2021/12/06 のログ
ご案内:「落第街大通り」に霧島 孝介さんが現れました。
■霧島 孝介 > 夜の落第街の大通り。
路地裏と比較し、治安がいいとは言え、落第街の夜となれば事情は変わってくる。
そんな中、ガスマスクを付け、ダッフルコートのフードを被った人物が通りを歩く。
背中には赤い鞘の一振りの刀。
その体格や歩き方から男性であると容易に予想は出来るだろうか。
どう見ても不審者にしか見えない恰好のせいか、一般生徒という事はバレておらず
襲い掛かる人物も現状ではいないようだ。
(ここら辺も随分復興が進んだな)
つい先日までは瓦礫の山だったが、建物の修繕が曲がりなりにも進んでおり
壊滅状態だった建物も、人が雨風をしのげるレベルにまで整備されている。
しかし、最近は風紀委員関連でなくとも、落第街の悪い噂は絶えない。
SNSではダスク……なんとか、という怪盗がプチバスしており、銃を持った男性との戦闘動画が
拡散されたりと話題に事欠かない地域である。
■霧島 孝介 > (しかし、今日は目立った事件はないんだな…)
周りをキョロキョロ見ながら、そんなことを考える。
先日、演習施設で出会った少年の言葉を借りるなら
今、彼がやっているのは助けを求めている人が居ないか落第街をパトロール中、といったところだろうか。
こういうことは風紀委員の管轄だろうが、この前の落第街を焼き払った一件以降
風紀委員の存在について疑問視をしており、彼の中での風紀委員の評価は地にまで落ちていた。
ヒーローになりたいわけではないが、困っている人が居るなら見過ごせないし、助けたい。
自己満足かもしれないが、ベッドの中でそんなことを考えていると眠れず、ついつい
落第街まで来てしまったのだ。
しかし、そんな想いとは裏腹に今日の落第街は比較的平和で
もっと深く…路地裏の方まで歩を進めるべきだったか?と頭を抱える
ご案内:「落第街大通り」にダスクスレイさんが現れました。
■ダスクスレイ >
12月6日。
新月から時は過ぎ、繊月か三日月か。
そんなことはどうでもいい。
ショータイムだ。
「匂うな………」
物陰から現れて声をかける。
実際、常世島において裏の顔の真っ只中であるこの場所で彼の姿は目立つ。
そう、
「表の世界の人間の匂いだ」
分を弁えないパトロール。
帯刀しての肝試し。
────代償は高くつく。
■霧島 孝介 > 「ん…?」
こういう夜は勘が冴える。
陰の中から感じる視線と殺意。
そうして、現れたのは先ほど、脳内で思い浮かべた人物。
今や時の人となっている、斬奪怪盗、その人だった。
「はは、豪邸ツアー中にハリウッドスターとご対面、って所か?」
冗談を言い放つが、冷や汗や手汗が噴き出る。
まさかこんな早々に大物が釣れるなんて、興奮する反面恐ろしい。
(表の世界の人間!?露骨な変装が逆にバレたか!?
しかし、俺の名前までは知らんだろ…!)
相手の勘の鋭さに動揺しつつも、背中の刀の柄に手を掛ける。
代償を払う気はない。抵抗させてもらう。
■ダスクスレイ >
背中の刀に手をかけた瞬間、声を張る。
「抜け」
こちらは腰に刀を差したままだ。
それでも優雅に。落ち着いた様子を見せること。
焦って先手を取るなど怪盗のやることではない。
「お前が最初に抜け、それでようやく対等だ」
「イニシアチブをくれてやると言っている」
大仰に肩を竦めて。
通りの人間にアピールするような、どこか演劇染みた動き。
そう、これは劇だ。
演題は『血塗れの月』
どちらかが被害者になり、加害者となり、最後に犠牲者が出る。
「それとも何か? 自分かこの辺りの人間が斬られないと気分が盛り上がらないかね?」
■霧島 孝介 > 「何?」
抜け、と言われ、マスクの下で眉を顰める。
優雅に落ち着いた様子を見せる怪盗。
なるほど、要するに、アレか。嘗められてるって奴か?
「ほぉ…流石、慈悲深い怪盗様だ。
生憎、血は苦手なのでね。遠慮なく俺から行かせてもらうよ」
背中から鞘に納めたままの刀を腰に持ってきて、右手を柄に、左手を鞘に。
・・・・・・
怪盗からは少し離れた距離で居合の構えを取り、『狙いを定める』。
「…っ!」
左手の親指に力を入れると、刀の頭がパカッと開き、そこから閃光が迸る。
パンッ
なんと、頭から銃弾が発射され、一直線に怪盗の顔面目掛けて飛んでいく。
■ダスクスレイ >
ガスマスクの下から出る声はどうにも不機嫌そうだ。
どうやら物見遊山の怖いもの知らずでもないようだが……
何が目的でこの場所に来ている?
「そうだ、来い……」
その時、心に緊張が走る。
居合の構え。遠い間合い。
芥子風菖蒲や八ツ墓千獄と同じ飛ぶ斬撃かッ!!
その時に感じた直感は。
ある意味で正しく、ある意味で間違っていた。
飛んだのは、弾頭。
仮面の欠片と血が空中に舞う。
そのままもんどり打って仰向けに倒れ込んだ。
■霧島 孝介 > 居合の構え。
構えをされたら、大抵は刀が抜かれ、剣戟か飛来する斬撃をイメージする。
そのイメージを逆手に取った行動。意識外からの攻撃とでもいうべきだろうか。
銃弾が命中したのを確認すれば、息を吐いて肩の力を抜く。
「…怪盗よ、卑怯とは言うまいな」
マスクの下ではしてやったりという表情でそんなことを言い放つ。
落第街に来て、なおかつ正体を隠しながらダスクスレイ相手に戦う。しかも刀で。
そんなの、まともにやって勝てるはずがない。
何もかも、お前の慢心が招いた結果だぞ。怪盗。
そんなことを考えるが、流石に殺すつもりはなかった。
血が空中に舞い、倒れたのを確認したら、顔を青ざめさせて、全身の血の気が引く。
ゆっくりと近寄って
「…い、生きてます…?」
ちょんちょんと、怪盗のつま先を鞘に入った刀の先端でつつく。
■ダスクスレイ >
突かれた瞬間。
起き上がりながらの抜刀居合一閃。
横薙ぎに異常な切れ味の刀を振り抜く。
「おおっと、逆転劇のほうが盛り上がるだろう?」
そのままウインドミルの要領で一回転しながら立ち上がって。
砕けた仮面の下で噛んでいた銃弾を吐き出す。
「全く、とんでもない発想だ……スペツナズナイフよりも奇妙だよ」
続いて身体強化で強引に受け止めた代償、砕けた歯を吐き捨てる。
おお、おお。虚空の力が歯に及んでいなければ即死だったなぁ……?
「面白手品の時間は終わりだ」
■霧島 孝介 > 「っ…!」
突いた瞬間に起き上がり、横薙ぎのモーションブラーの中で
相手の閃刀『虚空』の刃が煌めく。
それに反応して、ギリギリ刀を抜き、刃を防ぐ。
切れ味の差か、こちらの刃は当たった箇所が刃こぼれを起こす。
「と、とんだ食わせ物だな…っ!」
銃弾を吐き出され、手汗が出る。
やっぱり一筋縄では行かないか、それにしても、銃弾を歯で止めたのか…!?
一部が掛けた仮面から口元が見える。歯も欠けているように見えて
常人ではありえない行動に動揺する。
「そうかい!」
コートの懐からキャリコM950を取り出す。
実際には、取り出したのではなく、怪盗に異能がバレぬようコートの中で作り出した代物。
距離を取りながら、怪盗に向けてそれを乱射する。
■ダスクスレイ >
キャリコM950か。
パラベラム9mm弾、初速にして427m/s……
人を殺すに十分、だが。
「足りん!!」
身を翻して銃弾を回避し、良いコースの銃弾を切り払いながら横に移動する。
「私の一撃で欠ける刀剣、私の相手に相応しくないなッ!!」
しかし、総合的な戦闘能力はなかなかのもの。
真っ向からやりあう愚は避けよう。
ちょうどよく、太い電柱が近くにある。
根本を切り裂き、相手に向けて倒れさせる。
「フハハハハ! 卑怯とは言うまいな?」
高笑いをしながら倒れ込む3000kg程度の重量の人工物を見ていた。
■霧島 孝介 > 「チクショウ、速い!」
自分の射撃の腕は悪くない。それでも相手に当たらないのは
単純に相手の身のこなしが洗練されたものだからだろう。
下唇を噛みながら、何とか一発でも、命中させようと思うが届かず切り払われて
相手に注目していれば、自身の周りを影が覆う。
上を見上げれば、成人男性一人では到底支えきれない程の質量を持った電柱が倒れ込んできて
「元ネタ、知らずに、そのセリフ、言ってんじゃないよ!!」
刀を捨て、左手をポケットに入れる。
丸い銀色の球体を作り出せば、それを倒れてくる電柱に向かって投げる。
電柱に命中すれば、銀色の球体がはじけ、『爆縮』する。
対消滅のような黒い真空の爆発が起これば、電柱を削り取り、ガスマスクの男が立っているところのみ
3000㎏の重量を持つ人工物の位置エネルギーによる被害を受けないだろう。
■ダスクスレイ >
「!!」
電柱が削り取られた!?
一体何が……異能? それとも事前にあんなものを用意していたのか…!!
奴の意外性、それは足を止めるに十分な……!!
「やるな……」
攻めあぐねる。
あれを直接、近距離で放られると即死もあり得る。
一方でこの距離から何を撃たれても私は回避できる。
千日手か………
「おい」
ここは会話で相手の手の内を探るか。
「この斬奪怪盗ダスクスレイに……」
「名乗ることを許す」
■霧島 孝介 > 「っ…!」
何とか電柱の攻撃を回避したものの、まだ戦いは始まったばかりだ。
刀を拾って、M950を構えれば、息を吐いて集中する。
さて、どうする。どう当てる。
怪盗と同じようにこちらも攻めあぐねる。
接近戦ではこちらが圧倒的に不利。しかし、間接攻撃もいなされてしまう。
それならばレーザーやビーム系で…と考えていた矢先
「お、出た出た。SNSのハッシュタグで見たぞ、そのセリフ」
名乗ることを許す。怪盗のお決まりのセリフだ。
SNSのハッシュタグで拡散されていると、あることないこと冗談交じりに言いつつ
怪盗からは目を離さずに警戒をして。
「…そうだな、正義のガスマスクマンだ。覚えておけ」
少し考えた後に、そのように名乗る。
『ダスクスレイ』のように、カッコいい名前が思い浮かばずに
咄嗟に思い付いたのがこの名前だった。皆まで言うな。分かっている。
■ダスクスレイ >
「フン、ガスマスクマンときたか。大したものではないか」
「このダスクスレイが攻めきれないとはなかなかあることではない」
「それにしてもお前の異能………どこかで見たな…」
これはブラフだ。
そもそも相手が何をしたのか私は理解していない。
異能ではなく、武器や攻撃的な道具を揃えていただけの場合には空振り。
だが、異能で電柱を破壊したのであれば。
少なからず動揺を誘えるか?
どの道、ここからできることは限られている。
そして最後の手段を試す前に会話で相手の力の本質を探る。
■霧島 孝介 > (名前へのツッコミはないんだな…)
ダサい名前だな。などと言われずに安堵するものの、次の言葉で心臓が跳ねる
「な、何を言ってるやら、お前と俺は初対面、だぜ?」
声が震える。
もしかして、表の世界での知り合い?
俺が、異能を使って作り出しているところを見られた?
それとも、落第街での戦争の時の目撃者か!?
刹那で様々な可能性を考えてしまう。
自分の隠蔽は今のところ、完璧。誰にもバレいないはずだ。
怪盗の発言はブラフ、とは頭でわかっているものの、分かりやすく動揺してしまう。
それが視線や、銃口の向きなどに影響を及ぼし、ブレてしまうだろうか。
■ダスクスレイ >
かかったッ!!
こいつのさっきの対消滅を起こす銀球は異能か!?
「果たしてそうだったかな………」
ゆっくりと刀を構える。
スローモーション、しかし万力のように力を込めて。
「フフフ、楽しい一時であった」
虚空よ、今こそ。
地を裂け。
「さらばだ、正義気取り!!」
遠間からの斬り上げ。
それは。古びたアスファルトを切り裂き。
相手の足元までの地面を派手に陥没させる!!
「フハハハ! 今日は砕けた歯の分、負けておいてやるとするか」
「次はどこで会うだろうなぁ? ハハハハハハ!!」
そうだ、日常にこのダスクスレイが潜む可能性を常に考えるがいい!!
私は高笑いをしながら屋根から屋根に跳躍し、派手に断裂した道路を尻目にその場を後にした。
■霧島 孝介 > 「ぐっ…」
相手の声色が若干変わった。
もしかして、俺の異能を看破したか…!?
刀を構える動作に、こちらも銃を構えて引き金を引こうとしたが
「うぉぁあ!!」
遠くからの斬り上げ。
それは自分に対してではなく、アスファルトを斬り裂いていき
自分の立っている地面にまで縦長のクレーターを作る。
突如、足場が無くなり、数cmだが落下して尻もちを突く。
「っ、この野郎…覚えてろ!!」
負け惜しみのように拳を挙げて、怪盗の背中にべたなセリフを吐く。
それにしても…助かった。これ以上深入りしたらどうなっていたことやら…
怪盗が視界から消え去ったことを確認すれば、こちらも帰路に着く。
酔狂でやった来るには刺激が強すぎた。周囲に警戒しつつも、こちらも落第街を後にした―――
ご案内:「落第街大通り」から霧島 孝介さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からダスクスレイさんが去りました。