2020/07/12 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 「さて、お仕事はしておかないとね」
 
『トゥルーバイツ』の面々を引き連れ、今日も通常任務である摘発と介入を行う。
無論、荒事は向こうから仕掛けられない限りしない。
今日も『声掛け』がメインだ。
あかねからしても、戦闘行動は全く面倒事でしかない。
出来ることなら避けるに限る。

「カギリちゃんが新顔一杯探してくれてるみたいだし……思った以上に順調ね」

クスクスと笑う。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
群千鳥 睡蓮 > 「はいはい、お仕事ご苦労さまぁー。
 ……ところでえーっと、今日は隊長さん、来てるの?
 ああそう、あっちにね……」

ついうっかりヤバいところまで足を伸ばしてしまったかな、と思ったら、
島外の都会部でよく見ていた「活動家」諸兄と似た集団に遭遇する。
もしやと思ったが、なるほど蛇の意匠の者たち。
噂の方々だ。愛想笑いを向けながら、
使うアテのない書類を受け取りつつ、目当ての人物を探すと。

「お、いたいた。 ……どーも、有名人さん。
 『お話し合い』の時に比べたら、ずいぶん大所帯になったもんだね」

ピラピラと受け取った書類を振りつつ、黄金の双眸で見据えながら、
集団の長のほうに、他の者の邪魔にならないように近づいていく。
あの時はホッケーマスク。いまは遮る面もない。ここまで距離を詰めたこともなかった。
レインコートもない、自信を纏いつけたような立ち姿と微笑で、彼女をとらえる。

日ノ岡 あかね > 「あら、こんばんは。あの時の誰かの一人かしら?」

わざとらしく、あかねは笑う。
『話し合い』の場でのマスクは匿名の意志表示。
故に……多少見当があったところで、あかねは首を傾げるだけ。

「『初めまして』、私はあかね。日ノ岡あかね。アナタは?」

ニコニコと笑いながら、黄金の瞳に……黒い瞳を合わせる。
月明りを侵す『トゥルーバイツ』の設置したスタンドライトの明かりが……二人の相貌を照らした。

群千鳥 睡蓮 > 「一般生徒、ヴォルフガング・トダーリンは仮の姿。
 一年の……フルネームで名乗られるとそう返したほうがいいのかな?」

人工灯に照らされた堂々とした表情は、少し困ったように苦笑した。
肩を竦めて、仮面を取って挨拶しよう。
舞踏会に参ずるプレイヤーでなし、オーディエンスに此処に居る資格があるかは謎だが。

「……『はじめまして』、日ノ岡先輩。
 群千鳥 睡蓮(むらちどり すいれん)です――風紀でも公安でもないです」

ただの無所属、と両手を開いて振ってみせてから。首を傾げて見せた。

「どうです。 良いお相手、見つかりました?」

日ノ岡 あかね > 「スイレンちゃんっていうのね、よろしく」

ニコニコ笑って、あかねも一歩近づく。
『トゥルーバイツ』の面々はその間もずっと『声掛け』を続けている。
あかねは護衛もつけていない。
二人のいる一角だけが、別の空間のように切り取られていた。

「ええ、一杯みつかったわ。お陰でいまや五十人に届く大所帯。嬉しい限りよ」

心底嬉しそうに笑って、合わせる様に両手を広げる。
武器の類いは非所持。あるのは黒い首輪だけ。
委員会謹製の異能制御用のリミッター。
傍目から見る限り……ほぼ完全な徒手空拳。
手ぶら。

「スイレンちゃんも興味ある? 私たちの活動」

楽しそうに小首を傾げる。
視線はずっと向けたまま。

群千鳥 睡蓮 > 呼ばわれた名前には視線をそむけて少し照れくさそうにした。
それが彼女の距離感なのだろう。こちらはコートのポケットに両手を突っ込んで。

「探せばいるもんだ。同志たち、って感じ。
 とはいえ、やってるのは地味なビラ撒きって噂ばっかり。
 『悪』らしい『悪』、『矜持ある悪』……?ってのは、そうそう居ないもんなんですかね」

遊撃部隊、50人。男の子なら、胸を騒がせそうな響き。
けれどもそんなヒロイックな活動は、少なくとも自分の耳には入ってこない。
いまなお『声掛け』を続ける彼らを蜃気楼を眺めるように細めた瞳で見つめてから。

「――なんでしたっけ。 『真理に噛み付く』?」

自分の唇に指先を這わせてから、それを空に向けて立てて。

「どうかな。噛み付くべき真理が何かわかってないからなんとも。
 『そう言えばわかるだろう』という人が同志になるなら、
 あたしには入隊資格なんて、端っからないんじゃないかな」

くるりと顔を向けて、改めて真っ直ぐ見つめた。

「興味があるのはあんた、かな。 ……あかね先輩。
 そこに居る人が、いつまでも居るとは限らないからさ。
 素通りしても良かったけど、今日はここまで来てみた」

ひとり野良猫が減っただけで、まるで空っぽになったような路地裏を想って。
名前で呼ばれたので、こちらも呼んで距離をつめた。
貫くような虎の眼。敵意ではなかった。まっすぐ見つめた。
自らの「サイト」に彼女をとらえる。

日ノ岡 あかね > 名前を呼ばれて、嬉しそうにあかねは笑う。
そして、ゆっくりと目を細めてから。

「一つ一つお返事しましょうか」

そう、緩やかに微笑んでから続ける。
虎の瞳に、猫の瞳をあわせながら。

「『矜持ある悪』はきっといるわ。でも多分簡単に見えないだけ。真の悪は人前に姿を現さないものだから」

目に見える範囲は照らしただけ。
だが、真の闇の底は……どんな光も届かない。

「『真理』はまぁ手段よ。『願い』を叶える手段を『真理』に尋ねるだけ。まぁ、分の悪い博打だから……そうしないで済む人は来ない方がいいわね。ここに居るのは『最期の博打』を打たなきゃ『願い』に手が届かない人だけだから」

元々、『トゥルーバイツ』はあくまで風紀委員会元違反部活生威力運用試験部隊の下位組織でしかない。
あくまで傘下の一部隊だ。
わざわざ『そんな辺鄙なところ』に来なくても済むなら……そのほうがいい。
そして、最後の言葉に。

「そして……私に興味があるの? ならとっても嬉しいわ。何でも聞いて。答えられる限りは全部答えるつもりだから」

あかねは、笑う。
嬉しそうに、楽しそうに。
あかねは……笑う。

群千鳥 睡蓮 > 「そして真の矜持とは、終わりと引き換えに手に入れるものだから」

生者が賢しらに振りかざす矜持には、何処かに恥や後ろ暗い秘密がある。
睡蓮は、そう考えていた。自分に矜持なんてものがないからこその、極論。
ゆえに――矜持ある悪とは、敗着して初めて成立する存在と。
あの時、彼女の言葉に失笑した理由を、そう静かに明かした。
だから、そうそう見つからない。世に憚るのは、矜持なき悪党が常だ。
出会ってきた矜持ある悪党は、全員足元に。

「手段……?」

続いた言葉に、少しうつむいて考える。
闇を、闇とは思わない。そこに意志があれば、途はうまれる。
どこであれ、自分が歩く場所。

「『トゥルーサイト』であんたが見つけた『真理』を『手段』として、『願い』を叶える?
 ……真理サマが出てきてくれるかどうかも、
 お会いできても『そんなこと聞かれても困っちゃうよ』って言われる可能性もある?
 なんか偉く壮大なこと考えてるんだな……?
 この広い世の中にさえ無いかもな、叶える手段を『真理』に問わねばならない『願い』……ね」

視線は再び、今度は実像になった者たちに向けられた。
これは問いではなかった。確認だ。そして確認が終われば。

「正直、最初はね。 あんたは本気で踊りたいだけだとおもってた。
 悪者を見出して、善として全力で戦う……みたいな。
 一年間くすぶってきて、遊びたいだけなのかと。 全力の愉快犯かなと」

ごめんね、と苦笑した。対面しなければわからない。
真っ直ぐ見つめる。漆黒の瞳。そこに居るのは謎ではない。
日ノ岡あかね。
少女を見つめる。

「この流れだと、じゃああんたの『願い』って?って聞きたくなっちゃうけどね。
 発起人はそこまでして……、『願い』を叶えたいのか、叶えなければいけないのか。
 ずいぶん切実なもんなら、あたしみたいなのには話せないだろうし。
 好きな食べ物、作家とか? メールアドレス……甘いものは?」

博打を打たなければならない程の危うさが、その微笑みの裏にあるのか。
真っ直ぐ問う以上に、相手のことを知れる方法が、いったいどれだけあるのだろう。

「聞いたぶんは、あたしも答えますけど……興味がおありならね」

日ノ岡 あかね > 「当然、そういう可能性もあるわ。というか、前はそれで失敗してみんな死んだしね。私以外」

『トゥルーサイト』の末路。
日ノ岡あかね以外全ての構成員の死。
真理に挑んだ代償。

「好きな食べ物は甘いもの、特にイチゴパイ。好きな作家は特にいないわ。私、本は好きだけど作家にはあんまり興味ないから。好きな本はジャンプよ。私少年誌好きだから。メールアドレスは風紀に登録してあるから何時でもどうぞ」

クスクス笑う。

「私はいつでも本気よ。だから、人員集めのついでに戦いたい人がいるなら当然相手したけど……私の相手したい人はいないみたいだから、じゃあいいやってなってるだけ。私、戦いは手段としか思ってないし」

笑って、あかねは答える。
楽しそうに。とても……楽しそうに。

「『願い』は『私を取り戻すこと』よ。今の技術じゃ無理らしいから、仕方ないから博打うってるだけ。他に手段があったら喜んでそっちに鞍替えするわ」

他の手段。
当然……あかねもきっと試している。挑んでいる。
その結果、悉く負けてきた。
だから、次の勝負をしているだけ。
それだけのこと。

「あら、スイレンちゃんも教えてくれるの? 私、アナタにとっても興味あるから嬉しいわ。何から聞かせてくれる? 手っ取り早く聞いて良いなら、聞きたいことなんて私はいつも一つしかないからすぐに聞いちゃうけど……私に聞きたいことが全部終わってからでもいいわよ?」