2022/02/20 のログ
ご案内:「落第街大通り」にメアさんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に『調香師』さんが現れました。
おじいさん > 「………ふが……」
ここは落第街大通りにある、ジャンク品店。
一人の爺さんが営む寂れた店だ。

使えなくなったジャンク品を買い取り、使えるものを取り出して使えるものにして売っている。

店番をする爺さんは杖を持って椅子に座り、船を漕いでいる。

『調香師』 > 結果はあまりに早かった、それが人の手を借りるという事
ほんの一日。彼女は『組織』の力を侮っていたのだろう

彼女の足は、落第街の目的地にたどり着く

「ここに...」

店の前で、佇んでいた

おじいさん > 「……やぁ、いらっしゃい。お客さんじゃ……なさそうだね。悪いお兄さんたちの友達かい?」
あくまで、気さくに話しかける。
ここ落第街は治安が悪い。
その中で一人商売するというのはハードルが高い。

このお爺さんは、敵を作らないことで商売を成り立たせていた。
だから聞かれれば答えるし、ショバ代を払えと言われれば払う。
無理難題を言われればさっさと立ち退いて別の場所で商売を始めるだけだ。

「あんた、メアちゃん探しに来たんだろ?メアちゃんは確かに此処にいるが…今、ちょっと人に会える状態じゃないんでね。出直してきてくれるかい」

これは、悪いお兄さんたちにも言ったことだ。彼らはすぐに立ち去ってくれたが…彼女は、どうだろうか。

『調香師』 > 「っ......」

言葉を詰まらせる。笑みは硬い彼女でも、緊張の走る表情を作るのは上手い
メアの事だ、巷でどんなひどい目かに合わされてしまえば塞ぎ込む事も...

考えが言い訳を走らせるも、すぐに自身が否定する
メアが『誰かから』の行いに傷つくはずがない
彼女が傷つくとすれば常に、自分の行いが故に

やはり、私が一度拒んだあの日から、ずっとここに居る

「...『パルム』が会いに来た。伝えて欲しいな」

記憶を消してしまった貴女には、もしかしたら意味のない音の羅列かもしれないけれども

NPC > 「パルム、ね。ちょっとまってくれな」
そう言って大義そうに立ち上がり、店の奥へと消えていく。

その後、ドタバタと、暴れるような音が聞こえる。

メア > 「~~~~~!」

メアの、悲鳴のような声が聞こえてきた。

『調香師』 > 「メア?」

その声は確かに、金切り声と相成っても確かに憶えのある音で
店主見張らぬ間に、彼女の脚は待機の命を無視して店内に進む

ジャンクにぶつかるバスケット、時々その山の一角を崩しているのかもしれないけれど、
それらは一旦保留して、向かう

メア > 「ひっ」
パルムの姿を見て、隅へと逃げて固まるメア。
あれだけ整えていた髪はボサボサになり、服も少し薄汚れてしまっている。

なにより幾度も暴れたような傷がきれいだった肌を台無しにしてしまっている。

お爺さんが寄り添うように、背中を擦っている。

『調香師』 > 「メア」

部屋に踏み込もうとした。隅に逃げた貴女の目線を受けて、動けなくなった

踏み込めず、言葉を落とすだけ。少女の姿は普段通り、普段よりも今日は香りも選ぶ
貴女が知っている筈の、薔薇とほんの僅かな残り香の漂うあの匂い


あれほど、自分の『商品的価値』を大事にしていた少女の姿
自罰の痕で台無しになる様は、皮肉にもジャンクと形容するに相応しい


躊躇いを一度、越えて一歩進んでみる

お爺さん > 「……なぁ、お嬢ちゃん。あんまり近寄らんでやってくれんか。
人に会うのが怖い、と言っとるんじゃ」

メアを宥めようとしながら、話しかける。
爺さんも、此処まで近寄るのに時間が掛かった。
最初は部屋を与えるだけで、目を合わせることすら出来なかった。
今でさえ近づけば怯えてしまうのだ。

メア > 「………」
目を合わせようとしない。

関わり合おうとしない。

怯えている。

人と関わることに怯えている。
パルムに会うことに怯えている。

自分がしてきたことに向き合えなくて。
自分の『存在意義』を見失ってしまって。

自分を見つめ直すことが、怖い。

『調香師』 > 「......メア」

老人に諭され、貴女には拒絶されて
それが『誰の為にもならない』と思った時に、
近付いて見る事すら出来はしない

どうしてと、考える必要すらあるものか
こうなった原因の一端を考えれば私のせい
そして、本当の意味でこの状況を望んだのは、
かつての『貴女自身』、真に傷ついた者


「また来ても、いい?」

現状が適ったとして、見捨てたいという筈でもない
お客様と寄り添いたい。そう思う事を、当然だと自分に言い聞かせながら

今日は帰ろう。次の機会を欲しながら

お爺さん > 「…メアちゃんはこの通り口も利けねぇ状態だからなぁ。
儂が許可をとるってのもおかしい話だし。好きにすりゃあええ。

ただ、此処にメアが居るっていうのは言いふらさんでくれ。引っ越しせにゃいかんくなる」

メアは多くの人に慈善を行っていた。
故に心配する声も大きく…露見してしまえば訪問する人が多く着てしまうだろう。
それは、今のメアにとっては大きな負担だ。

「見ての通り、心を閉ざしちまってるからな。時間かけてやってほしいんだわ」

『調香師』 > こくり、と彼女は頷いた

相手の心に対しても、尽くす事でしか計れなかった貴女の事
自身が施していた無償の善意。その未知が如何に恐ろしい物か

「それじゃ、またね」

この言葉にすらどんな感情を抱くのだろう
敢えて、気にする事を放棄して
自分の意識付けのように言い聞かせて


彼女はこの場を去っていったのだった

ご案内:「落第街大通り」からメアさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から『調香師』さんが去りました。