2020/09/10 のログ
神代理央 >  
「出来る事、か」

ふむ、と彼の言葉に考え込む。
マリーの事を教えるのは憚られる。それは、此方の問題なのだし。
しかし『風紀委員』の駒は――多いに越したことは無い。

「…既に通達も出ているとは思うが、最近『ディープブルー』という違反組織が活動を活発化しているらしい」

「その組織について、可能な限り調べておいて欲しい。
…ただし、此れは風紀委員の正規の任務ではない。それ故、あくまで『手が空いていれば』で構わない」

と、己より随分と大きな彼を見上げて。

「……今頼めるのは、此れくらいだ。余り気負わず、聞いてくれれば良い」

持流 童男 > その言葉にしっかりと真っすぐに目を向けて

「ディープブルーでござるか。わかったでござる。
活発化してるディープブルーを全力で
『手が空いてる』間で、きっちり捜査をするでござる。」

「『個人的』にお主の『仲間』として、やるでござる」

そう軽口を言いながらも、その眼にはしっかりとやる気が満ちていた、真っすぐにこちらも理央さんに視線を合わせて。

「やれるだけ、やってみるでござるよ。足で探しまくるでござる」

そうしっかりとした声で言った。

神代理央 >  
「重ねて言うが、此れは風紀委員の任務ではない。……いや、厳密にはディープブルーの調査は公務であると言えるのかもしれないが」

「其処に注力する事は、任務の範疇から離れる事に成る。
ディープブルーの調査を行っていたから、普段の任務が疎かになった、というのは良い訳にはならない」

「其処を弁えた上で……行動してくれるのなら、嬉しく思うよ」

意志の籠った声で応える彼を見上げて。
小さく笑みを浮かべれば、穏やかな口調で言葉を返すのだろう。

「……ではな、持流。私はそろそろ、この件の報告に行かねばならぬ。この拠点は何も残すなと、上からの命令だ」

「お前も、今日は早く休むと良い。休んで体調を管理するのも、風紀委員の仕事の内だぞ」

と、最後に小言めいた言葉を紡いだ後。
クスリ、と小さく笑みを浮かべるだろう。

持流 童男 > 「・・・うむ、個人で動き、委員会として、両立して、うまく動くでござるよ」

その小さな笑みに応えて、こちらも、それに応じる。
しっかりと了承する。
ディープブルーの活性化、そして風紀の公務、両立しつつも協力する。仲間に応えられるならそれでいい。

「神代殿、そちらも、体には気を付けるでござるよ。お主には、
思ってくれてる人がいるでござるから」

そう少しだけ寂しく笑う

神代理央 >  
「それが分かっていれば良い。私の期待を、裏切ってくれるなよ?」

年上の彼に告げるには随分と生意気な言葉かもしれないが。
尊大な声色と笑みが。何時もの己が浮かべる笑みが、彼に向けられるだろうか。

「それではな、持流。捜査結果、楽しみにしているよ」

かつん、と革靴を鳴らし、火焔が燃え上がり始めた拠点から立ち去っていくのだろうか。
早くしないと燃え死ぬぞ、と冗談めかして彼に告げながら。

ご案内:「とある『神』の死」から持流 童男さんが去りました。
神代理央 >  
「…………彼等は、確かに違反組織であった。麻薬の栽培と、安価での譲渡。それは間違いなく、取り締まられるべき行為だった」

燃え落ちていく拠点を外から眺めつつ、ぷかり、と煙草を吹かす。

「しかし、彼等は誰も傷付けてはいなかった。落第街へ炊き出しを行い、弱者に施し――栽培していた麻薬も、辛い現実から逃げ出したい貧民への救済の様なものだった」

紫煙を燻らせながら、呟く独り言。

「彼等が滅ぼされたのは、謂わば個人のエゴに過ぎない。確かに摘発すべき組織ではあったが、それでも彼等は、生命を奪われる迄の犯罪は、きっと犯してはいなかった」

「彼等の死は、無意味にはならない。風紀委員会の『力』を示す為の殉教者となった。落第街において、風紀委員会の暴力は未だ健在である事を、示す為の贄となった」

半分程燃え落ちた煙草を、業火に包まれ始めた拠点へと放り投げて。


「――そして、信じる者の潰えた彼等の神は死んだ。
 彼等の神は、信徒を救いはしなかった。
 なあ、マリー。お前の『神』は、お前を救ってくれるのかな」

懇願と諦観が入り混じった言葉を火焔に吐き出して。
遠くから聞こえるサイレンの音から逃げる様に、少年は姿を消すのだろう。 

ご案内:「とある『神』の死」から神代理央さんが去りました。