2020/07/08 のログ
アーヴァリティ > 「僕はアーヴァリティ!
君みたいなロボットは昔いたよ!」

勢いよくスライドして攻撃を回避したロボットに愉悦に狂った瞳を向けながら『待て』から解き放たれた子犬のような勢いで言葉を溢れさせる。
触手を焼き切ろうとするレーザーを傍目に確認しつつ、通り過ぎてからすぐに向きを変えてクラウチングスタートのような姿勢を取れば地面を強く蹴りつけてロボットに向けて自身を射出する。
最初に通ったルートを折り返しているため、ロボットの隣を通り過ぎる事になるが、今度は右手の触手をロボットのいる右側の壁の低い位置へと突き刺し、ロボットの脚を掬って転かすことが目的のようだ。
レーザー照射された触手には小さなシールドを展開して焼き切られるのを防ぎ。
そして、すれ違うのと同時に左手の触手を自身の腹の下を潜らせてレーザーを照射している部分へと突き刺そうとする。

フィフティーン > 照射した赤外線は対象が展開した障壁によって吸収されてしまう。
そんな戦いのさなか、彼女の言葉には関心が尽きない。

「なるほど、そのロボットには名前はありましたか?」

名前、それは物を表す上で重要な情報の一つ。
もしデータベースに有れば何か分かるかもしれない。
自分のような小型の四足マシンはこの世界の産物であれば限られる。

<目標が接近。>

対象は先程と同じラインでもう一度突っ込んでくるが
此方が避けた分軸はズレている。
レーザー照射器から赤いレーザーサイトが
稲妻の如く突撃してくる怪異を寸分狂わず捉え続ける。
パルスレーザーでその身体を焼き付けようとするものの
ロボットは足元を見ていなかった。

「!!」

鈍い音と共に一本の触手が脚をすくい上げ
機体自体が大きく空中へと放り投げられる。
間髪入れず次の触手がパルスレーザー発射器へと伸びてくる。
破壊するつもりだろうか。
そうはさせまいと空中でレーザースラスターを起動、
破裂するような音と共に空中で戦車は姿勢制御を行う。
突き刺しに来た触手を機体の問題ない部分で受ければ
ズンと重い音を奏でてアスファルトに着地する。
その質量に似合わない装甲車並みの防御力のメタマテリアルは
受けた部分が少し凹みはするものの穴は開いていなかった。

「ワタシを放り投げるとは興味深い。
怪異アーヴァリティ、アナタは強いですか?」

また機械は対象をじっと見つめる。
この戦闘力、それはとてつもない経験の予感。
敵であるその怪異へ関心が頂点に達する。
背後の大きな送電塔が一つの怪異と一機の機械を見下ろす中
ザラついた無機質な機械音声で問いかける。

アーヴァリティ > 右手を地面に着いてそこを軸に回転しながら着地する。
照射されるレーザーは都度シールドを展開して防ぐが別に神速の反応速度を持っているわけでもない。
照射されたレーザーはシールドが展開されるまでの間はしっかりとその身を焦がすだろう。

「えーっと
確か1号だったかな!君は15(フィフティーン)だから同じシリーズだったりするのかな?」

正式名称を覚える気は毛頭ないようだ。
触手を常に自分を庇うように、波のように移動させ続け、レーザーやミサイルなどの攻撃に備えつつ、先ほどの自分の攻撃の結果を観察して一度伸ばした触手を引っ込め腕を覆う触手と自分を防御する触手以外を整理する。

「僕は多分強いよ?君の所属で言えば神代君とか凛霞ちゃんと戦えるぐらいには強いよ!」

君も強いよね!と、そうであれと言わんばかりに叫べば触手で防護された腕の上にさらに風を纏わせる。
アフロは名前がわからないから省いた
外部に対して強く捻れ岩程度であればゴリゴリと削り取ることもできるドリルのような風は内側の触手すらも傷つける勢いで。

再びロボットに向けて跳躍すればロボットの頭とも言える部分にその凶器と化した左腕を叩きつけて。
再び逃れようとすればさらに追撃する。

フィフティーン > 1号、イチゴウ。彼女はそう言った。
その名前はこの機械にとって深く関係があるものだ。
風紀のデータベースではなく自身が持つ企業のライブラリーに
その名は刻まれていた。

「なるほど、そのコードはワタシの前世代機にあたるHMTの試作機コードですね。
ワタシと比べると性能は比較にならないほど劣りますが、
その試作機は機械が成長できることを示しました。」

所謂、自分の先祖に当たるその試作機体、
常世島でのテストを終えその後にどうなったかは定かではない。
性能が良いとは言えない存在であったが自分というもの形作るうえでは
重要なパイオニアであった。
成長、その動機をこの機械ーーフィフティーンが持つきっかけとなった。

「面白い。強いアナタとの戦いで、
ワタシはより、成長できます。」

<目標をロックオン>

視界の中で波打つ触手で身を固める目標の怪異を四角いグリーンのマーカーで囲む。
けたたましく連続して電子音が奏でられる。

<マイクロミサイル発射>

次の瞬間、砲塔の右横部分から軽い音と共に四発のミサイルが勢いよく
垂直方向に高く打ち上げられる。
打ち上げられたスマート弾は高速回転しながら軽い金属音と共にフィンを立てると
空中で機動を変えてアーヴァリティの方向へと突っ込んでゆく。

数秒と時間を空けずに彼女は再度飛び上がり
触手の義手ともいえるその腕に凄まじい風圧を纏わせ
埃を立てるドリルとして戦車の頭部分へ突き立てようとするが
戦車は脚で地面をしっかりと踏みしめながらそれを受ける。
実態の無い風にもかかわらず機体と衝突するそれは耳に痛い音を響かせ
激しく火花を散らす。メタマテリアルが激しい摩擦熱によって徐々に焦げてゆく。
だが距離が急激に縮まったことは戦車にとって不利ばかりな事でもない。
パルスレーザー照射器が電力をチャージし輝く、
至近距離から赤外線をマシンガンのように連射して浴びせようと。
さらに彼女の頭上から姿勢を変えたマイクロミサイルが
トップアタックの要領で迫ってゆく。

アーヴァリティ > 「へえ、君はあれより強いのかい?
それなら僕も成長できそうだね!」

ああ。あのロボットは懐かしい。
成長するロボット。まだ解体されたりしていないのであれば...またいつか出会いたいものだ。

そんな物思いに耽りながら叩きつける左腕が纏う風が金属同士でもぶつかり合うようにロボットの装甲とぶつかり合い火花を撒き散らす。
随分と硬いなあ、なんて思いつつ先ほど発射されたミサイルらしき音に対して右腕をロボットの頭部の側面から身体強化と共に強く殴りつけ、自分の体をその場で回転させる。
勢よく回転するミサイルを一瞬視界に収める間に自分を覆う触手のうちの数本がそれぞれミサイルへと伸びればそれを躊躇なく叩きつけ、その場で爆発、もしくは少し離れたところに撃墜しする。
そして、4本あるミサイルのうち一本をミサイルの勢いに逆らわずに器用に掴み取れば、殴りつけられたロボットに向けて軌道修正して投げつけて。
一回転した自分はミサイルの爆風から逃れるように離れつつーもレーザーの連写を受ける。
高熱による激痛に耐えながらもシールドを小さく展開ーするも連射。
数発食らってから大規模なシールドに切り替えるもその体は所々焼けており。
イテテ...と苦い顔をしながら焼けたあたりを撫でて。

フィフティーン > 「アナタも成長を目的としているのですか?」

ウィンドドリルとメタマテリアルとの矛盾対決のさなか、彼女が放ったその一言。
それはまるで成長できる事を喜びとしているようなものとロボットは受け取った。
問いかける間にもパルスレーザーの連射を浴びせることには成功したが

「!!」

次の瞬間繰り出された彼女の右腕には反応が間に合わなかった。
身体強化が乗ってぶち当たった拳は戦車を浮き上がらせそのまま横手にある
ボロボロの建造物へと突っ込ませる。
彼女に向けて発射した4発のミサイルも次々と触手によって迎撃され
最後の一発は吹っ飛ばされた戦車自身へと軌道を変えられ
そのまま直進し爆ぜる。その勢いで何とか形を保っていた建造物が崩落し
無数の瓦礫が戦車ごと巻き込んで地上に山を作っていく。
激しい戦場に一端の静寂が訪れることになる。

アーヴァリティ > 「まあね。そのほうがいろいろ楽しいでしょ?」

成長はいいぞ、と言った風に言いつつ。
今の自分は戦闘面よりも精神的に成長したいなんて思って入るけど。
吹っ飛んで行ったロボットと焼け焦げた怪異、お互い動きを止めた静かな戦場を飛ぶのはレーザーやミサイルではなく言葉と崩れた建造物。

建造物の山を眺めながら言葉を続けて。

「逆に聞くけどロボットなのに成長しようだなんて面白いね。
僕は凄くいいと思うし是非成長してほしいけど。
ロボットらしくはないよね」

あはは、と問いを投げかけながら笑う怪異。しかしその中に嘲りや侮辱は含まれておらず、純粋な問い。
ロボットなのに何故そう在るのか。
瓦礫の山へと一歩ずつ足を進めながら、警戒は怠らない。

アーヴァリティ > 【後日続行予定】
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からアーヴァリティさんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からフィフティーンさんが去りました。