2023/01/03 のログ
ご案内:「落第街 何気ない街の一角」にカロンさんが現れました。
■カロン > 新年を迎え、三箇日の最終日。だが、この黒影に祝い事やイベントの感覚は殆ど無い。
裾がボロボロの灰色の外套で全身を覆い隠し、顔もフードで隠した怪しい出で立ち。
極め付けは、この混沌とした街にもそうは見掛けないであろう物体…黒い櫂の存在だ。
その黒い櫂を担ぐように肩に乗せながら、歩く姿は足音どころか些細な気配一つすら無い。
静寂――それを体現したような歩みは、人の波に紛れて意外と目立たない。
そもそも、こんな風体でも割と違和感が無いのはこの街の特異性故、だろうか。
「――まぁ、余計な事に煩わされないのは僥倖…と、言うべきなんでしょうかね…。」
人込みを摺り抜ける様に歩きながら、呟く声は男とも女とも付かぬ曖昧なもの。
声を魔術や機械、あるいは異能で変調している訳ではなく…これが彼/彼女の素の声だ。
時々、通行人の幾ばくかがその存在…特に、2メートル近くはある黒い櫂に視線を向ける。
だが、そちらに目を惹かれている間にも決して足早では無いのに黒影は人に紛れてしまう。
■カロン > まだ全て、とは到底言えないが…多少なり島のあちこちを彷徨った感覚としては。
――思ったより惑う魂や一筋縄では行かない呪い。少々専門外の怪異の類も見掛けた。
『渡し守』の役目は、あくまで魂の彼岸への橋渡しでありそれ以上でも以下でもない。
そこを逸脱する事は許されず、また逸脱するつもりも彼/彼女には毛頭無い。
(…この街は、特にその手の気配が多いように感じますが…。)
片っ端から彼岸に導くのは己の方針に反する。あくまで遭遇した魂や呪いに呼び掛けるのが第一。
そこで利害や意見が合致すれば彼岸へと責任を持って送り渡す。
…そうでないならば、すっぱりと諦める。無理強いはせず強制行為等以ての外。
(…少なくとも、この街の調律を崩すつもりは無いですし。)
だからこそ、目立たず密やかに。そして静かに淡々と己が役目を遂行する。
現在までの結果は芳しく無いが、焦っても嘆いても結果は変わらない。
ただ、一介の稀人として適度に弁えながらやるべき事をやるだけ。
ややあって、人通りの多い地区を抜ければやたらと人気の少ない一角に黒影は出る。
緩やかに周囲を見渡すが、瓦礫、廃屋、幾ばくかの生者の気配、そして死者の気配も。
だが、それは既に魂が感じ取れないので自分の出番とはとても言えないだろう。
■カロン > 大事な事は、善悪どちらにも偏らない事…『渡し守』とは善悪どちらの魂も運ぶ者。
故に、中立中庸の態度が求められる。己にそれが出来ているかは分からない。
――だから、『学生』にもならないしこの街に犇く『組織』にも与する気は無い。
常に一人、ただ独り。誰に理解も共感も得られずとも。木っ端な渡し守にも出来る事があるならば。
「……とはいえ。」
どちらにも肩入れせず属さないという事は、どちらを敵に回す事にもなりかねないという事。
戦闘行為など自分の許容外。そんな事態になれば逃げの一手と相成るだろう。
街角の廃屋の一角、ふと足を止めれば緩やかに背中を一度預けておく。
この肉体にも疲労感というものは存在する。精神的な疲労感、というものは然程感じないが。
おそらく、無意識に感じないようにしているのだろう、などとつまらない自己分析。
「……今日は何処で寝泊りしましょうかね…。」
だから、肉体的な意味でも休息は必須だ。雨風を凌げるならば贅沢は言わない。
ただ、なるべく人気の無い場所を選ぶべきだろう。小休止を終えたら街の『奥』へ足を運んでみるべきか。