2020/06/16 のログ
■神代理央 > 「掃溜めが無ければ、連中はあらゆるところに滲み、染み込み、潜んでいく。此の場所に溜まっていてくれる分には、定期的に数を減らせば良いだけ故、楽なものだよ」
風紀、公安の目が行き届く学生街のエリアと、違反部活が跳梁跋扈する落第街の区画。
そうして明確な区分が出来ており、治安維持機構が機能しているからこそ、彼等はそのエリアでは大規模な抗争を起こさない。薬物だのなんだのといった犯罪は多少あるにせよ、だ。
彼等に取っての逃げ場所であり、同時に治安維持組織の狩場。そういった意味で此の場所が必要なのだろうと、緩やかに笑みを浮かべてみせる。
しかしその笑みは、突如胸倉を掴まれて視界が揺れる事によって崩れる事になる。
己よりも幾分小柄な少女が、怒気に満ちた声と表情で己に詰め寄っている様を、不思議そうに。それでいて無感情に見下ろした後、ゆっくりと口を開く。
「誰の為に?生徒の為だ。何の差があるか、だと?貴様が今言ったでは無いか。登録されているかいないか。此の学園に居住と存在を認められた者であるかどうかだ。
学園の保護を求めるのなら止めはせぬ。だが、此の街で暮らし続けるのなら、相応の覚悟を持たなければならないのは、大人も子供も等しい条件なのではないのか?」
それは、機械的に。人間を書類上の数字と登録番号で見ている様な言葉。少年が守るのは規律を守り、法を守り、秩序ある社会を構成する者だけ。
それ以外のモノなど知る由も無い、と言わんばかりの口調で告げた後、落第街で暮らす者達の覚悟を問う様に首を傾げるのだろう。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「『この町で暮らすには相応の覚悟が必要』といいましたか。ええ、いいでしょう。
自分で生きる道を選択できる大人ならいいでしょう。
でも子供は違う。親も、財産も、種族も選べない。
子供というものはひどく残酷なほどに平等です。
種の壁すら超えて『選択できない』という部分は平等だ」
生まれてくる場所さえ選べるなら、
さっき私が助けた彼らだって”登録してもらえる側”を選んだだろう。
「それとも、あなたは生まれる前から自分の親を、
自分の容姿を、境遇を選んでこの世界に生まれたと?
だとしたら、随分と”よくできた子”だ。
その女の子みたいな見た目は貴方の趣味?」
ついには、彼が最も気にしているであろうことまで煽り文句として使うほどだった>
■神代理央 > 「選択は出来ない。しかし、行動は出来る」
短く、しかし流暢に。胸倉を掴まれた儘、唇を緩める。
「親は選べぬ。種族は選べぬ。生まれも育ちも、平等ではなかろうさ。
それで?だからこの塵箱の様な街で蹲って生きていくしかないというのか?今の境遇から脱する為の行動を起こす事すら選択出来ぬのか?自らの運命を呪って、気紛れに与えられる慈悲を待つだけの生物でしかないのなら、下水道の鼠と大差あるまい」
其処で、フンと高慢な笑みを浮かべて――
「まあ、それでも。貴様は"選択する側"だ。子供達を救う事を選択し、それ以外の者がどうなろうと知った事では無いのだろう?
私が消し飛ばした犯罪者とて、已むに已まれぬ事情がある者も。家族を持つ者も。貴様が救った子供達を生み、後悔しながら捨てた者もいただろう。それでも、貴様は救わなかった。当然よな、連中は子供では無いから、貴様の選別から漏れた。仕方の無い事だ」
「私は区別も差別もしないとも。私に取って、生徒でない者は皆等しく価値が無い。貴様の様に、救う者と救わぬ者を分けない。唯の数字。いや、登録されていないのだから数字にすらならんな」
其処迄言い切ると、己の貌をあげつらって煽る彼女に、愉快そうな笑みと共に口を開く。
「私が選んだのは、私が満足する境遇になる様に努力する事だ。それ以外の事は何も選んではいない。
貴様があげつらう私の顔も不満だとも。だから、それを嗤う連中を捻じ伏せる力を手に入れる為に、努力したとも」
嗤いながら言葉を紡ぐと、己の胸倉を掴む彼女の手に腕を伸ばす。
それは、掴んでいる手を離せという様な。或いは、彼女を捉えてしまおうかとも取れる様な動き。
緩慢な、戯れの様な動きではあるが。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「行動なんて赤子にもできる。
でも赤子に選択できる行動なんて、せいぜい泣きわめくくらいなものです。
行動した者がえらいんじゃない。適切な行動を選択した者がえらいんです。
彼ら、子供達にはまだ適切な行動を選択する余地があった。
それを奪うことは正義ではないし、平等にこだわって倫理観を棄てることも正義じゃない。
そんなの、ただの傲慢です」
人間を、おそらく自分のことですら数字として考える彼のことを、到底許せる気持ちにはならなかった。
「嗤う連中をねじ伏せる努力をした?
わざわざそんな面倒を選んだ理由は何です?
親に頼んでつぶすことだって、あなたには出来たはずだ。
それをしなかったのは、あなたなりにちっぽけにでもプライドがあったから”選んだ”んじゃないんですか?」
彼らは、子供たちは決して下水のねずみとは違う。
そう小さくつぶやくと、彼の腕が私の腕をつかんだ。
それでも、胸倉をつかんだ手を緩める様子はない>
■神代理央 > 「そう、私の言葉は傲慢だ。しかし、その傲慢さは社会そのものだ。社会が望むなら、私も子供達を救うとも。多くの人々が身銭を切り、自らの生活様式が低下する程の投資を顧みず、此の街の住民を救うというのなら、喜んで従うとも。
だが、そうではない。そうはならない。目を背けている罪悪感を隠す為に、寄付を。ボランティアをと戯言を唱えるだけだ。
倫理観というのは、そもそも健全な社会組織を維持する為の道具に過ぎない。そもそも、倫理観等というものが正しく大多数の人々に機能していれば、我々風紀委員も。かつて貴様が所属していた軍も。必要のないものだろう?」
落第街の子供達を全て救う事を、社会が望まない。
大多数の派閥が望まない事を、己は実行しない。それが、社会の秩序を守るという事だと相も変わらず高慢な口調で告げる。
「その通りだとも。私は私の矜持に従って行動する事を選択した。その結果に不満は無い。私は私の取り得る最善の選択と行動をとったと、自負する事が出来る。
貴様は、赤子は泣き喚くだけ。適切な行動を選択した者が偉いのだと言ったな。では私は貴様の基準に適っているでは無いか。
そして。貴様が責めるべきは規律と秩序、命令に従っている私では無い。赤子を、子供達を救う為の行動を起こさない此の街そのものなのではないのかね?」
胸倉を掴む腕に伸びた腕は、何の抵抗を受ける事も無くその手を掴む事が出来た。
だが振り解く事もしなければ捕えようとする訳でも無い。寧ろ、その手を引き寄せて、己の言葉をより近くで彼女に言い含めようと、ほんの僅かにその手を引こうとするだろうか。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「逆です。倫理観が大多数に浸透して、己の生活を犠牲にしているから、
風紀委員があり、軍があるんです。平和の為に組織がある。
なら確認しましょう。
あなたは、あなたの所属する風紀委員会から、何を殲滅しろと命令されたんです?
あなたはただ撃てと命じられたんですか?それとも犯罪者を殲滅しろと命じられたんですか?
それとも、犯罪者を殲滅するために撃てと命じられたんですか?」
落第街の子供たちすべてを救うことを、社会がのぞまないから、
風紀委員が半端な仕事をして、この街がこんなにも大きくなっているのだとしたら、
私はこの身を犠牲にしてでも社会を変えて見せようではないか。
かつて、我々獣人の先代たちがそうしたように。
「もし私が風紀委員の、あなたの上司なら、私は真っ先にあなたの思想を弾劾します。
あなたは組織の為に動いているのではなく、自分に都合の良いように組織の役に甘んじているだけだ。
今のあなたは間違いなく悪に近い」
彼の本質が悪なのか、それとも彼への境遇が悪だったのか。
それはわからないが、到底見過ごしていい考え方ではない。
だから、彼が手を引いても、抵抗も、拒みもしなかった>
■神代理央 > 【 後日継続予定 】
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「摘発された違反部活の拠点」に赤坂桜子さんが現れました。
■赤坂桜子 >
落第街の一画、摘発された違反部活の拠点。
広範囲に薬物をばらまいていた組織の拠点の一つだが、その場所で公安委員会が調査を行っていた。あたりには武装した風紀委員・公安委員が何人も居て、あたりを警戒している。
「――異能のステージを上げるという触れ込みでしたか」
眼鏡をかけた女生調査員が、メモを取りながらたずねる。風紀委員はつまらなそうに、ただのガセだ、と答える。
調査員―—赤坂桜子は、特に感慨もなく、そうですか、と答えた。
「最近多いですね」
■赤坂桜子 >
バラまいていた物はといえば、興奮作用のあるただの違法薬物。
この拠点も外れのようだ。特に目立つものがあるわけではない。
『ただの』違反部活であって、昨今目立ってきた風紀委員襲撃とはあまり関係なさそうだ。
いくつかメモを取りながら桜子は風紀委員に組織と薬について聞き込む。どれくらいの規模で薬物を取引していたのか、売人やルートは潰せたのか、顧客リストなどは手に入ったのか。
反応は芳しくなかった。売人が落第街の奥の方で細々と手売りしていただけで、目立ったルートとの繋がりは無し。あったとしてもすぐ消されているだろう。
「追いかけっこですね」
ご案内:「摘発された違反部活の拠点」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
■赤坂桜子 >
ここ最近増加している落第街における風紀委員への加害事件。
風紀委員会は巡視の強化で対応しているようだが――
「一応聞いておきますが、捕物の時に抵抗はありましたか?」
風紀委員の答えは『無かった』と簡単な一言。要はただの売人たちのグループだった、という事だろう。適当に仕入れた薬に、適当なラベルをつけて高値で売りさばこうとしただけ。
襲撃が続けば、風紀委員もグループで動くようになるし、制服を着たグループが落第街をうろつけば、それだけで威圧的とも取られ、無用な争いが増える可能性もある。
(悪循環ですね)
■群千鳥 睡蓮 > 「へえ……すごぉい。 じゃあ、その異能を、こういう捜査に役立ててるんだ。
風紀委員さんって、格好良いね。 ……ね、良かったらその異能、いま使ってみせて……」
餌を求めてふらふらと落第街、いかにもいわくつきの区画を出歩いてみると――
制服をしっかり着込んだグループが何かを取り締まっているところに出くわした。
そのうち適当な一人の心理的な懐に入り込み、手に持った手帳に彼のことをくわしく聞くふりをして、
異能の有様を事細かに書き込もうとしたところで、視界の隅に女性を認める。興味が向いた。
「……こんにちは。 風紀委員さん、ですよね。
お仕事おつかれさまです。 この島は……物騒なところも、あるんですね。
びっくりしちゃいました。 学生の皆が、まるで、古いドラマとか映画の警察さんみたいで……」
今はいいです、とさっきまで話を聴いていた委員からすっと視線を外すなり、
いつからか当たり前のようにその場に紛れ込んでいた部外者は、
どこか郷愁を感じる――外では敵対者だった、紋切り型の"風紀委員"といった姿の女性に、
ねぎらいの声をかけに近づいた。いかにも、来たばかりの学生。という風体で。
■赤坂桜子 >
「――現場に人を入れないで下さい」
ため息を吐きながら近くの風紀委員へと指示する。
調査の方は大体終了だ。結局、ここも『外れ』。公安のデータベースに登録して終わりだ。
桜子はメモを仕舞いながら、やって来た女性を振り返る
「それと、私は公安委員です。何かあるならば風紀委員会までどうぞ。
私達はあまり、皆さんの生活全般の相談に乗る事などはできませんので……」
■群千鳥 睡蓮 > 「え、こうあん……? だって……ああ、そっか。
そういうのがあるんだっけ……ここには、始めて見た」
如何にも見た目で判断したファーストコンタクト。
前髪の奥で瞳を眇めた。入学したての生徒に、さしたる情報が開示されているはずもないが、
学内に存在する警察。司法権を持つ組織。なるほど実際に"偉い人"なわけだ。
「ごめんなさい。もう少しきちんと委員会については調べておきますね。
いえ、どっちかっていうとフィールドワーク。学術的興味で、色んな話を聞いて回ってるんです。
……巷で噂の、"強くなれる薬"の使用感、とか、あ、これお願いします。後処理に困ってたので…」
馴れ馴れしく近づいて後、ポケットから取り出した薬物の一包を差し出す。
学内で金銭と引き換えに握らされたもの。所々の話を聞くに、そういったものではないらしかった。
■赤坂桜子 > 「――あまりこういう所に居るのは推奨しません。研究は学生区で行うのを推奨します」
再びはぁ、とため息を吐きながら、薬を受け取る。
いきなり現場に入ってくるわ、薬を差し出すわ、怪しい事この上ないが。
今回は調査が優先だ。落第街で不審尋問なんてしてたらキリがない。
「特に、この『落第街』では、あまり深い場所まで入ったり、変な物を受け取らないで下さい。非常に危険な場所ですので」
通り一辺倒の注意を行う。
本来こういうのは風紀の仕事の筈だが、ここにいるのは自分なので仕方がない。
「――撤収準備を」
■群千鳥 睡蓮 > 「どうも……。 風紀委員さんに渡すよりはこっちかなって。 お手数おかけします。
一年生……って言えばいいんでしたっけ。群千鳥、と言います、よろしくどうぞ」
さて、私も帰ろうかな、と伸びをした。見るべきところはなさそうだ。
武闘派、というわけではないにせよ、この場を仕切っていた風の彼女に、
興味がないといえばうそになるが……、深入りして胸襟を開いてくれるような相手でもなさそう。
「ステージ説。 最近よく聞きますけど、あれって、俗説なんですよね。
異能がいきなり強くなったり、色んなことができるようになるとか。
階段を上がるみたいに、一足飛びに。夢みたいな話。
でも、この薬はそうじゃなかったってそこの人に聞きました」
風紀委員さんにね。と公安委員に戯けた風に肩を竦めつつ。
治安は保たれているように見える。今は。
でも、ここが非常に危険な場所だとしたら、と浮かんだ疑問を投げかける。
「そんな『非常に危険な薬』が実在してたら、……どうします?
いえ、どうなります?って聞いたほうが、いいですかね。生徒としては」
■赤坂桜子 >
軽く眼鏡をかけなおしながら、撤収準備を見守る。
あとは封鎖を解き、落第街から撤収するだけ、だが……
「俗説ですね。そもそも異能に関してはまだ未知の部分が多すぎます。
現在異能学会で上がっている異能病理説などが出てくるなど、確定した基準というものは……」
と、そこまで喋って止まる。
『非常に危険な薬』が実在したらどうなるか。
「この島に存在する『爆弾』がひとつ増え、そして我々の仕事もひとつ増えるだけです」
■群千鳥 睡蓮 > 「でも、流行るだけはある俗説……個人単位で起きる大変容、みたいな。
……まったく、うまい話、だよ。よくできたセールストーク。
だから、私みたいな隅っこ族にも悪い人が近づいてきたのかな」
聞こえた言葉には、目を丸くした。
するり、と彼女の前面に回り込むと、前髪の間隙からじっと彼女に視線を注ぐ。
「公安さんは……どうしてそんな危ない仕事ができるんです?」
爆弾、という言葉には、成程感銘を受ける。
上等な餌と期している高次の段階の異能、人為的な変容が実在するとすれば。
「ここが非常に危険だって公安さんは言っていたけれど。
……恐いとか不安とか、そういうのは無いの?」
■赤坂桜子 >
「仕事だからです」
ふぅ、とため息を吐いて。
撤収の準備が出来た他のメンバーと共に、入り口に向かいながら。
「怖いですし不安ですよ。異能関連は特にね。
ですが、そういう恐怖や不安があるからこそ公安があります。
常世島が明日も平穏な一日を迎える為に、学園とそこに住む生徒が無事に生活する為に」
やがて彼女は一つだけ台詞を遺して、違法部活のアジトを後にする
「誰かが怖くて不安だから、こういう仕事があるんです」
ご案内:「摘発された違反部活の拠点」から赤坂桜子さんが去りました。
■群千鳥 睡蓮 > 「…………、しごと、だから?」
再三繰り返された言葉を中心に聞き入った。
言っていることは明確に過ぎるほどシンプルで、
だからこそ受け止めるのに難儀した。
「……強いやつ、だな、あのひと」
この目では、踵を返す足取りから、彼女自身口にした恐怖や不安は見られず。
風紀委員、否、公安。爆弾処理班。"いやいややる"ような職務だと、なんとなく思っていた。
子供なんだよ、と言われた気がして、唇をねじるように尖らせていると。
速やかな帰宅を促されて、ああはい、と応じた。
学ぶべき対象は色々居るようだ。手帳を眺めながらの帰途は独り言が多かった。
ご案内:「摘発された違反部活の拠点」から群千鳥 睡蓮さんが去りました。