があるなら、今度業者に声をかけようか?」

まあ、己の銘柄は高級なだけで島外では普通に流通しているもの。
単に、此の島では人口層の問題もあって、ニッチな銘柄の取り扱いが少ないというだけの事であった。
それ故に、何カートンか纏めて島外から輸入しているのだが。彼の分も仕入れようか、と尋ねてみる。

「一度聴取をしてみたが…あれは口を割らぬだろう。いや、情報を喋っていない、という訳では無いし、今でも反抗の様子は見せていないが…」

「……何と言うか、そうだな。『諦めていない』んだ。あの捕虜は。何がどう、とは説明し難い。現場に出る事が多い私の勘の様なものだ。外れているかも知れないがね」

「雪景も一度会ってみると良い。私には見えなかった事。分からなかった事も、君の視点からなら新しく見えるものもあるだろうし」

と、其処まで言葉を紡いだ後、懐から取り出したシガーケース。
一本口に咥え、無駄に装飾の多いオイルライターで火を付ける。
甘ったるい紫煙が、二人の間を流れるのだろうか。

「……一本いるかね?甘い香りが苦手でなければ、良い煙草だ。
……ああ、そうだ。一度聞いておきたかった事があるんだが」

彼に歩み寄り、シガーケースを差し出しながら。

「…どうだね、特務広報部は?特別攻撃課と比べると、汚れ仕事の多い環境だとは思うが。働きにくい、とか。彼方の方が良かった、とか。そういう事があれば、教えて欲しいんだが」

雪景勇成 > 勿論、この二人がそんな落第街の住人達の悲痛な思いなど意に介す訳も無く。

「少なくともやべー成分とかの類は入ってねーな。ちょっと香辛料系のフレーバーが効いたヤツ。」

扱っているのはこちらだけだが、元を正せば島外では正規で使っている銘柄だ。
流入ルートは違法かもしれないが、ブツそのものは島外のそれと全く同じ。

「直接ねぇ……あ?業者?…あー、俺のも島外では正規に出てるモンだし、じゃあお願いするかねぇ。銘柄は――」

と、その煙草の銘柄と原産国、箱の特徴などをボスへと簡潔に伝えておこう。
業者に声を掛けてくれるなら、もしかしたらカートン単位で纏まって手に入るかもしれない。手間が省ける。

「――成程。俺はまだ直接姿を見ても話してもねぇから、憶測でしかねぇが…。」

ボスの言葉に少し視線を宙に向ける。情報は喋っているし反抗の様子も無い……ふむ。

「一応俺もボスに同意だな。多分何か”算段”があるような気はするぜ。
具体的にどうこう、は俺もわからねーが、むしろ捕虜の立場を”利用”してる気もする。」

とはいえ、そこは矢張り憶測。実際にこの目で相手を見て、直接話してみないと何とも言えないのは確か。

「そうするよ。まぁ他の連中も出向いてるだろうし、合間を縫う感じで適当に。」

(――とはいえ、腹の探り合いやカマ掛けは得意じゃねーし…どうしたもんかね)

駆け引き、というのは戦闘ならいいとしても話術詐術となると自分では厳しい。
まぁ、そこは鬼が出るか蛇が出るか、といったところだろう。

と、彼が喫煙を始めれば自然とその煙草に目が向く。甘ったるい香りと煙。
彼の勧めに、「んじゃ有り難く1本貰うわ」と遠慮なく頂く事にしよう。今煙草を切らしてるし。
シガーケースから1本拝借しつつ、自前のジッポライターで火を点けながら。

「…俺が元・二級学生なのは資料にも載ってたろ?汚れ仕事なんて慣れたもんだ。
それに、ボスの指揮に特に文句はねぇよ。むしろ特別攻撃課の上司のほうがひでぇわ。」

肩を竦めつつ煙を蒸かして。それに――

「どっちも目標を”殲滅”する事に変わりはねーんだ。居心地はまだ日が浅いから何ともいえねーが、俺がやる事は大して変わらねーさ。」

神代理央 >  
「違法で無いのなら仕入れておこう。船便故、少し時間はかかるが…」

と、彼から煙草の銘柄等々を聞けば、頷いて了承の意を示すのだろう。
後日、港止めになっている大量の煙草について、彼に港湾部から連絡が行く事になるのだが――

そして、捕虜についての彼の考察を聞けば、ふむと顎に手を当てて思案顔。
実際に捕虜である少女と交わした会話を思い返しながら――

「…捕虜が齎した情報も、鵜呑みにすべきでは無いのかも知れんな。とはいえ、逆を言えば此方には捕虜からの情報しか手札が無い、とも言える。後手に回っているのは非常に癪な話だが…」

ぷは、と紫煙を吐き出して。

「……まあ、尋問のタイミングは好きにすると良い。
どのみち、違反部活は全て殲滅対象だ。情報の真偽はどうあれ、目に付いた敵は全て焼き払えば良い。それが、我々特務広報部故な」

本当は、落第街そのものを焼き払ってしまいたいが…それは『失敗』した事案だ。
であれば、虱潰しに焼いていくしかない。
小さく肩を竦めながら、言葉を返すのだろうか。

そうして、彼が煙草を受け取って火を付ければ、落第街に似付かわしくない香りが周囲に漂うのだろう。
上質な味わいと、濃厚な煙草の甘い香り。それでいて、喉や咥内を刺激しないまろやかな紫煙。
平和、の名を冠した煙草の中でも、4桁の値が付く代物を、彼は気に入ってくれるだろうか。

「ふむ。現状で文句が無い、と言うのは指揮官冥利に尽きるな。
君の出自は知ってはいるが、何せ特別攻撃課は花形だ。
此処の様に、仲間内からも後ろ指を指される様な場所では無いだろう?」

「それでも、今のところ問題なく働けるというのは聞けて安心したよ。出来れば、そのまま正規隊員になって欲しいものだが」

特別攻撃課から引き抜くのは至難の業かも知れないが。
そんな言葉を口にしてみたり。

雪景勇成 > 「構わねーよ、それまでは似た系統のやつで耐え凌ぐさ。」

その銘柄が一番のお気に入りだが、他の銘柄も吸わない訳じゃあない。
届くまでは別の銘柄凌ぐしかないが、まぁカートン単位で手に入ると思えば楽なものだ。

「――つぅか、多分本当の情報の中にフェイクを混ぜてるっつーのが有り得るパターンだな。
問題は、こっちからは何処までが本当で何処からが偽の情報なのか判断材料に乏し過ぎる。
正直、連中とこっちじゃ情報戦に関しちゃ俺らが後手に回ってる感は否めねーし。
――それに、時間を掛ければ単純な戦力も増強されるだろーよ。」

とはいえ、情報戦に強い正規人員が現状居ない以上、そこは自分達でどうにかやるしかない。
あの小太りのやつがそういう人員を引き抜いてくるか何かしてくれれば楽なのだが。

「――ま、俺は与えられた仕事をこなすだけだ。それ以上でも以下でもねーよ。
本音を言えば面倒臭ぇが、仕事は仕事。手抜きも容赦もしない。」

無表情のまま、こちらも紫煙を吐き出しながらそう言い切る。
プライベートな時間は別として、仕事ならば外道非道だろうが躊躇無くやる。
しかし、この銘柄は初めて吸うが――成程、何となくボスが好みそうな味ではある。
「つーか、ボス。悪くねぇ味と煙だがこれ絶対高級品だろ」と、口にして。
普段自分が吸ってる煙草とは明らかにランクが違うのが分かるのだ。

「俺の人事権に関しては、小太り――あー、神宮司の旦那とうちの上司次第だからなぁ。
まぁ、そこはボスが交渉してくれるなら可能性はあるだろうよ。今はあくまで臨時隊員だ。」

勿論、臨時とはいえ特務広報部の隊員の端くれ。仕事はきっちりこなそう。

「あと、ハバキリはありゃ経験と場数踏めば、暫定じゃなくて正規の副部長にしてもいいかもな。」