2022/11/22 のログ
ご案内:「落第街大通り」にジョン・ドゥさんが現れました。
ジョン・ドゥ >  
「んー……お……?今日は派手な音がしてないな」

 落第街の表通りに顔を出してみたが、どうも今日はドンパチはやっていないみたいだ。それなりに活気のある通りで屋台なんかが並んでる。

「そうそう、こういう雰囲気がいいんだよ。懐かしいな!」

 思わず笑顔になるってもんで、昔住んでいた街の事を思い出した。そういや、あの何の肉かわからない串焼きが美味かったんだよな。

 BDUのポケットに手を突っ込みながら、通りを見回してみる。俺の目つきが悪いせいか、たまにガンを飛ばされるが、そういうのは無視に限る。
 喧嘩なんていちいちやってたら、こういう場所じゃキリがないもんなあ。
 

ジョン・ドゥ >  
「やっぱ住むならこういう街のが落ち着くよなあ」

 今の小奇麗な学生寮が嫌ってわけじゃないけどな。どうにもお行儀がいい感じがして落ち着かない。

「……って、そうだった。一応お仕事しないと怒られるんだったな」

 頭を掻いたりしてみて、ポケットから、風紀委員の腕章を取り出した。

「……これ付けるのいやなんだよなぁ」

 正直なところ、俺は風紀を守るってガラじゃない。荒事ならまだやれなくはないが、それだって、無能力じゃやれる事も限られる。

「あー……楽がしたい」

 なんなら働きたくない。働かないで好き勝手やって暮らしたいね。
 

ジョン・ドゥ >  
 世の中そういうわけにも行かないんだよなあ。みんな仲良く、と同じくらい、楽して生きたいは難しいと思うね。

「さーて……」

 自分でもあまり好きじゃない腕章を着けて、声をあげるとしよう。

「あー、風紀委員ですよー。なんか揉め事困りごとでもあれば、相談に乗るぞ。まあ何もない方が俺は楽なんだけどな」

 なんて言いながら歩き始めると、視線が痛い。ただ、以前よりは少しマシになったような気がする。
 もう少し顔を見せるようにしないとな。一朝一夕じゃ手に入らないもんな、信用ってやつは。
 

ご案内:「落第街大通り」からジョン・ドゥさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にジョン・ドゥさんが現れました。
ジョン・ドゥ >  
 後ろから物音も立てないで近づいてきた気配は、惜しい事に殺気が隠せていなかった。首の後ろがひりつくような感じに振り返って、突き出されたナイフを握った右手の手首を左手で掴んだ。
 右手で、ボロ布を被ったガキの首を掴んで、大外から足払いする。そのまま背中から地面に叩きつけて、少し小柄な体にまたがって、動きを封じておいた。
 組み伏せた衝撃で、ナイフを取り落としてくれたのはちょっとありがたいな。腕を捻り上げる必要がなくなった。

「くく、惜しかったな。殺気を消せてたら、刺せたかもな?」

 俺の下で悔しそうに暴れるガキ。まあ、特に取り締まるつもりもないし、放してやるんだけどな。
 あ、とりあえずナイフは踏みつけておこう。拾って切りかかられても困る。

「お……はは、元気だな」

 手を離したら、その途端掴みかかられた。とん、とん、と手を払っていなしてやったら、捨て台詞を置いて走っていった。

「おー、次はもっとうまくやれよ」

 ガキの背中を見送って、俺も立ち上がって、周りを見てみる。おー、視線が痛い。
 別に酷い事はしてないんだけどなあ。むしろ、俺の方がされた方なんじゃないか?
 

ジョン・ドゥ >  
「……目立ちたいわけじゃないんだけどなあ」

 残念ながら、風紀委員ってだけで目立つこと目立つこと。俺はこの街の剣呑な雰囲気を楽しみたいだけなんだけどなあ。

「……なあ」

 屋台の兄ちゃんに声を掛けても、知らんぷり。つい肩を落としちまう。
 嫌われてんなあ、風紀委員……。
 

ご案内:「落第街大通り」にF.U.R.Yさんが現れました。
F.U.R.Y > 「目立ちたくねェってんなら、そのクソッタレな腕章外してから来んだなァ?」

あなたが抑え込んだ子供が走り去ってから、声をかける男が一人。
薄汚れたジャケットと赤毛がかった髪のその男は、しかしてギラついた野獣のような瞳と黒々とした異形の左腕がやけに特徴的だった。

纏うのは、殺気……というよりも、怒気か。
敵対心を爆発寸前までに張りつめさせたような、痛いほどの気配。

「昨日の今日でよくもまァデカい面して来やがるなァ”フウキイイン”さんよ。
 ”ここ”は治外法権だぜ?」

声をかけたのは、最大限の譲歩だろうか。
足で目の前に線を引き。”とまれ”と言わんがばかりに睨みつけるその男は…いつ貴方に襲い掛かってきてもおかしくはないだろう。

ジョン・ドゥ >  
「それなあ、俺も外してていいんなら外すんだけどな」

 なんだかおっかない声に振り向いてみたら、これまたおっかない男がいらっしゃる。困ったな、今日はモテ期か?

「昨日?なんだ、昨日なにかあったのか?」

 昨日も様子見には来てたけどなあ。なんかあったっけか?まあ俺が見てないところで何かあっても仕方ないか。
 とりあえず、おっかないし、手はあげておこう。死にたくないしな。

「治外法権……っていうのか、ここ?一応、ルールに沿った保護とか支援とかやってるんだけどなあ」

 いやよくわからんけどな……。俺はちょっと裏口入学のお手伝いしてるだけだし。

「……でもまあ、いい街だよな、ここ。息苦しくないのがいい。なにより、体制から見放されても、しっかり活気があるのがいいよな」

 周りの様子を見ると、表情が緩む。この腕章のせいで大分塩対応されてるが、俺以外とのやり取りは威勢がいい。
 こういう雰囲気は貴重だと思う。
 

F.U.R.Y > 「ヒトサマの寝床を好き放題ブッ壊して回ってる連中の身内たァ思えねェな」

先日もまた落第街を砲弾が襲った。
狙われた連中は違法部活の者共だが……問題はそこではなく。

「アーいいぜ、楽でいい。
 御大層なタイセイが見放してる分幾分か自由だしな。
 
 …問題はテメェらが好き勝手に足を踏み入れる事だがなァ」

ゴキリ、と拳を鳴らす。
それは拳が鳴ったというには聊か硬質で、まるで岩盤同士がぶつかり合ったかのような…鈍い音。

「今直ぐ帰れ。じゃなきゃァブッツブす。
 テメェの身内が何度ここらを燃やした? こっちもそろそろ我慢の限界なんでなァ……帰らねェなら脅しじゃ済まねぇぞ」

ジョン・ドゥ >  
「そりゃあどうも。俺もアレと一緒にはなりたくないんだよ。だからほら、さっきも穏便に済ませただろ?」

 というか取り締まりとかガラじゃないし。むしろどう考えても取り締まられる側だろ、俺。

「えー……遊びに――んっん、ちょっと仕事に来ただけなんだけどなあ。あ、やめとけって、そうやって指鳴らしてると関節痛めるぞ」

 商売道具は大事にしないとな。とはいえとはいえ。

「俺じゃないヤツのやった事を言われてもなあ。そいつに直接言ったらどうだ?」

 俺に言われても、お上に「ああいうの良くないんじゃないですか?」ってお伺いするくらいしかできないし。そんな事で終わるんなら、ああはなってないだろうしなあ。

「……あ、帰っていいのか?なら帰るんだけど。ほら、別に喧嘩したいわけじゃないしな?」

 上げた両手をひらひらさせてみる。いやぁ、このまま返してもらえるんならありがたい。仕事もしたって言い訳できるしなあ。
 

F.U.R.Y >  
「………」



F.U.R.Y >  
「やめだやめ」

ハァ、とため息を吐く。
怒る気も失せる相手の態度に、異形の腕ももとに戻ってしまって。

「だったらさっさと帰れ、チッ……
 少しでも抵抗すんならツブすつもりだったが拍子抜けだ」

目には目を、歯には歯を、という言葉があるらしい。
本当ならばこのまま落第街を荒らした風紀委員……件の”鉄火”に対する報復として同胞を襲うつもりであったが、目の前の相手は狙う相手とはかけ離れすぎている。

何より、異形の腕がもとに戻った時点で、自分の”やる気”が削げた証拠だった。
自分の腕は怒る程に異形になる故に……怒りが抜けてはどうにも、力が籠らないようにもなってしまっていた。

「テメェの同胞に伝えとけや。
 『落第街に入る時は殺される覚悟してこい』ってな。
 今日は見逃す、次はねぇ。

 同じに見られたくなかろうとテメェらは全員”フウキイイン”なンだよ」

ジョン・ドゥ >  
「はは、なんだ、いいやつだな」

 両手は下ろしても平気そうか?まあ、ダメだったらその時か。

「うーっす、まあ、また来るんでそん時もよろしく頼みたいもんだな……あ、兄さん、俺と、そいつの分頼む。一番美味い酒と、兄さんのとっておきを二人分な!」

 屋台のカウンターに寄っかかって声を掛けてみたが、露骨に嫌な顔だなおい。いいじゃん、客だぜ、金だぜ?

「……つーわけで、ちょいと一緒にやろうぜ兄ちゃん」

 なんて言ってたらまた怒られるか?そん時はちょっと必死で逃げないとな~。
 

F.U.R.Y > 「テメェ話聞いてたか?」

はぁっと深いため息。怒る気は完全に失せてしまった。

「はあぁー--…あぁクソ、調子狂いやがる。
 オレァテメェらツブすっつってンだぞ。いいもクソもあるか」


どうにか怒りを出そうと踏ん張ってみるが、気が削がれてそんな力も出ない。
今日の所はケンカは止めにしとくしかないだろう……

「いいから、さっさと帰れボケ」

その声にはさっきまでの覇気もない。
シッシとどっか行けという風にしか言葉にできてもいないだろう。

ご案内:「落第街大通り」からF.U.R.Yさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にF.U.R.Yさんが現れました。
ジョン・ドゥ >  
「はは、ぶっ潰してくれるんならありがたいからな。俺も好きで「首輪付き」やってるわけじゃないし」

 とはいえ、酒の相手はしてくれなさそうだ。これは非常に残念。

「あー、お陰でいつ帰ってもいい口実が出来たからな。気が向いたら帰るよ。ありがとうな、今度は土産に酒でも持ってくるようにするさ」

 追っ払われてしまえば、流石に屋台のあんちゃんに絡んでるわけにもいかない。ささっと帰るとするか。

「そんじゃ、お互い命は大事にしような」

 と、我ながら無警戒に背中を向けて、手を振りながらこの場は離れるとするか……。
 

ご案内:「落第街大通り」からジョン・ドゥさんが去りました。
F.U.R.Y > 「さっさと帰れっつてンだろーが…」

ハァ、とため息は今日何度目だろうか。
結局男は無防備な背中を襲う事もしない。そもそも、そんな事をする気なら最初に不意打ちをすればよかったのだから。

「次ァねーよ!!来たら殺す!!」

貴方の背中に対し中指を立て、そう言って去るのを眺めた。

「はー……
 オヤジ、酒!!!」

ご案内:「落第街大通り」からF.U.R.Yさんが去りました。