2020/06/25 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にフィフティーンさんが現れました。
■フィフティーン > 違反部活や違反組織がひしめく落第街の一区画。
活気に満ちているわけでもなく
かといって静寂に包まれているわけでもないがこの地域、
決して表沙汰には出来ないような活動が煮えている。
広めの通りに突如響き渡るスキール音。
走ってきた一台の輸送車両が大きくふらつき
その勢いのままブロック壁に突っ込んでから
反対方向に転がってゆく。
横転した違反組織のものと思われる車両。
走るために大排気量のエンジンが生み出したエネルギーが
路面に伝わることなく車輪を虚しく回すのみ。
<車両を無力化。>
横転車両の少し後方に居たのは
あせた色の都市迷彩に塗装された一機の小型戦車。
それは四つの足を踏みしめ、その車両を眺めていた。
周りの違反組織に関連する人間達は
事情を察したのか離れたりあるいは目立たぬ所に隠れたり。
■フィフティーン > 横転した輸送車両は所々異様な損傷を起こしていた。
右前輪ではタイヤのゴムどころかホイールまでドロドロに溶け、
真っ赤な粘土の塊のようになってしまっていた上
車体のほぼ全体に渡ってあちこちに穴が開き
その穴からは白煙が立ち昇っていた。
横転の衝撃で車体底面からオイルが漏れだし
朽ちかけの街灯や建物の明かりなど様々な光に反射して奇妙な虹色に輝く。
じっと見ていた四足の戦車は徐々に近づいてゆく。
ゆっくりと金属音を奏でながらある程度まで戦車が近づいたとき
横転し、上になってしまった運転席の片方のドアがドンドンと叩かれ揺れる。
■構成員 > 咳き込みながらドアを殴り飛ばすかのように勢いよく開ける。
運転してた奴を先に出してからきちんと”備品”を持って
怪我して重い身体を持ち上げて運転席から出る。
備品である切り詰めた散弾銃にしっかり弾が込めてあり
セーフティが解除されているのを確認して両手で握る。
目の前に居たのは聞いていた風紀の小型戦車。
生活のために安い金で雇われて何でこんな酷い目に
あわなきゃならんのか。
「風紀委員会か!これも正義の治安維持か!?」
散弾銃を構えて喋るらしいその戦車に大声で。
■フィフティーン > ドアが勢いよく開き、ドライバー席から出てきた2人の男。
一人は横転した車体から降りもう一人は車体の上で銃を構えて
こちらに何か発言を飛ばす。質問のようだ。
「正義の定義については未だ検討中ですが
はい、警備巡回の一環として攻撃を行いました。」
機械的に、まるで窓口に置いてある端末を操作したときに
帰ってくるような味の無い返答。
ただ、その後に一般的な機械とは違う、言葉を連ね始める。
「しかし、そもそも、気になったのです。」
この言葉は音声の調子こそ変わらないが自分の考えに基づいていて
「違反組織の輸送車両が何を運んでいたのか。
少し学びたいと思ったので。」
このトラックを転がした理由。
風紀委員会から与えられた任務以上に
自分の好奇心ゆえだとそう言い放った。
正確には好奇心を満たすために
委員会から与えられた任務を利用しているような口ぶり。
■フィフティーン > シアン色に輝く複眼がじっとトラック上の男を見つめる。
「アナタは武器を構えていますね。
ワタシと戦闘を行いますか?
戦闘は経験を生みます。」
ソードオフのポンプ式散弾銃、
それに備え付けられた照準器を覗きながら
引こうとせんばかりに引き金に指を置く男にその一言。
戦う意思を感じた機械は彼に一言かける、
その両者には正直圧倒的な戦力差があるだろう。
しかし機械はそんな事気にしない、
機械にとって成長できる機会ーーー
戦闘という行為が少なくともそうなる可能性があるから。
■構成員 > 反射して投影される赤い照準点が目の前の戦車を捉えている、
引き金を引けばスラッグ弾が戦車に向けてまっすぐ飛んでくだろう。
ただ、落第街でも風紀の戦車と呼ばれているアレに効く気は正直しない、
そんな事を考えてたらあの戦車、気になるだと?
意味わかんない事を口走ったと思ったら戦いますかなんて言い出した。
正直、殺されるかもしれないなんて思って身体は震えっぱなし、
運転してた奴は既に逃げ出してやがった。
こんなんと戦ってなんていられんと散弾銃を放り投げ
トラックから飛び降りて通りの奥へと足が絡まりそうになりながら走る。
■フィフティーン > 先程まで散弾銃を構えていた男は
急にそれを放り出して車両から降りそのまま走り去っていった。
投げられた散弾銃が砂利の上に落ちその重量で砂煙を巻き上げる。
逃げていく男を攻撃するわけでもなく声を掛けるわけでもなく
機械はただ走り去るその様子を眺めているだけだった。
「輸送物を確かめましょうか。」
まるで気を取り直してとそう言わんばかりの切り替えで
車両後部の鋼鉄のコンテナに近づくと
<レーザー出力レベル2に調整>
アイカメラのやや上部、半球状のデバイスから
赤外線波長のパルスレーザーが
厳重にロックされたコンテナの開閉部へ連続で照射される。
照りつけられたレーザーによって鋼鉄の色が変わっていき
アイスが溶けるような様子で固体から液体に変化した部位から
ドロドロと重力に引っ張られ穴が開いてゆく。
切断されてコンテナが裂けるように開くと
中からこぼれる様に出てきたのは機械部品と何やら液体が詰められたパック。
角ばったバッテリーと呼ばれるような部品に加えて
人工素材で作られた人間の四肢に相当するような形状の部品。
パック詰めされた液体はやや粘度が高い。
「これは、何でしょうか。」
気になった戦車は機体からマイクロUAVを射出し
微細なマニピュレーターがついたそのドローンで
荷物から転がってきた物体を調査する。
■フィフティーン > 「なるほど、どうやらアンドロイド用のパーツのようですね。」
マイクロドローンによって部品が掴まれて
それを戦車がレーザースキャンしていく。
塗装もされておらず骨組みに近いがこの四肢のようなパーツは
正にアンドロイドの四肢に相当する部品、
パック内の液体は恐らく人工体液。
同時に転がったバッテリーは高出力の電力装置だった。
シリアルナンバーの類が無い事からこの輸送車両は
アンドロイド用の密造パーツ...
あるいは公言できないような種類のアンドロイドのパーツを運んでいたようだった。
自身も人型の擬装を持っていたことが
アンドロイド用のパーツだと断定できた助けになった。
これがどこの違反組織によるものなのか、
そもそも組織絡みなのかそれさえも分からなかったが
物品自体に関する謎は解けた。
一応、風紀HQへ報告と、回収要請の旨を信号に乗せて伝えようと。
■フィフティーン > 信号を発し終えた戦車はまた歩き出す。
電球が切れかかっている電灯の明かりを受けながら
戦車は落第街の奥へと消えてゆく。
「まだまだ、興味深いものはたくさんありそうです。」
歩みを進めながら4つのカメラで辺りを見渡しながら
並行して風紀のデータベースを中継し様々な情報を閲覧する。
日常の変哲もないつぶやきから、突拍子もない都市伝説めいた噂、
落第街の情報通が残しているものや
直近では、風紀委員と思われる人物から複数の場所へ
一斉に発信されたメッセージ。
いずれにしても、この島は面白いものだらけだ。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からフィフティーンさんが去りました。