2021/03/10 のログ
ラヴェータ > 「貴様は私が普段偏食を極めているとでも思っているのか...?
三食彩豊かに食っている、心配してくれるな」

どことなく失礼なことを口にし出した少年に対してthinkingの絵文字を思わせる表情を向けて。
しかし、三食は摂っているものの、間食が多すぎるな、と心中改善の余地を察して。
...考えないことにしよう。

「チュールなどと安直なものではダメだぞ、理央
そうだな...手作りなどどうだ?喜んでやるぞ?」

塩と砂糖を間違えてもいいなどと付け足してケラケラと笑って。

「ああ気にするな、さっさとこちらに寄越してくれ、理央」

初めて食う食品、そしてその匂い即ち好奇心を激しく唆る。
落第街の住民たちがありつける予定であった食品に、彼らの生命線ともいえる食品に外聞も気にせず容赦無く口先を突っ込んで食事を始める狐。
下品に見えるかもしれないが本来獣とはこういうものである。

「ふむ、美味いではないか
偶には缶詰とやらもいいものだな」

夢中になって一缶食い終えれば、満足そうな表情と共に感想を述べて。
なかなかにお気に召したようで、他にも何かないかと箱の中をまた漁り始めて。

神代理央 >  
「む、すまない。偏見だったな。
てっきりお前の事だから、三食の合間の方が彩っていたりとか
自由気儘に好きな物を好きなだけ、とか。
ちょっとだけそんなイメージがあったからな」

嫌味では無い。本当にそう思っていて、それを素直に詫びる言葉。
彼女が間食の多さを気にしている事など露知らぬ儘
小さな苦笑いと共に首を振った。

「手作り?馬鹿を言うな。拳銃を組み立てるくらいなら出来るが
料理など全く以て微塵も欠片も出来ん。
どうしてもというなら、私が今まで提出した論文でもくれてやる。
手作りには違いあるまい」

うげ、と言いたげな表情。
鉄火の支配者らしからぬ感情的な表情は、同僚や同級生が見れば
驚くもの…かもしれない。

そして、彼女が鯖缶にありつく様を大人しく眺めているのだろう。
この缶詰の為に身を売る住民がいようといまいと。
此の場所では、風紀委員と監査対象の束の間の間食。
或いは、暇潰しでしかない。
何処かで誰かが飢えようと…それは、此方の知った事ではない。

「……ペットに餌をやっている気分だな。
まだ食べるのか?此処には早々物珍しいものも無いと思うが…」

と、お気に召した様子の彼女に苦笑いを向けつつ。
ひょい、と箱の中を覗き込んだ。
ミネラルウォーター。パンの缶詰。ビタミン豊富な栄養剤など。
生きる為には必要だが、嗜好品とはなり得ない食料品が
その箱には納められているのだろう。

ラヴェータ > 「...そんなことはない筈、だ
指導の必要はないぞ、決してな」

僅かに視線を横にずらしつつ、ハハハと乾いた笑いを浮かべて。
どこと無く悪意が感じられない少年の様子にたじろいで。

「論文って貴様、そんなものをもらって喜ぶ輩はいないぞ...ああ、いないぞ
それに出来ん出来んと言っておったって何も変わらんぞ?
これを期に練習してはどうだ?理央」

露骨に嫌がる表情を浮かべる少年に追撃をかける。
論文に関しては...そんな物をもらいたがる輩は本当にいないのではないだろうか?
研究の論文であれば研究者ぐらいなら喜ぶだろうか?

「誰がペットだ誰が
それに私は普段外食ばかりしているからな、逆にこの類のものは食ったことはない...
そうだな、これなどどうだ?」

などと言って引っ張り出してきたのはパンの缶詰。
パンは流石に初めてではないが、缶詰のパンというものにはなかなか興味をそそられたようで。
こちらも鼻先でつついてみたりラベルを引っ掻いてみたりしてから理央の方を見上げて。
そして開けられるのを待たずにまた箱の中を漁り始めて...
今食べるかどうかはともかく、気になったものは全て掘り返して持ち帰るでもする気のようだ。

神代理央 >  
「…………明日から報告書に間食の内容も入れる様に」

短く、事務的な言葉。
しかしそれと共に向ける視線は、所謂ジト目。
微妙に様子の可笑しな彼女に…よもや、と言わんばかりの。

「む、そうかな。これでも現代戦史や政治概論。
軍政関係には少しだけ自信があるんだが…。
まあ、此の島ではそもそも受講者が少ないというのもあって
喜ばれているだけかも知れないがね」

異能と魔術の最先端を行く此の島で、大変容前の戦争や政治など
学ぶ者はそう多くは無い。そういう分野は、島の外の分野だ。
だからこそ、少年が提出する論文はそちら側の研究者には
それなりに喜ばれる。図らずも彼女の予想する通り。
因みに、得意分野以外は並より上程度。
教科書をよく纏めて理解出来ています、程度のモノしか書けない。

「その姿で私が開けた缶詰を貪っていれば、第三者から見れば
立派なペットだろう?
……む、これか?これは余り美味くは無いぞ。災害時の非常用に
作られたものだからな。まあ、昔よりは味も格段に良くなったらしいが…」

なんて、宝探しの様に箱を探り始めた彼女を微笑ましさ半分。
呆れ半分の表情で眺めつつ。


と、そんな二人の耳に、騒ぎ立てる様な足音と車両の音。
どうやら、応援の風紀委員達が漸く到着したらしい。

「……宝探しは時間切れの様だな。さあ、本庁に戻るぞラヴェータ。
帰ったら、お前の食事事情について色々と聞かねばならんしな?」

にっこり、と安心感さえ漂う様な、少女然とした笑み。
しかし、彼女は知っているだろう。
こういう感じで"仲間"に笑う時は――大体、碌な事を考えていない。

そんな会話を続けながら、抵抗されなければ其の侭彼女を抱き上げる。
訪れた風紀委員と入れ替わる様に近くに止めてあった公用車に乗り込めば。
帰路につく車内も、年相応に感情と言葉を露わにする少年と少女の語り合いは続いていたのだろう。

ラヴェータ > 「...わかった」

サッと目を逸らし、苦々しい表情を浮かべながらそう応えて。
心底とまではいかないが中々に嫌々である。

「ふむ、それは...確かに少し興味が唆られるな...
....ホワイトデーの返礼にもらいたくはないな」

中々にズレた返をする少年にジト目を向けつつ、しかし論文自体に興味はあるようで。
こちらの世界で生きていく上で、こちらの知識はわりかし積極的に取り入れていこうという姿勢で生きていることもある。

「わかっていないな、理央
美味い美味くない以外にもあるだろう。珍味があるかもしれん
...っと、時間切れか
もう少し漁って行きたかったのだが...致し方あるまい
それと...うむ...お手柔らかに頼むぞ」

再び視線をそらしつつ、大人しく抱き抱えられ。
人形のように大人しくなった獣の面には後々面倒な目に会うことが確定したことに対する倦怠感と少年の笑みに対する不満気な表情がありありと浮かんでいた。

ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からラヴェータさんが去りました。