2021/10/13 のログ
ご案内:「落第街大通り」に狭間在処さんが現れました。
狭間在処 > 相変わらず、この街は何処もかしこも騒がしいようで…もっともそれがここの日常か。
人知れず単独でとある系統の違反部活や組織を潰して回っている自分も、その流れの末端には居るのだろうが。
大通りを薄汚れた私服姿で一人歩く。流石にそろそろ新しい服を用意した方がいいか?と、思わないでもないが…。

(…正直、あまり必要性を感じないが。)

そんな訳で、未だにラフな服装の上からコートを羽織っただけの格好である。
唯一、喉元に乱雑に巻いたマフラーかスカーフじみた包帯だけが特徴的ではあるが。

(しかし、まぁ…あちこち大所帯で動いてくれると一匹狼としては楽ではある、か…。)

それに紛れて淡々と自分の目的を果たせばいいだけなのだから。勿論足が付かぬよう注意は払いつつ、だが。
大通りの端の方を歩きながら、一見して店を物色しているようだが…実際見ているのは物ではなく人だ。

顔ぶれが変化しているか、以前と雰囲気や態度の違いはあるか、そういった人間観察の延長線上だ。

狭間在処 > かつて一度だけ、【大道具】を自称する女性に変装して表側を体験させて貰った事がある。
あれは新鮮だった――日の当たる世界、今まで全く縁が無かった世界。
だが、一度体験してみて分かったのは…矢張り自分はあちら側にはどう足掻いても溶け込めない事だ。

(…そもそも、風紀やその他の目に届き易い世界は俺には無理だろうしな。)

自身の痕跡の隠蔽には長けていても、表の日常に溶け込める自信は欠片も無い。
そもそも、あちら側の常識など生まれてこの方、こちら側しか知らぬ自分にはよく分からない。

「……。」

顔馴染みの店主と目が合う。「おぅ、久しぶりだな無口な包帯兄ちゃん!」と、どうやらそんな覚え方をされているらしい。
その挨拶に対して、こちらは軽く目を伏せて目礼しつつも特に足を止める事も会話も無く通り過ぎる。
…そもそも、会話しようにも特殊な手段でも無い限りは筆談か手話でしか意志の疎通が取れない身だが。

狭間在処 > そうして、人間観察をしながら大通りを一定の歩調で歩く。往来の会話にもさり気無く耳を傾けながら。
人の口に戸は立てられぬ、だったか。そんな些細な情報も役立つ事はある。

(…まぁ、情報の精査は結局は俺の判断でしか出来ないが。そこが一匹狼の辛い所か)

協力者も居なければ信を置ける友も居ない。そもそも目的はシンプルに報復だ。
完全に個人の事情であるし、潰しても潰しても終わりなんて見えやしない。
やがて限界が訪れるのは目に見えているが――それ以外に生き方なんて知らない。

無意識に視線は空を仰ぐ。見慣れた空だ――結局、何もかも変わる中で空だけは変わらない。
それが少しだけ…羨ましかった。

狭間在処 > 視線を前へと戻す。今更つまらない感傷に浸ってもしょうがない。
自然と止めていた足を再び踏み出す。結局、自分がやる事は一つだけで出来る事もさして多くない。

(…ありきたりだが、俺にはそれしかないからな)

過去に散々弄んでくれた人体実験及び人身売買を主体とする違反組織や部活を全て潰す。
どんなに些細でどんなに小規模だろうと、一人残らず鏖殺する。葛藤も迷いも無い。
それが到底不可能だろうと、そうと決めたのだから後に退く理由も無い。

無論、極力それに関係しない者は巻き込まない…それが最低限の己のルールで配慮だ。
裏の世界を引っ掻き回すつもりは無いが、じゃあ止めろと言われて今更止められるか?答えは否、だ。

靴先が偶々路傍に落ちていた小さな石ころを蹴飛ばす。やがて自分がそうなるとしても。

狭間在処 > 何時か路傍の石ころのように蹴飛ばされて砕けて果てるまで、きっと終わらない。
そんな他愛も無いつまらぬ事を考えながら一人、大通りを歩き去ろうか。

ご案内:「落第街大通り」から狭間在処さんが去りました。