2022/12/20 のログ
■鞘師華奈 > 「…うん、この島って、色んな変態が居るだろうから、何と言うか思ってるより多いんじゃないかな…。」
埋まりたくて埋まる奴とか。煙草を蒸かしながら何とも言えない表情を浮かべる。ちょっとだけ遠い目をしたかもしれない。
「…それはどうも。…と、いうか君はアレかい?女誑しという部類かな?」
ナチュラルに口が上手い印象がある。好き嫌いは分かれるだろうが、ウケは悪く無さそうだ。
まぁ、別に女好きだろうが何だろうが、それは彼の個性の一端であり否定する事も注意する事も無い。
ちなみに、自己評価は低めなので女は自分の魅力とかそういうのはほぼ眼中に無かったりする。
「――と、なると島の外に居た人かな?生憎と私はこの島の生まれ育ちだからね。情けないが”世間知らず”なんだ。」
ひょいっと、おどけたような仕草で苦笑い。いずれ島の外の世界も体験してみたい気はするが、今はまだその時ではない。
やるべき事、やりたい事が残っているのだから。
彼が取り出した腕章を一瞥すれば、矢張り、と。納得したように。
(―-観察していたのは”お互い様”か。もうちょっと隠していかないといけないな…これは反省だ。)
公安としての経験がまだまだ浅いのもあるが、自分の欠点を一つ再確認した。
相手に気取られぬように観察を怠らない。ハードルは高いが超えなければならない壁の一つだ。
場数に関しては、「まぁ私は元々”こっち”で暮らしていたからね」と端的に元・落第街の住人である事を示しつつ。
「モルモット…しかも身元不明の男、と来たか。まぁ、これの何かの縁という事でよろしくジョン。」
引っ掛かる単語はあれど追求はしない。基本的にこの女は、ある程度のラインは弁えているからだ。
そのまま、自然な動作で右手を出して彼と躊躇無く握手。それ自体は普通の握手にしか思えない。
だが、さり気無い動作の一つ一つがそれなりに修羅場を潜った者のそれだと彼も改めて確信するには十分だろう。
「さて、もうちょっとトークと洒落込みたいけど私の用件は済んだので引き上げるつもりだけど、君は?
まだ”マッピング”を続けるなら止めはしないけれど。」
■ジョン・ドゥ >
「本名とか忘れてるんだよなあ。頭の中、それなりに弄り回されててね」
しっかり握った手は、力んでも居なければ、油断もない。はは、やっぱり敵にはなりたくないね。
「あー。それは残念、デートにでもお誘いしたかったんだけどな」
手を放して、残念そうに見せよう……いや、真面目に残念なんだが。
「マッピングは、そうだな……あんたの言うように、ここは何もないが――ない方が好きなんだ。そういう所で育ったもんでね」
故郷は簡単に言えば貧民街と言える場所だ。が、物も金もないが、誰もが活き活きとしていた。
「こっちに住むような事になれば、この辺を拠点にしたいね。不便なくらいの方が、人間は勤勉で居られる、らしいからな」
……誰に言われたっけか。――ああそうだ、あの少尉殿だ。
「ちなみに、女誑しのつもりはないが、女は好きだからな。特に、いい女に声を掛けないのは失礼だと思ってる。だから、デートしようぜ、先輩」
くく、と喉で笑いながらお誘いしようか。
■鞘師華奈 > 「――そうか、でも”君は君”である事は忘れてはいないんだろう?なら、ジョン・ドゥが今の君自身で問題ないさ。」
名前など所詮は記号みたいなもの。と、昔の仲間が口にしていたが、女はまだそこまで割り切れない。
名前は矢張り大事なものだと思うから――だけど、それに縛られるのも違うだろう。
デートに関しては、「君の場合は他にも幾らでも候補は居そうだけどねぇ」と、茶化すように口にして手を引っ込める。
「――無いなら何かを君の手で作ればいいんじゃない?壊すだけが人間って訳ではないんだし。」
無いのが好き、という彼の言葉を尊重はするが、どうせなら面白い何かを自ら作るのも一つの楽しみ方だろう、と。
何も無くても、一から何かを作りだせるのが人の強みの一つであろう。
「…ああ、だったらこれを渡しておくよ。私はこの辺りに昔住んでたからね。」
と、右手を軽く振れば忽然と出現するメモの切れ端。まるで手品みたいだろうか。
少なくとも、注視していても気を配っていても本当に突然現れたようにしか見えない芸当で。
彼にそのメモの切れ端を出会いの記念に渡しておこうか。
メモの切れ端には、幾つかのセーフハウスに使えそうな建物の位置情報などが書き込まれている。
「まぁ、それは3年前のデータだから、今では使えない物が大半だろうけど。」
と、注釈は入れておきながらデートに関しては、煙草の吸殻を携帯灰皿に捻じ込みながら苦笑い。
「そうだね、じゃあ次にまた会ったらその時に。その方が面白そうだからね。」
ここで連絡先を交換して待ち合わせ、というのも悪くないがそれより偶然の再会から、の方が少なくとも女は楽しいと思うから。
ある意味で上手い回避にも取れる言い回しをしつつ、歩き出しつつ、すれ違いざまに彼の腕を軽くぽんっと叩いて。
「それじゃ、またいずれ――”何者でもない”ジョン・ドゥ。」
そんな、彼女なりの親しみを込めた台詞を遺して、女の姿は闇夜に消えていくだろう。
■ジョン・ドゥ >
「……個性的(ユニーク)だな」
つい、頬が緩むのを自覚できた。やっぱりいい女だ。それも、痺れるような、だ。
「候補、なんて見方は失礼だろ?俺はいつでも目の前の女に本気なんだ」
笑って、次の言葉にやっぱり痺れる。ああ、こいつは「あの人」と似たタイプだ。うっかり惚れたくなっちまう。恋愛以外で、な。
「いいな、それ。その時はなんかつくってみるか……?はは、道化師(エンターティナー)だな。ありがたく貰っておくよ」
紙を受け取って、今日のマッピング成果と照らし合わせる。……確かにダメそうなものが多いが、いくつかまだ使えそうな場所は残ってるな。これはいい。使わせてもらおう。
「くく……それじゃあ、次を楽しみにしておくか。ああ、いずれな。男装の麗人(クールビューティー)」
去っていく足音に振り返る必要はない。ああいう女が、「また」と言ったら、それは必ず来る。そういうものだ。楽しみは後に残した方が、味わい深い。……そういうもんだろ?
ご案内:「落第街―北西地区【轍雲】」から鞘師華奈さんが去りました。
ご案内:「落第街―北西地区【轍雲】」からジョン・ドゥさんが去りました。