2021/12/12 のログ
ご案内:「落第街大通り」に紅龍さんが現れました。
■紅龍 > 【前回までの紅龍おじさん!】
違反部活『蟠桃会』の用心棒、元軍人の紅龍は。
『斬奪怪盗ダスクスレイ』の情報を集めるために探偵の『ノア』に仕事を依頼する!
自衛のため重装備で用心棒の仕事をこなす紅龍。
そんな中、好奇心に瞳を輝かせた少女『マヤ』に出会う!
少女とのやり取りにどこか懐かしさを覚えていた紅龍だったが。
『生きててよかったね』
去り際に囁かれた一言が、頭から離れないでいた。
自分が生き残った事に意味があるのか。
生き残った事で何が出来るのか。
今『生きている』事実を、じっくりと噛みしめるのだった。
■紅龍 >
大通りに面した屋台の一つ。
さほど座り心地の良くない椅子に座り、ガタガタと傾くテーブルに肘をつく。
軽く飯を食べたところだ。
「しっかし、面白くねえヤツだったな」
つい先ほどまで、目の前に座っていた『客』を思い出す。
顔も隠して声も変えて、男か女かもわからん身形だった。
まあ、『取引先』の立場を考えりゃ、こんなところに出入りしてるのは知られたくねえわな。
「――で、これか。
やっぱりあのガキは使えるな。
探偵を名乗ってるだけはある」
ノアから送られてきた、ある監視カメラの映像。
噂の斬奪怪盗と、風紀委員のガキが殺り合ってる映像だ。
風紀委員の方は『芥子風菖蒲』とか言うらしい。
怪盗と互角にやりあってるのを見ればわかるが、こいつもまた、大した『バケモノ』だな。
つーか、命知らずの戦い方だなこりゃ。
このガキ、早死にするんじゃねえか?
■紅龍 >
関係ない人間が多少死のうと、オレにとっちゃ問題じゃない、が。
怪盗とやりあって、片付けてくれそうなヤツに死なれたら困る。
出来る事なら、オレのあずかり知らないところで、始末をつけて貰いたいもんだが。
「そう上手くはいかねえよなあ。
どうせなら貸しの一つも作っておきてえが――表立って協力ってわけにもいかねえな」
なにせ、違反部活と風紀委員だ。
怪盗の方が目立ってくれてるからいい物の、本来ならオレも風紀委員のターゲットにされておかしくない。
まあ、そのまま大人しく捕まってやるつもりはねえが。
そんな諸事情で、協力するってのも難しい所だ。
「――これ以上派手に暴れられる前に、カタをつけてえとこだが。
足取りが追いきれねえとなると、また出てくるのを待つしかねえ、か」
今わかっているのは、『怪盗』は強さのわりにやる事がみみっちいって所か。
派手な騒ぎを起こすが、やってるのはただの強盗殺人。
力を見せつけるような様子から、目的は力の誇示か。
「――あほくせえなあ」
眠たい事実に欠伸が出る。
どうにも、やる気が出ない話だった。