2020/09/05 のログ
羽月 柊 >  
「……そうか。」

己の責務を果たそうとする彼を隣で見る。
端末での連絡に応答してくれたオペレーターに、一郎の指示通りに話した。
この島で生活するならば、彼ら風紀委員は、警察と同じ。
誰だって世話になる存在であるし、誰だって彼らと厄介事を起こしたくはない。

それでも、…こんな状況に居合わせるとしても、
男は写し鏡の彼を無視することは最早出来なかったのだ。


……己にとっては、葛木一郎は…最早、掛け替えのない人物なのだ。



「…知り合いから、俺の探しているモノがここに居ると聞いた。
 元々、『教師になった』時から、探してはいたんだ。
 君に逢った"あの時"は、まだ俺は教師ではなかったからな…。

 …本当なら、もう少し平穏に逢いたかったモノだが……起きてしまったことは仕方が無い。」

『トゥルーバイツ』から"風紀委員"に戻る際に、
恐らく、どういう事があったかは聴取されているだろう。
日ノ岡あかねとは違い、早くに懲罰房や地下教室から解放されたとはいえ、
風紀委員とて、馬鹿の集まりでは無いはずだ。

ならば、"葛木一郎"と"羽月柊"の関係性は、ある程度知られているのではなかろうか。


そうして、男がここに、裏の世界を歩いていることは、
あの日二人が出逢った事がそれを証明している。

「……葛木、"独り"で無理はせんようにな…。」


それで消えた愛するヒトが居た。

それで倒れた己が居た。

だから、彼もそうならないようにと、風紀委員が駆け付けるまでに声をかける。

葛木 一郎 >  
「知り合いが」

黙り込んだ。探しているものがここにいると言われて。
少なくとも、目の前の相手が明るみだけを歩く人物でないとわかった。
それは、少なからず思うところもあるけれど。
……ひとまずは、いまはその来訪に感謝した。自分一人では処理しきれなかった。

「……慰めですか」

口をついて出たのはそんな言葉で。
労ってくれているのも十分にわかっていた。
それでも、なぜ自分を見つけるよりも先に九重を見つけてくれなかったのかと。

こんなことをしでかした犯人を見ていないのだ、と。
誰にぶつけるでもない怒りが、ふ、と滲んでしまった。
すみません、ともう一度だけ謝れば、サイレンの音は徐々に大きくなってくる。

『葛木くん』

聞き慣れた委員の声が聞こえる。
馴染みのある委員の声が聞こえる。
自分はこの声を聞いているが、目の前の九重は聞いていない。

「……はい。ええ。わかりました。
 あとは、はい。現場は触ってないです。動かしても。
 周囲に人間がいたかどうかは、端末のログを追ってもらって、……」

きっとこの後、羽月にもいくらかの調査が行われるだろう。
現場にいた人間二人が、この事件の俎上に上げられる。

「……先生も、また、もう少し、……落ち着いたあとに」

軽く頭を下げてから、委員会の車両に乗り込んでいく。
ようやく張り詰めていた気が抜ける、と少しだけ安堵した自分がいた。

同時に。

九重よりも、自分ばかりを見ていた羽月という男に対して。
ほんの少し、心の片隅で――小さく、違和感を覚えていた。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から葛木 一郎さんが去りました。
羽月 柊 >  
……男は、この死んでいる誰かを知らない。
『九重』と、彼が言ったからこそ、
この死んでから何日も経っている腐乱死体が誰かを伺い知れただけ。

死体が彼の探し人だと言う事すら、男は知らないのだ。

伝言ゲームのように男に伝わっているのは、
友人から聞いた、『葛木一郎が人捜しをしている』ということだけ。


だから自然と天秤は知っているモノに傾く。


時間があるならば、死体を見ることは出来たかもしれない。
しかし、それ以上に一郎の動揺を、慟哭を、
欠片でも知っている側からすれば、放ってはおけなかったのだ。

男が生にしがみついていること自体は、変わってはいない。



八つ当たりのような言葉を受けて、それでも……男は一郎の隣に居た。


「……あぁ、また今度、…必ず、話をさせてくれ。」

男の激動の人生は、未だ静かになることは無い。


柊が聴取で何を喋ったのかは…また別の話。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から羽月 柊さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 風紀委員の葛木君が、九重さんを見つけた

その一方を聞いてその死体があった場所に来た。

拳を握りしめる

彼はどれだけつらかっただろう、彼の大事な友人を見て
彼はどれだけ苦しかっただろう、取りこぼしてしまったものをみて

僕は本人じゃないからわからないけど。だけど、なんで

なんで某は、彼より先に葛木殿より先に、見つけられなかったんでござるか

葛木殿よりも彼より先に九重殿を見つけれなかったでござるか・・!

その事実を、伝えることがどれほど残酷か。どれほど・・!!

そして九重殿を殺した犯人さえも、捕まえることができなかった

苦渋の顔をして突っ伏しかけるが、それをとどめる。

心臓が張り裂けそうになるが、押しとどめる。風紀委員は、強くなければいけない。

持流 童男 > 腕章をつけてる間は、泣いたりはしない、その事実をひたすら受け止める。

少しだけ『九重殿』がいたところに、片膝をついて。

「・・・・よく頑張ったでござるな。九重殿。」

その彼が亡くなったという事実を受け止める。

「・・・・某は、とんだ嘘つきでござるな。謝罪は言わないでござる。お主を助けれなかったのは、本当のことでござるから。」

しっかりと受け止める。

持流 童男 > 拳が震える。心が軋む、だけど立たなければいけない。
ヒーローではない。
だが、風紀委員としてこの事実を受け止めなければいけない。
誰かを頼りにしたら何とかなったのだろうか。
もしもを考えてしまう。だけど。それをしない言わない。

この世界に来て某は、何も助けられなかった。何も・・・してやることができなかった。

それでも、足掻く。足掻いて、誰かに助けを求められたら応える。

「ダメでござるな。・・・過去に戻れたらとか、思わず考えちまうでござる。これじゃ、だめでござるよな。」

そう少しだけ上を向く。

持流 童男 > 「・・・本当に、何もできてないでござるな」

拳を握る、苦痛の顔になるが、耐える。

涙は流さない。苦しい、辛い、虚無、絶望、無力感が、心を苛める。

心が屈して、四肢を突きかける。だけど立たなきゃいけない
受け止めなければいけない。

それが風紀委員として、できる唯一のことでござるから

ここで倒れてしまったら、風紀委員ではなくなってしまう。

深呼吸する。

「約束・・したんでござるがな・・・」

持流 童男 > そう言ってから

「・・・・・」

無言でその場を後にする。

逝ってしまったものには何も言えない。

何もできない。彼がどんな人だったか、彼がどんな人物だったか。

だけど、彼がどんな人物だったかを知ることを知らなければいけない。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から持流 童男さんが去りました。