2020/07/11 のログ
ご案内：「違反部活『ヴレーデゥ・ワンデレン』部室」に山本 英治さんが現れました。
■山本 英治 >
ヴレーデゥ・ワンデレン。
最近、頭角を現してきた……というにも、物騒な。剣呑な。危険な。
違反部活だ。
その本質はテロリストに近い。
奪い、殺し、破壊活動を行う。
今はその摘発の真っ最中。
俺はその違反部活の部長、ヨゼフ・アンスバッハを探していた。
ヤツの異能は水の操作。危険な異能者だ。
だからこそ、俺の手で捕らえたい。
■山本 英治 >
最近は裏切りの黒という組織も動いている。
ヨゼフを殺させるわけには、いかない。
罪は償える。償えなくても……己の罪業を考える時間はあっていいはずなんだ。
人の気配を感じて、拳銃のセーフティを外す。
不慣れだが、人を威圧するツールとしては優秀だ。
無論、こんなもの撃ちたくはない。
「動くな、風紀委員だ！！」
拳銃を構える。
そこにいたのは……ひと目で分かる外国人、だった。
■ヨゼフ >
「なんだ貴様は」
この国の言語で問う。
異能持ちの風紀委員にしても、単独突入とは。
バカなやつだ。
「いや、名乗らなくてもいい…死ね」
ペットボトルから水が出てきて、水圧カッターとして飛ばした。
■山本 英治 >
「！！」
横っ飛びに水を回避する。
持っていたツールの銃身がバターのように斬れて落ちた。
「待て、話し合おうヨゼフ！！」
「あんたの要求を聞きたい！！ なぜ、あんなに大勢人を殺す！？」
「今のままじゃあんたはテロリストだ！！」
「どうして悪を成す！！」
叫びながら上半身から力を抜き、いつでも回避できる姿勢を取った。
■ヨゼフ >
何を言い出すかと思えば。
くだらない。平和ボケしたこの国の人間、そのものだ。
「そうか、お前は我々をテロリストと呼ぶのか」
「私の国は貧しい……怪異災害に襲われても、誰も助けてはくれない」
「私の妹は…カリン・アンスバッハは………」
「病に臥せった時、ビリヤニが食べたいと言ったよ」
「私は困った。ビリヤニなんて見たことがない」
「銃を握っても、一日に汚れた薄いスープを二回口にできればいいほうだった」
「強盗しようと思ったが……ビリヤニなんて作ってる店がなかったよ」
「妹はそのまま死んだ。何もかも茶番に思えたよ」
「要求？ 言うだけ無駄だ」
「お前たちは私たちに銃と地雷しか売ってはくれない」
掌に水を乗せると、すくい上げるように水の散弾を撃つ。
■山本 英治 >
両手で重要な部位をガードし、体中に水の散弾を受ける。
全身から血が流れた。
「何が……お前はイデオロギーそのものじゃないだろ！？」
「まだ間に合う！ 大人しく捕まってくれ、ヨゼフ！！」
額を伝う血を拭って、説得を続けた。
悲劇は起きた。でも、悲劇を繰り返してはいけない。
俺は信じた未来に後悔しないッ！！
「お前の妹さんがこんなこと望むかよォ！！」
ああ、薄い。薄っぺらい。
こんな言葉が……こんな言葉しか、口にできない。
■ヨゼフ >
「黙れ公権力の走狗が！！」
綺麗事をよくも。
よくも。
この私に向かって。
「お前たちが異邦人と呼んで保護しているのは、この世界の人間ですらない！！」
「何故、私達を無視した！！」
「何故、私達を居ないものとして扱っている！！」
「これは私の聖戦だ………」
「何度捕まっても、何度でも脱走してやる…」
「この命尽きるまで、破壊してやる！！」
「私の要求を言おう……お前達の死だ！！」
周囲に撒いた水が、トゲとなって風紀に襲いかかる。
死ね。死ね。死んでしまえ、この世界の命、全て。
■山本 英治 >
分かり合えないのか。
分かり合うことは、できないのか。
この男の思想に。
俺の心は。入り込む余地がないのか。
異能を発動した。体を赤いオーラが覆う。
オーバータイラント・セカンドヘヴン。
「馬鹿野郎ォォォォォォォォォォォォ！！！」
馬鹿なのは。愚かなのは。俺だ。
水の槍を突っ切って。体にあいつの敵意を受けながら。
ヨゼフの胸に拳を振るった。
命を奪うための、暴力を。
■ヨゼフ >
相手の姿を視認することすらできなかった。
胴体に陥没を作り、後方の壁を突き破って。
建物の遥か真下に落ちていった。
■山本 英治 >
殺した。
殺した。
俺が。あいつを。殺した。
血に濡れた手を見る。
「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
未来。すまない。俺は………どうしようもない男だ…
■山本 英治 >
俺は。帰って。報告書を書いた。
作戦は成功したと。
書類を作って提出した。
違反部活、ヴレーデゥ・ワンデレンは壊滅した。
後になって聞いたが、ヴレーデゥ・ワンデレンとは。
平和を横切る者……という意味の言葉だったらしい。
ウォーカー。つまりは余所者。その言葉に、俺はただ打ちのめされた。
ご案内：「違反部活『ヴレーデゥ・ワンデレン』部室」から山本 英治さんが去りました。
ご案内：「違反部活『ヴレーデゥ・ワンデレン』部室」にエルヴェーラさんが現れました。
■エルヴェーラ > 物陰から、その一部始終を見ている者が居た。
漆黒の狐面で顔を覆った、白髪の少女。
裏切りの黒の備品、拷悶の霧姫《ミストメイデン》。
エルヴェーラ・ネーヴェである。
ターゲットである『ヴレーデゥ・ワンデレン』のヨゼフを
求めて此処までやって来た。
行うべきは、断罪。
捕縛、後に無力化。
それでも抵抗するのであれば――断罪の時だ。
彼女であったが、先客が居たのは予想外だった。
彼女が来た時には既に、風紀委員の拳がヨゼフを貫いていたのだ。
「貴方たちがその手を、血に濡らすことなんて、ないのに」
裾から出した鎖をその手に握ったまま。
仮面の下にある素顔は、微塵も揺るぐことがなく。
それでも何処か、その声には僅かな悲しみの色が、
滲んでいる気もした。
それは、これまでの彼女にはなかった色《ゆがみ》で。
「それは――」
静かに、紡ぐ。
闇に、鈴の音が響く。
「その罪は――」
一人、語を継ぐ。
血溜まりに、雪の音が響く。
「――『我々が背負うべき罪』なのですよ、風紀委員……」
静かに、コートを翻して白髪の少女はその場を去っていった。
ご案内：「違反部活『ヴレーデゥ・ワンデレン』部室」からエルヴェーラさんが去りました。
ご案内：「違反部活 『グレイテスト ワン』跡地」に園刃 華霧さんが現れました。
■園刃 華霧 >
「ったク……誤算ダったナー……」
色々な"雑事"と"禊"を済ませて、ようやく行動ができるかな、と思った瞬間のことである。
せっかく目星をつけていた『ヴレーデゥ・ワンデレン』のボス、ヨゼフはあっさりと始末されていた。
「やまもっちーサぁ……短気スぎんダろ……
良いカモ……いや、同志にナれたカモしンなかったノにナぁ」
やれやれ、とぼやく。
なにしろ、質が大事、と言われている。
あの執念の強さはまあ、割と質としては上等だったはずだ。
「しッカし……ビリヤニが食べタかった妹だノなンだの……
妹モノ、流行ってンのかネ。妹が死んだ！トかってノ。
そんな辛いンか」
不謹慎この上ない発言を言い放つ。
しかし、本当に、自分にはわからないのだ。
家族が死ぬ、という意味も悲しみも。
そんなものは持ち合わせていない。
「デも……ソうなルと……ンンー……
やっパ、ここ……カぁ……来たク、なかッタんだけドなぁ……」
もはや残骸でしか無い、瓦礫の前に立つ。
砕けたコンクリート
崩れ落ちた土台らしきもの
ヒビが入り放題の地面
誰がどう見ても、ただの廃墟で
ただの瓦礫の山
「ン……と」
コンコン、と小山のようになった瓦礫の一部を叩く
返ってくる音は、確かに硬い何かがある音
しかし、それ以上でも以下でもない
此処には、なにもないはずだ
「……ッシ。
ヤッぱ、ダな……いくゾ」
にたり、と笑って瓦礫に勢いよく突っ込んだ
■園刃 華霧 >
ぬるり
そんな音が聞こえそうなほどに滑らかに
"瓦礫を越えて"内部に侵入した。
「鉄板入れタって1ｍくラいなラ、ヨユーなンだヨなー。
……ま、こノ手品、久しぶりダったケド」
けらけらと笑う。
かつては多用していた技
空間に穴を開け、ネジ曲がった空間を抜け
あらゆるものを無視して数ｍを"越える"技
これで壁を抜け、扉を抜け
あらゆる警備を越えて
盗み奪い逃走してきた
「……やーッパ、居るナ……アイツ」
こつ、こつ、こつ、と
音を立てて歩く
ここは違反部活『グレイテスト ワン』跡地。
かつて、自分が荒らし、破壊した違反部活の跡地、であるはずの場所
■園刃 華霧 >
こつ、こつ、こつ、こつ
薄暗い通路を、迷いなく歩く
かつては何人もの違反部活生が活動したであろうことを匂わす
無数の部屋
そして、"何か"があったであろう、浅黒いシミの数々
それらを無感動に眺めつつ、歩く
道は知っている、とばかりに
「……ウへ」
無言で歩いていた口から言葉が漏れたのは、目的の扉の前についてから
予想通り……期待通り……
そして、あって欲しくなかった通り……
明かりがついているのを確認したからだ
「………………」
珍しく、無言でしばし悩む
しかし、意を決して扉を開いた
「オイ、マッド野郎！ 生きてンはわかッテんだ！」
■松戸 > 「ぬぁっ！？ な、ななな、なん……な、あ………おおおおおおお！？」
部屋の奥に鎮座していた男は、頓狂な声を上げる
髪は伸び放題、ヒゲも伸び放題
薄汚く、やせ細った男であった
が、やがて男は目の前に現れた人間を凝視する。
「……ぁ、ぁ……
ｻｰｸﾙｸﾗｯｼｬｰ
き、きさま、『違反部活荒らし』！！！ はは、ははははは！
そ、そうか、きさまか、ひは、ははははあは」
突然に、哄笑を上げる男
その声は狂気に満ちていた
■園刃 華霧 >
「……あいっかワらず、きっもチ悪いヤつ……
あと、そのクソ古い呼び名ヤめろってノ。ま……いいカ」
やれやれ、と溜息をつく
アタシには、何もなかった
当然、名前だって無かった
おかげさまで、違法部活荒らしをやっている間に
ｻｰｸﾙｸﾗｯｼｬｰ
『違反部活荒らし』なんぞというあだ名が付いていたのだ。
どうなんだこれ？
「マッド野郎。おまえ、ま―だ、懲りズにやってンのか？
こンなトコで。一人で」
かつて、ここは倫理を無視した科学で全てを解明し全てを得ようとした部活『グレイテスト ワン』だった
自分に荒らされ、風紀委員が入ったお陰で壊滅、となったはずだったが……
■松戸 > 「ひ、ひひひ……あ、あた、あたりまえ、だ。ひひっ
わ、わた、わたしは、ひ、ひひ、一人でも、全てを、解明、するのだ。ひひ、ひひひ……
ｸﾞﾚｲﾃｽﾄ ﾜﾝ
そう、それこそが今の『たった一人の違反部活』なのだ。」
狂気の色を目に宿したまま、男は高らかに宣言する
やがて……
ｻｰｸﾙｸﾗｯｼｬｰ
「そ、そうだ、い、いいところに来た、『違反部活荒らし』。
き、きさま、きさまの、その、い、異能だ。
ア、あの時、きさまに言っただろう。そ、そいつは、鍵だ。
わ、わたしに、研究、サせろ。ひひひひ！」
■園刃 華霧 >
「アー、そレだ。それダよ、マッド野郎。
ソイツを聞きたカったのト……アー……」
一瞬、言いよどむ
正直、とてもあれなヤツだ
しかし
しかし、この狂った妄執は
この狂おしいまでに先を求める心は
立派な質、なのだ
「……おまえ、アタシらと来る気はないか？」
■松戸 > 「ひ、ヒヒ……そ、そいつは、鍵だ。
大いなる、世界への、鍵に、なる。くく……残念ながら、わ、わたしの、科学では、そこまで
無手で、いくには、じ、時間がかかり、すぎる。
だが、き、きさまの、"ソレ"さえあれば、ヒヒっ、科学は、"飛躍"する！
そ、それは……"世界"を破る"鍵"だ」
不明瞭な言葉
不明確な言葉
しかし、奇妙な説得力と熱を持った言葉
「き、きさまら、と……？」
■園刃 華霧 >
「"世界"を破る"鍵"……ねェ」
そんな御大層なものなのか。
正直、自分には自覚がない。
けど……
確かに、かつて此処で全力を出した時、
妙な感触を抱いたことを覚えている
そして、この眼の前の男だけが
狂気の眼で、自分に声をかけてきたことも
「ひひ」
もし、それが本当なら
ひょっとすれば……何か役に立つかもしれない
ひょっとすれば……全てを台無しにするかもしれない
嗚呼……ぞくぞくする
「アタシらは、叶えたいもののために『真理』を目指す。
一緒に、やってみねえ？って話。
タダな。決めるノは自分で決めテくれ。
ソイツが掟、みたいナもんダ」
■松戸 > 「
」
■園刃 華霧 >
「
」
■園刃 華霧 >
しばらくの後
華霧は外に立っていた。
「アー……つっかレた。壁抜けはヤッパ響くワー」
虚空から最近出来たばっかりのスイーツ店の菓子を取り出す。
なんかとりあえず出来たばっかりの店って征服したくなるよね。
「しッカし……今頃、連中は"コンシンカイ"だっけ？
の真っ最中ナンだろーナぁ。平和なコって何よリ。
お陰でわるーイことモできルんだけドさ。」
ひひひひ、と笑う。
此処ぞとばかりに悪巧みを考えた連中に声をかけたり、
ここの確認をしたり、まあたくさんできた。
相変わらずの"ドブさらい"
やっぱり、自分にはそれが似合ってるらしい
誰にも分かられないかもしれないが……
「ひひ、んぐ……お、旨いじゃん」
むしゃり、と菓子を口にして……思わず感想を漏らす。
これは当たりだった。
そんな予感はしていたけれど、勘が当たるのは楽しい。
そうだ、今度……
「……いや、うん」
むしゃむしゃと残りを黙って咀嚼する
いくつか取り出していたモノも乱暴に口に放り込む
ひとつ
ふたつ
みっつ
よっつ
…………
「……」
あとに残ったのは、華美にならない程度に品の良い包装紙のみ
ぐしゃり、とそれを潰し……
その辺りにぞんざいに捨て
その場を去った
ご案内：「違反部活 『グレイテスト ワン』跡地」から園刃 華霧さんが去りました。