2020/09/20 のログ
ご案内:「違反部活群 ビルの屋上」にニコラスさんが現れました。
ニコラス >  
ドローン、と言うものがある。
元はハチの羽音を指す擬音だが、いつごろからかそこから転じて主に無人航空機を指すようになった言葉だ。
航空機、とは言え、それは小型で静音性の高いマルチコプターを指すことがほとんど。
宅配に使われたり、映画やドラマなどの撮影、そして――

「――見付けた」

狙撃手の「目」にもなる。
屋上で弓を引き絞り、放つ。
それは違反部活群の上空高くを疾り、急激にその軌道を下方向へと変え、路地裏で誰かを殺そうとしていた何者かの銃を貫通する。
続けざまに放たれた矢は寸分違わず男たちの武器を打ち落とし、最終的に彼らの足を地面に縫い留める。

ニコラス >  
「バレたら怒られるだろうなぁ……」

矢を放った後の残心のまま呟く。
こちとら一般学生、いくら相手が犯罪者とは言え、やっていることはその範疇を超えている。
そう言う危ないことは風紀委員に任せておけばいいのだ。
けれど。

――鉄火の支配者が入院した、と言う話ぐらいは知っている。

そうなれば落第街の方が騒がしくなってきたというのも、噂に聞いた。
そんな話を聞いて他人事のように考えられるほど、自分はまだまだ大人ではなかったようだ。

弓を引き絞り、放つ。
弧を描いて女性を襲う男を数人、その手足をまとめて地面に縫い付ける。

幸か不幸か「鷹の目」と言う二つ名は落第街でもそれなりに知られているらしい。
だったらそれを使わない手はなかった。

風紀に入る、と言う選択肢はない。
そっちで動ける人はたくさんいるのだから、そちらで出来ないことをやればいい。
怒られる、では済まないかもしれない。

ニコラス >  
弓を引く。
矢を放つ。
繰り返し繰り返し。
傷付けない、なんてことは出来ないけれど、絶対に命だけは奪わない。
犯罪者だろうが学籍が無かろうが彼らは人だ。
人権のあるなしではない。
この島で生きる人なのだ。
今はこうしているけれど、きっと本気で助けを求められたなら、彼等でも助けてしまうのだろう。

「これで大人しくなってくれると……いや無理かなぁ」

それなら最初からこんなことはしていないだろうから。

ニコラス >  
「まー俺は俺で出来ることを――っと」

ドローンが送ってくる映像から、こちらの位置がバレたことが分かった。
これだけ派手に撃ちまくっていれば当然か。
弓を背負い、脚を魔術で強化。
異能でフックを錬成し、ワイヤーに結び付ける。
ビルから飛び降りフックを引っ掛け、その場から離脱。

その日から。
落第街にて「鷹の目」の噂が立つ事になる。

ご案内:「違反部活群 ビルの屋上」からニコラスさんが去りました。