2020/07/29 のログ
ご案内:「とある違反部活の跡地」にアーヴァリティさんが現れました。
アーヴァリティ > ああダメだ。
ダメだダメだ。
ダメだ。

「ころせない」

感情の抜けきった言葉が不意に零れ落ちた。
小さな掌で握り潰そうとしたそれを握りつぶせない。
力は入っても、押し込めない。手が震える。

死にかけの意識のないそれに怯えて顔が青ざめていく。
手の震えが腕にまで伝わり掌に篭る力が抜けていく。
防衛のために展開した触手が力なく地面に落ちていく。

あの日、僕は恐怖を知った。
ずっと恐れていたそれを、見せつけられた。
自分のやってきた、自身に向けられることを恐れ続けたそれを。

“死”を

最早目の前で意識を失い白目を向いている男の首なんてどうでも良かった。
肩からバッサリ持っていかれた右腕の仕返しに殺してやろうと思ったけど、無理だった。

「…ころせ…ない…」

“死”を見せつけられた怪異は。
ずっと沈めたままだった自分を取り戻した怪異は。

“殺す”ができなくなった。