2021/10/29 のログ
ご案内:「落第街大通り」にメアさんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」からメアさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にメアさんが現れました。
■メア > 「ふん、ふん、ふーん…♪」
ステップを踏み、踊りながら、大通りを練り歩く女性が、一人。
落第街に見合わぬ容姿に、薔薇と蜜、白檀の香りを漂わせる、妖艶でありながら幼い少女。
事情を知らぬ者が見れば、好き者に仕込まれた娼婦と勘違いするかもしれない。
ちょくちょく店に顔を出しながら、話したり、買い物をしたり。彼女と話す者達は、皆笑顔を向けるだろう。
■メア > 「へぇ~、そんな事が。大変だったねぇ」
落第街や歓楽街で慰安を続けていたメアは、懇意にしている者が多い。
その中に、情報を漏らす人もいるだろう。
厄災が現れただの、治安がまた悪くなっただの、風紀委員の愚痴や、最近これが高くなっただの、風紀委員が拉致されただとか、その風紀委員が慰安に出てる姿を見たとかいう噂。
実は厄災が風紀と繋がってるんじゃないかとかいう噂もあった。
自分には関係が無い…というわけではない。落第街に脚を運ぶ以上、知っておくべきは知っておくべきなのだ。
そして、自分は。
その厄災と、面識があった。
「うーん…そんな無茶するとしたら、モノちゃんかしら…?」
■メア > メアは機械だ。人間とは違い…クロには敵意を抱かれず、モノには好意的に接していたが故に呪いの被害も微弱で済んでいた。
「モノちゃん、どうしてるかしら」
最近は不調が原因であまり外には出歩いていなかった。最近見つけた店のお陰で今はすこぶる調子は良いが。
メアは、モノが亡くなったことを、知らない。
ご案内:「落第街大通り」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
落第街、基本的には良い匂いなど無縁の街。
埃被ったゴミの匂い、煙草とアルコール臭が漂う
大通りはまだマシな方。路地を曲がって暗がりに
沈めば汚れた欲と血の匂い、腐臭と汚濁に淀んだ
悪臭が吹き溜まっていることもある。
だからこそ、皆が幼き少女を振り返るのだろう。
汚すべからずと足を引くか、逆に汚してやりたいと
舐め回すような目を向けながら下卑た妄想に耽るか。
少なくとも、店が立ち並ぶ区画の端で電柱に身体を
預けていた少女は前者だった。華やかな花弁の匂い、
蜜を溶かしたような香気を濁らせるのを嫌うように
手の甲で煙草の火を揉み消した。
「……そっち行くなら、迂回した方がイィすよ。
ヤな雰囲気の酔っ払いが集まってたんで」
通りかかる貴女に聞こえる程度の小声で呟く。
■メア > 「あら」
小さな声に、振り向く。落第街でよく見かける姿。
「ええと、確か…落第街によくいる子、よね?」
視線を向けて、近付く。ふわりと、妖艶な香りが薫を包むだろう。
その瞳は、人間のように見えるが…その視線が含む感情は、人間であることを否定するように、薄い。
「珍しい子だから覚えてるわ。確か…薫、さん?」
誰かと話しているところを見かけ、そのときに呼ばれていた名前を呼ぶ。
お互いに面識はない。一方的に知っているだけであり、会話するのはこれが初めてだ。
■黛 薫 >
「よくご存知で。光栄、って言えばイィんすかね。
つっても、あーしはあーたよりか大分地味な方
だと思ぃますけぉ。そっちは落第街暮らしじゃ
ねーっすよね?歓楽街だっけか」
わざとらしく意外そうな声は本音なのやら。
煙草の吸殻を携帯灰皿にしまい、一歩近付く。
身に付けたアロマストラップが揺れている。
感情の薄い視線には安堵と不安が半々。
異能のお陰で他者の視覚には怯えてばかりだが、
いざ頼り切れないとなると心細いから困りもの。
「メア、で合ってます?あーたの名前。
通りの逆端の店の男が入れ込んでるとかで、
名前だけは何回か聞かされてんすよね」
一方的に知っているのはお互いさま。
良くも悪くも目立つ彼女に積極的に関わるつもりは
なかったが……危険を知らせるためにはやむなしだ。
■メア > 「そう、メア。メア・ソレイシャス。貴方の言う通り歓楽街に住んでるわ。ここ、困ってる人多いから、よく足を運ぶの」
ステップを踏んで、薫に最接近する。少し動けば触れてしまいそうな、そんな距離に。
「あー…あのお兄さんね。あそこ雑貨屋さんなんだけど、時々良いもの置いてあるのよね」
今日も仕入れのことで愚痴っていた気がする。たしか、材料の花が一部品薄になって困ってる、とか。
「あれ、そのストラップ…『Wings Tickle』の?」
■黛 薫 >
「んなお人好しな動機で足運んでるのかよ……。
そのうち痛い目遭っても知らねーぞ、マジで。
裏通りよりマシだからって、歓楽街みたぃに
守ってくれるヒトなんかいねーんだし」
わざわざ危険を知らせた学生が何か言ってる。
呟きが風に飛ばされない程度の距離から一歩、二歩。
触れてしまいそうな距離に艶やかな香りが近付いて、
触れないように、汚すのを嫌がるように半歩退いた。
それでも手を伸ばせば届く、そんな距離。
「ちょっと無理して仕入れてんのもあーたの気を
惹くため……ではねーか、流石に。アレはただ
単に見栄っ張りって感じだもんな」
「落第街らしくねー匂いしてんなーとは思ったけぉ。
見て分かるってコトはあーたも行ったのか、彼処。
そ、あのお店のストラップ」
漂う香りは無機の蒼、海の底に透ける白砂の香りに
ひとひらの花弁を溶かしたような。そんな香りだ。