2021/11/12 のログ
アージェント > コツンと足先の瓦礫を蹴り飛ばす。
ボク自身落第街にあまり来ることはなく、普段の景色はあまり記憶にないが、そういった情報というのは否が応でも耳に入ってくるものだ。
故にそこらの普段の形を成していない建物を見ても疑問には思わず、もう一度瓦礫を足蹴る。

「まぁ今巻き込まれてないだけでも僥倖…っと」

キャップの鍔の奥から光が差す。そしてそれと呼応するように人々の喧騒も増え、ボクでも見覚えのある道が見える。
ほっと胸を撫で下ろし、キャップを少し浅く被るようにする。

「裏の世界というのもあまり知らないけど…静かにやってほしいものだねぇ」

悪人というのは余程のことがない限り、影で活動するものだ。
―ならば、その影が全ての物を見境なく巻き込む程巨大になったら?

「…平和主義ってものも大変なものだね」

後ろをチラリと睥睨し、嫌な空気から逃げるようにその場を後にする。

ご案内:「落第街大通り」からアージェントさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に羅刹さんが現れました。
羅刹 > 砕かれ、塵となった廃墟
その隙間から、這いあがってくる影たちの姿がある

先頭を行くのは、暴徒に見せかけた人型の群れ
それらはいくつかの塊に分散し、武装した状態で進み、適当な位置で相手に向けて銃を構えるだけの行動を繰り返す
動く相手に狙いを定めて撃つといった複雑な動きは出来ない
ただ、その集団に眼を向けさせるための行動

本命は、デコイへと攻撃した者へ加えられる本物の人間からの攻撃
蜥蜴本体と蛇、そして金貸しからの提供によって構成された60人
それらが、デコイを盾に散発的な攻撃を返していく

正確な狙いの鉛玉と、噴煙を撒いて飛ぶロケット弾頭によって一帯は火に包まれるだろう

ただし
聡い者は既に逃げているだろうが、それができない者には『空』になったセーフハウスの一部を案内している
潜んでいた間に手配した場所である。
大した設備は無いが多少戦火から身を逃れることができるだろう

そして侵攻してきた相手の側面を、背面を突いて行われる攻撃は進行してきた特務広報部に対して打撃を与える目的ではあるが
現在のところ、潰走させるにはまだ至らない

無理に攻勢に出る必要はない
散発的な攻撃によって敵を散らし、機会を伺う
充実した装備を持った特務広報部に対して正面からでは分が悪い

そしてこちら側は万が一『支配者』が出てきた時のために余力を残しておく必要もある
現在、その兆候は無いが備えは必要だろう
ただ、頭を抑えることもまた重要である
そのため行動は素早く、敵の戦意を削ぐ動きを繰り返していこう

…デコイの、そして人員の供給によって
1次が限界かと計算していた攻勢は何度か可能となった
こちらの人員をほぼ損耗せず攻撃を仕掛けられるのは、明確な利点だろう

単純な命令しか遂行できない人型デコイだが、チャンスがあれば突進させればいい
デコイは銃撃などを受ければ幽霊の如く消えていくが、数が数だ
不意を突けば、動きを止めることもできるだろう

何にせよ、勢力を広げられれば
情報、戦闘の面で再び有利を取り返せる

「…さっさと頭を抑えて展開したいところだが…向こうの対応次第か」


廃墟の一角、崩れた建物の中から遠隔で指示を出し続ける蜥蜴の頭
その傍らには赤髪の女と2人の護衛が居るが

建物の一部は大きく欠損しており、外からでも見える上に監視も少ない
機動力、捜査力に長けた者であれば。間を掻い潜って男に攻撃をすることも可能だろう

ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > 「――怪我した奴は邪魔だからさっさと下がれ。余力がある奴は後方退避の援護な。
取り敢えず、ボスか他の連中が来るまで時間稼ぎは俺がやっといてやる。」

奮戦する特務広報部の面々たち。そんな彼・彼女らへと突如飛び込んでくる無線が一つ。

『――やばい!部隊長が来る!』
『来るって何処から……え、まさか――』
『そのまさかだ馬鹿野郎!!お前ら、”全員後ろに下がれ”!!』

そんな隊員達の慌てっぷりから数瞬の間を置いて――上空から何やら飛来する不気味な音が一つ。

瞬間、応戦する特務広報部の面々と”敵”の丁度中間地点に当たる場所へと、巨大な大剣が地面へと轟音を立てて突き刺さる。

その風圧で、あちこちに燃え盛る火も纏めてその一帯だけ消し飛ばしながら――

「……つー訳で……面倒臭いがお仕事の時間ってな。」

大剣の柄の部分――気だるそうな面持ちで一人の白髪の男が”敵”の連中を見下ろしている。
そのまま、無造作に飛び降りて地面へと着地――巨大な剣はまるでガラスが砕けるように消え散って。

堂々と目立つその位置に立ちながら、背負った細長い包みはそのままに――

「まぁ、見ての通り”前座”で悪ぃが――ちょっと付き合えよお前ら。」

誰に言うでもなく、ただそう口にして前を見据える。

羅刹 > 巨大な剣に、デコイが吹き飛ばされ、消えていく
一時、場が混乱に陥り…
火が消えれば、後にはその残滓である煙と瓦礫が残るのみ

「…前回も居たやつか
あの特大剣が無尽蔵に出せるなら脅威だが…「消した」ならそんなことはねぇか。
一先ずデコイを先行、本命は顔を出すなよ。撃ったらすぐに退避を徹底
観察しつつ削る。丁度面倒な細かいのも下がってるようだ」

『盃』によって伝わってくる特徴から、以前の攻撃に参加していた者だとわかればすぐに指示を出す

最も不味かったのは、部隊を十全に使っての全方位への攻撃であった
それが下がったのだから、一当てしてみるのも悪くない

こちらの本命である兵器はまだ使わない
まず、白髪の男の前には、前時代的な装備を付けた幽鬼のような集団が迫り始める
一人一人は、人形のようにある程度決まった動きしかしないものの

不意に銃を構える者、突進する者、など。
目を引く様な行動をして、男の気を引こうとする

そうなれば、今までと同じく、白髪の男の側面から…散発的な射撃が襲い来る
それら、小銃の射撃時間は3秒あるかないか
打ち切りすらせずに、すぐに『生きた人間』はその場を離れていき

続いて、崩れかけの建物、その上部からは噴煙を引いてロケット弾頭が一発、飛ぶ
どれもこれも、既に交戦していた者からの報告を受けているなら知っている攻撃だろう
ただし、対処を誤れば、大きな怪我をすることは間違いない

正面からは、デコイに寄る突進攻撃と、銃による威嚇
続いて、側面と上空からの攻撃にどう対応するか
戦闘と同時にその対応を観測するため、敢えて今迄と同じ動きを行っていく

ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > (さて、どんだけ”手札”を伏せたままあっちに損害を与えられるかっつー訳だが…。)

敵を眺めたまま、軽く首や肩を鳴らしながら一歩前に出る。
そのまま、まるで気軽に散歩にでも繰り出すように歩き出しながら。

――先の派手な登場はこっちに注意を惹き付ける意図もある。
とはいえ駆け引きは正直得意ではない。口元を動かさずに無線へと静かに告げる。

「――後方に下がったら周囲を迂回するように包囲網を敷いていけ。
こっちが単独で無様に暴れるだけ、と印象付けられちゃ御の字だが…。」

別にワンマンアーミーを気取るつもりも無い。出来るだけ手札は隠しておきたいのもある。
後方に対比した部隊員に密かな指示を出しつつ。歩みは止まらない。

目の前から迫り来る何処か前時代的な装備を見につけた幽鬼の群れ。
まるで人形じみた滑稽で誕生な動きに見えるが――…

「……!」

明らかにこちらの注意を引こうとする動きが見える…が、構わずに一歩踏み出す。
地面に靴を減り込ませながら、一息で幽鬼の最前列へと無防備なくらいに飛び込んで。

「――お互い”前座”なんだ…派手にやろうぜ、出し惜しみ無しでな。」

まぁ、俺は出し惜しみするけどな…と、皮肉げに思いながら真っ向から素手で幽鬼の一体の首根っこを鷲摑み。
そのまま、鈍器の如く振り回して前線を崩しに掛かるが――…

「……っと。」

散発的な射撃が男に襲い掛かる。だが、その射線上に出現した歪な形をした様々な武装が出現し…
時に弾丸を弾き、軌道を逸らし、男は無傷のまま構わずに一人で幽鬼を鈍器として振り回す。

(…射撃が直ぐに止んだ…と、なると。)

瞬間、上空から飛来するのはロケット弾頭。幽鬼のど真ん中に飛び込み、暴れまわる男には回避不能なコースだ。

「――いや、んなモンいらねぇから…”そっちに返すわ”」。

突如、男の頭上の空間が裂けたかと思えば、そこにロケット弾頭がすっぽりと吸い込まれ――…
次の瞬間、今度は男の前方の空間が裂けてロケット弾頭が出現。幽鬼の群れへと直進し――起爆。

派手に爆発と衝撃が巻き起こり――…

「……これだから飛び道具ってのは苦手なんだよな。」

制服をあちこち煤けさせながらも、煙の向こうからのっそりと姿を見せる。
右手には千切れかかった幽鬼の体を引き摺りながら。

「――で?次はどう来る?来ないならこっちから”派手にやる”が。」

独り言のように漏らしながらも、さりげなく周囲に視線を走らせて無線で隊員の動きも把握しておく。

ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。
羅刹 > デコイは一定のダメージを与えられると、死体も無く霧散していく
武装だけは残るが、後ほど見分して見ても出どころ不明であったり、そもそも『存在しない』製造番号であったりと
情報を得ることは非常に難しい

相手の声は、羅刹にはまだ届かない
最前線に出ているのは、戦力としてはこの場面にそぐわない代わりに容赦なく使い捨てられる駒である
それゆえに、つぶやきや言葉などは今のところ、届かない状態だ

大元を見つける手段が無ければ、この場面において羅刹の異能は優位に働くだろう


「さて。あれが居ねえ状況で、引いた部隊を使い捨てるとは思えねえ。となると後ろか」


包囲が始まれば、あちこちで偶発的戦闘が起こり始める
それを受けた蜥蜴の側は、一先ずは後退
迂回するように部隊員が回ってくるなら、包囲される前に後方へ脱出を試みていく
異能者や、熟練した者が居れば何名か捕らえることもできるか


「『次。手を変える。あれも遠距離攻撃に対策をしている相手だと判断。爆弾デコイを先行させろ。更に気を散らさせる』」


偶発的な射撃も、ロケット弾による攻撃も一時収まる
無関係な者を下がらせた狙いの一つ
路地や正面より。3人ずつに分かれ、四方から。合計、数にして12。
腰に爆弾をぐるりと巻き付けたデコイが、一直線に男へ向かい始める

ただ、突進しろ、と命じられたデコイと
人間の手により、遠隔でタイミングを見計らって爆破される爆弾の組み合わせ
"派手に動かれる前"に機先を制しようという動きが見て取れる

もちろんデコイを爆弾事切り伏せ、爆弾を不発させることもできる
しかし、どちらにしても…派手な爆炎と火薬の匂いで辺りが満ちていくことだろう

雪景勇成 > 幽鬼の群れを薙ぎ倒して気付いたが、致命傷に至るまでもなくある一定の損傷を受けると連中は霧散するようだ。
武装はそのまま残るが、肝心の死体?は残らない。
少なくとも、これから情報を引き出す事はほぼ無理だろう。

(使い捨ての囮…は、まぁ想定内として。実際この駒はどんだけあるかっつー訳だが)

「――まぁ、そりゃ俺みたいな単細胞の目論見なんざ気付かれるか。
お前ら、深追いはするなよ――捕らえられるなら捕らえといた方がいいけどな。
あと――”巻き添え”ならんよう気をつけろよ。」

その一言で、部隊員達には何か伝わったらしい。まぁそりゃそうか。
うちの”王様”もそこは気を遣っている…かは兎も角、巻き込まれたら運が悪かったと思って貰おう。


――で、こっちが動く前にあちらが動いた訳だ。
無造作に右手の幽鬼の残骸を放り捨てる――それも直ぐに雲散霧消して。

「……成程。」

散発的な射撃も、ロケット弾の不意打ちも止んだ――代わりに現れたのは。

(ひぃ、ふぅ、みぃ…12。腰のあれは爆弾か。一斉に近付いて爆破――…)

「…な訳ねぇよな。連中の”王様”がそんな単調な攻撃仕掛けさせるかっての。」

切り伏せる事もせず、ただその場で足を止めて――デコイが爆発するにせよ、人為的な遠隔操作で時間差で爆破させるにせよ。

次の瞬間、合計12体分の爆発に男は飲み込まれる――
派手な爆発と煙――――普通なら木っ端微塵になっているだろう。
……普通なら。

「――やっぱり遠隔操作も混じってやがったか――…じゃ、こっちの番だな。」

うちらの王様がそろそろ”来る”のは分かっている。
なら、先んじてここから派手なご挨拶といこうか。

不意に上空に姿を現したかと思えば、右手を掲げて――

「――1本じゃ味気ねぇよな?だから――大盤振る舞いだ。」

男の周囲の空間が裂けて、先ほどの巨剣を始めとして――槍、斧、鎌、刀――様々な武装が空中に姿を見せる。
どれもこれも巨大で、何処か歪な形状のそれは――切っ先が全てバラバラの方角に向いており。

「――当たりは付けた。まぁ直撃はしねぇだろうが…。」

グッと右手を握り締めるのを合図に。

都合、50本にも及ぶ巨大な刃の群れが豪雨の如く辺りへと無慈悲に降り注がんと――!!

神代理央 >  
そうして、見事な立ち回りで敵の目を引き付ける部隊長。
とはいえ、敵の攻勢も見事なもの。
各地の戦線は一進一退。良くも悪くも、何方も拮抗している…と表現出来得るだろうか。
装備と重火力で質を高めた特務広報部。それに立ち向かうは戦術と物量を持って当たる違反部活。

雪景の通信機から、声が響く。
内容は…まあ、聞くまでも無いだろう。
彼等の主。猟犬の飼い主。特務広報部部長。
『部長がそっちに行った』
それだけで、彼ならば。


「さて、問題だ。各地で散発的な戦闘の結果。不出来な均衡状態が各地で形成された」

「その場合、戦線を優位に進める為には何をするべきか。
自軍にあって敵軍に無いもの。敵軍にあって、自軍に無いもの」

「即ち、火力との集中。機甲戦力による一点突破。
1939年から実証されている有用な戦法だ」


地響き。
大地を踏み鳴らす様な、重量物が大地を踏み砕く様な、足音。
落第街を蹂躙する火砲の化け物と、大楯の異形。
そして上空から戦場を照らすのは、直径20m程の巨大な金属の真球。
真球自身の従属たる小型の球体と、攻撃用のドローンを従えた人口の満月。天空の航空母艦。


「私の"兵"は優秀だ。現在の状況であれば、各地の戦線に、私が顔を出す必要も無い。
であれば、殲滅火力が既に十全なこの戦場に。私が現れればどうなるか」

戦場の中で、大剣を振るう雪影の背後から。
数多の異形を引き連れて…いや。召喚しながら現れる、金髪の少年。

「圧倒的な火力の前で、数に頼った雑兵が如何に無力であるか。
思い知らせてやれ、雪影!」


数十を超える巨大な武器が、雪影の合図で降り注ごうとするタイミングに合わせる様に。
その武器の数程に、呼び出されたのでは無いかという多脚の異形と。天空に浮かぶ真球が。付き従う無人機が。
区域そのものを焼き払うかの如く、砲弾を。光線を。火砲を。爆弾を。
一斉に、戦場に叩き込む。


「…『Operation Downfall』は、現時点を持って第二フェイズへ移行する。落第街を――焼き払え!」

羅刹 > 離れた場所に居ても、響く轟音
いくつかの部隊が呑まれ、消えていく音だ

「…。来やがったか」

それだけで"こちら"にも伝わるには十分

即座に撤退命令を広げ、被害を抑えるが…それでも、デコイの大半と部隊員の一部が呑まれていく
一瞬で…、戦場ではなく殺戮の場へと変わった

聞こえてくる、二箇所からの巨大な金属音共のハーモニーはいっそ心地よいほどだ
ただし、こちらも細工は流々。梟が後で文句を言ってきそうだが今はこの戦場で華を咲かせるとしよう

「焔、準備をしろ。俺のガードはいい」

―――――"はぁい、ボス"

「『各員、公爵が現れた。作戦は続行。大道具からの提供を存分に使え。
―――無駄な犠牲は出さねえ主義だが。"無駄じゃねえ犠牲"なら、俺が存分に使ってやる』」

盃を使い、連絡
これからが本番だ。仮称『武器』の異能持ちも十分厄介ではある。ただし、どちらもしっかりもてなしてやろう

「『兵装に特殊弾頭を装填、デコイを集め始める。ポイント5-4-3へ引き込め
……お前らの火を見せろ』」

一旦引いた部隊員が、カネの力で縛られた元軍人が『特殊な武器』を持ってくる
見た目は大型の三脚付きライフルと、ロケットランチャー

見た目自体はほとんど、先ほどまでと変わってはいないが
ただしその銃身、機構、弾丸、弾頭は改造され、鉄火の異形を貫くだけの威力を与えられている
おおよそ人間がまともに扱うことを想定されていない『幻想』に近い武装

反動も非常に大きく、その代わりに威力だけを追い求めたモノ

命をこちらに預けた者たちがそれを持ち、所定の位置に付く
発射までに感づかれるかもしれない、装甲の概算が及んでいないかもしれないが
それでも、大道具スシーラが召喚した幻想武装の引き金が命がけで引かれていく

「『礫、撃て』」

同時に、上空から飛来するのは無数の閃光弾
掌に収まるサイズでありながら、夜闇を明るく照らす星たち

光の中…デコイは敢えて、同じ方向に逃げていく
この殺戮者共に怯えたように、落第街の住民らしく、だ。
それは、あからさまな誘導である。殲滅したいなら、こっちに来い、と。
望遠などができるなら、瓦礫に隠れてデコイを呼ぶ構成員の姿も見えるだろう

だが…その光景が冷めやらぬうちに

閃光に紛れ、鉄火の異形の1つ、人工の満月と…『武器』の異能者に放たれるのは
亜音速で迫り、装甲への貫通力と威力に特化した弾丸と
迎撃は容易だが…砲火の異形一頭分には及ぶであろう火力を持つ爆発


それらが…弾丸は合計10、爆発は6

それぞれ、武器の異能者には弾丸3に爆発が2
鉄火の『満月』には弾丸7、爆発が4、襲い掛かる

武器の異能者は躱す手段があるだろうが
今回は、デコイは近くには居ない。
更に、どれだけ躱せるかも、監察対象だ

撃った者は例外なく肩や腕に反動を酷く負っていくほどの攻撃
反撃があれば、呑まれることは間違いないが

砲火と閃光、巨大な武器に比べれば、細やかな音だろう
しかし間違いなく、特務広報部を相手に想定し、計算的に研がれた牙が放たれていく

ご案内:「落第街大通り」に雪景勇成さんが現れました。
雪景勇成 > 「さて――”茶番劇”の本番開始ってか――」

誰にも聞こえぬ程度にぼそり、と呟きながら一息。
上空に忽然と出現した男だが、飛行能力の類や魔術は無く――自然と自由落下する。
だが、足元に現れたやや身幅が広い3メートルくらいの長さを誇る剣が出現し、そこに着地する。

「第二フェース移行了解、と――…あと、ボスに進言一つ。――多分、次に”何か来る”わ。
そっちのガードに回る余裕はねぇかもだから、悪いが対応はそっちはそっちで頼む。」

別に予知能力も読心能力も無い。ただ、こういう空気で戦い続けると養われる勘みたいなもの。
それはそれとして、剣を足場に空中に静止しながら、敵の動きを観察する。
先ほど、ぶっぱなした50の異形の巨大武装は辺りに突き刺さったまま。
何故か今回は消えはしないが――一応、これは”仕込み”でもある。効果があるかは別として、だ。

「―――…!!」

それが何かまではこの時点では流石に分からない。
だが、先ほどボスに進言した言葉は間違いでもなさそうだ。
不意に上空から迫るのは――砲撃?銃撃?否――夜空を明るく照らす閃光弾。

異形と、武装と、瓦礫の群れと、猟犬の王様と無名の武装使いも照らされ影を濃く落とす。

(―――……。)

無言で目線を直ぐに周囲に走らせる。
先ほどの連中が同じ方角に撤退していく…怯えたように。哀れなほどに。
それを馬鹿正直に追う気は無いが――…

(潰したいなら乗って来い、か。さて…)

つまりまだまだ手札はあちらもあるのは明白で。
かといってそれがどんなものかは勿論分からない。
ならば――と、剣をサーフボードの如く空中を滑らせて敢えてそれに乗る事にする。

――次の瞬間には、こちらとボスへと向けてソレが放たれていた。
弾丸3発――1発は足場の剣を貫き、その衝撃で破壊。
2発目――男の右肩を抉るように貫いて抜けていく。
3発目――これは左の太腿を射抜いてこれも抜けていく。

そして、2つの爆発が足場をなくした男へと”直撃”――派手な爆発にその身が飲まれていく。

同時に、鉄火の支配者にもほぼ同じタイミングでそれらが襲い掛かるのだろうが――…

神代理央 >  
「寧ろ、何か来なくては困る。でなければ――」

言葉は、最後まで続かなかった。
先に、周囲を照らす眩い閃光弾が戦場を照らしたからだ。
業火と兵士を。戦場を逃げ惑う――様に見える者達を。
突き刺さった儘の武器達を。醜い金属の異形を。
くっきりと浮かび上がらせる光源に、僅かに瞳を細める。

その直後。
放たれた弾丸と爆発が『満月』を。そして、雪影に――

「……地の利は敵にある!負傷したのなら一度下がれ!
貴様は後で説教だ、現代の都市部ゲリラ戦から講義をやり直してやる!」

思わず、雪影に叫ぶ。罵倒混じりの言葉。
こんな場所で大事な部下を喪う訳にはいかない。
彼方側に引き込まれるのは。消えた部下達とポーカーを楽しむのは、自分が予約済みなのだ。
感情を露わにしたまま、同じ様に銃撃と爆発に呑まれた満月を一瞥。7つの弾丸と4つの爆炎は、全て満月へと殺到し、火焔を上げて――

「…チッ。建造物一つが、溝鼠共の住処を奪う。生活の糧を奪う!戦略爆撃の何たるかを、連中に示せ!」

爆炎が晴れて、姿を現した満月は。傷一つ追わず煌々と夜闇に輝いている。
――しかし、戦場に散りばめられた落第街の兵であれば。厳密には、無傷では無い旨の報告が直ぐに上がるだろう。
満月の周囲に滞空していた小型の球体は"母艦"の為に防壁を展開した全て失われている。それでも尚、僅かに傷付いた装甲は、周囲の鉄屑を吸収して再生している。
子機を用いた防御壁と自己再生能力。"鉄火の支配者"で顕現する従僕の中でも、最優を誇る航空戦力。

「――焼き払え!」

再び、地上の多脚と満月に叫ぶ。
砲兵旅団もかくや、と言わんばかりの重砲と、天空から降り注ぐ光線の雨。それは"何処も狙ってはいない"
強いて言うならば、建造物に集中している。身を隠す場所を。バリケードを。障害物を。
『戦いが終わった後』で、住民が再び生活を始める為のモノを。インフラを。


『Operation Downfall』は、第二次世界大戦において連合軍が策定した日本本土上陸計画。
それを捩ったこの作戦の骨子は、違反部活の殲滅でも無ければ、風紀委員会の――特務広報部の武威を、示すものでもない。

『落第街の破壊』

ビルを焼き、バラックを焼き、アスファルトを耕して水道を吹き飛ばし。後に残るのは、瓦礫の山と消え失せたインフラ。
それを救う為の『政府』は、落第街には無い。それを果たすべき学園は、そもそもこの街を認めていないのだから。
ならば――

「……まあ、上層部の連中は青ざめるかも知れんがな。
これは、私の"闘争"だ。誰にも、くれてやるものか」