2022/12/12 のログ
ご案内:「落第街大通り」に『虚無』さんが現れました。
『虚無』 >  
 大通りにはトラックが走っている。例のサンタクロースに同調する勢力が運び込もうとする品物だろう。
 本来なら無謀だと言われる。風紀の目もある違反組織に商品を奪われるかもしれない。なのにあんなに堂々と表から持ってくるなんて不可能だと。だがそれは可能な事へとなる。
 そこに面したビルの屋上。そこから静かに見下ろす男が1人。その男は明らかに普通の男ではない。狼を模した仮面が顔の下半分を覆い表情を隠す。それがただ黙ってトラックを見下ろしている。
 あれを守る事は組織の理念に合致するか否か。それは考え方次第だろう。略奪されようがそれを現状であるとするのなら襲われようと不干渉を貫くべきだろう。だが自分は違う意見だった。
 たまの憂さ晴らし。それがなくなればこの街でそれこそ活発になっているテロリストが動きだすかもしれない。それに今回の企画で助かる者もいるかもしれない。それならばあれを守る事こそがこの街の秩序の維持につながる。自分はそう解釈した。

「……何も無ければいいが」

 だが表立って守りはしない。ただ静かに影から運び込まれるトラックを見下ろし警護する。トラックからは名前も存在も見えない位置から。
 だが逆に言えば同じような考えの人物だったり、逆にトラックを監視したい敵対勢力とは鉢合わせしかねない場所でもあるわけだが。

『虚無』 >  
 とはいえ、あれがサンタクロースにつながるとは全く思っていない。あの組織、おそらくあんな無謀なルートを通る組織じゃない。そんな組織が風紀が襲い掛かってくるかもしれないイベントを開催できるわけがない。たとえそうなっても跳ねのけるだけの戦力を保有する勢力。それがあのサンタクロースの正体だ。
 だからおそらく勝手に協力しようとか言い出した、ある意味で自警団気取りの組織……それがあのトラックの正体だろう。
 だが、こちらからすれば関係ない。例えあれが関係する組織じゃなかろうと関係組織だろうと、こちらからすれば勝手に守るだけ。それが秩序の維持につながると信じているから。

「今のところは何も無しか」

 今のところは何もなし。だからこのまま何もない可能性が高い。
 とはいえゼロじゃない。この位置から見える位置に行くまでは見ていようと。
 

『虚無』 >  
 トラックは消えていく。それ以降奪われるか否か。
 そこまではわからないが、自分が関与できるのはここまでだ。

「無事に届けよ」

 それだけ言えば屋上から姿は消える。
 姿が消えて少ししてから。鐘の音を思わせる金属を叩くような音が響いた。

ご案内:「落第街大通り」から『虚無』さんが去りました。