2020/09/03 のログ
ご案内:「とある違反部活」に雨夜 賢瀬さんが現れました。
雨夜 賢瀬 > 歓楽街で生徒が暴行を受け、
そのうち1名が落第街方面に連れ去られたという通報が入った。

常世島環状道路を速度違反取締のために警らしていた所、
近くを走っていたため、急行要請を受けて現場に移動する。

犯人は割れている。もともと風紀委員に注意対象として
目を付けられていた、とある違反部活のメンバー数名だ。

奴らは気が短い。
事が起こる前に手を打てなかった風紀委員の落ち度もあるが、
事が起きなくては落第街への手入れはあまり行われないものである。
キリが無いからだ。

「……やはり俺が一番か。まぁ、当然だな」

ことは一刻を争う。暴行を受けたのは一般生徒グループ。
連れ去られたのは、無能力の少女だ。

雨夜 賢瀬 > ヘルメットを操作して、時計を確認する。
他の風紀委員に状況を確認すれば、到着するにはもうしばらくかかるだろうという。
それもそうだろう。車で駆けつけるには落第街は道が悪すぎる。
あるいは、近くにたまたま居た風紀委員に連絡が入って到着するかも知れないが……。

「ああ、わかった。派手に騒いで時間を稼がせてもらおう」

待ってなど居られない。

賢瀬は拳銃を抜いて、現場へと踏み込んでいく。

ご案内:「とある違反部活」に水無月 沙羅さんが現れました。
雨夜 賢瀬 > ターゲットはこのボロボロのバラック廃墟の2階を根城にしている。
もちろん不法占拠である。

1階部分はほぼ完全に廃墟。
少女が連れ込まれている可能性もあるが……
恐らく居るのは2階だろう。明かりが点いている。
それに、階段に見張りはいないようだ。

嗅ぎつけられていないと思っているのか、それとも待ち構えているのか。
それはわからない。

ただ、時間はあまりないのだろう。

賢瀬は階段に足をかける。

水無月 沙羅 > 緊急連絡を受けて、ちょうど落第街の警邏をしていた沙羅はこの場所に駆けつけた。
やはり穴埋めというやつは必要だという事だろう、念には念を入れておくものだと内心思う。

全身に身体強化の魔術をかけ、肉体のリミッターを解除する。
眼に魔力を宿し、魔力視を発動した。
現場に居るのは、『雨夜 賢瀬』という先輩の風紀委員。
確か、懇親会の時に逢っているはずだ。

風紀委員の制服を確認する。
おそらく彼がそうなのだろう、およそ人間の限界を超えた速度でもってして、雨夜の背後に着いた。

「遅くなりました。 先輩、突入なら私が、適材適所です。」

こういう任務は慣れている、という風に彼に声をかける。

「水無月沙羅、ただいま現場に到着いたしました。」

必要はないと思うが、自己紹介も兼ねておく。
最近の自分が、結構悪名高いというのには自覚があるつもりだ。

雨夜 賢瀬 > 接近する気配に感づいて、振り向きとりあえず拳銃を向ける。
まだセーフティはかかっている。突入までは、威圧で十分だから。

「ああ、こないだの」

その姿を視認すれば、拳銃を下ろす。
近くに居たのか。
一人でもやる気ではあったが、人が多いほうが楽と言うものだ。

「雨夜だ。風紀の便利屋とか言ったら伝わるかな。
 適材適所、か。だったら、俺も適材ってとこだな」

自己紹介も手短に済ませて、階段の方を向く。

「相手もバカじゃないだろう。恐らく待ち構えている。
 しかし、俺たちは急ぐ必要がある。
 扉を開けたら一気に行くが、それでいいか?」

事態は急を要する故の、いわゆるノープラン。
もちろん、無謀でもあるので、後輩だろうと意見を求める。

水無月 沙羅 > 拳銃を向けられて、思わずおっととと後ずさるが、唐突に表れればそうもなるだろう。
拳銃を降ろされれば、苦笑いをして頷いた。
彼もこちらの事をきちんと把握していてくれたらしい。
ならば話も早いだろう。

「えぇ、存じてます。 私、ずっと本庁で書類とにらめっこしていましたから。」

書類整理という面倒ごとを理央にほぼ押し付けられていた日々は無駄ではなかった。
其れなりに風紀委員内部のメンバーの名前は覚えることもできたし、彼の様な優秀な人間はそれなりに名前も挙がってくる。
頼れる参謀役、というイメージが沙羅の中で固まりつつある人物だった。

「被害者の安否が気になりますからね、追い詰められた人間は何をするかわかりません。
 一気に行くのには賛成です、が、万が一の時は遠慮なく私を盾に。
 私は何をされても死にはしませんけど、先輩はそうもいきませんから。」

自分の有用性を簡潔に伝える。
自己犠牲をしているように聞こえるかもしれないが、結果的な最善を目指すならそれが最も効率的なだけの話だ。

「それに、戦力がこれ以上欠けるのは避けたいですからね。」

相手の数が正確に把握できていない以上、戦力が減るのは作戦の成功や、被害者の安否に大きくかかわる。
援軍など呼ばれたときには、其れこそ絶望的だ。
おそらく、自分よりはそう言ったことに目の回る彼なら、そのあたりも考えているのかもしれないが。

雨夜 賢瀬 > 驚かせてしまったか、と軽く詫びる。
拳銃を持っていても、使う風紀委員も多くは無いのだろう。
異能のほうが便利で隠蔽にも優秀であるから。

「話が早くて助かる」

雨夜賢瀬は戦闘向きの異能は持っていない。
基本的に武器は拳銃と警棒だけである。それも情報として記載されていたことだろう。

「死なない、か。……わかった。考慮に入れておく」

相手の能力は詳しくは把握していない。
名前と、書類に記載される程度の成果ぐらいだ。

しかし、その提案を頭ごなしに否定はしない。
もちろん使わないにこしたことはないが、"使わざるを得ない"ことは起こりうる。

「ふ、俺は一人でもやるつもりだったさ。
 もちろん、居てくれるのはありがたいがね」

妙な自信たっぷりにそう言って、階段を早足で登り始める。

水無月 沙羅 > 「先輩や被害者が居る以上、不死者に類する私の異能と、身体強化の魔術以外は使い物になりません。
 私が感じた痛みを周囲にばらまく異能もありますが、これは対象を選択できないので選択肢としてありえない。
 つまり私の戦力は、強化された身体能力と不死身の体、あとは一応携帯している拳銃と言ったところです。」

完結に自分の戦力と出来る事を報告する。
雨夜の後ろについて階段を昇り始めた。

「その自信、余程腕が立つと考えてよろしいみたいですね。
 頼りにしています、先輩。
 背中は任せて、好きに動いてください。」

もともと一人で行くほどの自信があるというならば、自分はそのサポートをすればいい。
彼の背中を守り、要救助を無傷で救い出す。
それが今回の私の任務だ。

……誰かと組んで任務にあたる、というのは、事故の様な持流との殲滅戦時以来だろうか。
緊張が背中に走る。

雨夜 賢瀬 > 「……特別な考慮はする必要はない、と。分かった」

痛みをばらまく異能。つまり、自分が痛みをうける必要ある。
また随分と難儀なものだ。
とにかく、手札は自分と大差ない。それがわかれば動き方も考えやすいというものだ。

安っぽい両引きの鉄の扉に耳を当てて状況を探る。

「任せておけ。……行くぞ」

銃のセーフティを外し扉に手をかけて。
一気に引いて開けると、身体強化の魔術を起動。
扉の裏にいる男に、銃把での殴りをお見舞いした。
それだけで、一人目はノックアウトされる。

2階もただの倉庫で、扉の先に廊下もなく、
いくつかの机やマットが敷かれているだけのシンプルな構造。
扇風機も何台か置いてあり、夏の環境は劣悪だろうと予想できる。

構成員はそれぞれの異能や魔術を暴力に用いるチンピラ数名。
そのリーダーは連れ去った少女にナイフを突きつけ人質にしている。

一般学生に手を出してしまった下っ端のおかげで、
完全に追い詰められたリーダーといった構図だ。

水無月 沙羅 > 「……。」

魔力視にさらに力を籠める。
周囲の漂う魔力に酔って敵の配置、その動きの予測を始める。
突入の直後に雨夜がまずは一人を制圧、ここまでは順調だ。

「まずは、頭から…!」

人質に突き付けられているナイフを持つ腕に力がこもっているのが目に入る。
太腿のホルスターから拳銃を引き抜き、突風が巻き起こるような速度で一気に距離を詰めながら、引き金を引く。
ナイフは金属音を立てて宙に舞い、そのまま勢いに任せてリーダー格を蹴り飛ばした後に、少女を確保する。

「ぐっ……」

人体の限界を無視した挙動に足は脆く砕けて、人質の少女を抱え込むように膝をついた。
コンマ数秒、痛みと損傷による隙ができる。

違反生はそれを見逃すはずもなく、魔術や異能によって沙羅に狙いを定めるのだろうか。
更なる痛みに備えて、少女に覆いかぶさった

雨夜 賢瀬 > 「突入慣れ……これでは鉄砲玉じゃないか」

盾にするとか、そういう次元ではない。
もし敵が長物を持っていたらどうするのか。少女もろとも貫かれるのか?
思う所はいくらかあるが……考えている暇など無い。
状況への対処を優先する。人質のケアを考えると、かばう彼女すら怪我をさせるわけにはいかない。

最初に気絶させた男の腕を掴んで、身体強化を用いて放り投げる。
構成員の一人を巻き込んで、もろとも倒れる。

それに気を取られなかった一人に、躊躇いなく2発発砲。
1発が足を撃ち抜いて、それを一時的に無力化する。

残るはあっけにとられた一人と、気絶した男の下敷きになった一人。
そして蹴り飛ばされたリーダー格。

水無月 沙羅 > 「……っ!」

すぐさま痛みから復帰する、攻撃されたときに備えて更なる跳躍の準備こそしていたが、それ以上に雨夜の対処は的確で素早かった。
先ず真っすぐに人質の少女を助けに入ったのは、計算というよりも衝動に近い。

昔の、風紀委員に救われた自分の姿がダブって見えたからだ。

「投降を、おとなしく拘束されるのならこれ以上危害は加えません。」

呆気にとられる残された違反生に拳銃を向けた。
出来ればこのまま投降してほしい。
少女に血の流れる様子を見せたくはない。

雨夜 賢瀬 > この状況まで何も出来なかった一人は、
拳銃を向けられ、得物を落として。おずおずと手を頭に当て投降の意思を示す。

雨夜はその様子を見ながら、下敷きになっている男を気絶させるべく殴りを入れる。

「手錠は携帯してるか?」

なければ自分のを渡す、と言いつつ、足を撃ったほうの男に向かっていく。
痛みにうずくまっているので、拘束してから止血の処理を始める。

水無月 沙羅 > 「もともと警邏していたので、持っていますよ。」

再生した両足を確認してから、

「少し待っていてね。」

と少女に伝えてから、気絶したリーダーに命の別状が無いのを確認したのち、手錠をかけてから治癒魔術を施した。
他の倒れこんでいるメンバーにも順番に手錠をかけていく。

「先輩に怪我はありませんか?」

そういう場面があるようには見えなかったが、隠す人が稀に居るから、一応の確認だ。

雨夜 賢瀬 > 少女は小さな声でありがとうございます、と感謝を述べてその場にうずくまった。
顔に暴行を受けた形跡はあるが、服の乱れなどはない。
大事に至る前には間に合ったのだろう。

「ああ、もちろん。そもそも今回は攻撃を許してないしな。
 君が目を引いたから、結果としては効率的に処理ができた」

止血を済ませたのち、その男にも手錠をかける。
治癒の魔術は習得していないので、傷はそのままだ。いい薬になるだろう。

「そろそろ応援が来るころだ。その子は任せていいか?」

気を失っている奴らを引きずって一箇所にまとめる。

水無月 沙羅 > 「それは何よりです。」

怪我がない報告を聞けば頷いて、続く言葉に少々目を丸くする。
自分が彼女に何ができるか、よくわからなかったりする。
こういう時にかける言葉は何といえばいいのか。

「……っえ、私がですか……?
 いや、えぇ、わかりました。」

やれることはすべてやろう。
昔自分が救われたように。

「遅くなってごめんね、辛かったね。
 もう、大丈夫だよ。
 お姉ちゃんたちがついているからね。」

蹲る少女を優しく抱き寄せてから、殴られたのであろう個所に治癒魔術を施す。
怖かっただろう、震えているであろうその背中を優しくなでる。

人の体温というものは存外に安心すると、この数か月でいろいろな人に教えてもらったからだ。

「そちらはお任せします。」

と、引き摺る違反生達を見た。

突入には慣れている、だが、それは開くまで単独任務の話だ。
人質を助けるだとか、仲間が居るだとか。
そういう現場は一度だってなかった。
理央が居る時は、何時だって守られていたから。

護るというのは、本当に難しいと痛感する。

雨夜 賢瀬 > 「少なくとも、俺がやるよりは良いだろう。
 その子は男に囲まれていたんだろうからな」

構成員達を纏めおわり、手をはたいた。

少女は小さな声で相槌を返す。
やがてようやく安心したのか、落ち着いた調子でもう一度礼を述べた。

舗装の悪い道を踏み鳴らす車の音が1台分。
ヘルメットを通じてすでに制圧の信号は送ってある。
人質を連れ出せば、護送の準備も整っているはずだ。

「ああ、大丈夫だ」

共同作戦も何度か場数を踏んできたが……
こういったパターンはあまりなかった。
しかし結果としてはほぼ成功している。故にあまり気にしない。

賢瀬は犯人たちを乗せる分の応援が届くまで、此処に残ることになる。

水無月 沙羅 > 「あの、雨夜 賢瀬先輩、ありがとうございました。
 今度、えっと、戦闘訓練とか、付き合ってもらえますか。
 もっと合理的というか、バディを考えた動き方、教えてください。」

いつも一人だけでやってきた戦闘は、相手を屈服させることだけを考えればよかった。
しかし、今回のような共同任務ではそうはいかないのだ。
相手の事をきちんと考えた行動を意識しないといけない、それは自分にはまだわからない事だ。
しかし、覚えて行かないといけない。

「じゃぁ、行こうか。 お父さんとお母さん、居るかな。
 住所とかわかる?
 ちゃんとお姉ちゃんが送っていくから、心配しないでね。」

少女を連れて、護送車まで歩いていく。
結果的に、犠牲者は出ず、こちら側にけが人も出なかったが、それは運が良かっただけとも言えるだろう。
もし、もっと敵の異能が強力だったら、こうはいかなかったかもしれない。

まだまだ学ぶべきことは多いのだ。
この両肩に乗った責任は、以前より重くなった。
そのことを実感しつつ、車両に乗り込むのだろう。

雨夜 賢瀬 > 「構わんよ。俺も研鑽は必要だからな」

断る理由もない。
緊急時に有効な戦力が増えるというのは必要なものだ。
積極的に落第街付近を見回っているのなら、特に。

少女を連れ出す様子を見送って、去っていく車の音を聞いていた。

ご案内:「とある違反部活」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「とある違反部活」から雨夜 賢瀬さんが去りました。