2021/04/10 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
常世学園の暗部。塵箱。学園都市という歪な仮想国家の終着駅。
法と秩序を失った街であっても、常世島という一つの島の中に確かに存在する区域であり、居住区であり
公式には『歓楽街の一区画』とされている以上、見て見ぬふりをする訳にもいかない。

かといって、正義感に燃える委員や汚れを知らない新入委員を派遣するには些か早過ぎる。
結果として、こういう場所に派遣されるのは『荒事に慣れていて』『違反生徒に対して暴力を振るう事に躊躇が無く』『戦闘力の高い』委員となる。
まあつまり――己の様な委員が中心となる事が多い。

「……何時来てもみすぼらしい場所だ。再開発する、というのなら喜んで残業の一つでもしてやるのに」

背中から無数の砲身を生やした蜘蛛の様な金属の異形を従僕として引き連れて、大通りを闊歩する小柄な風紀委員。
皺一つないその制服は、落第街の住人との立場の違いを明確に線引きしているかの様。
暴力の化身と共に、周囲を威圧する様に『視察』するその姿は、住民にとっては見慣れた災厄であった。

神代理央 >  
異形が一歩足を進める度に、バラックめいた住居は軋む様に揺れる。
周囲を睥睨する様に向けられた針鼠の様な砲身は、時折ギシリ、と不気味な音を立てて駆動する。
出来の悪いパレードが通り過ぎる事を。災厄の鉄火が通り過ぎる事を。
蛮勇に燃える愚か者が、あの風紀委員に手を出さない事を。
住民達はただ祈りながら、物陰に隠れ、息を潜めていた。

「……何時も此れくらい静かなら、普段から楽で良いんだがな」

懐から取り出した煙草に、オイルライターで火を付ける。
上質で甘ったるい紫煙が、薄汚れた街へと漂っていくのだろう。

神代理央 >  
少年の『視察』は、落第街を一通り回って終わりを告げるのだろう。

ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。