2020/09/15 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に黒いフードの少女さんが現れました。
黒いフードの少女 >  
真っ黒な認識阻害の魔術を練りこんだローブを身にまとい、少女は一人、違法な実験を繰り返している集団だと噂のある、とある違反部活の薬物のディーラーの首を締めあげている。

金の瞳が暗闇に輝き、ディーラーの男が苦悶の表情を浮かべているのを眺めている。

「あなた方の、拠点を教えてほしいのですが、教えてはいただけませんか?」

にこやかな声色で尋ねているが、それはどこまでも昏い、深淵を思わせる。
答えなければどうなるのか、言われなくてもわかる。
そんな底冷えのする声が、二人のいる裏路地に響いていた。
当然、締め上げられていては声を上げることなどできはしない、しかしその首を絞める力は一向にゆるむ気配は無く、ぎりぎりと音をたてて男の首に指が食い込んでゆく。

男の口元から白い泡が出るのを確認して、フードから覗く唇がにやりと歪む。

黒いフードの少女 >  
「あぁ、ごめんなさいね? やりすぎてしまいました。」 

首を絞めていた手をぱっと離す、男はドサリと地面に倒れ伏した。
手には黒い革の手袋が着けられ、指紋も残る事は無い。
動かなくなったソレを見下ろしながら、目を細める。

「まぁ、大丈夫ですよ。死にはしません、死ぬ直前まで酸欠を引き起こさせましたから、涅槃くらいは見えたかもしれませんけど。
あぁ、この声も聞こえていないんでしたね。 失敬。」

少女はそのまま男を衣服をまさぐり、懐から男の所持していた薬物と、男の持っていた連絡用と思わしきデバイスを取り上げた。
手慣れた手つきで、デバイスに特殊な機材を取りつけ、パスコードを物の数秒で解錠、その中身のデータを引き抜いた。

「口を割らせなくても証拠を持ち歩いていることが多い。
 便利になるというのも考え物ですね。
 こちらにとっては好都合ですけれど。」

登録されている電話番号、その中でも関わりのある違反部活のメンバーであろう情報だけをピックアップし、己のデバイスに送信、そののちに、男のデバイスを踏みつけて粉砕した。

「……。 さて、次の狙いは……。」

脳内の中に、この落第街の図面を広げる。
この違反生のテリトリーで、残りの販売ルートはどこだったか。
地道な道ではあるが、こうして潰し回ればいずれあぶり出されてくれるだろう。

そう考えるたびに、少女の表情は歪んだ笑みに変わる。

「あぁ、いつか。 あの組織に行き当たるのかしら。」

そうつぶやきながら、男から踵を返し、ゆっくりとその場を立ち去ろうとする。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」にアストロさんが現れました。
アストロ >  

──ぽちゃん、水の音。


距離にして2,3メートルほどか。
近くの水たまりの水が真上に跳ねた音だ。
その水滴が落ちると同時に、少女がそこに立っている。

「……あれぇ?お取り込み中?お邪魔しちゃったかな?」

わざとらしい甘ったるい、声を掛ける。
男が伸びている。砕かれたデバイス。
見るに、このフードがやったのだろう。
魔術に阻害されていて、男か女かすらわからない。

ここまでやっておいて殺していないのは、若干不思議だが。
まぁ、雑魚はどうでもいいし、とりあえず話してみようか。

黒いフードの少女 >  
――不意に、背後から水音がした。

かけられる声に振り返る。

朱髪、金の瞳の小さな少女。
いつか出会った少女を思い出すような出で立ちに既視感を覚えるが、彼女はこのような場所には来ないなと首を振る。

「いいえ? もう済みましたから。 このような場所に来るなんて危ないですよ?」

水に関する異能、そう考えるのが妥当だろうか。
水に変わる、水の間を移動する、そう言った類のモノ。
もはや人間というよりは怪異に足を踏み込んだ、肉体すら人間を捨てた者たち。
そういう類を目の前の少女から感じ取る。

少しだけ、金色の瞳がフードから見え隠れする。
その瞳に、感情は見受けられない。
ただ、目の前の少女を見下ろすだけだ。

「それとも、私に何か御用ですか?」

好奇心か、それともこの場所特有の縄張り意識か。
このまま姿を消すのもいいが、少女の動向に少し興味がわいた。

アストロ >  
「……んー?誰かに似てたりでもしたの~?」

こちらを見るや、誰かを思い出したような反応をする姿に首をかしげる。
この反応は初めて見る。

「そうみたいだねぇ。危ないのは知ってるからだいじょーぶ。
 で……殺さないんだ?」

男は完全に意識がないようだ。
しかし恐らく情報は抜かれて、端末も破壊されたこの男に、
もう組織の居場所はないだろう。
生かしておいても今後役に立つようには見えない。

金色の瞳と金色の瞳が向き合う。
少女らしい顔立ちだ。背丈を考えれば年上か。
お姉さん呼びでいいだろう。

「用?そうだねぇ。お姉さんはこの辺り詳しい?
 潰してよさそうな悪い組織、探してるんだけどぉ」

黒いフードの少女 >  
「そうですね、知っている少女に少しだけ。」

特に否定をすることもなく同意する。
このような場所にいる少女に
それを話したところで大した意味も持たない。

「そうですか? いえ、そういうのならば構いませんよ。
 自分の身は自分で守れるというのでしたら、えぇ。」

「殺す理由がありませんから。
 いいえ、殺さない理由がある、と言ったほうが正しいでしょうか。
 正しく恐怖を刻み込まなければいけません。
 彼は、それを流布する良い宣伝ポスターになるでしょう。」

直面する死、というものは、体験したものにしかわからない壮絶な恐怖を刻み込む。
隣の誰かが死んだだけでは足りない、どのように、どんな手段で、どんな心境だったか。
情報は多ければ多いほどいい、知られてはいけないのは、自分の正体位のものだ。

恐怖は伝染する。
彼には恐怖という名のウィルスになってもらう。
それがこの襲撃の目的の一つだ。

「潰してもいい組織……ですか?
 あなたは正義の味方のおつもりですか?
 それとも、気まぐれに? 退屈しのぎに?
 教えてあげてもかまいませんけれど、理由くらいは知りたいというのは我儘かしら。」

彼女が何をしようと自分の邪魔さえされなければそれでいい。
しかし、目的の邪魔になるようであっては困る。
なぜ違反部活をつぶそうとするのか、それが当初の一番気になるところでもある。

単純に、目的に興味があるというのも多分に存在するが。

アストロ >  
「ふーん?」

朱い髪の人間は珍しいという自覚はあるので、それは少し意外に感じる。
まぁ、いまはどうでもいいか。

ちなみに、風紀委員の資料に目を通しているなら、
この朱い髪の少女の情報は報告書として存在している。
来たばかりの不法入島者だ。

「守れないのにこんなトコ来るのは流石にバカでしょ」

けらけらと笑う。賢ければこんなところには来ない。

「あぁ~、そういう?
 なるほどね、悪名を広げたいってところかぁ」

それなら理屈はわかる。
これをメッセンジャーに使おうというわけだ。

だが、……正体を隠していては何も伝わらないとも思う。
正体不明の誰かに襲われた、といわれて誰が信じるだろうか?
組織メンバーが変死体で見つかった、のほうが確実に恐怖を煽る。

以上の思考より、別で殺せない理由がある、と少女は睨む。

「じゃあ、私も一緒だよぉ。
 色んな人に知ってもらって、遊んでもらおうと思って。
 つまり、退屈しのぎでもあるねぇ?」

その場でぐるぐると歩く。

「あ、ちなみになんで違反部活かは、
 弱っちいの相手にするのもつまんないからだよ。
 こんなとこに居るんだから、ちょっとぐらい戦えるでしょ?」

そして、少女は妖しく笑う。

黒いフードの少女 >  
「あぁ……なるほど。」

バトルジャンキー、と言われる類の人間だろうか。
確かに風紀委員を相手にするよりははるかに面倒がないだろう。
警察組織を大きく敵に回したとなれば捜索も回る、なら手ごろな違反部活を相手にしていればその欲求は十二分に満たされるだろう。

それでも、彼女の退屈を満たすほどの強者が表れるのか、それは疑問ではある。
なぜなら潰してもいい様な弱小組織では大物は居ない事のほうが多い。
大抵、大きな違反部活の隠れ蓑か、トカゲのしっぽ切になっているのが関の山だ。

ぐるぐる回る少女を見て。

「賢いのか、それとも臆病なのか。
 微妙なところですね。」

くすりと微笑む。

アストロ >  
納得をもらった。
自分がどういうものかはある程度伝わったと見ていいだろう。

「臆病……」

しかし、意外な言葉が返ってきた。表情にも出る。
何がそう思わせたのか、思考を巡らせる。
私がビビっているとすれば、何に?

ああ、そうか。風紀にビビって手を出せないと思われているのか。
なら、風紀委員の話もしておこう。

「……風紀も楽しそうな人いるよねぇ。
 暴れてれば、そのうち風紀の人も気にしてくれるようになるでしょ?
 この辺警邏してた葵さんも次は多分捕まえに来てくれるし~」

指を口元に添えて、考える仕草。
それから、なにかひらめいたように。

「あ、理央君って、知ってる?」

相手との関係を知らずに、名前を出す。

「ちょっとだけ話したけど、分かってくれたから、次会うのが楽しみぃ」

黒いフードの少女 >  
――理央。

その名前を浮かべた途端に、少女の周囲を朱い揺らぎが纏う。
唐突に周囲の気温が上がったかのように暑くなる。

意識して居なければ、確実に避けきれないような距離に詰まり、その首筋を狙って手を伸ばした。
触れれば確実に焼けただれる様な熱が彼女を包んでいる。

「遊ぶ相手は選んだほうが良い。」

そういう彼女の声は、別人のように憎悪と悪意に満ちている。