2022/02/10 のログ
■セレネ > 元の世界に居る時と比べ、随分と危険な場所に足を踏み入れる事が増えた気がする。
此処にせよ、裏常世渋谷にせよ、現在封鎖中の一画にせよ。
初めはただの興味、もしくは知見を広める為だったが、最近はどうも目的がやや変わってきたように思える。
『…”スリルがないと生きた心地がしない”…って、段々あの人に似てきたみたいね。』
いつぞや聞いた、己を育ててくれた養父の言葉。
己はこの世界に、転移魔法時の事故とはいえやってきた身。
確かに此処に存在し、他者とも会話し干渉も出来る。
だが、時折思うのだ。生きている心地がしない。
地に足を付けている感触がないような。
器もあるのに、魂もあるのに、心は何処か。ふわふわとしているような。
そんな感覚に、ふとした時に襲われる。
歩いていた足を止め、地面に蒼を落とす。
■セレネ > ふぅ、と小さく息を吐く。気分を切り替える。
じわじわと身体を蝕む痛みも増して来た。そろそろ帰る頃合いか。
気分が落ち込みがちなのはこの時期になると毎年ある事だ。
指に嵌めている指輪の一つをそっと撫でると歓楽街へと戻るとしよう。
後期試験が終わるまでもうひと踏ん張り、終わればバレンタイン。
贈るつもりの人は二人程。夜色の彼女はきっと何を贈っても喜んでくれそうだけれど。
材料が店からなくなる前に買わないといけないな…。
安全な場所まで辿り着くまで警戒は緩めることなく、月色は緩やかに香りを少し残して行くのだ。
ご案内:「落第街大通り」からセレネさんが去りました。