2020/11/13 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群」にシャンティさんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
幕は昇った。
然れど、未だ夜の帳は上がらぬ。
宵闇の中で、未だ男女は互いに向かい合っていた。

「……余程、見えるらしいな。」

其の目か、或いは心か。
心眼と言えど其処迄見透かせはしまい。
如何様な理屈を以て、己を読み解くのか。
仮に其れが、根の国より覗く瞳だとしても、多少の興味を抱かずにはいられない。

「然り。……腹底に何を抱えんとするか。立場としての興味は在る。
 が……其方と言う人物か如何なる人間か、私はまだ見定めていない。」

不敵に笑う妖艶な女性。艶姿かのように見えてしまう程にだ。
宵闇でもしかと見える其れは、危険な誘いの香りがする。
微塵も彼女に恐怖は感じない。何かを楽しみにしている。
斬ってしまえば、其れこそ楽に終わる事やも知れぬ。

「…………否。」

否。

「斬るか如何かは、見定めている。私は確かに、公安としての立場で動いている。
 ……が、悪辣とも分からぬ其方に、権力を振り翳すのは真、罷り成らん。其れに……。」

更に一歩、少女へと踏み込む。
畏れも無く、平然と深淵へと一歩進む。

「"興味が在る"。私個人、人として。其方が如何様な人間で在るか。」

即ち、相互理解也。

「……理央の事は必ずや解決する。だが、傍に寄り添う程では無い。
 私は唯、成すべきを成す。……天命下れば、自ずと会い見えよう。」

今は其の時では無い。
だが、遠くない事は予感している。
何よりも、事情を知らずば立ち合いても意味は無く
理屈のみで言えば、彼女から聞きださねば成らぬ事は在るだろう。
今は其れを優先した迄の事。元より、此の場に居れば、事態が大きく動いても駆けつけれる自信が在った。

シャンティ >  
『闇はまだ深く、風すらも吹かぬ静けさが二人を包む。「――」男は、紫陽花 剱菊は、畏れも無くただ愚直に女の元へと足を踏み込む。「――」』

朗々と読み上げながら、女は面白そうに笑う。


「あらぁ……私に、興味ぃ……? ふふ。愛の、告白……な、ら……素敵、なの、でしょう……けれ、どぉ……ん……」

人差し指を唇に当て、しばし黙考する。
そして、ふと納得げな顔になる。

「あぁ、あぁ……ふふ。 思い、だし……た、わぁ……貴方、そういう、の……得意――そう、ですも、の……ねぇ? 愛で、解決……なん、て……素敵、だ、わぁ…… もっと、もぉ……浮気、は……なし、でしょう、けれ、どぉ」


くすくす、と笑う
まるで何もかもを知っている、とでも言いたげに。


「あら、あらぁ……いいのぉ? 理央……って、オトモダチ、の、お名、前……だし、て? ふふ。 まぁ……いまは、私、の……方、が……大事、なの、ねぇ……これ、は……斬られ、な、い……よう、し、なきゃ……だわぁ……」


くすくすと変わらずに笑う。


「さ、て……そう、ねぇ……せっかく、の……熱い、ラブ……コール、です、もの……すこぉ、し……だけ。おしえ、て……あげ、ても……いい、わぁ……ふふ。 私、は……ね。亡霊、よぉ……?」

気怠そうに、面白そうに、それを口にする。

紫陽花 剱菊 >  
「……何処まで見ているのか。或いは、"読んだ"のか。
 生憎、未だ私は未熟だ。得意と謡うには、余りにも不足。」

想いだけで解決に至るので在れば、其れこそ不得手也。
如何様にして、女性が何処まで知るに至るかは検討が付かぬ。
然るに、僅かに首を振って否定した。黒糸が僅かに、ざんばらに揺れる。

「確かに私は、彼女を愛するからこそ駆けた。
 一念、真理を通す。だが、私のみの力では無い。」

全ては彼女への善意を向けた多くの人々の想い。
己は唯、最後の一押しに過ぎず、決定打とは毛ほども自惚れていない。
かくも、其の結果に微塵も不満は無かった。
全て、己が"我儘"故に。

「其れに……愛を語るには些か、何も知らなすぎる。
 未だ、我が胸中あかねで在れば、自明の理。」

其れだけは間違いない。
彼女の帰りを、未だ待つ。
然るに、其れが揺さぶり、冗談の範疇で在れば、此の男の生真面目さがありありと其処に在る。

「……其方の前で隠し事等、難しい話だろうに。私は、……否……何も。」

"私は皆を平等に見ている。其方も"。
かの言葉は、嚥下した。あかね。彼女の存在がある限り
万に平等とは、言えまい。己がしたことは、そういう事だ。

「斬られる理由が在ると言わんばかりだな。然るに、亡霊と来たか……。
 同じ死人で在るが故に、骸を弔いに来たとでも……?」

訝しげに、眉を顰めた。
女性は己を亡霊と宣った。
であれば、此処は根の国か。元より、幽世で在れば恐れは無い。
一歩、再び踏み出した。離れなければ、其の距離は目前か。

さて、未だ何処までも知っている。
女は己を読み上げる。……ともすれば、如何か。
此処は一つ、礼には礼を返すべきか。


──────を想って。

紫陽花 剱菊 >  
『影降りて 
      骸蔓延る 夜更けとな 
                 我に語るは 宵の幽鬼』


一つ、不慣れなれど詠んで見せた。
些か趣向が違えども、己なりの一つ意趣返し、或いは礼で在る、と。

シャンティ >  
『紫陽花 剱菊は女の言葉を僅かに首を振って否定する。さらりと髪が揺れ、僅かな動きを伝える。ついで、男は語る。己の胸の内を。己の想いを。「――」』

女は、笑いを消し……しかし、朗々と滔々と読み上げていく。
己の言葉を噛みしめるように。


「情、熱……的な、こ、と……ねぇ……ふふ。 やっぱ、り……直、接の……方、が……美味し、い……わぁ……ん……」


顔が、歓喜の表情を浮かべる。
人の想いは、人の願いは、美しい。


「すて、きな……歌、の……ご返、礼……少し、は……語って、聞か、せ……ま、しょう? えぇ、えぇ……そう、そう、よぉ……私、は……かつ、ての……亡霊……無念、に……散った、躯、の……弔い、を……無念、の……魂、を……後に、繋、ぎ…… ふふ……」


謳うように、語るように、伝えるように。
女は、応える。