2021/11/13 のログ
羅刹 > 上を抑えられているのは、戦略的に大きなアドバンテージを与えることとなる
歴史書にしか残ってはいないが、航空機の戦力こそが是とされた時代もある

「―――…ち。」

悪態を吐く
別の梟からの報告。そこから得た情報。
目の前の状況と、もう1つの状況を合わせた悪態

ただし。一先ずは目の前の対処である
この場を俯瞰せずに放置すれば戦線が瓦解し、甘いと言われようと残った構成員が犠牲となるだろう

状況としては…
一つは『呑んだ』が生死不明、追撃、確認要
一つは傷つきはしたもののジリ貧。となれば、やはり本体狙いが適切か

今回邪神は呼べはしないが、それでもやりようはある
…相手が対策してきているかどうか次第ではあるが

「『武器使いを追え。一つ二つでもいい、デコイを先行させろ
その後、生きているようなら追撃。無理はするな。

『ああ、礫。通信機を送れ。目標は公爵。』
『焔、一瞬だけ火ィつけて注意を逸らせ、時間を稼ぐ』」

―――――"はぁーい"

戦火など、焔にとっては最早慣れたもの
既に『あの時』から、死んでもいいと思っている焔には無差別な爆撃はそれこそ雨の様にしか感じられない
吹き飛ばされ、身体を打ち付けつつも進み、砲火の異形の間から少女は視線を通そう

行うのは勿論、ステージ2の異能。
3秒見れば、相手のトラウマという精神の傷をほじくり返す異能である
ただし、着火は数秒。
終われば、目を閉じてその場を離れる

例の化け物共が出て来てもたまらない
それと同時、小型の通信機が戦火の中空気を裂いて放り込まれる

流石に『今度は』ジャストミートとはいかないが、できるだけ鉄火の支配者の近くへと
それを拾うかどうかは、相手次第だが

更に…武器使いへの追撃も怠らない
ふらふらと動くデコイを先行させ、反応があり次第武装兵で追撃
とは言っても、爆炎が降り注ぐ中だ。
見つけることは困難であろうし、近くまでは寄れるだろうが…無差別ならば瓦礫に共に巻き込まれるかもしれない
それでも、見つけられれば突発的に銃声が鳴り響くことだろう

瓦礫に敷かれ、破壊に巻き込まれ…デコイはその数を大きく減らしてはいる
最早目に付くのは、軍団と言えない数ではある

「……………………、」

受け側の通信機を付け、男は待つ
粉砕されればそれで終わりではあるし
武器使いがどう動くか、こちらにはわからないが。

大別すれば、追撃と…時間稼ぎのためのコンタクトを行う
情報が、整うまでは

雪景勇成 > 爆発が収まれば――少なくとも、その爆発の後には何も残っていない。
周囲の瓦礫や地面にも男の肉体――肉片の一片すら見当たらないだろう。

少なくとも、この時点で生死不明――無線機も壊れたのか、耳障りなノイズだけが鉄火の支配者に聞こえるだろう。


――そして。先ほどから沈黙していた50の武装…お互いの攻撃の応酬で何本かは瓦礫に埋まったり折れたりしていたが。
それでも、まだ30ほどは無傷のままあちこちに突き刺さったり転がっている。

――突如、何の前触れも無くそれらが自動的に動き出す。
ある武装は先ほどの『幻想』の火器とそれらを扱った者目掛けて高速で飛来し――
また、ある武装はフラフラと男を捜索・追撃するデコイ達を粉微塵に砕いていく。
咄嗟に反応した武装兵達も、その質量と速度で容赦なくひき潰し叩き切る。

ただし、未だ男の姿は見えず――ただ、生きているのだけは武装の挙動から分かるかもしれない。

――そして、肝心の男の姿はといえば…。

「……やっぱり”見る”だけじゃなくて”食らった”方が分かり易いな…面倒臭ぇが。」

主戦場からやや離れた崩れ掛けたビルの屋上にその姿はあった。
被弾したのは間違いなく、右肩と左足には大穴が開いていた…
が、それらの傷口には歪な刃のような金属が刺さって流血を止めている。

特に痛がる素振りも見せず、先ほど見て食らった攻撃を思い返す……何となく理解した。

「…武器使いじゃなくて”武装”使いなんだよなぁ、一応…。」

つまりは、
男の背後の空間が裂ければ、そこから――三脚部分だけが廃された、先ほど連中が用いたライフルが姿を見せる。

空中に浮かぶそれは、大きさは10メートル近くに及び、当然大きさに比例して口径も巨大化しており。

「……ありがとよ、お陰さまで手札が増えた。」

自動的に照準がロックオンされる。
よく見れば、そのライフルも元のそれとは違い矢張り歪な意匠をしており。

そして――『幻想』を『簒奪』した、巨大な武装ライフルの火線が――無差別に横合いから敵を撃ち抜いて行こうと。
オリジナルには無い破壊力と…そして連射性。
飛び道具は苦手、と本人は語る通り、お世辞にも狙いは正確とは程遠いが。

――それでも、放置すれば面倒ではあるかもしれない。

「――つーか、講義とか勘弁してくれよ…一応、目論見はあったんだからよ。」

と、無線機が壊れているのでそれを投げ捨てながら溜息混じりに。
それでいて、連射する巨大な幻想銃は容赦の欠片も無い。

羅刹 > 通信機は無意味だ
あの光景を見れば、当初考えていたことが無駄だとわかった

「『…………ああ。』」

男が居る場所からも、その閃光が見えた
大道具が生み出した幻想をそのまま奪い取り、使用する異能
なるほど、先の攻撃をいなしたのはそういった能力もあったからか

遠距離攻撃は二つの目標とも効かず、むしろ片方には利用される
怪我は与えた、と…簡単な通信が来たが、そこで途切れた
鉄火の『満月』も健在である
上を抑えられたままでは、作戦の続行も難しい

ならば――


「『撤収だ。4-5-5から3-4-4を通れ、置き土産も忘れるなよ
生き残った人員は事前に伝えたセーフハウスに』」

敢えて、遠回りをするように逃げる人員たち
入り組んだ道を通り、蟻の子を散らすように、隠された住処へ

追いつこうとする最短ルートには簡易な地雷が撒かれ、追っ手を阻害するも
道中、運よく息をしている者がいれば、捕縛もされるだろう

そういった状況から…被害は勿論ゼロではない

無差別砲撃、それによる崩落、簒奪されたライフルによる攻撃
それらによって、被害は発生している

表に出てくる中に、あれほどの相手がまだ居たことを知れたのを慰みとしよう
そう思いながら、男は瓦礫の痕を踏みつけ、また闇に潜っていく

「…取り立てされる前にまた動きてぇ、がな…」

などと言いながら、砲火を背に去り
それに合わせて、引き潮の様に迅速に…落第街から『反抗勢力』は消えるだろう

神代理央 >  
「…おや?」

敵が、引いていく。
予想外に手際が良い。彼我の戦力差を理解出来る頭目が相手、というのは分かってはいたが…。

「……それはそれで、やりにくいのだがな。此方にも"建前"が必要だ」

そう。落第街の破壊は――先ず何より『敵』の存在あってこそ。
こうも見事に撤退されては、此方もこれ以上の攻撃を行う事は出来ない。
何事も大義名分、というものは必要なのだ。この闘争が己のモノであったとしても。
所詮は、鎖に繋がれた猟犬でしかない。

「……雪影、此方も撤収するぞ。敵が退いた以上、これ以上の戦闘は無意味だ。
流石に、無意味な虐殺や破壊は効率が悪い。
それに――お前も、傷の手当てが必要だろう?」

小さく溜息を吐き出すと、雪影に声を投げかける。
異形達も撤退する者達へ砲撃を続行してはいるが…深追いはしていない。
牽制している、という程度だろう。


「"猟犬"は、狩る獲物がいなければ意味が無い。
そして今夜は、獲物に逃げられた。不甲斐ない話であるがな。
救護班を手配する。大人しくしておけよ?」
 
 
 
こうして、今宵の戦果は幕を閉じる。
逃した獲物は大きく。未だ猟犬の牙は届かない。
少年が吐き出した小さな溜息は、燃え盛る業火の中に消えていった。

雪景勇成 > 「――撤収の手際はさすがって所か。」

”簒奪”したライフルに片手を添えながら、視線は連中の鮮やかな引き際を眺めて。

「…つーか、疲れた…本当に面倒臭い。」

別に殺しや破壊が好きと言う訳でもない。
ただ、仕事は仕事。単に明確に己の中で線引きをしているだけだ。

「…了解。傷に関してはそんな大したもんじゃねーが…まぁ、それも了解だ。」

平然と己の傷口を一瞥しつつ肩を竦めれば、コンコンとライフルを叩いてそれを消す。
”前座”にしてはまぁ、それなりの働きをしたと思おう。

で、ボスが救護班を呼ぶと言い出した。露骨に嫌そうな顔をして。

「…俺はそういう類の連中が苦手なんだが。」

子供の我儘みたいな不満を漏らす。
昔から医者とか病院とか、そういうのがどうにも苦手だ。
まぁ、そんな戯言なぞ一蹴されて、結局救護班に強制連行されることになるのだが。

「猟犬っつーか…今回の俺は簒奪者みたいだったな。」

ぽつりと。奪い取る者、王座を引き摺り下ろす者。
まぁ、後者は兎も角前者は今回やった訳だが。

幻想を奪い取って、破壊を撒き散らして、ただただ殺して。

「――先に何があるのやら。」

あるいは何も無いのかもしれない。ともあれ、怪我を無視したように平然と己の足でこちらも撤退しよう。


――蜥蜴の王と、鉄火の支配者と、簒奪者が去った後には。

―――ただ、瓦礫と炎と煙だけが存在していた。

ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から雪景勇成さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から羅刹さんが去りました。