2022/10/07 のログ
清錬堂 古 白水 > 「こっちの技術の発展には驚かされることばっかりだ…この銃だって、あっちではこんなに緻密じゃなかった。」

露店に並んだ銃らしきものを見ながら呟く。
銃と呼ばれる兵器は、かつて居た世界では火筒と呼ばれていたものと似ていた。
とはいえあちらではもっと太かったしこんなに細かなつくりはなかった。
技術力や文明の差を感じる、こちらの世界が辿ってきた歴史についての興味が強まってくる。
目の前の銃を手にしてみたいようにも感じるが、先ほどと同じく金銭的に無理そうだ。
特に必要でもない訳だし。

「意外と面白いじゃないか、この街。危険だしあんまり頻繁に来れるところじゃないけど
いつか大金ぶら下げて遊びにきたいな」

何気なく発した一言だったが、聞いていたであろう露店の主に鼻で笑われた。
まあ大体気持ちは分かる。そんなに温い街ではないのだろうという事も、まだ知らないところだってたくさんあるのだろうという事も。
だがまあ、幸い自己防衛手段は持ち合わせている。
とはいえ争いごとはあまり好きではないが…まあ大抵の場合は逃げきれるだろう。

「こんなことを考えられるのも、落ちなかったからなんだろうな」

そこまで嫌悪感が無いのも、この空気に片足突っ込んだ人生を送ったからだろう。
まあ、もう昔のことだ。今の私はこの知らないことだらけの島で日銭を稼ぎながら生きていく一人の異邦人。
引けを感じる事はない。

「もうちょっと見て、引き揚げようかな」

遊びに来るときのための下見と、今しか見れないかもしれないものを余すことなく見ていく為に。
もう少しこの街を味わっていこう。
もう少し見ていたいと思ったが、いつまでも銃だけ見ていても離れがたくなるだけと考え、再び大通りを往く人々に混ざった。

ご案内:「落第街大通り」から清錬堂 古 白水さんが去りました。