2022/10/19 のログ
ご案内:「落第街大通り」に笹貫流石さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」にスティールバイソンさんが現れました。
笹貫流石 > 「……参ったぞ~~これ、ぜーーったい、面倒臭い事というか勘違いじゃねーのぉ?」

違法パブの用心棒を(また)押し付けられ、くたくたになりながら帰路の途中。
この格好で勘違いされたのか、謎の黒服連中からアタッシュケース?を押し付けられた。

『お前が例の運び屋だな?早急にコレを例のポイントまで頼む。早く…!!』

その後、慌しく退散した連中をぽかーんとした表情で見守ってから数分後の現在。

「……中身気になるけど、やべぇブツだよなどう考えても。」

かといってポイ捨てする訳にも行かない。銀色のアタッシュケースを右手に困った表情で考え込む。

スティールバイソン >  
運び屋がポイントに来ない。
アイツら、金払っておいて適当な仕事しやがって。

アレの中身を見られるわけにはいかない。
万が一、ケースの中に名前でも入っててみろ。俺様は終わりだ。

見つけた!
なんか知らねー野郎が持っている!!
奪われたのか!? まずい!! 奪い返すのが先決だ!!

「おい」

笹貫の後方から頭上を通り過ぎていくような声。
俺様の呼び止める声だ。

「それを、よこせ」

血走った目で彼へと手を伸ばして近づいていく。

笹貫流石 > 「……はい?」

何かドスの効いた、聞き覚えの無い声にゆっくりと振り返ってみる。
……その姿と表情を確認すれば、何と言うか自分の懸念が当たったのを悟る。

(Oh…相変わらず俺のこういう駄目な予感ってバッチリ当たるんだわ…)

ある意味で余裕をぶっこいているような感じで思わず左手で顔を覆って空を仰いだ。そうしたい気分なんだ。

「いや~~?何か勘違いしてないっすかね?これは俺が何か預かったモンなんすけどぉ…。」

と、手を伸ばして近付いてくる恐い旦那から、ジリジリと後ろに下がって距離を取ろうとする。
考えたら素直に渡してスタコラサッサした方がいいんだが、性分か癖か取り合えず確保しておくスタイル。

(…っていうか、まず体格的に威圧感凄くないっ!?何かいかにも肉体強化とかしそうなタイプ…っ!!)

スティールバイソン >  
このグラサン黒スーツ野郎が俺様の秘密に勘付く前にケースを奪い返す!!

「黙れッ!! 俺様を誰だと思っていやがる!!」

余裕こきやがって、ムカつくぜェ!!
返さないつもりなら骨の一本や二本、覚悟してもらう!!

「俺たちの…テルミナスセブンの縄張りでだいそれたことしやがって!!」

右手をケースに向け、左手をグラサン野郎の首根っこへ向けて伸ばす。

笹貫流石 > 「待った!そのテルミナス…ヘブン?とかいうのはよく分からんけど俺が悪かったよ旦那!」

セブンとヘブンを間違えた、大変申し訳ない。まぁ余裕をぶっこいていた訳ではないのだが…

(…あれ?俺もしかして何かやっちゃいました?)

等と思いつつ、反射的に後ろへと低い姿勢で飛び退こうと。大事なのは、相手の一挙手一投足から目を離さないこと。
そして……。

(『死の気配』は……ありゃ?意外と薄い?いや、でもあんな旦那に首根っこ掴まれたら普通にあかんわ!)

薄っすらとサングラス越しに瞳を開いて相手を”見る”。
それだけで自動的に少年の能力が発動。周囲の景色が一変する…見慣れた光景だ。胸糞悪い。

(――クソ、”アレ”の事を思い出しちまった…あの女と会話したせいか…!)

なんて、少年の葛藤を目の前の大男が介する筈が無い。ともあれ、こうなったら逃げるしかないか?

スティールバイソン >  
「テルミナスセ・ブ・ン・だッ!!」

さらに激昂して伸ばす手は空を切る。
スティールバイソンが暴れている、と落第街大通りが騒がしくなる。

「このスティールバイソン様にナメた真似してタダで帰れると思うなよ!!」

足元を強く踏んで走り出す。
ケースは頑丈だ、多少暴れようと中身は無事のはず!!
だったらまずはアイツをぶちのめす!!

「待ちやがれグラサン黒スーツ!!」

猛然と追いかける、追いかける、追いかける!!

笹貫流石 > 「すんませんすんませんすんません!!!悪気は一切無かったんすよ!!いや本当にマジで!!!」

素で間違えたので素直に俺が悪い。平謝りするが、それで許してくれる筈も…無いですよね分かります。

「スティールバイソン……コードネームっすか?」

思わずお?と、そんな質問を。コードネームか…一応、俺ら監視対象の呼び名もそんな感じだろうか。
いや、それより流石にもうこれはあかん。どう考えてもこれは俺がぶちのめされる展開…!!

「いーーや!俺は逃げるね!!!あと、俺には笹貫流石っつぅ名前があるんでよろしく!!」

何故か自己紹介を律儀に返す。多分我ながら慌ててるのだと思う。
そしてくるっと方向転換して一目散にダッシュで逃げる!!…が、

「…うっわ、やっぱり肉体強化か何かしてんのかあの旦那!?逃げ足には自信多少あるんだけどなぁ~~!!」

猛然と追走してくる男、必死こいてアタッシュケースを右手に逃げる少年。
その距離がじわじわと縮まっていく…もう少しで追いつかれそうだ…これはいかん!!

スティールバイソン >  
「今更ッ! 謝って! 済むかぁ!!」

ぶちのめす! ぶちのめす! ぶちのめす!!
その意思を持って前に進む足!!

「これが本名なワケあるかァァァァァ!!!」

さらに怒り心頭、両手を突き出して追いかける。

「そうか、正直者の笹貫流石ッ!! ご褒美は何発欲しい!!」
「今なら右腕と左腕も選ばせてやるぜぇぇぇぇ!!」

一気呵成に距離を詰めると相手の足を狙って手を伸ばした。
掴んで、振り回して、叩きつける!!

笹貫流石 > 「ですよねぇ~~~~~!!!」

やばい、何を言っても火に油を注ぐ結果にしかならん気がする!!
と、いうかもう追いつかれる!こっちは身体強化の異能も魔術も持ってないんだが!?

「じゃあ、本名教えてくれよ旦那!特に理由は無いけど何となく!!!」

何故かよく分からん言葉の応酬をしながら、兎に角正直者呼びされてしまった…ありがとう!!
…違う、そうじゃない!!

「ご褒美!?美少女とのデートとかお願いしますよ旦那!!あと、両腕を使えなくなると色々困るんでどっちも断る!!!」

ふざけた切り返しのようだが、笹貫流石は大真面目である。
そして、とうとう追いつかれて手を伸ばされる。狙いは…足か!!

「…悪いけど、野郎に足に抱きつかれる趣味はねーんすよ…!!」

何も持たない左手を徐に横へと伸ばす。そこから飛び出すのは、銀色の鎖が5本。
先端が鋭いフックのような形状になっており、それが一瞬で伸張して建物の壁へと突き刺さり。

「―――っ…!!」

いきなり、少年の体が真横…左へと吹っ飛ばされるように鎖に引っ張られる。
それにより、足を掴まれる寸前で何とか交わす。本当に紙一重ではあるが。

スティールバイソン >  
「テメェになんでド個人情報教えなきゃならねぇんだよ!?」

いや狂ってんのか!!
それともバカにしてるのか!?

「黙れッ! 俺様に美少女の知り合いがいるように思うかぁ!!」

自分で言って悲しくなるなこれ。

そして掴む瞬間、笹貫は鎖を伸ばして咄嗟に回避した!?
クソッ!! 俺様だってトランクの中身さえあれば今頃お楽しみだったのによォ!!
なんで野郎と鬼ごっこしなきゃならねぇんだ!!
ムカつくぜェ~~~~~~~~~~~!!!

「おおそうかい!!」

近くの石を拾い、異能で強化された膂力で握り潰す。

「じゃあコイツはどうだ!!」

散弾のように砕けた石を投げ……ようとして…
思いとどまる。
こいつは万が一、ケースに当たったらまずい!!

「くっ……!!」

歯噛みして笹貫の野郎を追いかける!!

笹貫流石 > 「…っていうか、冷静に考えて野郎の個人情報とか別にいらんですわ。…ごめんバイソンの旦那!今の無しで!!」

残念、俺は正常です。あと、馬鹿にしていない。雑魚の俺が他人を馬鹿に出来るとでも!?

「……そう自分を卑下するなよ旦那!!旦那にだってモテ期とかそういうのある……多分!!」

この少年、更に状況を悪化させる失言を返しているが本人に悪気は本当に無い。
あと、俺だってハロウィンに美少女の先輩のデート(仮)予定なんで、こっちだって何が悲しくて大男とチェイスしないといかんのだ!!

「…って、飛び道具かよ!!それは反則……ありゃ?」

壁へと引き寄せられれば、そのまま壁に器用に着地しつつ、咄嗟にそちらへと顔を向ける。
小石を握り潰す様子にギョッ、としつつ慌てて次の回避行動に移ろうとするが。

(…今、投げるのを躊躇った…?あ、そうかこのケースか…!!)

「…なぁ、バイソンの旦那ぁ?このケースにはなーにが入ってんですかねぇ?」

笑顔で右手にしっかり確保したままの銀のアタッシュケースを揺らしてみせる。

スティールバイソン >  
「テメェッ!! はッ!! 人を怒らせる天才か何かか!?」

地団駄を踏んで怒る。
衝撃でちょっと足元が揺れる。きっと気のせいだ。

「俺様が女に優しくして誰が靡く!! 俺様が女にプレゼントして誰が惚れる!!」
「誰も好意なんて寄せやしねェよ!! だったら……」
「女も構わずブン殴るんだよォォォォォォォ!!!」

そして笹貫がアタッシュケースを揺らすと。
顔色が変わる。

「バカ、揺らすんじゃねぇーこのクソ野郎ォォォォォォォ!?」

顔を真っ赤にして怒る。

「テメェだけは許さんぞ、笹貫!!!」

再び飛びかかる。今度は右拳を振り上げている。
俺様の利き腕の殴打、当たれば一撃で昏倒だ!!

笹貫流石 > 「あ、いや。俺はどっちかというと凡人なんすけど。あと、怒られるのは何時もの事っすよ。」

地団太に「おぉぉ、揺れてる…!?」と、呟くが実際振動が凄かったかは謎だ。
多分、旦那の地団太の迫力(?)に気圧されたのだと思う。

「…んなの、試してみないとわかんねーだろうが!!いや、俺もモテないけど、まだ分からんだろ!!」

あれ?俺、何で説教してんの?あと、人の事言えないよなぁ、と変な所で冷静になる自分が悲しい。
あと、女の子を殴るのはあかんよ。俺殴れねーもん。甘ちゃん?大いに結構!!

「…ほほぅ、つまり旦那にとって大事なモンが入ってる訳か…その慌てっぷりからして”個人的なブツ”とみた。」

と、笑っていたら旦那が飛び掛ってきた。あ、やっべ!!と、思いつつ。
流石に、真っ向から殴り合いというか体術で勝てる訳が無い。■■の時の”アレ”とは違うのだ。

「―――じゃあ、返せばいいんだ…ろっ!!」

そして、彼の右拳の軌道に合わせて、アタッシュケースを放り投げていく。
そのまま打撃すれば、アタッシュケースは兎も角中身はただでは済まないだろう。
無論、諦めて構わずに殴れば少年をノックアウト出来るのは確かだろう。

(…我ながら卑怯くさいけど、それはそれ!あんなの喰らったら普通に死ぬ!)

スティールバイソン >  
「怒られることに慣れてんじゃねぇよ!?」

こいつ見た目から受ける印象より八倍くらい悪質だな!?

「なんで俺様が手前ェに説教されてんだよ!!」
「立場ってモンがワカってねェのか!!!」

個人的なブツ。そう言われるとグヌ!!と鼻白む。
まさかバレてるのか!? まさか……こいつ…!!

殴る軌道の先に放られたアタッシュケース、しかし。
拳とバイソンは急には止まれない!!

咄嗟にブレーキをかけるも、軽く弾かれたアタッシュケースは足元に落ちて開いてしまう。

 
そこにあったのは。
超高級贈答用桃饅頭の箱×4……だった。

あまりの事態に。硬直。

落第街住人A >  
「ああ、あの噂、本当だったんだ…」 ひそひそ。

落第街住人B >  
「テルミナスセブンのスティールバイソンって実は甘いものが好物だって…」

落第街住人C >  
「桃饅頭に大騒ぎして…バカみたい」 ひそひそ。

スティールバイソン >  
「ぬ………」

とりあえずアタッシュケースを閉じて。

「があああああああああああああああぁぁ!!!!」

アタッシュケースを抱えて。

「テメェ……笹貫流石………顔と名前は覚えたぞ…」
「次に見かけたらテメーだけはこの手でぶっ殺してやる!!」

そのまま好奇の目から走って逃げ去っていった。

笹貫流石 > 「いやぁ、”上”の方がちょっち厳しいもんで…俺は真面目にやる事やってるつもりなんすけどね…。」

たはは、と困り笑いを浮かべて。先程から、別に彼を怒らせるつもりも煽っているつもりもない。
何と言うか…そう、流れというものだ。しょうがない。

そして、起死回生!とばかりに(ちょっとばかり賭けもあったが)放り投げたアタッシュケース。
放物線を描いてそれは彼の右拳の軌道に割り込み、…流石に彼も拳を止めるのは間に合わなかったようで。

「…………はい?」

そこにあったのは、贈答用の超高級桃饅頭…食った事は無いが見た事はある。
アレ、入手が凄い大変なんだよね…俺も一度食べてみたいなぁ、とかぼんやり思いつつ。

周囲からのヒソヒソ声に耳を澄ませば、「バイソンの旦那は甘い物が好物、と」。
頭の中に一応メモっておく。どうでもいいからもしれないが、こういう情報は大事!(な筈!)

「……あ~~その、バイソンの旦那?…男が甘い物好物だって別にいいじゃん!俺も好きだぜスイーツとか!」

と、一先ず爽やか笑顔で申してみるが、硬直していた旦那がいきなり再起動した。
物凄い叫び声と共に、アタッシュケースを抱え込む彼を驚いたように見遣りつつ。

「……え?それは流石にご勘弁…って、いやいやいや俺なんて雑魚は無視してくれていいのよ!?」

ちょっと旦那!?と、止める間もなくダッシュで逃げていくスティールバイソン。
それを呆然と見送りつつ、周囲の視線に気付いて一先ず壁から地面に足を下ろして。

「あ~~~~…皆さん、お騒がせしました~~。」

と、思わず苦笑気味に平謝りしつつ、少年もスタコラサッサと逃げるように立ち去ろうと。


――この日、テルミナスセブン(もといスティールバイソン個人)の”敵”が一人増えたのである。

ご案内:「落第街大通り」から笹貫流石さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からスティールバイソンさんが去りました。