2021/11/19 のログ
ノア > 「いつかまた、違う形でアンタを頼る事もあるかも知んねぇし、
逆もまた、ってな」

お好きに、と言われたなら変わらぬ調子でゆっくりと、一気にあおるような事はせずに酒を飲み下していくだろう。

「嘘やおべっかじゃなさそうだからむず痒いンだよ。
教師になったら、ね。生徒に手を出して免職なんてやめてくれよ?」

本土の法では違反だぜ、と笑う。
こちらでそんな些事が取り沙汰されるのかは定かでは無いが。

「器用そうな奴に言われるとやりづれぇな…
優しさなんて見失って久しいんだが、ね。
――俺にも妹がいたんだよ」

こっから先は暗い話になるぞ? と、グラスを置いて金の眼で隣の男を見やる。

>  
「ええ、情報の方は私の右腕、未来の頭取 タカハシ に頼ってください
 違う形でもどうぞ 逆もまた、ですね」

変わらぬ調子で酒を飲む相手 それにクスクスと笑った後
此方も酒を呷り お代わりのカシオレに手を出す

「それはまぁ本心ですから? これだけは昔から変わらずで
 あはは、愛に年齢も糞もありませんよ 
 ま、私を好きになる物好きがいるかはさておき
 
 ノアさんを好きになる人は多そうです」

バレないようにやりますよ そう此方も笑って
カレーへと手を伸ばして残りも食べてしまって

「いえいえ、私なんか不器用の極みですよ
 ふふ、ノアさんは優しい人です。私が保証しましょう
 ――妹、ですか」

妹 その単語にピクリと肩が動く グラスを置いた音をきっかけに
構わない と相手へと金の瞳を此方も向けよう

ノア > 「タカハシ……いつも連れてたアイツか?
まぁ『雲雀』が『雲雀』である以上はウチにとっても優良顧客だ」

思い返すのは柊が良く連れて歩いていた数名の男性の内の一人。
名前が合致しているかは怪しいが、顔に覚えはある。
頭取が柊でなくなったとしても、そのスタンスに変わりが無ければ付き合いも変わらない。
マジメな人だけ勝手に助かる。そんな繊細な天秤の上で僅かに浮いた上澄みを預かって稼ぎとする。
願わくば、その天秤が崩れる事の無い事を。

「ハハッ、違いねぇ。
好きになるのに理由や制限なんて無粋なモンは無い方が健全だ。
それはなんとも、そっくりそのまま返したくなるセリフだわ」

曲がりなりにも人の心に触れる事ができるせいか、
人の事を見る目は正しいと自負している。
目の前の男なら上手い事相手でも見つけてよろしくやっていくだろう。

「あぁ、もう5年も前に目の前で攫われて、それっきり。
ずっと追いかけてた奴の手で目の前で立ち消えるみたいに、空気に溶けるみたいにな。
足跡すらそこから先に残ってなくて何も追えず終い。
ソイツが今、この島で誘ってるみたいに痕跡だけ残して回ってる」

静かなトーンで、淡々と。
浮かんでいた笑みは火を消すように静まり、鬱屈とした激情が目の奥には浮かんでいた。

>  
「ええ、そのタカハシで間違いありませんよ
 はは、あの男は私よりも厳しいでしょうが 
 私の後継者です 上手くやります」

2m超えのオールバックをした黒髪黒目の厳つい大男
口数も少なく厳しいが 真面目なものには真摯に接する男だ
基本スタンスに変わりはないだろう
今はそう教え込んでいる。
相手の優良顧客に名を連ねていけばいいと 思う

「でしょう?
 流石に小さすぎる子はあれですが
 ……これまで浮いた話一つない男に何を言いますか」

ぐーん と肩を落とす こんなのでやってけるだろうかと不安になりながら
相手にいい人ができればいい そうも思う
だが、妹の話になれば 落としていた肩は上がり 目は鋭いものへ

「……なるほど、分かりました 
 部下たちに情報を集めさせましょう
 妹を失う辛さは分かっているつもりです」
 
淡々と語られる内容 それは確かに他人事とは思えない
鬱屈とした激情がその瞳の奥 確認できて そう告げた
少しでも助けになれればいいと そう思って

「容姿などは」

ノア > 「やり方の根本が変わらなけりゃそれで良いさ。
それに、アンタが見込んで任せた相手なんだろ?」

些か柊とは異なる毛色の男とはいえ、それを見て逃げるような物ならもとより助かるまい。
『雲雀』の名は十分に知れているのだから。

「あぁ、本土以外からもせっかく色々集まってるんだしな。
まぁ、これからできていくんだろうさ、浮いた話も、笑える話も」

自分に気を許せるような相手ができるのはいつになるやらと肩をすくめてながら、不安そうに落ちた隣人の肩を軽く小突く。

「名前は透ヶ谷恵(とがや めぐみ)。
背丈は160も無いヒョロっとした奴で、
最後に見た時には髪は伸びきって肩よりしたにあったくらいだ。

そうだな。見つけたら、教えてくれ」

手帳の中から1枚の写真を見せながら、言う。
映っているのは小汚い痩せぎすの小男。
防犯カメラに映った物らしく鮮明さは欠いていたが、
異質な空気感だけは感じ取れるだろう。

「始末は、つけねぇと」

必要とあらば人を蹴るし、違反部活生の凶刃の前では銃も抜く。
しかし、致命を避けるように獲物と狙う場所を徹底して選んできた探偵の時折見せる暗い色。
その矛先は、未だこの島の何処かに。

>  
「ええ、変わりませんよ はい、私が見込んだ男です 仕込みももう少しで終わります
 貴方に時折仕事を持っていくでしょう 貴方の仕事は確かなので」

確かな事実 それを口に出し 仕事優先してくださいね? とウィンクを飛ばそう
相手の名も十分に知られており、仕事の倍率は高いのだから

「ですです。色んな方と交流していきたいですね
 そうだと良いのですがね……貴方もこれから出来ていきますよ」

肩を竦めて笑う相手へ 小さく笑いながら そう告げよう
そうして、小突いてもらったら擽ったそうに笑い

「……分かりました、その名前をリストに乗せておきます
 見つけたら連絡が行くでしょう
 拘束もしておくでしょう

 あとは、お任せしますが」

手帳の中から出された写真 その中の小男へ鋭い視線を 飛ばす
家族をさらう ましてや妹 それをするやつに情けなど要らないだろう
自首した後も 表でタカハシと連絡を取り合い探す そう決めた。

「一口噛みますよ
 その不届き者には罰が下るでしょう」

金の瞳が暗い色を映す それは 昔の自分を思い出させた
同情ではない 仲間意識に似たなにかだ

ノア > 「あぁ、また今度事務所の方にでも挨拶に出向いておくか。
優先順位を自分で決められるってのがフリーの楽な所だし、
今後ともよろしくやっていくよ」

仕込みが終わる。
つまるところ柊が頭取を降りるまでに、渡すべき物は渡せたらしい。

「あぁ、広いようで狭い島だしな。
ははっ、アンタのいう事だ。頭ン中には入れとくよ」

頻繁に顔を合わせる仲では無かった。
どちらかと言えば、一方的に興味を持って過去を掘り返して調べた相手でもあった。
仕事相手から、今飲み仲間として。
人に言いづらい事を小さく笑いながら酒を握って話せるようになったのは、間違いなく今日あった良い事だ。

「あぁ、ただ相手も異能持ちだ。
からくりは分かんねぇけど、人を巻き込んで一緒に消える上に
消えちまえば触れられもしねぇ。
深追いと無茶だけは、厳禁で頼む。
誰かが被害にでもあったら、アンタに顔向けできねぇ」

『雲雀』の顔は広い。情報屋としても大いに力を借りる事になるだろう。
この島は、一人で駆けずり回るには広すぎる。
本来なら、他の誰かに話す事など、無かっただろう。
ただ、目の前の男にだけは、吐露してしまいたいと思ってしまった自身がいた。

「っと、まぁ今はアンタの船出の時だ。
湿っぽい話はここらで終いかね。
柊……んや、次会う時には釜雲先生か? ま、どっちでも良いか。
全部終わった時に、抱きしめてくれる女が居なかったら、また酒でも奢ってくれよ」

言い切り、染み出した殺意と呼べる色をすっと収める。
今はただ、この友人の新しい門出を祝おう。

もう殆ど中身の残っていないグラスを、柊に向けて突き出した。

>  
「ええ、お願いします
 タカハシもノアさんのことを良い感情で捉えておりました
 きっとお金を弾んでくれるでしょう」

部下に託せる物は全て託した
あとはタカハシと相手次第といったところだが 上手くやるだろう と考えて

「ええ、情報が回るのも早い。はは、お願いします
 いい人がいたら紹介してくださいね?」

たまに顔を合わせる程度であった相手が今や こうして 
冗談を飛ばせるまでになった それは素直に嬉しいことであるし
いい縁に恵まれていると 感謝するようなことだ

「そこはお任せを 此方の手練は元は軍に所属しておりまして
 異能さえ伝えれば上手く対処するでしょう
 ですが、お気遣いに感謝を そう伝えておきましょう」

言い難いことであったはずなのにこうして 話してくれた
それだけで此方は嬉しく 飲み仲間として 妹 それを持つ同士として
惜しげもなく協力をしていきたいと思えた

「はは、やはり貴方は気遣い上手だ
 ええ、釜雲先生として 熱血教師として頑張っていきますよ
 その時は勿論 目一杯奢らせていただきます
 愚痴大会でも致しましょう」

殺意の色が収まる それを感じ取って 再び笑みを浮かべた
此方もグラスを掲げ 掲げてくれたグラスへと 軽く当てよう

「まさか、この私が自首するとは
 皆様のおかげです そして、最後に背中を押してくれた貴方に」

目いっぱいの感謝を 捧げよう

ご案内:「違法パブ「地獄の門」」からノアさんが去りました。
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