2020/09/13 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に水無月 沙羅さんが現れました。
■水無月 沙羅 >
『ディープブルー』の存在が確認され、風紀の一部メンバーと、その協力者がマルレーネ救出のために動いたという。
結局のところ拠点の摘発という形では使われなかったこの秘策は、自分で消化することになる。
提出してしまった物をなかった事にはできないという事もある。
要するに自分がこれから行うのは彼らの作戦の為に使わなくなった書類を嘘で無くすためのものだ。
今やってきている場所はディープブルーの違反組織の活動場所と、『思われている』場所だ。
風紀委員の人員を多くは裂けず、かつ主要メンバーの幾人かがそちらに動いている都合上、少人数で動くほかなくなった。
そこで単独の運用がもともと多い自分に白羽の矢が立ったという事だ。
自分のまいた種は自分で回収しろと、そう言われているらしい。
至極当たり前のことではあった。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に日下 葵さんが現れました。
■水無月 沙羅 >
実際に、摘発場所に選ばれた場所にやってくる。
急ぎでやってきたこの場所は、正確には『ディープブルー』の拠点ではなく。
ディープブルーに雇われたと思わしき、使い捨ての違反生達のたまり場だった。
誘拐や窃盗、頼まれれば何でもやる者たち。
そう言った類の仕事を請け負い、慣れている輩。
急いで動いている以上こういったことも想定はしていたが、尻尾きりに付き合わされたとは皮肉な話である。
どこからか情報が漏れ出ていたのか、自分がこの場所にたどり着いたときにはすでに取り囲まれていた。
身に覚えが無い訳ではない。
ここ最近は疲れがたまっていて、随分とミスも多かった。
その過程のどこかで自分の行動が見られていたのだろう。
なんという失態だろうか。
自分の周りを、10人ほどの人間が囲んでいる。
手には武器、ナイフやスタンバトンなどを持っている。
随分用意が良い。
「面倒なことになりましたね……。
いやな予感がします。」
この様子では、本命の理央たちの方も何かしら罠が用意されていると思っておいたほうが良いかもしれない。
全員無事だといいのだが。
魔力視と身体強化を己の身に施しながら、ゆっくりと歩み寄ってくる違反生達を睨みつけていた。
■日下 葵 > 「これ大丈夫ですかねえ、
一応バックアップですし先行は沙羅さんなんで大丈夫だとは思いますけど」
ディープブルーの活動拠点の一つ、として挙げられたこの場所。
実際にはその下部組織、というか下っ端のたまり場だったわけだが、
作戦内容や準備の無理が祟って取り囲まれている状況。
その現場から少し離れた場所に待機していたのは、
何かと人手不足や面倒な現場に回されがちな風紀委員だった。
『今回の作戦は少人数で行う。そのため物資や突入要因は最小とし、
お前はバックアップとして現場付近で待機』
そんな通達だった。
しかし、暗視スコープで現場をみると、現場は既に囲まれているようで、
先行の沙羅さんが10人ほどに囲まれている。
バックアップとして待機と言われている以上、
現場に動きがあるまでは動けない。
動けないし、沙羅さんならこちらの助けももしかしたら必要ないかもしれない>
■水無月 沙羅 >
もともと自分の異能、半径10メートル以内に痛みを伝播させる異能は、集団戦においては無類の威力を発揮する。
しかし、それが乱戦になってしまった場合はその限りではない。
この異能は対象を選ぶことは出来ず、10メートル以内に居る全ての生物に区別なく発動するものだからだ。
だから、自分には基本的に『味方』は戦場には存在しない。
自分が足を引っ張るか。それとも戦闘自体に手を出さないか。
其れだけだ。
逆に言えば、一人で戦うのならばこれ以上となく異能を存分に使うことができる。
不死者である自分に脅威は無い、そう思っていたが、この数か月でそれは間違いだったという事もわかり始めていた。
警戒するべきは、電撃を使うスタンバトンや異能、動きを止めるような何かを相手が所有していた場合だ。
自分の能力はあくまで、再生と極限以上の肉体の強化という一点につき、頑強であったり無敵であったりするわけではない。
一斉に襲い掛かる違反生の一人の腕を掴んでは盾にするように他の違反生に投げつける。
力のコントロールを誤れば、投げ飛ばすという行為それだけでも人は十分に殺せてしまう。
注意しなくてはいけなかった。
そして、この最悪のタイミングで、『無理をする』という負債が沙羅自体を追い詰めた。
「ぐっ……ゲホッ……!?」
度重なる疲労に、急激な身体強化による過大な負荷は、沙羅の心臓に大きな負担をかけた。
沙羅の体は、損傷であれば一瞬で治癒する。
しかし、機能不全の段階では発動しない。
この先の、心不全による大きい、もしくは小さな損傷であればすぐに治癒されるだろう。
しかしそうではないなら、治癒魔術によって正常な動きを取り戻させなければならない。
ノータイムでは終われない。
血液が正常に流れない沙羅の肉体は動きを止め、肺による呼吸を許さない。
治癒魔術を一瞬の思考の中で己にかけるも、自分の動きが停まるのは避けられなかった。。
無理な再生による負荷で、血液を口から吐き出す。
何処かの血管でも破裂したのだろうか。
目の前に、己を過去に苦しめた電撃をまとった武器が迫る。
■日下 葵 > 「バックアップって言っても、単機で突入になれている人の所に行っても……
って、なんですなんです、大丈夫ですかあれは」
状況が外から見てひっ迫している。
ずっと現場の様子は観察していたが、いよいよ雲行きが怪しい。
異能のことを簡単にでも聞いておいてよかった。
彼女が血を吐いた段階で、すぐに判断を下すと待機していた場所から動き出した。
■日下 葵 > 「スト―ップ!
ったく大人数で取り囲んで風紀委員をいたぶるとはいい御身分でェ」
■日下 葵 > スタンバトンが触れる前に、間に合わせなければ。
死なないだけで疲れはするし気も失う。
気を失ってしまったら私がこのごろつきを片付けて彼女を背負って帰還。
そんな面倒はごめんである。
大声を出して現場に飛び込めば、
二級学生たちの意識を沙羅さんからこちらにそらすために大声を出して突っ込んでいく。
どうせこちらの作戦はばれてしまっていて、
その結果取り囲まれてしまっているのだから、
今更隠密がどうこう気にする必要はないだろう。
とにかく状況の良くない彼女が立て直す時間を数秒稼ぐことに集中した>
■水無月 沙羅 >
突然の大声に、多くの目線が日下葵の方向へ向く。
動きを止め、血を吐く無力な少女を気にかける存在などそこには居なかった。
少女が、不死の異能であり、治癒術に長けていることなど彼らは知りもしないのだ、
一瞬の間に、心臓の働きを治癒魔術によって元に戻す。
「葵さんなんて無茶を……!!」
激しく痛む胸と負荷のかかる肉体に鞭を打ち、身体強化によって人間を超えた膂力をもって、違反生のスタンバトンを持つ手を捻りあげる。
バキボキッゴキュッっと聴いたこともないような音がして、違反生の腕は雑巾の様にねじれた。
そのまま葵の方向を向いた連中の方に向かって違反生を投げつけた。
数人の違反生はそれによって気絶する。
「この程度ぉぉ!!!」
万が一、マモルに痛みを与える異能が届いてはいけない。
接近してまった以上其れは封印しなくてはいけない。
大声を上げる様にして、そのまま乱戦に持ち込んだ。
違反生達は混乱し慄き、少女の恐ろしい力に尻込みする。
『こんなの聴いてねぇよぉ!!』
そういう彼らの声は何処か悲惨にも聞こえるだろうか。
■日下 葵 > 「”無茶してなんぼ、死んでなんぼの命のクーポン券”が売りですから。
あと沙羅さん、なんて無茶を、だなんて。
そんなのお互い様ですよ」
こっちからしてみれば沙羅さんもだいぶ無茶してるように思いますけど?
治癒魔法が間に合って、動けるようになった彼女を見てそんな軽口を叩いて見せる。
そしてこちらに突っ込んでくる違反部活生、
その手に握られたナイフが振り下ろされるのを、
躱すでも、避けるでもなく握りこんだ。
一瞬ひるんだ学生に対して
「どうした?
怖いか?
お前の後ろにいる彼女は私よりももっと怖いぞ?」
そう言って、動きを止めた学生に左手の掌底を腹に入れる。
一瞬だけ足先を浮かせた彼が地面に沈むと、続けて二人目に対峙する。
「そういえば沙羅さん、前にお昼ご飯を一緒に食べたときのアレ。
必殺技みたいなやつ。
あれってポンっと気軽に使えたりするんです?」
何か代償が必要なのか、という意味で聞いてみる。
必殺技って大抵何か代償が必要なものだろう、そんな推測からくる問い。
もし代償がないならさっさとこの場を収めてほしいなぁ、という願望。
諸々の意味を込めての、問い>
■水無月 沙羅 >
「必殺技って……異能の話ですか?
例えば……、意識が飛ぶほどの痛みを自分に与えてばら撒く、とかですかね?
この状況だと、対象が選べないからマモルにも降りかかることになりますけど!」
葵の背後を守る様に立ち位置を修正して、彼女の背後に迫った男を渾身の一撃でけり上げた。
グシャリ、と嫌な音がするが今更気にはしていられない。
泡を吹いて気絶した男をを蹴り転がす。
「あと、私は別に怖くないですよ。
ちょっと力が強くて、その代わりに体が弱い。
か弱い女子学生ですけど?」
彼女のセリフに少々の冗談を混ぜて悪態をついた。
いや、貴方のその顔の方がよほど怖いと思いますけど。
少し遠くから、仲間の危機を察知したのか。
追加の構成員ら男たちが近寄ってくる。
二人でこの状況を突破するのは、彼女を担いで逃げるか。
それとも一瞬で殲滅してしまうかの二択というのはたしかにあるかもしれない。
■日下 葵 > 「それって沙羅さんも痛いんですよね?
いやぁ、迷いますねえ。
あっ、私が痛い思いするのはもう気にしないでもらって。
むしろこう、ひと思いにやっちゃってください」
私は痛みに強いので。
そう言って、殴りかかってきた男をカウンターでひるませると、
手首の関節を極めて動きを封じ、背後に回った。
「今から私たちに殴りかかってくるあなたたちに問いますけど、
覚悟はありますか?
私や私の背中を守っている彼女に手を出すと
――後からこうですよ?」
そう言って、空いた手で男の肩にナイフを突き立てる。
見せしめ。見せしめは敵の士気を下げるのに最も効果的だ。
「ほら、もっと大きい声を出せ。
お前の声を仲間に聞かせてやってください」
そういいながら、凄惨に男をいたぶって放り投げる。
「血反吐吐きながら男振り回してる子がか弱いとは、
沙羅さんも冗談がお好きなようですねえ?」
そうしている間に、構成員の数は増えていく。
私の必殺技はできれば使いたくない。
間違いなく、みんな死ぬから>
■水無月 沙羅 > 「……、仕方ないですね。
葵さん、ちょっと覚悟しておいて下さいね。
私でもこれ、かなりきついんですから。」
あぁ、この人も理央さん側の人かな、と思った。
躊躇なく、痛みによって恐怖を突き立てた。
そうして人を恐怖によって支配する人間というのは一部存在する。
自分の上司である神代理央もそういう人間の一人だ。
葵は、彼以上にやり方がこう、ちょっとというかだいぶ怖いけれど。
「冗談だったらよかったんですけどねぇ。
私、これでも結構負けてるんですよ。」
不死身は無敵ではない。
特に自分の心は思っているよりも脆い。
今だって、意外と背中に居る少女が怖い。
ナイフを握るとか、痛みを受ける覚悟があるとか、やばいよこの人。
もちろん自分も他人から見たらそうなのだろうが。
襲い来る男たちをさばきながら、両手両足に魔力を込める。
それは治癒魔術の延長上、沙羅の生み出したオリジナルの魔術。
肉体の中で魔力を暴走させ、内部から爆発四散させる。
決して他人には使えない、己を爆弾に変える様な代物。
皮肉にも、『葵』と同じ必殺技とは葵も沙羅も思いもしなかった。
■水無月 沙羅 >
「アヴェスター・ザラスシュトラ。」
■水無月 沙羅 >
声と共に、沙羅の四肢が弾け飛んだ。
異能によってそれらは半径10メートル、マモルを巻き込んで、違反生全てに、平等に。
唐突に手足が吹き飛ぶような痛みをその身に覚える。
その激痛は、自分の手足が失われたような幻覚を見るほどに鮮明だ。
おまけに、現状沙羅が苦しんでいる、リミッター解除によってあちらこちらに過負荷のかかっている内臓への激しい痛みも追加される。
ほぼすべての人間が、泡を吹いて倒れることになったのは言うまでもないだろう。
紅い血を弾けさせながら地面に倒れ伏す沙羅は、数秒後にうめき声を上げながら立ち上がることになる。
■日下 葵 > 「覚悟だなんてそんな、9年前の冬にそんなものとっくに固めてますとも」
彼女の目に、私がどんな風に映っているのか。
考えなくても何となくわかった。
わかったというか、そういう目で見てくる人が大半だ。
ただ、その評価が彼女の上司であり恋人であるかの鉄火の支配者側だなんてことは、
知る由もなかったし、想像もつかなかった。
「あら、それは奇遇ですねえ、
実は私も対異能戦闘では勝率そんなに高くないんですよ。
何分引き分けが多いものですから」
死なないだけで、強いわけではない。
負けないだけで、勝てるわけではない。
だから冷酷になれ、耐えろ、残酷に、手段を選ぶな、そういう生き方をしてきた。
背後の彼女が私に怖いと思ったのなら、私としては御の字である。
「――ッ!!」
彼女が声を発した瞬間、とんでもない痛みが襲ってくる。
施設にいたころに受けた痛みの中でも、相当上位の痛みに匹敵するそれは、
ちょっとどこかが悪い人間が感覚だけで死ぬのに十分なものだった。
あまりにも久しぶりの痛みに、思わず片足をついてしまうほどだった。
そして何よりも驚いたのは、彼女の四肢がはじけたこと。
なるほど、痛みを異能で生み出すわけではないのか、と内心驚いた。
これなら、私が今服の下に仕込んであるものを爆破しても大差なかったな、と。
「……沙羅さん、大丈夫ですか?」
鮮血の華の中心に伏した彼女を、少しだけ心配そうにのぞき込む。
やがて立ち上がる様を見れば、やはり同族なのだと思い知ることになって>
■水無月 沙羅 >
痛みによる多くのうめき声の中に、沙羅と葵は囲まれている。
辺り一面に飛び散った血と肉は寄り集まる様にして沙羅の元へ集まる。
人体が爆発した瞬間を巻き戻しするかのように、沙羅の肉体は修復される。
混ざり合って分離できなくなったものだけを残し、それは全てが元通りに再生された。
「ぐ、ぁ……だ、、だいじょ、う、ぶ、ですっ。」
痛みに耐性のある自分たちはそうして立ち上がることができるが、大半の一般の人物にとってはそれは地獄の苦しみだ。
幾人かは今日のことが脳胃に刻まれ、耐えがたい恐怖になることもあるだろう。
それもこれも、自分のミスが発端になったせいであり、マモルまで巻き込んでしまったことに、悲しい顔をして振り向いた。
回復した四肢を動かして、何とか大の字に転がった。
二人以外に、まともに動ける人間は存在していない。
「終わりましたね……。」
港の方も順調に終わったころだろうか。
■日下 葵 > 「いやぁ、終わりましたねえ。
なんだか沙羅さんに負担を押し付けちゃう形になってしまいました」
バックアップとは何だったのか。
内心でそんなことを自問する。
「久しぶりにいい具合の痛みを感じました。
思わず片膝ついちゃうくらいには凄まじかったですよ。
……とはいえ、半ば私とおなじ感じで笑っちゃいました。
皮肉ですねえ、お互いに最後の手段が自爆とは」
大の字に転がりながら、悲しい顔をする彼女。
そんな彼女を励ますように、いろいろな人の血で汚れた制服をたくし上げる。
そこにあったのはシャツでも、下着でも、素肌でもなく、
自爆テロよろしくのごとく巻かれた爆薬。
「でもほら、この通り。
私が最後の手段を使うとこのごろつきも消し飛んじゃいますから」
沙羅さんはこのごろつきどもを救った天使ですよ。
そんな皮肉を言って、おちゃらけて見せる。
港や、救出にむかった別動隊はどうだろうか。
私たちはこんな風に書類の辻褄を合わせるために動いているわけだが、
上手くいっただろうか>
■水無月 沙羅 >
「爆発する天使って……怖すぎません?」
苦笑いをして、まだ痛む四肢で倒れこんでいる違反生達に手錠をかけて行く。
遠くで待機している別動隊に引き渡して後は終わりだ。
「まぁでも。
葵さん、やっぱり優しくて安心しました。」
恐怖で縛るのも、善意で縛ることも、どちらもこの組織にとっては『護る』という一つの目的に沿われたものだ。
恐ろしい表情や行動の裏に、ひっそりとした優しさがあることが、自分の想い人に重なって見えてくすりと笑う。
「さぁ、帰って他の人たちの帰りを待ちましょう?
今日はちゃんとお弁当少な目なんです。」
そう言いながら、葵に手を伸ばした。
この後、彼女がこの事件の顛末によって、大泣きすることになるのは、また別の話だ。
■日下 葵 > 「怖くても天使は天使ですよ。
悪魔に比べたらマシに見えるでしょう?」
爆発しようが何だろうが、私と彼女を比べてどっちが天使か問われれば彼女だろう。
「優しい?それ本気で言ってます?」
やさしくて安心した、何て言われると本気で驚いたような顔。
その本心が読めなくて、ちょっと怪訝な顔をするが、
恐らくほめているのだろうと、複雑ながらに言葉を受け取った。
「そうですね、これで書類上の問題も解決、
あとは彼らからいい報告が入るのを待ちましょうか。
おやおや、それは素敵ですね。
手足吹き飛ばしちゃった分、全部しっかり食べないとですね」
ニコニコしながら、伸ばされた手をつかんで身体を起す。
この後の報告書類や取り調べを聴いて、
少し暗い話が尾を引くとは、この時点では知る由もなかった>
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「違反部活『レッドウォーター』」にアストロさんが現れました。
■アストロ >
水たまりの水がぽちゃんと撥ねる。
■アストロ >
水滴が水たまりに戻ると同時に、そこに少女が現れる。
「……」
建物の中に出て来てしまったらしい。
目の前に3人ほどの年端も行かない少女が縛られている。
少女たちは驚いた様子でこちらを見ている。
その目に湛えるは、怯えか、希望か……まぁ、アストロは興味がない。
「ねぇ、私とちょっとお話しない?」
少女の一人が頷いて答える。
■アストロ >
「ん、偉いねぇ、今外してあげるね?」
《アイスニードル》
指をピッと伸ばせば、何処からともなく氷の針が現れて、
少女一人の口を縛っていた布を切り裂いた。
3人の少女で頷かなかった二人は、驚いて目を背けていたが、
一人の少女は一切動じなかった。
「さて、それじゃいくつか質問させてね」
手を後ろで組んで、見下すような視線。
「まず、ここは、何?」
少女が囚われている。ろくでもない所であるのは間違いない。
■勇のある少女 >
「ありがとう……詳しくはないですけど、レッドウォーターっていうところです」
見下すアストロに怯むこと無く、少女は答える。
「私達は、血を抜かれてます。何度も、何度も」
3人のうち、一人はかなり衰弱しているようだった。
■解説 >
違反部活『レッドウォーター』。
風紀委員のリストに上がっている、要注意部活。
吸血鬼向けの生き血を集めて販売するのが主な活動であるが、
その供給源は落第街の、学生証もないような"存在していない"子供たちであった。
供給が追いつかなかったのか、最近一般学生に手を出してしまい、
通報が行われたために、風紀委員の検挙対象リストに上がっている。
が、この詳細情報は少女もアストロも知らない。
■アストロ >
「ふぅん?」
なんともまぁ、かわいそうな子たちだ。
少女ばかりを狙っているのは少し気に食わないが……
今の所助けてやる義理もなければ、この組織を潰す必要性もない。
だが……。
「ねぇあなた、お金持ってる?今無くてもいいよ、後ででも」
3人共、自分よりは年上だろう。
一人はかなり身なりも良い。恐らく一般学生だ。
「お礼をしてくれるなら、ちょっと暴れてあげてもいいかなぁってぇ、思うんだけど」
妖しく笑うアストロ。
ご案内:「違反部活『レッドウォーター』」に持流 童男さんが現れました。
■勇のある少女 >
この組織に捕まって早3日。
風紀委員は未だに助けに来ない。
これはきっと好機だ。
「……わかりました。」
少女は頷いた。
■持流 童男 > 違反部活の検挙の許可を上から受けた。
学生証のない存在していない子供たちを
餌に食い物にしている。ような連中だ。
きっと某は、もう止められない。
どんなに、どんなに、戸籍がなかろうが
あろうが、人間は人間だ。それを、それを、
食い物にしているだと・・!?
心が燃える。
違反部活の建物の前に向かいながらも、建物に入ろうとする。
■アストロ >
「あは、賢い子は好きだよぉ。
お礼はまた今度あったときにでもよろしくねぇ」
少女が頷けば、氷の針で3人ともども拘束を解いてやる。
意外そうな表情をする3人。
「ふたりとも、その真ん中の子に感謝しなよ~?」
それじゃあ、潰していこうか──。
■状況説明 >
現場はバラック倉庫1階部分の2部屋である。
少女たちが拘束されていたのは手前の部屋。
違反部活の構成員は3人、奥の部屋に居てまだアストロにも持流にも気づいていない。
少女達は廊下を経由して外に向かう。
建物に入る持流と遭遇するだろう。
少女は15歳が一人と、10歳が二人。
一人が風紀委員に通報されている行方不明の一般学生。
■持流 童男 > 「風紀委員でござる。お主らが拘束されてた人でござるか?」
そう小声でいいながらも
廊下で遭遇しながらも入ってきたドアに誘導する。
「ささ、こちらでござるよ。
落ち着いて、行くでござるよ」
ここでパニックを起こされては、ほかの部屋にいる人に。
構成員にばれてしまう。
しかし通報されている行方不明の一般学生と、通報されていない子たちを守るようにしんがりを務めよう。
どちらも大事な命だ。
■勇のある少女 >
「風紀……?」
少しだけ、来るのが遅かった。
だがちょうどいい。護送してもらうにぴったりだ。
「ありがとうございます……他の人はいらっしゃらないのですか?」
少女はきょろきょろと見回す。
3日も待たせておいて、一人しか派遣出来なかった、とは考えづらいが……。
他の人がいるのなら、その人達に送ってもらうことにして、
助けてくれた人の話をしよう。
■アストロ >
アストロは一人、奥の構成員達の部屋に向かう。
「ねぇ、お兄さんたち?ここレッドウォーターってほんと?
ちょっと暴れてほしいって頼まれたんだけどぉ」
にやりと笑うアストロ。
『なんだぁこのガキ?俺たちとやんのか?』
『生意気なガキだなァ、丁度いいや、一人足りなかったんだ。
後で土下座しても許してや──』
言葉を放つ最中に、アストロが指を伸ばす。
《ウォーターボール》
水の球が構成員の一人の頭を覆う。
『このガキ……ッ』
『おい寄せッ!』
男の一人がナイフを構えてアストロに突撃する。
■持流 童男 > 「そうでござるな。外に2人いるでござる。」
そうしっかりと言う。
そう、外に待機させている風紀委員がいる。
某は、車を運転できない悔しいけど。
だから外にいる二人に頼る
「怖かったでござろう。お主ら、もう大丈夫」
そうしっかりと笑う。
そうだこの3日間怖かったのは彼女たちだ。
だからもう大丈夫と笑う
「僕ら、がきた。」
そう少女たちに言った。
そうして辺りを警戒しながらも少女たちと共に。
一緒にドアに向かっている
■勇のある少女 > 「……ありがとうざいます」
一安心だ。これで安全に帰る事ができる。
「……私より小さな女の子が一人来て、助けてくれたんです。
暴れるって言ってたので……まだ中にいるんじゃないかと……」
ドアを出て、待機している風紀二人の元に行く最中に伝えよう。
■アストロ >
『がッ!?』
突っ込んできた男がナイフを取り落とす。
アストロが突き飛ばすような蹴りを放ち、男が壁に叩きつけられたのだ。
単純な身体強化の魔術だけである。
「それだけイキっといてこの程度なのぉ?」
叩きつけられた男は完全に気絶している。
水の球で頭を覆われた男も窒息で意識を失った。
あまりに弱すぎる。つまらなすぎる。
「じゃ、もう悪いこと出来ないようにみんな
死んでもらえるかな。役にも立たないし」
残った一人を指差して──。
■持流 童男 > 外の風紀にいる二人に少女たちのことは任せる
「おう!!デブ!!!こっちは任せろ」
「おら!デブ!!きっちり働きなよ!!!」
そう二人の風紀委員がドウオに激励をかけてくれる
こちらはサムズアップをしつつも
「まだ奥に部屋があったでござるな!!!!」
少女が戦っているのならば、手助けしなければ
走りながらも奥の部屋に行こうとする
■アストロ >
『おい、止してくれ、俺たちは──』
アストロは聞かない。
《アイスシャード》
ゴッと鈍い音がして、男は倒れる。
頭にあたったのはただの氷の塊だ。この程度も避けれない。
本当に大したことがない。
「あーあ、ちょっとは楽しめると思ったのに……」
アストロ以外に立つものが誰も居なくなった部屋の真ん中で、くるりと回る。
《ディープフリーズ》
部屋を覆うは極度の冷気。じわじわと凍りついていく男達の体。
──まだ間に合う。
■持流 童男 > 奥の部屋につくと、違反部活の構成員たちが倒れていた。
そしてそれを凍り付かそうとしている。少女もその姿を見て
彼女に、人殺しをさせたくない。そして彼らを、殺したくない
そう思うならどうするべきか。それならばーーーー
ふたつとも助ける!!!!!!
その思考に、至った時にはもう
「よすでござる!!!少女殿!!それ以上はやりすぎでござる!!」
そう少女に大声で言った。
こちらに気を向かわせるように。
■アストロ >
大きな男が入ってきた。
少なくともこいつらよりは強そうだ。
朱い髪の少女──アストロが魔術を止めると、一気に気温が戻る。
倒れ伏した男たちはそのままだ。
「……なぁに?アナタもレッドウォーター?」
金色の瞳が大男を見据える。
「やり過ぎ?襲いかかってきたのはこの人達だよぉ」
そして、挑発的に笑った。
■持流 童男 > 「・・・・・」
確かにその通りだ。悲しい顔をして。
彼らは、戸籍がないからとはいえ、少女を食い物にしていた。
だけど
「だけど、それでも、命を奪う必要はないでござる
彼らには、確かに、少女の命を食い物にしようとした大バカ者でござるが。
彼らには生きてその罪と向い合せるでござる。」
そうしっかりと金色の瞳に言った
「それに某はレッドウォーターではないでござる。
風紀委員でござる。」
その挑発的な笑みを少女に対して真摯に返した。
■アストロ >
「別に生かしておく必要も無くない?
それに女の子の命とか関係ないよぉ?
かんぜんちょーあくとか、興味ないし~」
挑発的な笑みのまま、そちらを見ている。
根本的に価値観が違う。
「風紀委員?じゃあ私も捕まえなきゃいけないんじゃない?」
アストロは風紀の資料に、不法入島者として記録されている。
「じゃあ、止めたかったら力づくでやってみたら?
出来るもんなら、だけどねぇ」
アストロがその場でくるりと回ると、また部屋の温度が下がり始める。
■持流 童男 > 「そうか、それならば止めるでござる。
お主が間違いを犯さないために。」
価値観は違うのだろう。それはこの子の言葉から感じ取れる。
バッグから模擬棍棒を取り出す。
おそらく異能を使ったのだろうあたりの温度が下がり始めるのを
肌で感じる
「・・・それならば、お主を止めるために、某はお主と戦おう。
そしてお主を捕まえよう。」
そうしっかりと少女に向きなおる。
そして一歩前に、足を踏み出す
本気で向き合うために。
「-----征くぞ」