2021/08/31 のログ
ご案内:「落第街大通り」にシスター・マリーさんが現れました。
シスター・マリー > まあ、まあまあ。まあまあまあ。
ケンカというのはどの世界でも起きるもの。
酔っぱらいはもちろん、プライドのぶつかり合いや、利権の奪い合い。
暴力はある意味、どの世界であろうと通じる言語とも言われるわけで。

「とはいえ、なんでここの教会前でやりますかね。」

とほほ、と遠い目で竹箒を使って掃き清める修道女が一人。
派手に暴れたものだ。
窓ガラスは壊れ、壁は突き破られ、長椅子は真ん中からへし折られ。

ケンカをした二人は、勝ち負けはともかくすっかりトンズラしてしまった。
結果、後からやってきた彼女が一人で片付けることになった次第である。

「いや私じゃないですからね。」

集まった野次馬に、うわあゴリラ、とか言われて思わずツッコミを入れる。

ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
「すっかり不幸属性が板についているのではないかな。それとも、そういう教義や信仰なのかな?」

果たして竹箒で片付けられるのか、という惨状に苦笑いしながら近づく少年。
よく見ると…いや、よく見なくても酷い有様だ。
ここでプロレス大会でも開いたのだろうか。

「ほら、手伝わないなら散れ。手伝う、というのなら塵の一つでも拾え。同じ掃溜めなら、少しは世の役に立つ掃溜めになったらどうなんだ」

と、周囲の野次馬を追い払っているのか煽っているのか。
ともあれ風紀委員としての威光を存分にひけらかしながら、散乱した瓦礫だの木材だのを拾い集め始める。
…御世辞にも、手際が良いとは言い難い。

シスター・マリー > 無論、彼女の言う通り彼女は一切この破壊に関わってはいない。
彼女がキレたらこんなもんじゃすまない。
どっちかというと、彼女がケンカするときもこういう壁とかは利用する方だし。

「………はぁー……。いえいえ。最近はきれいになって来たほうですよ。
 ほら、こうやって壊れていたら野次馬が来るんですから。」

元々壊れていたことが当たり前なのを、壊れていることが異常であると感じるようになったんですから、と口にしつつ。

「いいんですよ、見せるのも大事なんです。
 壊したら誰かが片付ける、そう思って動く方もいますけど、ほとんどの方は「どうせ壊しても誰も見ていないんだから」がきっかけになることが多いんですよ。
 ですから、こうして片付けている姿を見せることも、大事なことなんです。」

なんて、穏やかに声をかけて。ほらほら、危ないですよ、なんてガラスを拾い上げる。

「まあ、受け売りですけどね。
 私に片付けにいけっていう人の。」

てへ、と舌を出して笑って。

神代理央 >  
「……随分とまあ好意的な捉え方というか。ポジティブ思考なことだな。
別に悪い事では無いと思うし見習いたいところではあるが…」

確かに、元々壊れていた場所が綺麗になり、それが維持されていれば壊れている事は異常なのだろう。
何事か、と野次馬が集まるのも理解は出来る。
それは理解出来る。理解出来るのだ。自分が理解出来ないのはそうではなく――

「…そうやって、片付ける姿を見せるのがマリー独りだけ、というのが腑に落ちないところではあるがな。
この街の住民が、いつか自主的に片付けを手伝う様になるとは思えない。壊れる頻度も、少なくなるとも思えぬ」

声をかけられても、黙々と塵を拾い続ける。
異形を召喚したら、却って塵が散らばるかな、なんてぼんやり考えながら。

「良い言葉だとは思う。正しい事だとも思う。
だが私なら、金をかけて人を雇ってとっとと掃除を済ませてしまい、風紀委員を常駐させて不埒な輩を追い払う方が手っ取り早いと思うがね。
人の善意を疑う様な言葉は、マリーには向けたくは無いが」

笑う彼女に呆れた様な視線を向けて――僅かにその表情が歪む。
右手の人差し指に突き刺さった小さなガラス片。
我ながら不器用極まりない、と溜息を吐き出しながら乱雑に引き抜いた。

シスター・マリー > 「それはその場所に根付いた文化です。
 こうして他人に手を貸すことを気に食わない先達がいることもあるでしょうし、甘い態度を見せて隙をつかれることを警戒するのも、またその一つ。
 そんなお金があれば考えますけどねー。」

とほほー、なんて笑いながら追い払うことに関しては言及しない。
それもまた彼の育って文化である。だから、頭ごなしに否定はしない。

「いやいや、疑わなきゃ駄目ですよ。
 私なんて日中疑いっぱなしでしたし。
 でも、自分から向けるものなら信用できるじゃないですか。」

言いながら、よいしょ、とゴミをおろして。
ほーら言ったじゃないですか、と、その指を咥えてぺろっと舐める。

「消毒は……ああ、持ってきてましたね。ちょっと待ってくださいね。」

しゃがんだまま、せっせと指先一つに応急処置。

神代理央 >  
「……やれやれ。何だか私が意地の悪い風紀委員みたいじゃないか。
降参だ。別に悪く言うつもりも無かったんだが、流石に知人が野次馬に囲まれながら一人で掃除していれば、口が悪くもなる」

じっ、と彼女の言葉を聞いていた。そうして聞き終えた少年の表情は、呆れた様な笑み。
とはいえ、否定的なものではない。しょうがないなぁ、みたいなもの。年下なのに偉そうではある。

「自分から向けるものなら信用出来る、か。
……そうか、そうだな。自分は自分を裏切らないものな」

そういう捉え方で良いのかどうか、は兎も角。
へえ、と納得した様に頷きながらちり取りを探して視線を彷徨わせる。
ついでに、何処かの水道で指を洗ってこようかな…と思っていた矢先。

「……っ、ば、急に………!
……これくらい、放っておいても治る!世話を焼き過ぎるのはお前の悪い癖だぞ!」

流石に、指を咥えられれば素っ頓狂な反応にもなる。
とはいえ、手当を続けられていれば振り解く訳にもいかない。
結局、あー、とか、うー、とか奇妙な唸り声を上げながらされるが儘。

シスター・マリー > 「あはは、ありがとうございます。でもまあ、仕方ないですよ。ここの所有者と関わりがあるのは私一人ですし、報酬を出せるような立場ではないのはすぐにわかりますしねー。」

ころり、と笑って。

「んー? 世話を焼きすぎるって、ほら、お姉ちゃんと言ってくれたじゃないですか。
 ほらほら、お姉さんですよ?
 そりゃあ世話の一つだって焼きますし?」

ふふーん、どどやどやした顔をしてみせる。
その上で、にひ、と少しだけ歯を見せて笑って。

「じゃあ、ひとまず袋を持ってきてもらってもいいですか?
 こういうのは慣れてるんで、さっさと終わらせちゃいますからね。」

よっし、と腰を伸ばして立ち上がれば、竹箒でまた変わらず破片や木くずを集め始めて。

「だから私じゃないですって。」

近寄ってきた人々にツッコミを入れながら、変わらず笑う。

神代理央 >  
「……そういう時くらいは、素直に知人や友人を頼るべきだと思うんだけどな。
マリーになら、力を貸すという人も沢山いるだろうに」

とはいえ、それを強く言い切る事も無い。
彼女はそういう事をしないだろうな、と何となく思ってしまうから。
人を頼らないだろう、という訳では無い。しかし、他人に苦労をかけるくらいなら、彼女は自分だけで面倒事を背負いこんでしまうんじゃないだろうか。
そんな気がするから。

「…………ああ、もう!私はこれでも武闘派で名の通った風紀委員なんだぞ!それを…それを………!」

とか。シリアスに染まりかけた思考が全部吹き飛んだ。
どうにも彼女相手だと調子が狂う。というか、普段の尊大な態度が維持しきれない。
何より、彼女を姉だと言ったのはもうまごうこと無い事実なので反論しようもない。
鉄火の支配者として落第街に砲火を振りまく風紀委員の威厳は、其処には無い。

「………わかった。それくらいなら、できる。
力仕事もするから、無理はしないで声はかけてくれ……」

結局、碌な反論も出来ぬ儘。
深々と溜息を吐き出して、目に付くところに転がっていた袋を取りに向かいながら――

「……見世物じゃないぞ!手伝わないなら帰れ!帰れ!」

がるる、とばかりに野次馬に噛みついていた。

シスター・マリー > 「本当に困ったら頼りますって。
 テスト前とか。」

ははは、と笑う。遠い目をした。
勉強は嫌いである。元々文字を読むのにも苦労するわけで。

「あら偶然、私も元々武闘派だとか言われてた修道女なんですよ。
 失礼ですよねぇ。」

唇を尖らせながら、全くもう、なんて口に出す。
一人で丸太を抱えたりとかそういうことするからだぞ。

「あはは、ご安心を。
 一番大変なのは、このゴミを捨てに行くことと、汚れた衣服のお洗濯くらいですかね?」

言いながら、追い散らす姿にも注意はしない。
ころころと後ろで笑っていては、威厳も台無しというものだろう。

神代理央 >  
「……まあ、勉強くらいなら教えてやらんこともない。教え方は正直上手くは無いが。
とはいえ、それはやる気次第だ。マリーがきちんと頑張るなら、私だって全力でサポートするさ」

異邦人の彼女が此方側の勉強に苦労する理由は、まあ分からなくもない。
とはいえ、余り人に教えた事があるわけでもない。
参考書を棚の隅から隅まで買ってあげれば良いかな、なんて物騒な事を考えていたり。

「………いやまあ。その評判については失礼…ではないというか…。
割と適正かつ公正な評価だと思うんだが……」

言ったら可哀相かな、とか思う前に言ってしまった。
だって仕方ないじゃない。思い当たる節が無い訳ではないんだもの。

「……洗濯は自信は無いが、ゴミ出しなら手伝おう。何、いざとなれば運搬出来るモノを呼べばいいのだし」

ゴミ袋を背負ってのしのし歩く異形。控え目にいってもシュール。
まあ、それは兎も角。好奇の視線を向ける野次馬を追い散らし、改めて彼女に視線を向ければ。
楽しそうに笑うその姿を見て、敵わないな、と言う様に此方も笑みを浮かべるのだろう。

シスター・マリー > 「そりゃあ、もちろんがんばりますよ。やる気はありますよ、やる気は。」

視線をすべてそらしてそう言った。
確かに外で身体を動かす方がすっかり慣れている。

「………ほうほう。
 ほーう? よし分かりました、今度ちょっとだけ教育ですね、教育。」

相手の強さとかそういうのは関係ない。
教育を施さねばなるまい。年上として!!

「それじゃあ、終わったらゴミ持って帰りましょうか。
 もう、今日は汗かくつもりじゃなかったのに汗だくですよ………。
 お風呂かシャワーが欲しくなります。」

昔はお風呂とかはそんなに意識したことはなかったけど、この世界に来て、すっかり毎日欠かすわけにはいかなくなった。とほほ、なんて肩を竦めて。