2021/12/14 のログ
ご案内:「落第街大通り」に紅龍さんが現れました。
紅龍 >  【前回までの紅龍おじさん!】

 違反部活『蟠桃会』の用心棒、元軍人の紅龍は。
 『斬奪怪盗ダスクスレイ』の情報を集めるために探偵の『ノア』に仕事を依頼する。
 『怪盗』との遭遇を警戒する中、懐かしさを抱かせる少女『マヤ』と出会った。

『生きててよかったね』

 少女の言葉が耳から離れない。
 自分の命の見積もりは、殊更に誤りやすいもの。
 風紀委員『芥子風菖蒲』の戦い方に眉を顰めつつ。
 『生きててよかった』と思えるように、今日も過ごすのだった。

紅龍 >  
 北風が吹き抜ける。
 本格的な冬が近づき、冷え込み始めたって所か。
 まあ、この島は大分南方だからな。
 それでもだいぶ過ごしやすい冬ではあるが。

「かー、流石に何も被らねえと耳がいてえな!」

 冷たい風にやられて、耳がジンジンと痛みやがる。
 体はスーツの機能で寒暖に困る事はねえが、頭は意外と困るとこだ。
 ヘッドギアを被ればいいんだが、この装備で顔まで隠れたら不審極まりない。
 いや、ゴーグルとマスクだけ着けないってのもアリなんだが。

「でもなあ、やっぱごつい被り物になると、威圧感すげえだろうしなあ」

 ナイーブなおじさんとしちゃあ、店で怖がられたり、引かれたりすんの、地味にショックなわけよ。
 だから、わざわざ通りの出店で、耳を覆える少しはマシそうな被りもんを探してるわけだ。
 

紅龍 >  
 耳当てかイヤーウォーマーでも、なんかありゃあいいんだが。

「んなしゃれたもん、この辺にゃ売ってねえか?」

 薄汚れた露店を眺めてみるが、さて。
 表通りなだけあって、見るからに危ないもんは売ってねえが。
 ちょっとした小物から、缶詰やインスタントの食料品、後は日ごろ使うような雑貨の類まで。
 なんだかんだと揃っちゃいるから、逞しいもんだ。