2023/01/04 のログ
カロン > やがて、ゆっくりと廃屋の壁に預けていた背を離す。小休止はこれくらいに。

元々、行く宛ても無く彷徨う身の上ならば、役目に従い後は気儘に流れるのみ。
ここには河も、水も、慣れ親しんだ冥府の感触も殆ど感じられないが。

「――何でしたっけ…郷に入らば郷に従え…だったような。」

そんな諺というものが確かあったような気もする。この島の一員になれるかはさて置き。
少なくとも、溶け込む程度の努力は無駄にはならない。余計な面倒事を避ける意味でも。

ゆっくりと再び歩み出す黒影。相変わらず足音一つ、気配すら零さずの歩み。
それは死人のようで、死神のようで、しかしどちらでもない者。

ひっそりと、闇夜に溶け込むように『渡し守』の姿は街の奥へと向かって消えていく。

ご案内:「落第街 何気ない街の一角」からカロンさんが去りました。