2019/05/16 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 学園都市の暗部。犯罪者の巣窟。二度とは戻れぬ闇の底等等。
様々な呼び名を与えられている落第街の深奥。違反部活の連なる区域。

生きて戻れぬとは言わぬまでも、ただで戻れぬとは決して言い切れない場所を闊歩する、身綺麗な風紀委員の姿があった。

顔立ちだけ見れば少女の様な風貌ではあるが、身に纏う制服は間違いなく男子生徒のもの。
クリーニングから出したばかりの様に整った制服は生地の仕立ても良く、その造りから特注品である事が伺えるかもしれない。

その風貌だけ見れば、男装した良家の生徒。或いは、華奢な風紀委員。それに違和感を付け足すのは、散歩道の様な気軽さで歩く場所が違反部活区域であること。そして、背後に引き攣れた異様で巨大な金属の化け物の二点だろう。

「……こうして風紀委員であることを晒しても、特段襲撃が無いのは連中の理性を褒め称えるべきかな。それとも、臆病風に吹かれた事を嗤うべきかな」

大声、という訳では無いが、隠し立てする程の音量でも無い様な声で独り言ちる。
ざわり、と周囲から殺気が向けられるが、何処吹く風と言わんばかりにのんびりと闊歩していた。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に竹村浩二さんが現れました。
竹村浩二 >  
ポケットに手を突っ込んだ青年が違反部活群の物陰から現れる。
短い希望に火をつけると、軽佻浮薄な足取りで風紀委員の制服を着た男子生徒に近づく。

「よぉ、少年! 久しぶりに会ったな、いや初対面だっけな?」

横を向いて紫煙を吐き出し。
弛んだような笑顔で彼に一歩一歩と歩を進める。

「風紀委員がここにいちゃ危ないって言おうと思ったけど」
「またドえらい異能だな、自信があるんだなぁ……」

「神代くん?」

彼の名前を口にすると、口元を歪めて携帯灰皿を取り出す。

神代理央 > 投げかけられた言葉に緩く視線を向ければ視線の先には顔立ちの整った一人の青年。
暫し考え込む様な仕草を見せた後、穏やかに笑みを浮かべて口を開く。

「…どうだったかな。初対面かも知れないし、出会った事があったかも知れない。最近忙しいもので、記憶が定かではない非礼を許して欲しい」

落第街か、歓楽街か。或いは、学園内で出会ったか。
物忘れが酷くなったかな、と内心溜息を吐き出しつつ、此方に歩み寄る彼に小さく肩を竦めて見せる。

「自信が無ければ、こんな場所にこんな不用心に佇んだりはしない。まあ、多少慢心が過ぎるのは認めるがね」

少年らしからぬ大人びた――というよりも、寧ろ擦れた――口調で男に答えるだろう。
とはいえ、彼が己の名を呼べば、僅かな苦笑いと共に言葉を続ける。

「…まあ、多少の驕りがあるのは認めよう。それで?こんな場所で風紀委員に声をかける程、困窮している様には見えないが」

まさか迷子になった訳でもあるまい、と笑いながら小さく首を傾げるだろう。

竹村浩二 >  
彼のことは一方的に知っている。
違反部活の犯罪者連中に始末だの終末だのとついた不穏なあだ名で呼ばれている神代理央だ。

俺としては異能犯罪者もムショにブチ込んで欲しいとは思っても殺そうとまでは思っていない。
だから、ここは彼にお近づきになって行動原理を聞いておきたい。

「なーに、俺も用務員として一人一人の生徒の顔覚えてるわけじゃねーからさ」
「覚えてんのは有名人だけさ……俺は竹村浩二だ」

携帯灰皿に灰を落として、横目で彼を見る。

「なるほど、強ぇわけだな……羨ましいね」
「男ってのは、強いほうが何かと安心だからな…こんな時代だと特に」

肩を竦めて破顔一笑。

「いやぁ、用務員の仕事で部室の掃除もやってるからさぁ。ここも仕事の一環みたいな?」

テキトーな発言ではぐらかして。
いや、はぐらかせてるのかコレ。

「神代くんは示威活動かい? ここら辺で評判よくないよお……」
「君ときたら過激な活動をした犯罪者は、ホラ」

そう言って後ろの金属の化け物を指差す。

神代理央 > 「…ああ、成程。それなら、学園で見掛けた事があったかも知れないな。有名人、というのは些か誤謬がある様な気もするが。
……私の名前を知る者に今更名乗るというのも可笑しな話だが…神代理央だ。宜しく、竹村さん?」

学園の用務員ともなれば、此方も見かけた顔を無意識に覚えていたかも知れないと一人納得する。
そして彼が名を告げれば、意味があるのかはさておき此方も名乗り返して小さく笑みを浮かべた。
こんな場所で無ければ、のほほんと世間話をする青年と少年でしかない様な風景。

「とはいえ、強いと言えるのは私の異能であって私個人では無い。こんな体格だからな。取っ組み合いなんて、意地でもしたくはない」

破顔する彼には小さな苦笑いを一つ。

「……ほう?随分と手のかかりそうな"掃除"になりそうだな。風紀か公安の補助が必要なら、声をかけて欲しいものだ」

彼の言葉に僅かに目を細めた後、くすくすと面白そうに笑みを零す。今のところ、彼の発言を殊更に咎めようとする意志は感じられないだろう。

「…ここいらの連中の評判を気にしていては、仕事にならないからな。多少なりとも過激な行動に出ている事は認めるが…まあ、仕方あるまい?」

鈍い金属音と共に、背後の異形が僅かに蠢く。
その金属音を背後に答える口調には、犯罪者の命を絶つ事への躊躇や罪悪感は全く感じられないだろう。

というよりも、言葉そのものが年上の男性に向けるには些か傲岸不遜なものではあるのだが、そこには悪意や侮蔑の意思は全く込められていない。単に少年の元来の気質や口調が、些か無礼なものになっているだけなのだろう。

竹村浩二 >  
「ああ、よろしくゥ」

短い希望の灯を携帯灰皿に押し付けて揉み消す。
周囲からこれ見よがしに舌打ちの音が聞こえてくる。
余所者が二人、縄張りでのん気に世間話をしていればそういう気持ちにもなろう。

「何を仰る、異能ってのはその人の一部だぜ」
「一生、捨てられない。一生、切り離せない。精神次第で強くも弱くもなる」
「だから異能が強い奴はそいつが強ぇのさ……」
「人間的な強さに直結しないのが泣き所だな」

彼の言う“掃除”の響きに、ちょっとぞっとした。
殺し慣れてるなぁ。という印象。

「いやいや、用務員としてモップ掛けくらいに留めてるからさ…」

苦笑いを浮かべていたが、そのままの表情で硬直する。
噂通りだ神代理央。かといって風紀側だから止めようもない。

「もー、どうしてそう強硬路線なんスかぁー」
「異能犯罪者だって、生きてる。アーラムみてーな特殊房に閉じ込めてりゃ真人間になるかも知れない」
「俺は子供たちが殺しあってるニュースをさ…新聞部の記事を校内に貼り出す時に見るとね」

大仰に胸を押さえて心が痛むポーズ。

「心痛が抑えられねーよォ……真夏に服を着た飼い犬を見るみてーにさぁ…」

大げさに悲しんで見せた。

神代理央 > 「異能は人の一部、か。成程。其処に関しては、特段強く否定するつもりはない。
それに、人間的な強さに直結しないというのも同意見だ。というよりも、本来は人には過ぎた力なのだろうさ。人間の持つ生態的な能力から逸脱し過ぎているからな」

彼の言葉に頷きつつ、ふむと考え込む様な仕草。
しかしその表情は、彼が次いで答えた言葉によって変化する。

「モップ掛け、ね。まあ、掃除の痕が残らぬ様気を付ける事だ。拭き残しがあれば、誰が掃除をしたのか突き止めねばならないからな」

それは、彼の行動を少なくとも己は黙認するという宣言。
尤も、彼が具体的にどのような活動をしているのかは知る由も無いのだが。
学園の治安を乱さなければ構わない、と緩やかに笑みを浮かべるだろう。

「どうして、と言われればそれが最善の策だからだ。此方は別に、万引きだの重大では無い暴行致傷といった犯罪者まで始末している訳では無い。異能犯罪者は確かに生きている。真人間になる可能性もあるだろう。
……だが、それが社会に与える損失が。犯罪者を更生させる為に社会が払うコストが。全てが無駄だ。社会に損失を与える存在は、必要ない」

犯罪者を憎む訳でも、正義感に燃えている訳でもない。
『大多数で構成される社会』を維持するためのシステムとして己は行動していると軽やかに告げるだろう。
犯罪者を一々生かす必要性が無い。更生させるコストは、犯罪を犯していない『普通の』人々の為に使われるべきなのだと。

「……それは、別に悲しんでいないのではないか?」

とはえ、最後に彼が紡いだ言葉には、呆れた様な笑みと共に首を傾げるのだろう。

竹村浩二 >  
「わかる」
「分相応って言葉があるからさ…人の領分を超えた力ってのは、兎角歪みを生みやすい…」

諂うように笑って頭を下げておどけた。

「ヘヘッ、サーセン、アザーっス」

どこまでこっちのことを知っているのやら。
少なくとも家に風紀が立ち入ってこないのだから自分=私刑のイレイスだとバレてはいない。
でもなんか含みのある言葉と笑みだったな……神代理央、侮れない。

こっちの考えすぎだろうか。後ろめたいことが多すぎる。

「んー……確かにな」

ガリガリと頭を掻く。彼の言うことは正しい。
ただ、あまりにも合理性に振り切れすぎている気がした。
無駄だから、殺す。風紀のタカ派の言い分にしても、やや過激だ。

「ですよねー! 俺ってば例え話が下手くそで困ってるよ」

神代理央。想像以上の男だった。
感情も罪悪感も欠如してるわけじゃないのに。
コスト面を考えて犯罪者を殺しているのか。

「それで……おおっと、周囲が物騒な気配になってきたぜ」
「いよいよ余所者に我慢ができなくなった感じか?」

「それじゃ、俺はこの辺で。戦いだのに巻き込まれるのは、御免だ」

そう言って抜け道のほうに胡乱な足取りで歩き出す。
また話したい。できれば、穏当な場所で。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から竹村浩二さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から神代理央さんが去りました。