2022/09/15 のログ
ご案内:「落第街大通り」にスティールバイソンさんが現れました。
スティールバイソン >  
昼。落第街。リバティストリートにて。
俺様は昼飯に串焼きを食べている。
この季節に外にテーブル並べてあんのは暑いっちゃ暑いが、まぁ風情だ。

よくわかんねー肉だが美味い。
多分豚肉だろう。

わしわしと肉を食べる。
そろそろおにぎりでも注文するか。
この店の焼きおにぎりはまぁまぁイケる。

『単位売ります、様々な国の通貨に対応!!』
『単位買います、あなたの余分を誰かの未来へ』
『人手が足りない人はココ』
ぼんやり見ていた胡乱な看板から視線を下ろす。
人通りを眺めながら先々のことを考える。

スティールバイソン >  
なんか新しい違反部活が立ち上げの機運があるとか。
そういう噂があったりなかったりとか。
ま、カンケーねーか。俺様たちに影響があるなら考える。

氷の入った烏龍茶を一口。
脳髄から腹の底まで冷えそうなほど冷たい。
今の季節にはこいつを呷ることで、
心の底から何もかも上手くやってやるってやる気と、
温泉宿で2日ほど休んだような無尽蔵の体力が戻ってくる気がする。

「焼きおにぎりとこのよくわかんねー串を追加で3本頼む」

注文を終えて雑多な人並みに視線を戻す。
多くの一般学生は落第街の連中はまともなモンを食ってないだとか。
臭い飯で腹を満たしてるフケツな野郎どもと勘違いしている。

だが違う。
平均80点くれーの飯をコンビニで買ってる学生どもにはワカらねー。
落第街の飯は……平均40点くらいで。
良いとこに行けば1万点の食事にありつけるのだ。

そこの魅力を履き違えちゃならねぇ。
時季が外れた蝉の鳴き声が聞こえた。

スティールバイソン >  
ここいらじゃセミも食べ物に分類されるのでなかなか珍しい。
俺様も恐る恐る食ったことがあるが、エビみたいな味がした。
脱皮直後のセミを冷凍し、食べる時に揚げることでそんな感じになるのだとか。

ともあれ、俺たちはセミの鳴き声をうるせぇと思うことはそんなにない。
無論、セミを目の色変えて取るようなご馳走だとも思わんがな。

運ばれてきた焼きおにぎり。
カリ、とした外側と醤油の焦げ。
アツアツの中央部分に、芳醇な醤油の香り。

これを齧った後に烏龍茶を飲む。
せっかく生きてるんだからこんな日があってもいい、
と考える程度には満たされる。

でけぇ蟲の怪物が最近、転移荒野から来てるらしい。
見上げるほどデカい蜘蛛だとか。
信じられないほど巨大な蛇だとか。
そんで………両方、そいつを片付けたのは生活委員の女、らしい。
まぁ、眉唾モンだな。

あとはフェニーチェの残党だの、人さらいのディープブルーだの、
テルミナスセブンでも手を焼くような連中が跋扈しているようだ。
……正直、真っ向からやりたくねぇなぁ。

スティールバイソン >  
あとは………

「ネロ・ディ・トラディメントか……」

俺様の独り言に、注文かと思って近づいてきた店員に苦笑いして人差し指を一本立てる。

「なんでもない、烏龍茶をもう一杯頼む」

裏切りの黒(ネロ・ディ・トラディメント)。
悪を狩る悪。影から影へと潜む者。
世界の敵、その命火を吹き消すヴィランの集まり。

……どうにもあいつらのことを考えると寒気がする。
真正面からやりあって俺様が負けるはずもない。
だが……真正面からやりあえるような気がしねぇのは何故だ?

運ばれてきた烏龍茶で串焼きの脂を胃に流し込む。
足元に飛んできたゴムボールを片手で拾って。

「人通りがあるところでやるんじゃねぇ」

と、短く注意してボールを投げ返す。
……静かに見えるこの街に。

あるんだろう。裏切りの黒の、足跡が。その黒点が。

スティールバイソン >  
それと……気になることが一つ。
スキンヘッドの大男が。
機械の悪魔に“変身”して。
破壊活動を行う、というウワサだ。

額の汗を拭って携帯デバイスの写真を見る。
送られてきたそのデータは、
クレーターのように刳り貫かれたアスファルト。破壊の痕。

……一体何をしたらこんなことになるのかはわからん。
だがこの時に交戦したって話の“歪曲刀のドリフト”が行方不明になってる。
あいつは俺様と同等の実力を持つヴィランだったはず。

一体何が起こった?
今まで体が機械化する異能なんてあったか?
よくわからない驚異は、今もこの街に潜んでいるのかも知れん。

……やれやれ、テルミナスセブンにこの画像を回しておかねーとな。
食事を終えて口元をハンカチで拭う。
太陽はジリジリと真上からこちらを睨んでいた。

「なんか恨みでもあんのか、太陽ォ」

スティールバイソン >  
携帯デバイスの写真を順繰りに見る。
その時、ふと無精髭の男の写真が出てきた。

確か……部下が送ってきた写真の…紅龍、だったか。

蟠桃会の関係者……だったかな?
あの闘争の種子事件の時にゃ、苦労したもんだぜ。
あんなよくわかんねーヤサで部下を二人も失った。

だが、それもしょうがねぇ。
一人は闘争の種子を手に入れて売捌(トバ)そうとした。
あいつの欲深さに似合いの結末(おわり)だったのかも知れない。

ともあれ、紅龍は無能力者ながらA級ヴィランのダスクスレイとやりあったって噂もある。
これからコイツの動向にも気をつけないとか。

スティールバイソン >  
携帯デバイスをスワイプする。
映るのはおびただしい血痕。

人斬りの鬼……か。
辻斬りなんてするのはイカれたヤツだ。
ダスクスレイを見りゃ誰だってそう思うだろう。

だが……どうにもあいつとは毛色が違うらしい。
日本の鎧武者みたいなスタイルで襲いかかってくる。
サムライゴースト、と呼んだヤツもいる。

落第街だからって何してもいいと考えてるなら。
いずれこいつもツケを払うことになる。

無論、俺様が当たれば。絶対に沈没(しず)めてやる。

スティールバイソン >  
スワイプ。
モールディングベア。
スワイプ。
モールディングベアの自撮り。
スワイプ。
モールディングベアが異能でTSさせた元男をカワイがってる画像。

あいつ写真送ってきすぎだろ。
どうでもいいが俺様があいつの異能食らったらどうなるんだろ…
寒気がした。この気温だってのに。

ま、いいだろ。

「おあいそ」

金を払って店を出る。
ジリジリと照りつける太陽の光を手で遮って。

まだまだ暑い日が続きそうだ。
俺様は人混みの中に紛れていった。

ご案内:「落第街大通り」からスティールバイソンさんが去りました。